四半期報告書-第198期第1四半期(平成29年4月1日-平成29年6月30日)

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2017/08/14 9:43
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35項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、政府の経済政策等により、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、金融資本市場の変動の影響等により、先行き不透明な状況となっております。
このような情勢下にありまして、当社グループでは、安全・安心を根幹に、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指す「東武グループ経営方針」のもと、「東武グループ中期経営計画2017~2020」にもとづき、新たな成長への転換をはかる時期と捉え各種施策を実施いたしました。その一つとして、訪日外国人観光客への取り組みでは、グループ施設や沿線観光地を6言語で紹介するウェブサイト「TOBU JAPAN TRIP」を開設してPRに努めたほか、タイにて東武グループ単独での旅行商談会を開催するなど、受入環境の整備や情報発信の強化をはかりました。
当第1四半期連結累計期間の連結業績は、営業収益は142,401百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は17,753百万円(前年同期比8.1%増)、経常利益は17,116百万円(前年同期比7.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は11,236百万円(前年同期比5.6%増)となり、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する四半期純利益は、それぞれ過去最高益を更新いたしました。
セグメント情報の業績を示すと、次のとおりであります。
(運輸事業)
鉄道業におきまして、当社では、安全を最優先に、より多くのお客様にご利用いただけるよう、さまざまな取り組みを進めております。
安全面では、竹ノ塚駅付近および清水公園~梅郷間の高架化工事のほか、川越駅においてホームドア(可動式ホーム柵)設置に向けた工事を進めております。また、鉄道輸送の安全のための取り組みをご理解いただくため、6月に「2017安全報告書」を当社ホームページで公開いたしました。
営業面では、4月21日に東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線・東武アーバンパークライン等でダイヤ改正を実施し、新型特急「リバティ」の導入等により、都心と日光・鬼怒川・会津方面を結ぶ特急列車を増発したほか、特急「りょうもう」号の全列車久喜駅停車や朝・夕通勤時間帯に「スカイツリーライナー」「アーバンパークライナー」の運行を新たに開始するなど、観光や通勤において快適性・速達性・利便性向上をはかり、増収に努めました。
また、日光・鬼怒川地区等のさらなる活力創出に向け、復活運転するSL「大樹」につきまして、鬼怒川線内において試運転を開始したほか、日光・鬼怒川地区限定で着用する新制服を決定するなど、運転開始に向けた準備を進め、8月10日に営業運転を開始いたしました。
バス・タクシー業におきまして、東武バスウエスト㈱では、埼玉県が進めている「元気なバス需要創出モデル事業」の取り組みとして、若葉駅東口~八幡団地線の一部を川島町役場まで延伸し、地域住民の利便性向上に努めました。また日光交通㈱では、広域観光の可能性を探り、新たな取り組みとして日光~那須地区を結ぶ「日光・那須満喫ライナー」を試験的に運行し、需要の開拓に努めました。
運輸事業全体としては、営業収益は55,003百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は12,000百万円(前年同期比7.7%増)となりました。
(レジャー事業)
スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリー®」では、訪れるすべての人に喜びや感動を伝えられるよう、開業5周年を機に掲げたステートメント「シタマチ・ワンダーランド計画」を基とした各種施策に取り組み、新ライティング「幟(のぼり)」の点灯を開始したほか、人気アニメ「進撃の巨人」とのコラボレーション等の特別企画を開催するなど、話題性の向上と誘客に努めました。また、東海道新幹線と展望台入場券等のパッケージ旅行商品「tokyobookmark」の展開等により、一層の需要喚起をはかりました。
ホテル業におきまして、「成田東武ホテルエアポート」で席数増設とサービスの向上を目的としたレストランの改装を実施し、4月1日に「OASIS(オアシス)」としてリニューアルオープンいたしました。
遊園地・観光業におきまして、「東武動物公園」では、テレビアニメ「けものフレンズ」プロジェクトとコラボレーション企画を開催し、増収に努めました。「東武ワールドスクウェア」では、2016年12月に園の守神として創建した、鎮守社「縁結神社」の例大祭を開催するなど集客に努めました。
スポーツ業におきまして、㈱東武スポーツでは、「東武ホットヨガスタジオ 美make」をふじみ野店に新規オープンさせ、集客に努めました。
レジャー事業全体としては、営業収益は19,016百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益は1,258百万円(前年同期比62.8%増)となりました。
(不動産事業)
スカイツリータウン業におきまして、開業5周年を契機に、2020年を含めたこれからの新しい時代を見据え、お客様が楽しさや喜び、感動を体験できる施設となるよう「シタマチ・ワンダーランド計画」というステートメントを掲げ、テレビCMを中心とした積極的な広告宣伝を展開するなど、各種イベントの集客強化に努めました。また、「東京ソラマチ®」でも、新しいシタマチの楽しさをお届けすべく各種施策を実施することで誘客と収益増進をはかりました。
不動産賃貸業におきまして、保有資産を有効活用した安定的な収益確保を目的に、曳舟駅ビルにおいて当社初となる駅に直結した病院を誘致いたしました。併せて病院利用者の利便性向上をはかるため、4月7日に「EQUiA(エキア)曳舟」を開業いたしました。また、駅利用者の幅広いニーズに対応すべく、各業種の店舗をバランスよく配置した「EQUiA(エキア)志木」を6月30日にグランドオープンするなど、駅および周辺施設、設備の充実と増収に努めるとともに「EQUiA(エキア)」という名称のブランド化を推進、沿線の価値向上をはかっております。そのほか、当社では、子育て世代のご家族が住みやすい環境を整備するため、保育所・学童保育室を開設しており、4月には新たに北千住駅高架下に認可保育所を開設いたしました。この開設により当社の駅チカ保育所は合計11か所に、学童保育室は2か所になりました。
不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として、「ソライエ若葉」(坂戸市関間)等の分譲マンションおよび「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」(野田市清水公園東)等の分譲戸建住宅や、滑川町月の輪等の土地を販売いたしました。
不動産事業全体としては、営業収益は12,543百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は3,293百万円(前年同期比1.0%減)となりました。
(流通事業)
流通業におきまして、㈱東武百貨店では、池袋店開店55周年、船橋店開店40周年を機に14年ぶりに制服を刷新、また、池袋店において「ニトリ東武池袋店」をオープンしたほか、「TOBU×タツノコプロ GoGo プロジェクト」や「食の大北海道展」を開催するなどして、集客に努めました。㈱東武宇都宮百貨店では、宇都宮店において前年度に行った改装のターゲットである30代から40代と親和性の高い漫画家「羽海野チカの世界展」を開催するなど、新規顧客の獲得に取り組みました。
流通事業全体としては、営業収益は47,793百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益は444百万円(前年同期比1.3%増)となりました。
(その他事業)
建設業におきまして、東武建設㈱では、下野市において福祉施設の新築工事を、東武谷内田建設㈱では、流山市において電子機器工場の新築工事を完成させました。また、東武緑地㈱では、国分寺市において植栽工事を受注いたしました。そのほか、東武ビルマネジメント㈱では、墨田区において病院の設備管理・清掃業務を受注するなど、増収に努めました。
その他事業全体としては、営業収益は20,546百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は717百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、減価償却の進行による有形固定資産の減少等により1,586,451百万円となり、前連結会計年度末と比べ11,281百万円(前期比0.7%減)の減少となりました。
負債は、有利子負債が減少したこと等により1,132,123百万円となり、前連結会計年度末と比べ22,836百万円(前期比2.0%減)の減少となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により454,327百万円となり、前連結会計年度末と比べ11,555百万円(前期比2.6%増)の増加となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに当社の基幹事業である運輸業における輸送の安全を確保するための取り組みを一層推進してまいりますが、近時、わが国の株式市場等においては、買付の対象となる会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大量の株式の買付を強行するといった事例がみられるようになりました。
もとより、当社は、株式の大量買付であっても、当社の株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上に対する明白な侵害をもたらすもの、株主様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主様が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上に資さないものも少なくありません。
当社は、信頼の確立、成長基盤の確立を基に継続的に企業価値および株主共同の利益を確保・向上させていくために、経営の根底にある「安全・安心」の提供や鉄道事業者としての公共的使命に関する基本的な考え方を、今後も引き続き維持・推進していくことが不可欠であると考えます。
東武グループでは、「東武グループ中期経営計画2014~2016」を策定し、前中期経営計画「東武グループ中期経営計画2010~2013」期間中に実現した東京スカイツリータウンプロジェクトを含めた各事業の収益基盤の強化に注力することに加え、2020年も見据えた今後の収益源となる事業創出に取り組み、将来にわたる持続的成長を目指しております。
このような経営戦略が、当社株式の大量買付を行う者により短期的な利益のみを追求するような経営に変わるようなことがあれば、当社の企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上は損なわれることになります。
こうした事情に鑑み、当社取締役会は、当社株式に対する不適切な買付により当社の企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上が毀損されることを防止するためには、買付に応じるべきか否かを株主様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、および株主様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とするための体制を、平時において整えておくことが必要不可欠と考えております。
② 具体的な取り組み
(ⅰ)会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社の株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に向けて、当社を中核とする東武グループは、信頼の確立と成長基盤の確立を基に事業活動を推進しておりますが、この事業活動の根幹にあるものが「安全・安心」の提供であり、すべての事業における信頼の基礎である「安全・安心」を提供し続けることが、東武グループ全体の企業価値および株主共同の利益の確保・向上の根幹をなすものと考えております。
また、当社は、東武グループの中長期的な成長のため運輸事業を中心に、レジャー、不動産、流通、その他の各セグメントにおいて収益拡大を継続できる経営基盤の強化に努めることで、引き続き企業価値および株主共同の利益の確保・向上をはかってまいる所存であります。
(ⅱ)基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2015年6月26日開催の定時株主総会において「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)の導入について承認を得ております。
本プランは、当社株式等の大量買付行為が行われる場合に、株主様が適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買収者との交渉の機会を確保することなどにより、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全を確保・向上させることを目的としています。
本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者およびその共同保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付、または当社が発行者である株券等について、公開買付に係る株券等の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付(以下「買付等」と総称し、買付等を行おうとする者を「買付者等」といいます。)を対象とします。
当社の株券等について買付等が行われる場合、当該買付等に係る買付者等には、買付内容等の検討に必要な情報および本プランに定める手続きを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。その後、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員のみから構成される独立委員会が買付者等から提出された情報や、当社取締役会が必要に応じて提出する買付者等の買付等の内容に対する意見およびその根拠資料、当該買付等に対する代替案について、評価・検討するものとします。独立委員会は、必要に応じて、独立した第三者の助言を得たうえ、買付等の内容の検討、当社取締役会の提示した代替案等の検討、買付者等との協議・交渉、当社取締役会等を通じた株主に対する情報開示等を行います。
独立委員会は、買付者等が本プランに定められた手続きを遵守しなかった場合、または買付等の内容の検討等の結果、買付者等による買付等が企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上に対する明白な侵害をもたらす恐れのある買付等であるなど、本プランに定める要件のいずれかに該当し、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施すべき旨の勧告を行います。なお、独立委員会は、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合でも、新株予約権の無償割当てを実施することについて株主総会の決議を経ることが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対して、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を行います。この新株予約権は、1円を下限とし当社株式1株の時価の2分の1の金額を上限とする金額の範囲内で、当社取締役会が新株予約権無償割当て決議において定める金額を払い込むことにより、原則として当社株式1株を取得することができるものですが、買付者等による権利行使が認められないという行使条件が付されています。また、当社が買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されており、当社がかかる条項に基づく取得をする場合、新株予約権1個と引換えに、対象株式数に相当する数の当社株式を交付することができるものとします。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限に尊重して新株予約権無償割当ての実施または不実施等の決議をするものとします。ただし、当社取締役会は、独立委員会から、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を受けた場合には、実務面を含め株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、速やかに株主総会を招集し、新株予約権による無償割当ての実施に関する議案を付議する旨決議するものとします。当社取締役会は、上記決定を行った場合には速やかに、当該決議の概要その他当社取締役会が適切と判断する事項について情報開示を行います。
本プランの有効期間は2015年6月26日開催の定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。ただし、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本プランに係る新株予約権の無償割当てに関する事項の決定についての取締役会への上記委任を撤回する旨の決議が行われた場合、または、当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
本プラン導入後であっても、新株予約権無償割当てが実施されていない場合、株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、新株予約権無償割当てが実施された場合、株主の皆様が新株予約権行使の手続きを行わないとその保有する株式の価値は希釈化される場合があります(ただし、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得を行った場合、その保有する株式の希釈化は生じません。)。
(ⅲ)具体的取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
前記②(ⅰ)に記載した取り組みは、いずれも当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に資する具体的方策として策定されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。
また、本プランは前記②(ⅱ)記載のとおり、企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全を確保・向上させる目的をもって導入されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。とくに、本プランは当社の株主総会において決議がなされ導入しているため、株主意思を重視するものであること、その内容として合理的な客観的発動要件が設定されていること、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員のみから構成される独立委員会を設置し、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を得ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で独立した第三者の助言を得ることができるとされていること、独立委員会から、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を受けた場合には、実務面を含め株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、速やかに株主総会を招集し、新株予約権による無償割当ての実施に関する議案を付議するとされていること、本プランは有効期間を約3年間と定め、有効期間の満了前であっても当社の株主総会または取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、合理性を有し、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。