有価証券報告書-第11期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/21 15:03
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132項目

対処すべき課題

当社グループは、平成18年に制定したグループの経営理念及び経営方針である「グループビジョン」と、グループのコンプライアンスに関する基本原則を定めた「西武グループ企業倫理規範」のもと、都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業、不動産事業、建設事業、ハワイ事業のほか、伊豆・箱根エリア及び滋賀県琵琶湖エリアにおける鉄道業やバス業、プロ野球の興行など幅広い事業活動を通じて、その社会的責任を果たし、新たな行動と感動を創造することにより、お客さまに信頼され、選ばれる企業グループを目指しております。
企業価値の極大化に向け、「西武グループ長期戦略」に基づき、当社グループが保有する経営資源の有効活用をおこないながら、様々な事業・サービスを組み合わせて提供できる領域・付加価値を拡大し、あらゆる場面でお客さまの生活を応援していく企業グループとなることで、今後とも持続的かつ健全な成長を目指してまいります。
なお「グループビジョン」は、グループの役割・使命及び基本姿勢を示した「グループ理念」、この理念を実現するための行動指針「グループ宣言」及びこれらをお客さまへのメッセージとして集約した「スローガン」から構成され、内容は以下のとおりであります。
<グループビジョン>
☆グループ理念
私たち西武グループは地域・社会の発展、環境の保全に貢献し、安全で快適なサービスを提供します。また、お客さまの新たなる感動の創造に誇りと責任を持って挑戦します。
☆グループ宣言
私たちは、「お客さまの行動と感動を創りだす」サービスのプロフェッショナルをめざします。
①誠実であること
・常に、「安全」を基本にすべての事業・サービスを推進します。
・常に、オープンで、フェアな心を持って行動します。
・常に、お客さまの声、地域の声を大切にします。
②共に歩むこと
・常に、自然環境、地球環境への配慮を忘れません。
・常に、地域社会の一員として行動します。
・常に、グループ内外と積極的に連携を図ります。
③挑戦すること
・常に、グローバルな視点を持って行動します。
・常に、時代を先取りする新しいサービスを提案します。
・常に、お客さまの生活に新しい感動を提供します。
☆スローガン
でかける人を、ほほえむ人へ。

当社グループは、「西武グループ長期戦略」に基づき、様々な事業・サービスを組み合わせて提供できる領域・付加価値を拡大し、あらゆる場面でお客さまの生活を応援していく企業グループとなることで、持続的かつ健全な成長を目指しております。
当社では、グループビジョン及び西武グループ長期戦略の実現のための実行計画である平成28年度を初年度とする3ヵ年の「西武グループ中期事業計画」を策定いたしました。この中期事業計画では、「強みを活かして、最強の西武グループへ」をテーマとして掲げ、「新たな視点でスピード感を持って、イノベーションに挑戦」と「さらなる成長へのシフトチェンジ」を基本方針に、「①長期的な事業基盤の確立」と「②既存事業の強化」を重点課題として取り組んでまいります。
①長期的な事業基盤の確立(新たなビジネスモデルを育成し、収益機会を創出)
訪日外国人数の増加や人口構造の変化といったパラダイムシフトに対応(a)し、「インバウンド(訪日外国人)」、「シニア」、「こども」といったマーケットへターゲットを拡大することで、新たなビジネスモデルを育成してまいります。また、「西武グループ アセット戦略」に基づき保有不動産の有効活用(b)をはかり、さらなる収益機会を創出いたします。
(a)パラダイムシフトに対応した取り組み
インバウンドへの取り組みとしては、“『観光大国ニッポン』の中心を担う企業グループへ”をスローガンとして掲げ、西武グループの施設とサービスを核としたエリア観光ルートの開発と商品造成によって、エリア観光のけん引役を担うほか、外国人向け会員組織「SEIBU PRINCE CLUB emi」のサービス開始など、グループ一丸となって新たな取り組みを強化してまいります。
シニアへの取り組みとしては、サービス付き高齢者向け住宅の運営を新たに検討するとともに、楽しいおでかけや旅行の促進・サポートなど、安心・充実のシニアライフ実現に向けたサービスを提供する地域コミュニティの創出を目指してまいります。
こどもへの取り組みとしては、年間を通じて様々な生活体験の場を提供する「西武塾」をはじめ、お子さまの健やかな成長とご家族が一緒に過ごすことのできる機会づくりに取り組んでまいります。当社グループの事業ノウハウや多様な人材、施設を通じて「西武グループこども応援プロジェクト」の取り組みを強化し、新たな西武グループのロイヤルカスタマーを育成してまいります。
(b)「西武グループ アセット戦略」に基づいた保有不動産の有効活用
当社グループは、高輪・品川エリア、芝公園エリア、さらには、としまえんなどの大規模な資産を、利便性の高い都心にホテルを中心とする事業用地として保有しております。これらの保有資産の持つ、潜在的な収益力を顕在化させ、グループ企業価値の極大化を目指すため、「西武グループアセット戦略」を策定しております。
具体的には、「既存事業のバリューアップ」、「ポートフォリオの組み換え」及び「コア事業への経営資源の集中」の3つの視点から、保有資産の価値極大化を推進いたします。
「既存事業のバリューアップ」は、既存の用途の延長線上で賃貸用不動産やホテルなどの増改築、リニューアルを実施し、競争力の維持・強化をはかるものであります。「ポートフォリオの組み換え」は、「東京ガーデンテラス紀尾井町(グランドプリンスホテル赤坂跡地開発計画)」をモデルケースとして、地域一体での複合再開発により、事業機会の拡大の可能性を追求するとともに、主にオフィス・ホテル・商業・賃貸住宅間での事業ポートフォリオの組み換えをはかるものであります。「コア事業への経営資源の集中」は、保有資産の収用や売却などによって創出されるキャッシュを元に、グループの経営戦略に沿った、収益向上が見込まれる資産への入れ替えをおこない、また、遊休地などの不稼働資産や高架下などを活用し、資産の効率性及び収益力の向上をはかるものであります。
今後も、大規模な資産を保有するグループ特性を活かし、「西武グループ アセット戦略」に基づき、資産効率化と収益性向上に努めてまいります。
②既存事業の強化(効率性の追求により、さらなる企業体質の強化)
既存事業の収益力向上をはかるため、既存施設のバリューアップやポートフォリオの組み換えによる資産の有効活用などを引き続きおこなってまいります。また、効率的な経営を実現するため、ICTの利活用や省メンテナンス機器の導入、コスト管理の強化などローコストオペレーション体制を確立してまいります。
それぞれのセグメントの具体的な課題や取り組みなどについては以下のとおりであります。
(都市交通・沿線事業)
「企業価値向上の源泉」として、安全・安心を基本に、社会インフラとしての地位を維持しながら、環境や地域社会からの要請に応え、洗練されたサービスを提供することで西武鉄道沿線の価値向上をはかってまいります。
ホームドアの設置や連続立体交差化の推進、耐震補強工事等により安全を確保し、安心の提供に努めるとともに、新型通勤車両や新型特急車両、駅のリニューアルなどお客さま満足度の向上をはかってまいります。また、効率性の追求のため、ICTの利活用や省メンテナンス機器・設備の導入を推進してまいります。
(ホテル・レジャー事業)
「企業価値向上の原動力」として、日本最大級のホテルチェーンメリットを活かしながら、売上高、収益力、顧客感動度、グローバル展開力を高めてまいります。
MICE市場での圧倒的なシェア確保のため、回遊型MICEやインバウンドMICE、セールス活動及び案件管理の高度化をはかってまいります。また、戦略的な設備投資やプロモーションの実施、SEIBU PRINCE CLUB及びプリンスステータスサービスを活用した生涯顧客化の推進により、心のニーズを満たす旅の提供に努めてまいります。そのほか、日本のおもてなしを世界に発信するため、海外の営業拠点の拡充などにも取り組んでまいります。
次期ホテルシステム構築による効率的な運営及び顧客利便性向上にも取り組んでまいります。
(不動産事業)
「企業価値向上の鍵」として、グループが保有する資産の有効活用により、潜在的な収益力を顕在化してまいります。
「東京ガーデンテラス紀尾井町(グランドプリンスホテル赤坂跡地開発計画)」は平成28年7月27日に全面開業を予定しているほか、池袋旧本社ビル建替え計画、所沢駅東口駅ビル計画・西口開発計画といった大規模再開発を推進してまいります。また、都心エリア(高輪・品川エリア、芝公園エリア等)の開発についても検討してまいります。そのほか、既存商業施設の改装及び駅ナカ・駅チカ商業施設「エミオ」、賃貸マンション「エミリブ」、保育所「Nicot」を積極的に展開してまいります。
(建設事業・ハワイ事業・その他)
建設事業につきましては、選別受注ならびに原価管理やコストコントロールによりさらなる利益率の改善に努めてまいります。
ハワイ事業につきましては、不動産の売却を推進し、ホテルの大型改装などバリューアップ投資をおこなってまいります。
そのほか、伊豆箱根事業及び近江事業ではインバウンドの取り込み強化を引き続き推進するとともに、保有不動産の有効活用に取り組んでまいります。西武ライオンズにつきましては、チーム力の強化及び西武プリンスドームの魅力向上、イベント誘致の強化に取り組んでまいります。
これらを実現し、企業価値の極大化をはかるため、従業員一人ひとりを尊重し、多様な能力と熱意を最大限に発揮できる職場風土を醸成する「ダイバーシティマネジメント」の推進とICTの利活用により、イノベーションを創出しやすい環境を生み出してまいります。
また、経営管理体制及びコンプライアンス体制を含むコーポレートガバナンスの強化についても重要な課題としてとらえ、積極的な取り組みをおこなっております。コーポレートガバナンス・コードの精神に則った実効的なコーポレートガバナンスの実現を目指して、各原則を適切に実施しております。今後も、IR活動を通じて、資本市場参加者(株主、投資家、証券アナリスト等)に対し、説明責任を十分に果たし、対話によって信頼関係を構築していくほか、適時適切な情報開示、すべてのステークホルダーとの適切な協働にも努めてまいります。
当事業年度は当社設立から10年という節目の年でもあり、新たな成長ステージに向け、より実効的かつ効率的な企業運営をおこなってまいります。