有価証券報告書-第127期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国を中心とした先進国の景気回復を追い風に、新興国においても持ち直しの動きが見られる等、全体的に堅調に推移しました。米国では、政治情勢やハリケーン被害の影響が見られたものの、良好な企業業績や雇用の伸び、好調な個人消費に支えられ、着実な景気回復が継続しました。欧州では、英国のEU離脱問題に伴う不透明感があるものの、雇用環境の改善を背景にした個人消費の底堅い推移によりユーロ圏全体の景気は緩やかに回復しました。中国では、堅調な個人消費・輸出が牽引役となり、景気回復の動きが強まりました。
わが国経済は、企業業績と雇用環境の着実な回復を背景に、個人消費にも持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調が続きました。
海運業においては、全体としては依然、船腹の供給過剰は解消されず、事業を取り巻く環境は大きくは改善しませんでしたが、為替は概ね前期に比べ円安に推移し、一部の船種では市況は回復しました。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改への取り組みをはじめとして、効率配船及び運航採算の向上を図りました。不動産業においては、前期に実施した新橋田村町地区市街地再開発事業に伴う所有ビルの入替えや笹塚センタービルの処分等により稼働が減少しましたが、飯野ビルディングをはじめとするその他の各ビルが順調に稼働しており、安定した収益を確保しました。
以上の結果、売上高は813億34百万円(前期比2.4%減)、営業利益は56億51百万円(前期比14.3%減)、経常利益は46億31百万円(前期比9.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は42億43百万円(前期比9.2%増)となりました。
各セグメント別の状況は次の通りです。
①外航海運業
当期の外航海運市況は以下の通りです。
オイルタンカーにおいては、春先以降に西アフリカ産油国からの荷動きが活発となり、国慶節前後には中国勢による盛んな用船活動により一時全体的に市況が引き締まりました。その後は石油輸出国機構(OPEC)による減産継続の影響から原油輸送量が減少したことに加え、多くの新造船が市場に流入したことから、冬場の需要期を迎えても船腹供給過剰が解消されず、スポット市況は低水準で推移しました。
ケミカルタンカーにおいては、アジア域を中心にケミカル製品の輸送需要は底堅く推移しましたが、新造ケミカルタンカーやプロダクトタンカーのケミカル市場への流入圧力が強かった為に、市況は夏場頃までは軟調に推移しました。秋頃より需要の高まりや悪天候による遅延、プロダクトタンカーの流入圧力の減少等により市況は総じて上昇に転じましたが、期末にかけて輸送需要の低迷等により軟化しました。
大型ガスキャリアのうち、LPGキャリアにおいてはインド、中国、東南アジア等の堅調な需要や、米国からの輸出拡大により荷動きは増加しましたが、新造船の流入による船腹供給過剰が続き市況は低調な推移となりました。また、LNGキャリアにおいては船腹量に対する輸送需要が低調で市況低迷が続きましたが、冬場に入り需要期における輸送需要の増加等により、スポット市況は一時的に回復しました。
ドライバルクキャリアにおいては、春先に南米からの穀物輸送需要が増加した一方、新造船の供給が限定的だったこと等から、大型船を中心に市況は上昇しました。その後、夏場の一時的な調整局面もありましたが、好調な鉄鉱石の輸送需要等を背景に秋口以降再び上昇に転じ、冬場には一時停滞局面はあったものの、新造船供給量の減少もあり、一部大型船を除き総じて堅調に推移しました。
なお、当期における平均為替レートは¥111.19/US$(前期は¥108.93/US$)、平均燃料油価格はUS$337/MT(前期はUS$257/MT)となりました。
このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。
オイルタンカーにおいては、支配船腹を中長期契約に継続投入することで安定収益を確保しました。
ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路の一つである中東から欧州向けの数量輸送契約を新たに締結したことに加え、紅海及び西インドからの貨物を積極的に取り込むことで、より安定的な数量を確保しました。また米国から極東向けの貨物を取り込み、船腹需給を引き締め高稼働を維持しました。当社と米国オペレーターとの合弁事業会社では、既存の数量輸送契約更改に加え、効率配船に寄与する航路の開拓に努め稼働を維持しました。プロダクトタンカーにおいては、支配船腹を中長期契約に継続投入しました。しかしながら、ケミカルタンカー及びプロダクトタンカー共に前期の採算を上回ることはできませんでした。
大型ガスキャリアにおいては、LPGキャリア及びLNGキャリア共に既存の中長期契約へ継続投入することで安定収益を確保しました。
ドライバルクキャリアにおいては、石炭専用船とチップ専用船については順調に稼働しました。ポストパナマックス船については、市況上昇のタイミングを捉えた配船や数量輸送契約に投入する等により収益の確保に努め、また、ハンディ船についても、スポット航海を中心に市況上昇のタイミングを捉えた効率的な配船・運航に努めた結果、両船型とも採算は改善しました。なお、2月末には運航効率の優れた88,000DWT型新造用船1隻、3月末にはハンディ型新造用船1隻がそれぞれ竣工しました。
以上の結果、外航海運業の売上高は618億65百万円(前期比1.1%減)、営業利益は17億13百万円(前期比34.8%減)となりました。
②内航・近海海運業
当期の内航・近海海運市況は以下の通りです。
内航ガス輸送においては、LPGでは夏場にかけて内需の後退から荷動きが減少したものの、安定的な石油化学ガスの需要を背景に、通期にわたり荷動きは堅調に推移しました。
近海ガス輸送においては、主要貨物であるプロピレンの中国国内生産が増加したことにより春先は低調に推移しましたが、新造船の竣工が少なかったことや東南アジア域の堅調な輸送需要等の影響から秋口以降、大幅に回復しました。
このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業の概況は以下の通りとなりました。
内航ガス輸送は、効率配船の実施と定期用船契約の有利更改により、採算を維持しました。また、船隊の若返りを図るため新造船の提案を継続的に行った結果、新造代替船での長期用船契約を獲得することができました。
近海ガス輸送は、不採算船を返船することにより、船隊の効率化を図り採算向上に努めました。また新造船の流入圧力が低下したことによる大幅な市況回復を背景に、従前の契約に比べ有利更改を果たし、採算は改善しました。
以上の結果、内航・近海海運業の売上高は90億12百万円(前期比5.8%増)、営業利益は7億00百万円(前期比289.3%増)となりました。
③不動産業
当期の不動産市況は以下の通りです。
都心のオフィスビル賃貸市況は、企業業容・人員拡大等を背景としたオフィス拡張、交通利便性の高いエリアへの統合需要により、特に都心3区の築浅大規模ビルでは新規の入居スペースの減少が進み、空室率は低下し、賃料水準は緩やかながら上昇傾向で推移しました。
貸ホール・貸会議室においては、多数の競合施設がある中、厳しい顧客獲得競争が続きました。
不動産関連事業のフォトスタジオ事業においては、緩やかな景気回復が続く中、特にインターネット広告需要が好調な伸びを示しました。
このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。
賃貸ビルにおいては、一部持分を取得した飯野ビル近隣の築浅中規模ビルを含め、所有する各ビルを対象として良質なテナントサービスの提供に注力し、概ね順調に稼働しました。また、新橋田村町地区市街地再開発の建築工事発注に向け、建築計画の詳細検討に入りました。
当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、セミナー、講演会、映画試写会、その他催事の積極的な誘致により、稼働の維持に努めました。
同じく当社グループでスタジオ関連事業を行うイイノ・メディアプロにおいては、主力のスタジオ部門とプロダクション、ロケーション、レタッチ各部門連携しての積極的な利用誘致により、新規大型広告案件を獲得する等、稼働は堅調に推移しました。
以上の結果、不動産業の売上高は105億45百万円(前期比14.4%減)、営業利益は32億38百万円(前期比14.5%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当期の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、121億17百万円のプラス(前期は110億75百万円のプラス)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益46億9百万円と減価償却費85億9百万円によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は153億99百万円のマイナス(前期は127億88百万円のプラス)となりました。これは主に船舶及び不動産への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出208億48百万円が、船舶を中心とした固定資産の売却による収入53億16百万円を上回ったことによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は33億50百万円のプラス(前期は272億42百万円のマイナス)となりました。これは主に短期借入金の純増額72億7百万円が、自己株式の取得による支出31億95百万円を上回ったことによるものです。
以上の結果、「現金及び現金同等物の当期末残高」は105億36百万円(前期末は107億19百万円)となりました。
生産、受注及び販売の業績
この項目は「業績等の概要(1)業績」の記載に含めて記載しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当社グループ経営陣は、債権の貸倒、棚卸資産、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績の分析
① 損益の分析
当期における売上高は、市況の低迷等により前期比2.4%減の813億34百万円となりました。なお、各セグメントの売上高の概要は、「第2 事業の状況 業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
営業利益は前期比14.3%減の56億51百万円となりました。これは市況の低迷等によるものです。なお、各セグメントの営業利益の概要は、「第2 事業の状況 業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
経常利益は、前期比9.3%減の46億31万円となりました。これは主に営業利益と持分法による投資利益の減少等によるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比9.2%増の42億43百万円となりました。これは、主に減損損失の減少によるものです。
② 財政状態の分析
当期末の総資産残高は前期末に比べ62億69百万円増加し、2,102億38百万円となりました。これは主に不動産の取得による資産の増加によるものです。
負債残高は前期末に比べ58億6百万円増加し、1,410億1百万円となりました。これは主に設備資金や運転資金の借入の増加によるものです。
純資産残高は前期末に比べ4億63百万円増加し、692億37百万円となりました。これは主に自己株式の取得による減少があった一方、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金が増加したことによるものです。
以上の結果、当期末の連結自己資本比率は前期末比0.8%減の32.9%となり、1株当たり純資産は34.11円増の653.29円となりました。
(3) 流動性及び資金の源泉
① 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運業と内航・近海海運業により構成される海運業に関わる運航費、船費、借船料と不動産業に関わる管理費、営繕費等の不動産業費用、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資と不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産投資等があります。
② 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、船主からの中長期用船や裸用船のバランスも考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。円建て、米ドル建ての借入金を含む当期末の有利子負債残高は1,151億12百万円となりました。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、設備資金の借入の大部分について金利スワップなどの手段を活用しております。
当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所:
「BBB+」、格付投資情報センター:「BBB」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。また、国内金融機関において複数年を含む合計120億円並びにUS$6千万のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
③ キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。
(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国を中心とした先進国の景気回復を追い風に、新興国においても持ち直しの動きが見られる等、全体的に堅調に推移しました。米国では、政治情勢やハリケーン被害の影響が見られたものの、良好な企業業績や雇用の伸び、好調な個人消費に支えられ、着実な景気回復が継続しました。欧州では、英国のEU離脱問題に伴う不透明感があるものの、雇用環境の改善を背景にした個人消費の底堅い推移によりユーロ圏全体の景気は緩やかに回復しました。中国では、堅調な個人消費・輸出が牽引役となり、景気回復の動きが強まりました。
わが国経済は、企業業績と雇用環境の着実な回復を背景に、個人消費にも持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調が続きました。
海運業においては、全体としては依然、船腹の供給過剰は解消されず、事業を取り巻く環境は大きくは改善しませんでしたが、為替は概ね前期に比べ円安に推移し、一部の船種では市況は回復しました。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改への取り組みをはじめとして、効率配船及び運航採算の向上を図りました。不動産業においては、前期に実施した新橋田村町地区市街地再開発事業に伴う所有ビルの入替えや笹塚センタービルの処分等により稼働が減少しましたが、飯野ビルディングをはじめとするその他の各ビルが順調に稼働しており、安定した収益を確保しました。
以上の結果、売上高は813億34百万円(前期比2.4%減)、営業利益は56億51百万円(前期比14.3%減)、経常利益は46億31百万円(前期比9.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は42億43百万円(前期比9.2%増)となりました。
各セグメント別の状況は次の通りです。
①外航海運業
当期の外航海運市況は以下の通りです。
オイルタンカーにおいては、春先以降に西アフリカ産油国からの荷動きが活発となり、国慶節前後には中国勢による盛んな用船活動により一時全体的に市況が引き締まりました。その後は石油輸出国機構(OPEC)による減産継続の影響から原油輸送量が減少したことに加え、多くの新造船が市場に流入したことから、冬場の需要期を迎えても船腹供給過剰が解消されず、スポット市況は低水準で推移しました。
ケミカルタンカーにおいては、アジア域を中心にケミカル製品の輸送需要は底堅く推移しましたが、新造ケミカルタンカーやプロダクトタンカーのケミカル市場への流入圧力が強かった為に、市況は夏場頃までは軟調に推移しました。秋頃より需要の高まりや悪天候による遅延、プロダクトタンカーの流入圧力の減少等により市況は総じて上昇に転じましたが、期末にかけて輸送需要の低迷等により軟化しました。
大型ガスキャリアのうち、LPGキャリアにおいてはインド、中国、東南アジア等の堅調な需要や、米国からの輸出拡大により荷動きは増加しましたが、新造船の流入による船腹供給過剰が続き市況は低調な推移となりました。また、LNGキャリアにおいては船腹量に対する輸送需要が低調で市況低迷が続きましたが、冬場に入り需要期における輸送需要の増加等により、スポット市況は一時的に回復しました。
ドライバルクキャリアにおいては、春先に南米からの穀物輸送需要が増加した一方、新造船の供給が限定的だったこと等から、大型船を中心に市況は上昇しました。その後、夏場の一時的な調整局面もありましたが、好調な鉄鉱石の輸送需要等を背景に秋口以降再び上昇に転じ、冬場には一時停滞局面はあったものの、新造船供給量の減少もあり、一部大型船を除き総じて堅調に推移しました。
なお、当期における平均為替レートは¥111.19/US$(前期は¥108.93/US$)、平均燃料油価格はUS$337/MT(前期はUS$257/MT)となりました。
このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。
オイルタンカーにおいては、支配船腹を中長期契約に継続投入することで安定収益を確保しました。
ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路の一つである中東から欧州向けの数量輸送契約を新たに締結したことに加え、紅海及び西インドからの貨物を積極的に取り込むことで、より安定的な数量を確保しました。また米国から極東向けの貨物を取り込み、船腹需給を引き締め高稼働を維持しました。当社と米国オペレーターとの合弁事業会社では、既存の数量輸送契約更改に加え、効率配船に寄与する航路の開拓に努め稼働を維持しました。プロダクトタンカーにおいては、支配船腹を中長期契約に継続投入しました。しかしながら、ケミカルタンカー及びプロダクトタンカー共に前期の採算を上回ることはできませんでした。
大型ガスキャリアにおいては、LPGキャリア及びLNGキャリア共に既存の中長期契約へ継続投入することで安定収益を確保しました。
ドライバルクキャリアにおいては、石炭専用船とチップ専用船については順調に稼働しました。ポストパナマックス船については、市況上昇のタイミングを捉えた配船や数量輸送契約に投入する等により収益の確保に努め、また、ハンディ船についても、スポット航海を中心に市況上昇のタイミングを捉えた効率的な配船・運航に努めた結果、両船型とも採算は改善しました。なお、2月末には運航効率の優れた88,000DWT型新造用船1隻、3月末にはハンディ型新造用船1隻がそれぞれ竣工しました。
以上の結果、外航海運業の売上高は618億65百万円(前期比1.1%減)、営業利益は17億13百万円(前期比34.8%減)となりました。
②内航・近海海運業
当期の内航・近海海運市況は以下の通りです。
内航ガス輸送においては、LPGでは夏場にかけて内需の後退から荷動きが減少したものの、安定的な石油化学ガスの需要を背景に、通期にわたり荷動きは堅調に推移しました。
近海ガス輸送においては、主要貨物であるプロピレンの中国国内生産が増加したことにより春先は低調に推移しましたが、新造船の竣工が少なかったことや東南アジア域の堅調な輸送需要等の影響から秋口以降、大幅に回復しました。
このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業の概況は以下の通りとなりました。
内航ガス輸送は、効率配船の実施と定期用船契約の有利更改により、採算を維持しました。また、船隊の若返りを図るため新造船の提案を継続的に行った結果、新造代替船での長期用船契約を獲得することができました。
近海ガス輸送は、不採算船を返船することにより、船隊の効率化を図り採算向上に努めました。また新造船の流入圧力が低下したことによる大幅な市況回復を背景に、従前の契約に比べ有利更改を果たし、採算は改善しました。
以上の結果、内航・近海海運業の売上高は90億12百万円(前期比5.8%増)、営業利益は7億00百万円(前期比289.3%増)となりました。
③不動産業
当期の不動産市況は以下の通りです。
都心のオフィスビル賃貸市況は、企業業容・人員拡大等を背景としたオフィス拡張、交通利便性の高いエリアへの統合需要により、特に都心3区の築浅大規模ビルでは新規の入居スペースの減少が進み、空室率は低下し、賃料水準は緩やかながら上昇傾向で推移しました。
貸ホール・貸会議室においては、多数の競合施設がある中、厳しい顧客獲得競争が続きました。
不動産関連事業のフォトスタジオ事業においては、緩やかな景気回復が続く中、特にインターネット広告需要が好調な伸びを示しました。
このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。
賃貸ビルにおいては、一部持分を取得した飯野ビル近隣の築浅中規模ビルを含め、所有する各ビルを対象として良質なテナントサービスの提供に注力し、概ね順調に稼働しました。また、新橋田村町地区市街地再開発の建築工事発注に向け、建築計画の詳細検討に入りました。
当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、セミナー、講演会、映画試写会、その他催事の積極的な誘致により、稼働の維持に努めました。
同じく当社グループでスタジオ関連事業を行うイイノ・メディアプロにおいては、主力のスタジオ部門とプロダクション、ロケーション、レタッチ各部門連携しての積極的な利用誘致により、新規大型広告案件を獲得する等、稼働は堅調に推移しました。
以上の結果、不動産業の売上高は105億45百万円(前期比14.4%減)、営業利益は32億38百万円(前期比14.5%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当期の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、121億17百万円のプラス(前期は110億75百万円のプラス)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益46億9百万円と減価償却費85億9百万円によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は153億99百万円のマイナス(前期は127億88百万円のプラス)となりました。これは主に船舶及び不動産への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出208億48百万円が、船舶を中心とした固定資産の売却による収入53億16百万円を上回ったことによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は33億50百万円のプラス(前期は272億42百万円のマイナス)となりました。これは主に短期借入金の純増額72億7百万円が、自己株式の取得による支出31億95百万円を上回ったことによるものです。
以上の結果、「現金及び現金同等物の当期末残高」は105億36百万円(前期末は107億19百万円)となりました。
生産、受注及び販売の業績
この項目は「業績等の概要(1)業績」の記載に含めて記載しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当社グループ経営陣は、債権の貸倒、棚卸資産、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績の分析
① 損益の分析
当期における売上高は、市況の低迷等により前期比2.4%減の813億34百万円となりました。なお、各セグメントの売上高の概要は、「第2 事業の状況 業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
営業利益は前期比14.3%減の56億51百万円となりました。これは市況の低迷等によるものです。なお、各セグメントの営業利益の概要は、「第2 事業の状況 業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
経常利益は、前期比9.3%減の46億31万円となりました。これは主に営業利益と持分法による投資利益の減少等によるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比9.2%増の42億43百万円となりました。これは、主に減損損失の減少によるものです。
② 財政状態の分析
当期末の総資産残高は前期末に比べ62億69百万円増加し、2,102億38百万円となりました。これは主に不動産の取得による資産の増加によるものです。
負債残高は前期末に比べ58億6百万円増加し、1,410億1百万円となりました。これは主に設備資金や運転資金の借入の増加によるものです。
純資産残高は前期末に比べ4億63百万円増加し、692億37百万円となりました。これは主に自己株式の取得による減少があった一方、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金が増加したことによるものです。
以上の結果、当期末の連結自己資本比率は前期末比0.8%減の32.9%となり、1株当たり純資産は34.11円増の653.29円となりました。
(3) 流動性及び資金の源泉
① 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運業と内航・近海海運業により構成される海運業に関わる運航費、船費、借船料と不動産業に関わる管理費、営繕費等の不動産業費用、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資と不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産投資等があります。
② 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、船主からの中長期用船や裸用船のバランスも考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。円建て、米ドル建ての借入金を含む当期末の有利子負債残高は1,151億12百万円となりました。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、設備資金の借入の大部分について金利スワップなどの手段を活用しております。
当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所:
「BBB+」、格付投資情報センター:「BBB」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。また、国内金融機関において複数年を含む合計120億円並びにUS$6千万のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
③ キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。