有価証券報告書-第98期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 13:30
【資料】
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【項目】
119項目

事業等のリスク

当社グループの主たる事業である海運業において、世界各国の経済動向、政治的・社会的要因が事業に影響を及ぼす可能性があります。特に主要な船舶の就航区域である、北米、豪州、欧州、アジア圏の景況による物流の拡大・縮小は運賃および不定期船市況に大きな影響を及ぼします。
また、この他に当社グループの事業活動において影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクには、次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)船舶の安全運航、環境問題
当社グループは、SOLAS条約(海上人命安全条約)に基づくISMコード(International Safety Management Code/国際安全管理規則)およびISPSコード(International Ship and Port Facility Security Code/国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律)等の条約適合証書を取得し、それらをグループ内に浸透させ運用しております。また、当社は平成18年6月に環境マネジメントシステムについての国際規格である「ISO14001」の認証を取得し、安全管理に加えて環境管理の面においても強化を図っておりますが、海難事故発生時には、当社グループの主要な事業資産である船舶の破損により物理的被害が生じると同時に、人的被害および環境破壊が発生する恐れがあります。
また、油濁事故等による海洋汚染が発生した場合、当社グループの事業および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
当社グループの売上高の大部分は、米ドル建ての運賃および定期貸船料が占めております。一方で、運航費や用船料(借船料)、船員費・潤滑油費等の主な費用については米ドル建ての割合が高いものの、国内で発生した船舶修繕費や一般管理費の多くが円建てであります。
円資金確保の為替取引時や外貨建て取引の円換算等において、為替レートの変動が損益等に影響を与える可能性があり、費用のドル化を進めるとともに、為替予約等のヘッジ取引を積極的に行っているものの、米ドル建て収入が費用を上回っており、円高進行時には損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)船舶燃料価格の変動
船舶運航に必要な船舶燃料については、燃料価格が国内に比べ安価な北米やシンガポール等で調達することや、先物予約によるヘッジにより、燃料費の安定化に努めておりますが、燃料価格の上昇は運航船の収支に影響を及ぼします。
(4)金利の変動
船舶建造資金および運転資金は、その大部分を金融機関により調達しております。調達した資金の金利リスクについては、金利スワップ取引による金利の固定化や有利子負債の削減などでヘッジするべく努めておりますが、変動金利で調達している資金については、金利変動の影響を受ける可能性があります。
(5)公的規制
当社グループの主たる事業である外航海運業におきましては、設備の安全性確保や船舶の安全運航のため、前述の国際機関および各国の法令、規則、規制等により、新たな船舶の仕様変更等による設備投資や租税対応等の費用が発生する可能性があります。
(6)大規模災害
当社グループは、地震、風水害等の自然災害や、火災、停電等の事故に遭遇した場合の事業中断リスクに備え、自然災害や事故等が発生した際の人的・物的被害を最小限に抑え、必要となる事業継続を実現すべく、BCMS(Business Continuity Management System/事業継続マネジメントシステム)の英国規格である「BS25999-2:2007」の認証を取得しました。その後も環境整備を進め、国際規格が発行されたことを受け、平成26年1月に国内運輸業界では初めて「自社管理船舶による国際海上輸送サービス」を適用範囲としたBCMSの国際規格である「ISO22301:2012」の認証を取得いたしました。
当社グループでは、上記マネジメント体制を整備・運用しておりますが、大規模災害等が発生した場合には、事業および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(7)コーポレート・ガバナンス
当社グループは、前述の国際機関および各国の法令、規則、規制等に対し、コンプライアンス(法令遵守)の強化を図っております。さらにリスク・マネジメントを含む内部統制システムを構築し、適切なコーポレート・ガバナンス体制を整備しておりますが、将来にわたって法令違反等が発生した場合には、事業および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。