訂正有価証券報告書-第128期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度(以下、「当期」という)の世界経済は、堅調な米国経済に支えられ、全体として緩やかに回復しましたが、通商問題や各国経済の減速等により、回復に足踏みの兆しが見られました。米国では、一時的に企業業績の低迷や個人消費の減速が見られましたが、労働需要の堅調さ等に支えられ、景気は着実な回復を継続しました。欧州では、英国のEU離脱問題を巡る先行き不透明感が残存し、景気の減速傾向がより強まりました。中国では、米国との貿易摩擦の影響等により、輸出が減少に転じており、景気の減速基調が続きました。
わが国経済は、個人消費の持ち直しに支えられ緩やかな回復基調を維持しましたが、海外経済の弱含みにより力強さに欠ける状態が継続しました。
当社グループの海運業を取り巻く市況は、ドライバルクキャリアでは期中上昇局面を見せることもありましたが、冬場にかけて下落し、また当社主力のケミカルタンカーでは期中船腹の供給過剰により低迷を続ける等、全体として不透明感が残りました。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改への取り組みをはじめとして、効率配船及び運航採算の向上を図った他、売船市場の動向を見極め老齢船の処分を行い、固定資産売却益(特別利益)を計上しました。また不動産業における都心のオフィスビル賃貸市況は、企業の人員拡大等への対応に伴うオフィス拡張、統合移転需要により既存ビルを含めた全体の空室率は低下し、賃料水準は上昇傾向で推移しました。このような状況の下、当社グループでは、飯野ビルディングをはじめとする既存ビルが順調に稼働し、安定した収益を確保しました。また、当社が参画している新橋田村町地区市街地再開発事業では、地下解体が完了、新築建物の基礎工事に着手しており、概ね計画通りに建築工事が進捗しました。
以上の結果、売上高は848億43百万円(前期比4.3%増)、営業利益は47億82百万円(前期比15.4%減)、経常利益は47億1百万円(前期比1.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は46億85百万円(前期比10.4%増)となりました。
各セグメント別の状況は次の通りです。
①外航海運業
当期の外航海運市況は以下の通りです。
オイルタンカー市況は、アジアの旺盛な原油需要に加え老齢船の解撤が進んだこと等もあり秋頃から高騰しました。冬場以降も中東をはじめ米国や西アフリカ積みの荷動きが活発化したことから、堅調な推移を見せましたが、当期末にかけては不需要期に差しかかることから軟化傾向に転じました。
ケミカルタンカー市況は、低迷の一因となるプロダクトタンカーのケミカルタンカー市場への流入圧力が冬場以降弱まったことで、緩やかな回復基調を見せる局面もありましたが、期中を通じ総じて低迷しました。
大型ガスキャリアのうち、LPGキャリア市況は、当期初は新造船の流入による船腹供給過剰が続き低調に推移しましたが、インド・中国・東南アジア等の堅調な需要を背景とした米国からアジア向け輸送の拡大により当期中は概ね堅調に推移しました。LNGキャリア市況は、新規LNGプロジェクトの立ち上がりから輸送需要が増加したことで堅調に推移しましたが、冬期需要の一服感と新造船の流入により再び軟化しました。
ドライバルクキャリア市況は、北半球の春季をピークに初夏にかけ一時軟調に推移しましたが、穀物をはじめとする荷動きの復調により、夏場終盤には底を打ち上昇に転じました。秋口以降、太平洋では中国向け石炭輸送等にブレーキが掛かり、大西洋では穀物輸送需要減が生じ、更にブラジルでの鉱山ダム事故の影響もあって、冬場には前年同期を大きく下回る水準まで下落する局面を迎えましたが、旧正月明けを契機とし、当期末にかけては太平洋・大西洋共に回復基調を見せました。
なお、当期における平均為替レートは¥110.67/US$(前期は¥111.19/US$)、平均燃料油価格はUS$430/MT(前期はUS$337/MT)となりました。
このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。
オイルタンカーにおいては、支配船腹を中長期契約に継続投入することで安定収益を確保しました。
ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路である中東域から欧州向け及びアジア向けの数量輸送契約に加え、北アフリカからの燐酸液やインド西岸出しアジア向けのケミカル貨物を積極的に取り込む等、稼働の維持に努めました。また、当社最大船型となるケミカルタンカーを新たに投入し採算改善に努めました。当社と米国オペレーターとの合弁事業会社では、数量輸送契約やスポット貨物の集荷により稼働を維持しました。しかしながら、市況低迷により、全体として運航採算は前期に比べ悪化しました。プロダクトタンカーにおいては、市況低迷の影響を抑えるべく、当期中に運航船1隻を処分しました。
大型ガスキャリアにおいては、LPGキャリア及びLNGキャリア共に既存の中長期契約へ継続投入することで安定収益を確保しました。
ドライバルクキャリアにおいては、石炭専用船とチップ専用船については順調に稼働しました。ポストパナマックス船については、市況上昇のタイミングを捉えた配船や数量輸送契約に投入した他、新規の専航船契約を締結する等、安定収益の確保に努めた結果、運航採算は大幅に改善しました。ハンディ船については、秋口以降市況が軟調に推移する中、数量輸送契約への投入を中心に効率的な配船と運航に努めた結果、運航採算は大幅に改善しました。また、契約の終了に伴い、当期中に小型ハンディ船1隻を返船し船隊の効率化を図りました。
以上の結果、外航海運業の売上高は648億73百万円(前期比4.9%増)、営業利益は5億83百万円(前期比66.0%減)となりました。
②内航・近海海運業
当期の内航・近海海運市況は以下の通りです。
内航ガス輸送の市況は、LPG需要は、例年通りの季節的要因による不需要期の発生に加え、秋口以降も暖冬傾向であったことにより、出荷は低調に推移しました。石油化学ガスも出荷プラントのトラブルや北海道胆振東部地震による停止の影響を受け、同じく出荷は低調に推移しましたが、船員不足による稼働隻数の減少も影響し、船腹の稼働は堅調に推移しました。
近海ガス輸送の市況は、主要貨物であるプロピレン、塩化ビニルモノマーの国内生産量は安定していましたが、東南アジアのプラント稼働が一時的に不安定になったことや能力増強計画の遅延により海上輸送量は軟調に推移しました。
このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業の概況は以下の通りとなりました。
内航ガス輸送は、安全運航の高い評価を得たことや荷主に船員雇用対策費用の負担を求めた結果、契約の有利更
改に至り、採算を維持することができました。
近海ガス輸送は、東南アジアの荷動きは軟調でしたが、当期初の市況上昇に伴い有利更改した定期用船契約を基に安定した収益を維持しました。
以上の結果、内航・近海海運業の売上高は94億27百万円(前期比4.6%増)、営業利益は9億26百万円(前期比32.3%増)となりました。
③不動産業
当期の不動産市況は以下の通りです。
都心のオフィスビル賃貸市況は、企業の人員拡大等への対応に伴うオフィス拡張、統合移転需要により、新築及び築年数の経過していない大規模ビルを中心に新規の入居スペースの減少が進み、既存ビルを含めた全体の空室率は低下し、賃料水準は上昇傾向で推移しました。
貸ホール・貸会議室においては、多数の競合施設がある中、厳しい顧客獲得競争が続きました。
不動産関連事業のフォトスタジオ事業においては、広告需要が引き続き堅調に推移しました。
このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。
賃貸ビルにおいては、所有する各ビルにおいて良質なテナントサービスの提供に注力し、順調な稼働を維持しました。また、新橋田村町地区市街地再開発事業では、地下解体が完了、新築建物の基礎工事に着手しており、概ね計画通りに建築工事が進捗しました。
当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、セミナー、講演会、映画試写会といった催事の積極的な誘致に加え、映像設備の更新を行った結果、高稼働を維持しました。
スタジオ関連事業を行うイイノ・メディアプロにおいては、主力のスタジオ部門の稼働が堅調に推移すると共に、プロダクション、レタッチの各部門も安定した収益を確保しました。
以上の結果、不動産業の売上高は106億69百万円(前期比1.2%増)、営業利益は32億73百万円(前期比1.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当期の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、145億49百万円のプラス(前期は121億17百万円のプラス)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益52億57百万円と減価償却費89億18百万円によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は212億2百万円のマイナス(前期は153億99百万円のマイナス)となりました。これは主に船舶及び不動産への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出237億76百万円が、船舶を中心とした固定資産の売却による収入43億94百万円を上回ったことによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は58億26百万円のプラス(前期は33億50百万円のプラス)となりました。これは主にセール・アンド・リースバック取引に係る収入44億98百万円によるものです。
以上の結果、「現金及び現金同等物の当期末残高」は98億26百万円(前期末は105億36百万円)となりました。
生産、受注及び販売の業績
この項目は「業績等の概要(1)業績」の記載に含めて記載しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月26日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当社グループ経営陣は、債権の貸倒、棚卸資産、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績の分析
① 損益の分析
当期における売上高は、前期比4.3%増の848億43百万円となりました。なお、各セグメントの売上高の概要は、「第2 事業の状況 業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
営業利益は前期比15.4%減の47億82百万円となりました。これは主にケミカルタンカー市況の低迷等によるものです。なお、各セグメントの営業利益の概要は、「業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
経常利益は、前期比1.5%増の47億1百万円となりました。これは営業利益段階では減益であったものの、主に受取配当金の増加や為替差益の計上といった営業外収益の増加によるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比10.4%増の46億85百万円となりました。これは主に老齢船の処分に伴い計上した固定資産売却益によるものです。
② 財政状態の分析
当期末の総資産残高は前期末に比べ121億98百万円増加し、2,224億35百万円となりました。これは主に船舶の竣工による増加や設備投資の進捗に伴う建設仮勘定の増加によるものです。
負債残高は前期末に比べ83億60百万円増加し、1,493億59百万円となりました。これは主に運転資金及び設備資金の借入並びにリース債務の増加によるものです。
純資産残高は前期末に比べ38億40百万円増加し、730億77百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。
以上の結果、当期末の連結自己資本比率は32.8%(前期末は32.9%)となりました。
(3) 流動性及び資金の源泉
① 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運業と内航・近海海運業により構成される海運業に関わる運航費、船費、借船料と不動産業に関わる管理費、営繕費等の不動産業費用、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資と不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産投資等があります。
② 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、船主からの中長期用船や裸用船のバランスも考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。円建て、米ドル建ての借入金を含む当期末の有利子負債残高(リース債務を除く)は1,179億70百万円となりました。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、設備資金の借入の大部分について金利スワップなどの手段を活用しております。
当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所:
「BBB+」、格付投資情報センター:「BBB」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。また、国内金融機関において複数年を含む合計180億円並びにUS$6千万のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
③ キャッシュ・フロー
「業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。
(1) 業績
当連結会計年度(以下、「当期」という)の世界経済は、堅調な米国経済に支えられ、全体として緩やかに回復しましたが、通商問題や各国経済の減速等により、回復に足踏みの兆しが見られました。米国では、一時的に企業業績の低迷や個人消費の減速が見られましたが、労働需要の堅調さ等に支えられ、景気は着実な回復を継続しました。欧州では、英国のEU離脱問題を巡る先行き不透明感が残存し、景気の減速傾向がより強まりました。中国では、米国との貿易摩擦の影響等により、輸出が減少に転じており、景気の減速基調が続きました。
わが国経済は、個人消費の持ち直しに支えられ緩やかな回復基調を維持しましたが、海外経済の弱含みにより力強さに欠ける状態が継続しました。
当社グループの海運業を取り巻く市況は、ドライバルクキャリアでは期中上昇局面を見せることもありましたが、冬場にかけて下落し、また当社主力のケミカルタンカーでは期中船腹の供給過剰により低迷を続ける等、全体として不透明感が残りました。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改への取り組みをはじめとして、効率配船及び運航採算の向上を図った他、売船市場の動向を見極め老齢船の処分を行い、固定資産売却益(特別利益)を計上しました。また不動産業における都心のオフィスビル賃貸市況は、企業の人員拡大等への対応に伴うオフィス拡張、統合移転需要により既存ビルを含めた全体の空室率は低下し、賃料水準は上昇傾向で推移しました。このような状況の下、当社グループでは、飯野ビルディングをはじめとする既存ビルが順調に稼働し、安定した収益を確保しました。また、当社が参画している新橋田村町地区市街地再開発事業では、地下解体が完了、新築建物の基礎工事に着手しており、概ね計画通りに建築工事が進捗しました。
以上の結果、売上高は848億43百万円(前期比4.3%増)、営業利益は47億82百万円(前期比15.4%減)、経常利益は47億1百万円(前期比1.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は46億85百万円(前期比10.4%増)となりました。
各セグメント別の状況は次の通りです。
①外航海運業
当期の外航海運市況は以下の通りです。
オイルタンカー市況は、アジアの旺盛な原油需要に加え老齢船の解撤が進んだこと等もあり秋頃から高騰しました。冬場以降も中東をはじめ米国や西アフリカ積みの荷動きが活発化したことから、堅調な推移を見せましたが、当期末にかけては不需要期に差しかかることから軟化傾向に転じました。
ケミカルタンカー市況は、低迷の一因となるプロダクトタンカーのケミカルタンカー市場への流入圧力が冬場以降弱まったことで、緩やかな回復基調を見せる局面もありましたが、期中を通じ総じて低迷しました。
大型ガスキャリアのうち、LPGキャリア市況は、当期初は新造船の流入による船腹供給過剰が続き低調に推移しましたが、インド・中国・東南アジア等の堅調な需要を背景とした米国からアジア向け輸送の拡大により当期中は概ね堅調に推移しました。LNGキャリア市況は、新規LNGプロジェクトの立ち上がりから輸送需要が増加したことで堅調に推移しましたが、冬期需要の一服感と新造船の流入により再び軟化しました。
ドライバルクキャリア市況は、北半球の春季をピークに初夏にかけ一時軟調に推移しましたが、穀物をはじめとする荷動きの復調により、夏場終盤には底を打ち上昇に転じました。秋口以降、太平洋では中国向け石炭輸送等にブレーキが掛かり、大西洋では穀物輸送需要減が生じ、更にブラジルでの鉱山ダム事故の影響もあって、冬場には前年同期を大きく下回る水準まで下落する局面を迎えましたが、旧正月明けを契機とし、当期末にかけては太平洋・大西洋共に回復基調を見せました。
なお、当期における平均為替レートは¥110.67/US$(前期は¥111.19/US$)、平均燃料油価格はUS$430/MT(前期はUS$337/MT)となりました。
このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。
オイルタンカーにおいては、支配船腹を中長期契約に継続投入することで安定収益を確保しました。
ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路である中東域から欧州向け及びアジア向けの数量輸送契約に加え、北アフリカからの燐酸液やインド西岸出しアジア向けのケミカル貨物を積極的に取り込む等、稼働の維持に努めました。また、当社最大船型となるケミカルタンカーを新たに投入し採算改善に努めました。当社と米国オペレーターとの合弁事業会社では、数量輸送契約やスポット貨物の集荷により稼働を維持しました。しかしながら、市況低迷により、全体として運航採算は前期に比べ悪化しました。プロダクトタンカーにおいては、市況低迷の影響を抑えるべく、当期中に運航船1隻を処分しました。
大型ガスキャリアにおいては、LPGキャリア及びLNGキャリア共に既存の中長期契約へ継続投入することで安定収益を確保しました。
ドライバルクキャリアにおいては、石炭専用船とチップ専用船については順調に稼働しました。ポストパナマックス船については、市況上昇のタイミングを捉えた配船や数量輸送契約に投入した他、新規の専航船契約を締結する等、安定収益の確保に努めた結果、運航採算は大幅に改善しました。ハンディ船については、秋口以降市況が軟調に推移する中、数量輸送契約への投入を中心に効率的な配船と運航に努めた結果、運航採算は大幅に改善しました。また、契約の終了に伴い、当期中に小型ハンディ船1隻を返船し船隊の効率化を図りました。
以上の結果、外航海運業の売上高は648億73百万円(前期比4.9%増)、営業利益は5億83百万円(前期比66.0%減)となりました。
②内航・近海海運業
当期の内航・近海海運市況は以下の通りです。
内航ガス輸送の市況は、LPG需要は、例年通りの季節的要因による不需要期の発生に加え、秋口以降も暖冬傾向であったことにより、出荷は低調に推移しました。石油化学ガスも出荷プラントのトラブルや北海道胆振東部地震による停止の影響を受け、同じく出荷は低調に推移しましたが、船員不足による稼働隻数の減少も影響し、船腹の稼働は堅調に推移しました。
近海ガス輸送の市況は、主要貨物であるプロピレン、塩化ビニルモノマーの国内生産量は安定していましたが、東南アジアのプラント稼働が一時的に不安定になったことや能力増強計画の遅延により海上輸送量は軟調に推移しました。
このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業の概況は以下の通りとなりました。
内航ガス輸送は、安全運航の高い評価を得たことや荷主に船員雇用対策費用の負担を求めた結果、契約の有利更
改に至り、採算を維持することができました。
近海ガス輸送は、東南アジアの荷動きは軟調でしたが、当期初の市況上昇に伴い有利更改した定期用船契約を基に安定した収益を維持しました。
以上の結果、内航・近海海運業の売上高は94億27百万円(前期比4.6%増)、営業利益は9億26百万円(前期比32.3%増)となりました。
③不動産業
当期の不動産市況は以下の通りです。
都心のオフィスビル賃貸市況は、企業の人員拡大等への対応に伴うオフィス拡張、統合移転需要により、新築及び築年数の経過していない大規模ビルを中心に新規の入居スペースの減少が進み、既存ビルを含めた全体の空室率は低下し、賃料水準は上昇傾向で推移しました。
貸ホール・貸会議室においては、多数の競合施設がある中、厳しい顧客獲得競争が続きました。
不動産関連事業のフォトスタジオ事業においては、広告需要が引き続き堅調に推移しました。
このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。
賃貸ビルにおいては、所有する各ビルにおいて良質なテナントサービスの提供に注力し、順調な稼働を維持しました。また、新橋田村町地区市街地再開発事業では、地下解体が完了、新築建物の基礎工事に着手しており、概ね計画通りに建築工事が進捗しました。
当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、セミナー、講演会、映画試写会といった催事の積極的な誘致に加え、映像設備の更新を行った結果、高稼働を維持しました。
スタジオ関連事業を行うイイノ・メディアプロにおいては、主力のスタジオ部門の稼働が堅調に推移すると共に、プロダクション、レタッチの各部門も安定した収益を確保しました。
以上の結果、不動産業の売上高は106億69百万円(前期比1.2%増)、営業利益は32億73百万円(前期比1.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当期の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、145億49百万円のプラス(前期は121億17百万円のプラス)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益52億57百万円と減価償却費89億18百万円によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は212億2百万円のマイナス(前期は153億99百万円のマイナス)となりました。これは主に船舶及び不動産への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出237億76百万円が、船舶を中心とした固定資産の売却による収入43億94百万円を上回ったことによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は58億26百万円のプラス(前期は33億50百万円のプラス)となりました。これは主にセール・アンド・リースバック取引に係る収入44億98百万円によるものです。
以上の結果、「現金及び現金同等物の当期末残高」は98億26百万円(前期末は105億36百万円)となりました。
生産、受注及び販売の業績
この項目は「業績等の概要(1)業績」の記載に含めて記載しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月26日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当社グループ経営陣は、債権の貸倒、棚卸資産、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績の分析
① 損益の分析
当期における売上高は、前期比4.3%増の848億43百万円となりました。なお、各セグメントの売上高の概要は、「第2 事業の状況 業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
営業利益は前期比15.4%減の47億82百万円となりました。これは主にケミカルタンカー市況の低迷等によるものです。なお、各セグメントの営業利益の概要は、「業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。
経常利益は、前期比1.5%増の47億1百万円となりました。これは営業利益段階では減益であったものの、主に受取配当金の増加や為替差益の計上といった営業外収益の増加によるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比10.4%増の46億85百万円となりました。これは主に老齢船の処分に伴い計上した固定資産売却益によるものです。
② 財政状態の分析
当期末の総資産残高は前期末に比べ121億98百万円増加し、2,224億35百万円となりました。これは主に船舶の竣工による増加や設備投資の進捗に伴う建設仮勘定の増加によるものです。
負債残高は前期末に比べ83億60百万円増加し、1,493億59百万円となりました。これは主に運転資金及び設備資金の借入並びにリース債務の増加によるものです。
純資産残高は前期末に比べ38億40百万円増加し、730億77百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。
以上の結果、当期末の連結自己資本比率は32.8%(前期末は32.9%)となりました。
(3) 流動性及び資金の源泉
① 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運業と内航・近海海運業により構成される海運業に関わる運航費、船費、借船料と不動産業に関わる管理費、営繕費等の不動産業費用、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資と不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産投資等があります。
② 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、船主からの中長期用船や裸用船のバランスも考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。円建て、米ドル建ての借入金を含む当期末の有利子負債残高(リース債務を除く)は1,179億70百万円となりました。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、設備資金の借入の大部分について金利スワップなどの手段を活用しております。
当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所:
「BBB+」、格付投資情報センター:「BBB」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。また、国内金融機関において複数年を含む合計180億円並びにUS$6千万のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
③ キャッシュ・フロー
「業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。