有価証券報告書-第71期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
JALグループは、輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして存立基盤である安全運航を堅持しつつ、お客さまに最高のサービスを提供するとともに、公正な競争を通じて良い商品を提供し適正な利益を得るという経済的責任を果たすことにとどまらず、広く社会の一員としてその責務を果たし貢献する企業グループであることを念頭に事業を展開します。
このことをふまえ、JALグループは、企業理念「全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客さまに最高のサービスを提供します。一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。」のもと、「JALフィロソフィ」を定め、適切な経営判断を迅速に行うと同時に、高い経営の透明性と強い経営監視機能を発揮するコーポレート・ガバナンス体制を確立し、企業価値の向上に努め、説明責任を果たします。
取締役会は、会社法、関連法令および定款に次ぐ重要なものとして「コーポレート・ガバナンスの基本方針」を定め、コーポレート・ガバナンスを確立し、少なくとも年1回見直しを行います。
② 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由
意思決定の迅速化を図る観点から、当社は執行役員制度を採用しており、取締役10名(うち女性1名)、取締役兼務者を除く執行役員28名(うち女性4名)の体制となっております。
[業務執行責任者に対する監督・牽制の強化]
≪取締役会≫
1.取締役会
取締役会は、企業価値向上のため、取締役候補および監査役候補の選任、執行役員の選任、報酬の決定、ならびに重要な意思決定を通じて、高い経営の透明性と強い経営監視機能を確保します。
また、取締役会は、経営監視機能と業務執行機能を明確化し、執行役員を兼務しない取締役から取締役会議長を選任するとともに、3名以上の適切な人数の独立性の高い社外取締役候補を選任します。社外取締役は適切な助言機能を発揮します。
取締役会は、効率的な意思決定を行うため、取締役会にて決議した「決裁および職務権限に関する規程」に基づき、職務権限基準表に定める事項に関する意思決定を社長に委ねています。また、取締役会および社長による適切かつ機動的な意思決定に資することを目的として経営会議を設置しています。
なお、取締役会議長については、取締役会会長が務めております。
2019年度は20回開催いたしました。
2.取締役会の実効性確保
取締役会は、取締役会議長と社外取締役で構成する「コーポレート・ガバナンス委員会」を設置し、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会の実効性を評価し、運営等について適切に見直しを行い、その結果の概要を開示します。
3.取締役
取締役に対しては、法的留意事項等を説明し、「忠実義務」「善管注意義務」を含む取締役の義務について周知徹底を図るとともに、社内取締役に対しては、社外研修や外部団体への継続的参加等の機会を提供します。取締役の任期は1年として、各事業年度に対する経営責任の明確化を図ります。また、取締役(社外取締役を除く)の報酬については、持続的な成長に向けた健全なインセンティブとなる報酬制度を導入しています。
社外取締役は、その多様性確保に留意し、さまざまな分野に関する豊富な経験と高い見識や専門知識を有する者から選任するとともに、当社の定める社外役員の「独立性基準」(後述)に基づき、実質的な独立性を確保し得ない者は社外取締役として選任いたしません。また、社外取締役のうち1名を筆頭独立社外取締役として選任し、監査役ならびに社内各部門との連携強化を図ります。
社外取締役については、当社に対する理解を深めるため、現場の視察に加え、御巣鷹山慰霊登山、安全啓発センターの見学等の安全に関する教育を行います。また、必要に応じて、付議議案の事前説明を実施するとともに、その他の要望事項について説明する機会を設けます。
≪監査役および監査役会≫
1.監査役
監査役は、取締役会その他重要な会議に出席するほか、重要な決裁書類等の閲覧により、会社経営および事業運営上の重要事項ならびに業務執行状況を監査します。また、監査役室スタッフとともに、各事業所、子会社に毎年監査を行い、その結果を代表取締役に報告します。さらに内部監査部門や会計監査人との情報交換にも努めるほか、子会社の監査役との会議を定期的に開催し、グループ全体での監査の充実強化を図ります。
当社は、監査役に対しては、会社情報を提供するとともに、社内監査役に対しては、社外研修や外部団体への継続的参加等の機会を提供します。
社外監査役は、さまざまな分野に関する豊富な知識、経験を有する者から選任するとともに、当社の定める社外役員の「独立性基準」(後述)に基づき、実質的な独立性を確保し得ない者は社外監査役として選任いたしません。社外監査役は、他の監査役とともに内部監査部門、会計監査人と連携し、より中立的、客観的な視点から監査を実施することにより、経営の健全性を確保します。
社外監査役については、当社に対する理解を深めるため、現場の視察に加え、御巣鷹山慰霊登山、安全啓発センターの見学等の安全に関する教育を行います。また、必要に応じて、付議議案の事前説明を実施するとともに、その他の要望事項について説明する機会を設けます。
2.監査役会
監査役会は、取締役の職務の執行の監査、会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任をふまえ、独立した客観的な立場において適切な判断を行います。
なお、監査役会議長については、鈴鹿 靖史常勤監査役が務めております。(※1)
2019年度は、13回開催いたしました。
[経営の透明性の確保と情報開示]
1.コーポレート・ガバナンス委員会
コーポレート・ガバナンス委員会は、JALグループ「コーポレート・ガバナンスの基本方針」について、少なくとも年1回取り組み状況を確認し、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであるかどうか分析・評価し、取締役会に必要な答申・報告を行います。コーポレート・ガバナンス委員会は取締役会議長と社外取締役で構成し、委員長は筆頭独立社外取締役とします。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:小林 栄三(筆頭独立社外取締役)
委 員:植木 義晴、伊藤 雅俊、八丁地 園子 (※2)
2019年度は、2回開催いたしました。
2.指名委員会
取締役候補および監査役候補の選任に関する議案を株主総会に提出する場合、指名委員会は、取締役会から諮問を受け、当該候補の人格、知見、能力、経験、実績等を総合的に判断し、取締役会に答申します。また、指名委員会は、社長等に求められる資質を、「安全運航がJALグループの存立基盤であることを肝に銘じ、JALフィロソフィを自ら先頭に立ち実践することで、全社員とともに企業理念の実現に向け着実な成果を上げられるもの」と定めるとともに、社長等の候補人財については、実践的かつ多様な経験をさせることを通じて、早期に経営に必要な素養を身に着けることができるようにします。
さらに、経営陣幹部に、法令違反、ハラスメント、取締役会軽視等、その資質を問うべき状況があると認められた場合は、取締役会等における取締役による申し立てに基づき、直ちに当事者を除く指名委員会メンバー等が調査を行います。指名委員会等は、その結果を取締役会に答申し、取締役会にてその後の処遇を決議します。指名委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社外取締役より選定します。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:伊藤 雅俊(社外取締役)
委 員:赤坂 祐二、清水 新一郎、小林 栄三、八丁地 園子 (※2)
2019年度は、2回開催いたしました。
3.報酬委員会
報酬委員会は、取締役、執行役員および監査役の報酬に関して、取締役会からの諮問事項について協議し、その結果を取締役会に答申します。報酬委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社外取締役より選定します。これらにより報酬決定プロセスの透明性と公正性を担保します。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:小林 栄三(筆頭独立社外取締役)
委 員:赤坂 祐二、清水 新一郎、伊藤 雅俊、八丁地 園子 (※2)
2019年度は7回開催いたしました。
4.人事委員会
執行役員の選任および解任を行う場合、取締役会は、人事委員会に諮問し、その答申をふまえ、決議します。人事委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社長とします。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:赤坂 祐二(代表取締役社長執行役員)
委 員:清水 新一郎、小林 栄三、伊藤 雅俊、八丁地 園子 (※2)
2019年度は、4回開催いたしました。
5.役員懲戒委員会
取締役および執行役員の懲戒を行う場合、役員懲戒委員会で決定します。役員懲戒委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社外取締役より選定します。なお、株主総会への取締役解任議案の提出等については取締役会の決議を要するものとします。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:八丁地 園子(社外取締役)
委 員:赤坂 祐二、清水 新一郎、伊藤 雅俊、小林 栄三(筆頭独立社外取締役) (※2)
2019年度は、4回開催いたしました。
なお、上記委員会のほか、独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図るべく、独立役員のみを構成員とする意見交換の場を必要に応じて開催します。
(※1)監査役会議長、各委員長の氏名及び役職、各委員の氏名については、2020年6月19日の株主総会開催前の時点を記載しております。
(※2)小林 栄三、伊藤 雅俊、八丁地 園子は社外取締役です。
6.情報開示
ステークホルダーが容易にJALグループの企業姿勢を閲覧できるよう、「コーポレート・ガバナンスの基本方針」をはじめとして、企業理念、経営戦略、経営計画等のさまざまな情報を当社ウェブサイトに掲載します。また、財務情報やCSR活動を統合して報告する「JAL REPORT」を毎年発行します。
※1 社長直下の経営会議体として以下を設置。
JALフィロソフィ会議、グループ業績報告会、グループ安全対策会議、グループリスクマネジメント会議(※2)、グループ運営会議(※3)
※2 傘下に、リスクマネジメント委員会、財務リスク委員会を設置。
※3 傘下に、サステナビリティ推進委員会、JALウェルネス推進委員会、東京2020オリンピック・パラリンピック推進委員会、投資モニタリング委員会を設置。
ガバナンスに関するその他の機関は次のとおりで当社内に設置しております。
・経営会議
取締役会および社長による適切かつ機動的な意思決定に資することを目的とした機関とし、取締役会決議案件および社長決裁案件のうち経営会議による確認が必要なものの審議を行います。
・グループ業績報告会
JALグループの各社・各部門の「業績」を共有するとともに、業績向上のための検討することを目的としています。
・JALフィロソフィ会議
JALフィロソフィの浸透を推進することを目的とし、取り組みの基本方針策定、諸施策の立案・実施、およびその進捗管理を行います。
・グループリスクマネジメント会議
リスクを総括的に管理し、JALグループ経営の安定化を図ることを目的とし、リスクマネジメントの基本方針の策定・定期的なリスク評価・対応策の策定および事業継続マネジメントなどを行います。
・グループ安全対策会議
JALグループ全体の航空安全を確保し、安全管理を推進することを目的とし、JALグループの理念・方針に基づき、安全管理に関する重要な方針の決定、安全管理体制の実態把握および体制の定期的な見直し、日常運航上安全に係る対応の決定などを行います。
・グループ運営会議
JALグループの重要経営案件に関する進捗確認・対応策の策定のための討議、および重要な情報の報告を行います。
[JALフィロソフィ教育]
社長は、「JALフィロソフィ」をJALグループに浸透させるため、自らを含め、JALグループの役員および社員を対象としたJALフィロソフィ教育を適宜実施します。
[株主との建設的な対話に関する方針]
当社は、株主総会が株主との建設的な対話の場であることを認識し、株主の視点に立って、招集通知等での正確な情報を十分な検討期間を確保して提供するとともに、株主総会における分かり易い情報提供を行い、株主が適切な権利行使ができる環境を整えます。
また、当社は、代表取締役、財務・経理担当役員等が積極的に対話に臨み、経営戦略・事業戦略・財務情報等について、公平性・正確性・継続性を重視し、次の方針の下、双方向の良好なコミュニケーションを図るIR(インベスター・リレーションズ)活動を展開します。
1.財務・経理担当役員、総務担当役員を株主との対話を統括する経営陣として指定しています。
2.当社は、財務部において、情報の収集および管理、開示を統括する責任者およびそれらを実施する担当者を配置し、関連部署と連携しながら、適時かつ公正・適正に情報開示を行っています。
3.当社は、四半期決算および経営計画公表時には決算および経営計画説明会を開催するとともに、「JAL REPORT」、「株主の皆さまへ」の発行および施設見学会の開催等により、投資機会の促進と情報開示の充実に努めています。
4.経営に株主意見を反映するため、株主との対話の結果については、適宜経営陣へのフィードバックを行い、経営陣は株主からの要望や意見、問題意識を共有しています。
5.当社では決算情報の漏えいを防ぎ、公平性を確保するために、当社の業況や決算に係る問合わせへの回答やコメントを一切行わないサイレントピリオドを設定するとともに公表しています。また、社内で、情報の統括管理およびインサイダー情報の管理に努めています。
③内部統制システムの整備および運用状況(2020年3月31日現在)
[内部統制システムの整備状況(基本方針)]
JALグループは、お客さまに最高のサービスを提供し、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献するために、「コーポレート・ガバナンスの基本方針」を定め、その実効性の向上を目指し、以下に述べる体制や事項に関して制度や組織を整え、会社法および会社法施行規則に基づく業務の適正性を確保します。また、内部統制システムの整備・運用状況を評価検証し、是正が必要な場合は改善措置を講じることとします。
1.取締役、使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制を整備します。
a.企業の行動指針である「JALフィロソフィ」を制定し、取締役・使用人にその実践を促します。
b.取締役会が「内部統制システムの基本方針」を決定し、総務部が内部統制システムの整備を推進します。
c.総務部がコンプライアンスに係る業務を統括し、関連規程の整備および運用状況をモニタリングします。
d.取締役・使用人の職務執行が法令等に適合することを確保するための監査体制を整えます。
2.取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制を整備します。
取締役の職務の執行に係る情報は、法令および社内規程に従い、適切に保存・管理します。
3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制を整備します。
JALグループ全体のリスクを管理するために、「グループ安全対策会議」「リスクマネジメント会議」「財務リスク委員会」等を設置し、適切にリスクを管理し、損失の危険の発生を未然に防止します。また、「JALグループ内部統制要綱」等を制定し、総務部が業務の適正性を継続的にモニタリングします。
4.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制を整備します。
a.定例取締役会を月1回開催するとともに、必要に応じて臨時開催し、JALグループの経営方針・計画等に係る重要な意思決定を行います。また、「経営会議」「グループ業績報告会」等の会議体を設置し、取締役の職務の執行の効率性を確保します。
b.社内規程により、職務権限、職制権限、業務分掌等を定め、効率的な職務執行を確保するための分権をします。
5.JALグループにおける業務の適正を確保するための体制を整備します。
a.「JALグループ会社管理規程」を制定し、JALグループ各社が「JALフィロソフィ」に基づいて公正かつ効率的に経営を行う体制を確保します。また、「JALグループ内部統制要綱」を制定し、総務部が業務の適正性を継続的にモニタリングします。
b.JALグループ各社の取締役等の職務の執行に係る事項の会社への報告に関する体制を整備します。
c.JALグループ各社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制を整備します。
d.JALグループ各社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制を整備します。
e.JALグループ各社の取締役等および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制を整備します。
6.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項、監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項を整備します。
7.監査役への報告等に関する体制を整備します。
a.取締役および使用人が監査役に報告するための体制を整備します。
b.JALグループ各社の取締役、監査役、使用人またはこれらの者から報告を受けた者が監査役に報告をするための体制を整備します。
c.報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取り扱いを受けないことを確保するための体制を整備します。
8.監査役の職務の執行について生ずる費用の前払または償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項を整備します。
9.その他監査役会または監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制を整備します。
[内部統制システムの運用状況]
1.取締役、使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制を整備します。
a.「JALフィロソフィ」およびJALグループ行動規範「社会への約束」を定め、教育等を通じてその浸透・実践を促進しています。
b.「内部統制システムの基本方針」および「JALグループ内部統制要綱」を定め、会社法および金融商品取引法の内部統制の整備・運用および評価を適切に行っています。
c.公益通報窓口(社内・社外)を設置し、法令違反等の発生防止に努めるとともに、定期的に社内周知を実施しています。
d.新規取引先候補の属性確認を実施しているほか、3年ごとに定期審査として属性情報に変更がないかレビューを行っています。
e.取締役に対し、法的留意事項等を説明し、「忠実義務」「善管注意義務」を含む取締役の義務、権限および責任について周知徹底を図っています。また使用人等に対し、職務執行に必要な知識習得のための教育を実施し、周知徹底を図っています。
f.監査部は、年度計画に基づき、「JALグループ内部統制要綱」に定められた内部管理体制の整備および運用状況を確認しています。各監査ごとに、経営者へ監査結果を報告し、監査役には定期的に、監査の進捗状況、監査結果を報告しています。
g.整備監査部は、各種法令、社内規程に従った整備業務が実施されていることを確認しています。
h.安全推進本部は、グループ安全対策会議を開催するとともに、安全監査計画に基づき、提出資料等を通じて、経営の安全に係る討議、関与、指示等を確認しています。また、空港に関する内部監査や運航調査を実施しています。
2.取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制を整備します。
a.取締役会そのほかの重要な会議の意思決定に係る情報(文書・議事録)および重要な決裁に係る情報(稟議書)は、法令および取締役会規程・各種会議体規程・決裁及び職務権限に関する規程に従って作成し、法令および文書保管・保存規程に基づき保存・管理しています。
b.電子稟議システムを安全に管理し、適切な運用に努めています。
3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制を整備します。
a.「JALグループ内部統制要綱」および「リスクマネジメントマニュアル」に基づき、多様に変化するリスクに対処できるよう、リスクの定義・評価手法・対応体制等を適切に見直しつつ、JALグループ全体の法令遵守状況を含むリスクの洗い出しを、定期的に実施し、JALグループが抱える潜在・顕在のリスクを抽出して評価を行うとともに、事業改善命令に関する社内検証委員会で認識した諸課題に関する取り組みの進捗をリスクマネジメント会議に報告しています。また、JALグループ全体の航空安全の確保のため、グループ安全対策会議において、安全管理に係る重要な方針の策定を行い、実態把握に努め、必要に応じてその組織、体制、各種施策等の見直しを行っています。
b.不測の事態に備え、安否確認システムを活用したJALグループ全体を対象とした通報訓練を定期的に実施するなど、常日頃より社員一人一人の危機管理意識の醸成と社員に関する早期の状況把握に努めています。
c.本社中枢機能が集約されている都心における直下型地震を想定し、大阪にオペレーションコントロールセンター分室を設置するとともに、外部専門家の知見も活用しつつ、より実効性のある事業継続計画の拡充に取り組んでいます。
d.航空事故・事件の発生時に迅速かつ的確な危機管理対応を実施できるよう、体制を強化し、事故ご被災者・ご遺族との窓口となる世話役や事故対策本部の要員を継続して養成しています。
4.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制を整備します。
a.適切な経営判断を迅速に行うため、社長直下の経営会議体として、「経営会議」「グループ業績報告会」等を設置しています。
b.職制規程により、会社の職制について基本事項を明確化し、会議体規程、決裁及び職務権限に関する規程、業務分掌規程に基づき、効率的に職務が執行できるようにしています。
c.取締役会の実効性評価等を通じて、職務権限と会議体の運営方法を毎年レビューするとともに、持続的な成長に向けて、戦略的な討議を実現する環境を整備しています。
5.JALグループにおける業務の適正を確保するための体制を整備します。
a.「JALグループ会社管理規程」および「JALグループ内部統制要綱」を制定し、総務部が主体となり業務の適正性をモニタリングしています。
b.日常的に、JALグループ各社の総務部門と連携・情報共有し、コンプライアンスおよびリスクマネジメント指導を行っているほか、発生した事案の処理・再発防止策策定を通じて各社各部門のコンプライアンス・リスクマネジメント体制強化に資する指導を重ねています。
c.JALグループ各社の効率的な職務執行が確保されるよう、取締役会規程、職務権限基準等を定めるとともに、各社の取締役等の職務の執行に係る情報は、法令および社内規則に従い、適切に保存・管理しています。
d.ロービング・拡大業績報告会等を通じ、JALグループ中期経営計画や年度運営方針の重点項目を確認し、目標達成に向けた取り組みが確実に実行されていることをモニタリングしています。
e.「JALフィロソフィ」およびJALグループ行動規範「社会への約束」を定め、教育等を通じてその浸透・実践を促進しています。
f.監査部は適切に監査しています。
g.整備監査部は各種法令、社内規程に従った整備業務が実施されていることを確認しています。
h.安全推進本部は、グループ安全対策会議を開催するとともに、安全監査計画に基づき、提出資料等を通じて、経営の安全に係る討議、関与、指示等を確認しています。また、支店への安全ロービングや運航調査等を実施しています。
6.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項、監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項を整備します。
監査役監査の実効性を高め、かつ監査業務を円滑に遂行するため、取締役から独立した組織を設け、使用人(監査役スタッフ)を配置しています。また、監査役スタッフは監査役の業務指示・命令を受け、その人事は監査役の同意のもとに行っています。
7.監査役への報告等に関する体制を整備します。
a.監査役は取締役会ほか重要会議に出席し、役員決裁以上の稟議を閲覧するほか、社長インタビュー・関連部のヒアリング・社内各部署の往査等を通じ会社業務の執行状況を監査しています。
b.監査役は子会社監査役と定期的に意見・情報交換を行うほか、子会社の往査を実施しています。
c.公益通報窓口(社内・社外)を設置し、コンプライアンスに係る相談や、組織的または個人的な法令および社内規程違反行為に係る公益通報をした者を保護する体制を整備しています。
8.監査役の職務の執行について生ずる費用の前払または償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項を整備します。
監査役監査に必要な費用は適切に支払っています。
9.その他監査役会または監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制を整備します。
監査役は監査部および監査法人と定期的に意見・情報交換を実施し監査の実効性を高めています。
④責任限定契約の内容の概要
当社と各社外取締役および各監査役との間では、それぞれ、会社法第427条第1項および当社定款の規定に基づき、同法第423条第1項に定める損害賠償責任の限度額について、同法第425条第1項に定める最低責任限度額とする責任限定契約を締結しております。
⑤取締役の定数
当社の取締役は3名以上15名以内とする旨定款で定めております。
⑥取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。なお、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨定款に定めております。
⑦株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行なうことを目的とするものです。
⑧中間配当
当社は、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款を定めております。これは、株主の皆様への利益配分の機会を充実させるためです。
⑨自己の株式の取得
当社は、会社法第165条第2項および第459条第1項第1号の規定により、取締役会の決議をもって、自己の株式を取得することができる旨定款に定めております。これは、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするため、市場取引等により自己の株式を取得することを目的とするものです。
⑩取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役会の決議をもって取締役および監査役(取締役および監査役であった者を含む)の損害賠償責任を法令に定める限度において取締役会の決議によって免除することができる旨定款に定めております。これは、取締役および監査役が職務を遂行するにあたり、その能力を十分に発揮して、期待される役割を果たし得る環境を整備することを目的とするものです。
JALグループは、輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして存立基盤である安全運航を堅持しつつ、お客さまに最高のサービスを提供するとともに、公正な競争を通じて良い商品を提供し適正な利益を得るという経済的責任を果たすことにとどまらず、広く社会の一員としてその責務を果たし貢献する企業グループであることを念頭に事業を展開します。
このことをふまえ、JALグループは、企業理念「全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客さまに最高のサービスを提供します。一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。」のもと、「JALフィロソフィ」を定め、適切な経営判断を迅速に行うと同時に、高い経営の透明性と強い経営監視機能を発揮するコーポレート・ガバナンス体制を確立し、企業価値の向上に努め、説明責任を果たします。
取締役会は、会社法、関連法令および定款に次ぐ重要なものとして「コーポレート・ガバナンスの基本方針」を定め、コーポレート・ガバナンスを確立し、少なくとも年1回見直しを行います。
② 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由
意思決定の迅速化を図る観点から、当社は執行役員制度を採用しており、取締役10名(うち女性1名)、取締役兼務者を除く執行役員28名(うち女性4名)の体制となっております。
[業務執行責任者に対する監督・牽制の強化]
≪取締役会≫
1.取締役会
取締役会は、企業価値向上のため、取締役候補および監査役候補の選任、執行役員の選任、報酬の決定、ならびに重要な意思決定を通じて、高い経営の透明性と強い経営監視機能を確保します。
また、取締役会は、経営監視機能と業務執行機能を明確化し、執行役員を兼務しない取締役から取締役会議長を選任するとともに、3名以上の適切な人数の独立性の高い社外取締役候補を選任します。社外取締役は適切な助言機能を発揮します。
取締役会は、効率的な意思決定を行うため、取締役会にて決議した「決裁および職務権限に関する規程」に基づき、職務権限基準表に定める事項に関する意思決定を社長に委ねています。また、取締役会および社長による適切かつ機動的な意思決定に資することを目的として経営会議を設置しています。
なお、取締役会議長については、取締役会会長が務めております。
2019年度は20回開催いたしました。
2.取締役会の実効性確保
取締役会は、取締役会議長と社外取締役で構成する「コーポレート・ガバナンス委員会」を設置し、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会の実効性を評価し、運営等について適切に見直しを行い、その結果の概要を開示します。
3.取締役
取締役に対しては、法的留意事項等を説明し、「忠実義務」「善管注意義務」を含む取締役の義務について周知徹底を図るとともに、社内取締役に対しては、社外研修や外部団体への継続的参加等の機会を提供します。取締役の任期は1年として、各事業年度に対する経営責任の明確化を図ります。また、取締役(社外取締役を除く)の報酬については、持続的な成長に向けた健全なインセンティブとなる報酬制度を導入しています。
社外取締役は、その多様性確保に留意し、さまざまな分野に関する豊富な経験と高い見識や専門知識を有する者から選任するとともに、当社の定める社外役員の「独立性基準」(後述)に基づき、実質的な独立性を確保し得ない者は社外取締役として選任いたしません。また、社外取締役のうち1名を筆頭独立社外取締役として選任し、監査役ならびに社内各部門との連携強化を図ります。
社外取締役については、当社に対する理解を深めるため、現場の視察に加え、御巣鷹山慰霊登山、安全啓発センターの見学等の安全に関する教育を行います。また、必要に応じて、付議議案の事前説明を実施するとともに、その他の要望事項について説明する機会を設けます。
≪監査役および監査役会≫
1.監査役
監査役は、取締役会その他重要な会議に出席するほか、重要な決裁書類等の閲覧により、会社経営および事業運営上の重要事項ならびに業務執行状況を監査します。また、監査役室スタッフとともに、各事業所、子会社に毎年監査を行い、その結果を代表取締役に報告します。さらに内部監査部門や会計監査人との情報交換にも努めるほか、子会社の監査役との会議を定期的に開催し、グループ全体での監査の充実強化を図ります。
当社は、監査役に対しては、会社情報を提供するとともに、社内監査役に対しては、社外研修や外部団体への継続的参加等の機会を提供します。
社外監査役は、さまざまな分野に関する豊富な知識、経験を有する者から選任するとともに、当社の定める社外役員の「独立性基準」(後述)に基づき、実質的な独立性を確保し得ない者は社外監査役として選任いたしません。社外監査役は、他の監査役とともに内部監査部門、会計監査人と連携し、より中立的、客観的な視点から監査を実施することにより、経営の健全性を確保します。
社外監査役については、当社に対する理解を深めるため、現場の視察に加え、御巣鷹山慰霊登山、安全啓発センターの見学等の安全に関する教育を行います。また、必要に応じて、付議議案の事前説明を実施するとともに、その他の要望事項について説明する機会を設けます。
2.監査役会
監査役会は、取締役の職務の執行の監査、会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任をふまえ、独立した客観的な立場において適切な判断を行います。
なお、監査役会議長については、鈴鹿 靖史常勤監査役が務めております。(※1)
2019年度は、13回開催いたしました。
[経営の透明性の確保と情報開示]
1.コーポレート・ガバナンス委員会
コーポレート・ガバナンス委員会は、JALグループ「コーポレート・ガバナンスの基本方針」について、少なくとも年1回取り組み状況を確認し、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであるかどうか分析・評価し、取締役会に必要な答申・報告を行います。コーポレート・ガバナンス委員会は取締役会議長と社外取締役で構成し、委員長は筆頭独立社外取締役とします。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:小林 栄三(筆頭独立社外取締役)
委 員:植木 義晴、伊藤 雅俊、八丁地 園子 (※2)
2019年度は、2回開催いたしました。
2.指名委員会
取締役候補および監査役候補の選任に関する議案を株主総会に提出する場合、指名委員会は、取締役会から諮問を受け、当該候補の人格、知見、能力、経験、実績等を総合的に判断し、取締役会に答申します。また、指名委員会は、社長等に求められる資質を、「安全運航がJALグループの存立基盤であることを肝に銘じ、JALフィロソフィを自ら先頭に立ち実践することで、全社員とともに企業理念の実現に向け着実な成果を上げられるもの」と定めるとともに、社長等の候補人財については、実践的かつ多様な経験をさせることを通じて、早期に経営に必要な素養を身に着けることができるようにします。
さらに、経営陣幹部に、法令違反、ハラスメント、取締役会軽視等、その資質を問うべき状況があると認められた場合は、取締役会等における取締役による申し立てに基づき、直ちに当事者を除く指名委員会メンバー等が調査を行います。指名委員会等は、その結果を取締役会に答申し、取締役会にてその後の処遇を決議します。指名委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社外取締役より選定します。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:伊藤 雅俊(社外取締役)
委 員:赤坂 祐二、清水 新一郎、小林 栄三、八丁地 園子 (※2)
2019年度は、2回開催いたしました。
3.報酬委員会
報酬委員会は、取締役、執行役員および監査役の報酬に関して、取締役会からの諮問事項について協議し、その結果を取締役会に答申します。報酬委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社外取締役より選定します。これらにより報酬決定プロセスの透明性と公正性を担保します。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:小林 栄三(筆頭独立社外取締役)
委 員:赤坂 祐二、清水 新一郎、伊藤 雅俊、八丁地 園子 (※2)
2019年度は7回開催いたしました。
4.人事委員会
執行役員の選任および解任を行う場合、取締役会は、人事委員会に諮問し、その答申をふまえ、決議します。人事委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社長とします。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:赤坂 祐二(代表取締役社長執行役員)
委 員:清水 新一郎、小林 栄三、伊藤 雅俊、八丁地 園子 (※2)
2019年度は、4回開催いたしました。
5.役員懲戒委員会
取締役および執行役員の懲戒を行う場合、役員懲戒委員会で決定します。役員懲戒委員会は社長と取締役会の決議で選定された4名以内の取締役で構成し、過半数は社外取締役とします。委員長は社外取締役より選定します。なお、株主総会への取締役解任議案の提出等については取締役会の決議を要するものとします。当委員会の構成員は次のとおりです。(※1)
委員長:八丁地 園子(社外取締役)
委 員:赤坂 祐二、清水 新一郎、伊藤 雅俊、小林 栄三(筆頭独立社外取締役) (※2)
2019年度は、4回開催いたしました。
なお、上記委員会のほか、独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図るべく、独立役員のみを構成員とする意見交換の場を必要に応じて開催します。
(※1)監査役会議長、各委員長の氏名及び役職、各委員の氏名については、2020年6月19日の株主総会開催前の時点を記載しております。
(※2)小林 栄三、伊藤 雅俊、八丁地 園子は社外取締役です。
6.情報開示
ステークホルダーが容易にJALグループの企業姿勢を閲覧できるよう、「コーポレート・ガバナンスの基本方針」をはじめとして、企業理念、経営戦略、経営計画等のさまざまな情報を当社ウェブサイトに掲載します。また、財務情報やCSR活動を統合して報告する「JAL REPORT」を毎年発行します。

JALフィロソフィ会議、グループ業績報告会、グループ安全対策会議、グループリスクマネジメント会議(※2)、グループ運営会議(※3)
※2 傘下に、リスクマネジメント委員会、財務リスク委員会を設置。
※3 傘下に、サステナビリティ推進委員会、JALウェルネス推進委員会、東京2020オリンピック・パラリンピック推進委員会、投資モニタリング委員会を設置。
ガバナンスに関するその他の機関は次のとおりで当社内に設置しております。
・経営会議
取締役会および社長による適切かつ機動的な意思決定に資することを目的とした機関とし、取締役会決議案件および社長決裁案件のうち経営会議による確認が必要なものの審議を行います。
・グループ業績報告会
JALグループの各社・各部門の「業績」を共有するとともに、業績向上のための検討することを目的としています。
・JALフィロソフィ会議
JALフィロソフィの浸透を推進することを目的とし、取り組みの基本方針策定、諸施策の立案・実施、およびその進捗管理を行います。
・グループリスクマネジメント会議
リスクを総括的に管理し、JALグループ経営の安定化を図ることを目的とし、リスクマネジメントの基本方針の策定・定期的なリスク評価・対応策の策定および事業継続マネジメントなどを行います。
・グループ安全対策会議
JALグループ全体の航空安全を確保し、安全管理を推進することを目的とし、JALグループの理念・方針に基づき、安全管理に関する重要な方針の決定、安全管理体制の実態把握および体制の定期的な見直し、日常運航上安全に係る対応の決定などを行います。
・グループ運営会議
JALグループの重要経営案件に関する進捗確認・対応策の策定のための討議、および重要な情報の報告を行います。
[JALフィロソフィ教育]
社長は、「JALフィロソフィ」をJALグループに浸透させるため、自らを含め、JALグループの役員および社員を対象としたJALフィロソフィ教育を適宜実施します。
[株主との建設的な対話に関する方針]
当社は、株主総会が株主との建設的な対話の場であることを認識し、株主の視点に立って、招集通知等での正確な情報を十分な検討期間を確保して提供するとともに、株主総会における分かり易い情報提供を行い、株主が適切な権利行使ができる環境を整えます。
また、当社は、代表取締役、財務・経理担当役員等が積極的に対話に臨み、経営戦略・事業戦略・財務情報等について、公平性・正確性・継続性を重視し、次の方針の下、双方向の良好なコミュニケーションを図るIR(インベスター・リレーションズ)活動を展開します。
1.財務・経理担当役員、総務担当役員を株主との対話を統括する経営陣として指定しています。
2.当社は、財務部において、情報の収集および管理、開示を統括する責任者およびそれらを実施する担当者を配置し、関連部署と連携しながら、適時かつ公正・適正に情報開示を行っています。
3.当社は、四半期決算および経営計画公表時には決算および経営計画説明会を開催するとともに、「JAL REPORT」、「株主の皆さまへ」の発行および施設見学会の開催等により、投資機会の促進と情報開示の充実に努めています。
4.経営に株主意見を反映するため、株主との対話の結果については、適宜経営陣へのフィードバックを行い、経営陣は株主からの要望や意見、問題意識を共有しています。
5.当社では決算情報の漏えいを防ぎ、公平性を確保するために、当社の業況や決算に係る問合わせへの回答やコメントを一切行わないサイレントピリオドを設定するとともに公表しています。また、社内で、情報の統括管理およびインサイダー情報の管理に努めています。
③内部統制システムの整備および運用状況(2020年3月31日現在)
[内部統制システムの整備状況(基本方針)]
JALグループは、お客さまに最高のサービスを提供し、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献するために、「コーポレート・ガバナンスの基本方針」を定め、その実効性の向上を目指し、以下に述べる体制や事項に関して制度や組織を整え、会社法および会社法施行規則に基づく業務の適正性を確保します。また、内部統制システムの整備・運用状況を評価検証し、是正が必要な場合は改善措置を講じることとします。
1.取締役、使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制を整備します。
a.企業の行動指針である「JALフィロソフィ」を制定し、取締役・使用人にその実践を促します。
b.取締役会が「内部統制システムの基本方針」を決定し、総務部が内部統制システムの整備を推進します。
c.総務部がコンプライアンスに係る業務を統括し、関連規程の整備および運用状況をモニタリングします。
d.取締役・使用人の職務執行が法令等に適合することを確保するための監査体制を整えます。
2.取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制を整備します。
取締役の職務の執行に係る情報は、法令および社内規程に従い、適切に保存・管理します。
3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制を整備します。
JALグループ全体のリスクを管理するために、「グループ安全対策会議」「リスクマネジメント会議」「財務リスク委員会」等を設置し、適切にリスクを管理し、損失の危険の発生を未然に防止します。また、「JALグループ内部統制要綱」等を制定し、総務部が業務の適正性を継続的にモニタリングします。
4.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制を整備します。
a.定例取締役会を月1回開催するとともに、必要に応じて臨時開催し、JALグループの経営方針・計画等に係る重要な意思決定を行います。また、「経営会議」「グループ業績報告会」等の会議体を設置し、取締役の職務の執行の効率性を確保します。
b.社内規程により、職務権限、職制権限、業務分掌等を定め、効率的な職務執行を確保するための分権をします。
5.JALグループにおける業務の適正を確保するための体制を整備します。
a.「JALグループ会社管理規程」を制定し、JALグループ各社が「JALフィロソフィ」に基づいて公正かつ効率的に経営を行う体制を確保します。また、「JALグループ内部統制要綱」を制定し、総務部が業務の適正性を継続的にモニタリングします。
b.JALグループ各社の取締役等の職務の執行に係る事項の会社への報告に関する体制を整備します。
c.JALグループ各社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制を整備します。
d.JALグループ各社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制を整備します。
e.JALグループ各社の取締役等および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制を整備します。
6.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項、監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項を整備します。
7.監査役への報告等に関する体制を整備します。
a.取締役および使用人が監査役に報告するための体制を整備します。
b.JALグループ各社の取締役、監査役、使用人またはこれらの者から報告を受けた者が監査役に報告をするための体制を整備します。
c.報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取り扱いを受けないことを確保するための体制を整備します。
8.監査役の職務の執行について生ずる費用の前払または償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項を整備します。
9.その他監査役会または監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制を整備します。
[内部統制システムの運用状況]
1.取締役、使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制を整備します。
a.「JALフィロソフィ」およびJALグループ行動規範「社会への約束」を定め、教育等を通じてその浸透・実践を促進しています。
b.「内部統制システムの基本方針」および「JALグループ内部統制要綱」を定め、会社法および金融商品取引法の内部統制の整備・運用および評価を適切に行っています。
c.公益通報窓口(社内・社外)を設置し、法令違反等の発生防止に努めるとともに、定期的に社内周知を実施しています。
d.新規取引先候補の属性確認を実施しているほか、3年ごとに定期審査として属性情報に変更がないかレビューを行っています。
e.取締役に対し、法的留意事項等を説明し、「忠実義務」「善管注意義務」を含む取締役の義務、権限および責任について周知徹底を図っています。また使用人等に対し、職務執行に必要な知識習得のための教育を実施し、周知徹底を図っています。
f.監査部は、年度計画に基づき、「JALグループ内部統制要綱」に定められた内部管理体制の整備および運用状況を確認しています。各監査ごとに、経営者へ監査結果を報告し、監査役には定期的に、監査の進捗状況、監査結果を報告しています。
g.整備監査部は、各種法令、社内規程に従った整備業務が実施されていることを確認しています。
h.安全推進本部は、グループ安全対策会議を開催するとともに、安全監査計画に基づき、提出資料等を通じて、経営の安全に係る討議、関与、指示等を確認しています。また、空港に関する内部監査や運航調査を実施しています。
2.取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制を整備します。
a.取締役会そのほかの重要な会議の意思決定に係る情報(文書・議事録)および重要な決裁に係る情報(稟議書)は、法令および取締役会規程・各種会議体規程・決裁及び職務権限に関する規程に従って作成し、法令および文書保管・保存規程に基づき保存・管理しています。
b.電子稟議システムを安全に管理し、適切な運用に努めています。
3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制を整備します。
a.「JALグループ内部統制要綱」および「リスクマネジメントマニュアル」に基づき、多様に変化するリスクに対処できるよう、リスクの定義・評価手法・対応体制等を適切に見直しつつ、JALグループ全体の法令遵守状況を含むリスクの洗い出しを、定期的に実施し、JALグループが抱える潜在・顕在のリスクを抽出して評価を行うとともに、事業改善命令に関する社内検証委員会で認識した諸課題に関する取り組みの進捗をリスクマネジメント会議に報告しています。また、JALグループ全体の航空安全の確保のため、グループ安全対策会議において、安全管理に係る重要な方針の策定を行い、実態把握に努め、必要に応じてその組織、体制、各種施策等の見直しを行っています。
b.不測の事態に備え、安否確認システムを活用したJALグループ全体を対象とした通報訓練を定期的に実施するなど、常日頃より社員一人一人の危機管理意識の醸成と社員に関する早期の状況把握に努めています。
c.本社中枢機能が集約されている都心における直下型地震を想定し、大阪にオペレーションコントロールセンター分室を設置するとともに、外部専門家の知見も活用しつつ、より実効性のある事業継続計画の拡充に取り組んでいます。
d.航空事故・事件の発生時に迅速かつ的確な危機管理対応を実施できるよう、体制を強化し、事故ご被災者・ご遺族との窓口となる世話役や事故対策本部の要員を継続して養成しています。
4.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制を整備します。
a.適切な経営判断を迅速に行うため、社長直下の経営会議体として、「経営会議」「グループ業績報告会」等を設置しています。
b.職制規程により、会社の職制について基本事項を明確化し、会議体規程、決裁及び職務権限に関する規程、業務分掌規程に基づき、効率的に職務が執行できるようにしています。
c.取締役会の実効性評価等を通じて、職務権限と会議体の運営方法を毎年レビューするとともに、持続的な成長に向けて、戦略的な討議を実現する環境を整備しています。
5.JALグループにおける業務の適正を確保するための体制を整備します。
a.「JALグループ会社管理規程」および「JALグループ内部統制要綱」を制定し、総務部が主体となり業務の適正性をモニタリングしています。
b.日常的に、JALグループ各社の総務部門と連携・情報共有し、コンプライアンスおよびリスクマネジメント指導を行っているほか、発生した事案の処理・再発防止策策定を通じて各社各部門のコンプライアンス・リスクマネジメント体制強化に資する指導を重ねています。
c.JALグループ各社の効率的な職務執行が確保されるよう、取締役会規程、職務権限基準等を定めるとともに、各社の取締役等の職務の執行に係る情報は、法令および社内規則に従い、適切に保存・管理しています。
d.ロービング・拡大業績報告会等を通じ、JALグループ中期経営計画や年度運営方針の重点項目を確認し、目標達成に向けた取り組みが確実に実行されていることをモニタリングしています。
e.「JALフィロソフィ」およびJALグループ行動規範「社会への約束」を定め、教育等を通じてその浸透・実践を促進しています。
f.監査部は適切に監査しています。
g.整備監査部は各種法令、社内規程に従った整備業務が実施されていることを確認しています。
h.安全推進本部は、グループ安全対策会議を開催するとともに、安全監査計画に基づき、提出資料等を通じて、経営の安全に係る討議、関与、指示等を確認しています。また、支店への安全ロービングや運航調査等を実施しています。
6.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項、監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項を整備します。
監査役監査の実効性を高め、かつ監査業務を円滑に遂行するため、取締役から独立した組織を設け、使用人(監査役スタッフ)を配置しています。また、監査役スタッフは監査役の業務指示・命令を受け、その人事は監査役の同意のもとに行っています。
7.監査役への報告等に関する体制を整備します。
a.監査役は取締役会ほか重要会議に出席し、役員決裁以上の稟議を閲覧するほか、社長インタビュー・関連部のヒアリング・社内各部署の往査等を通じ会社業務の執行状況を監査しています。
b.監査役は子会社監査役と定期的に意見・情報交換を行うほか、子会社の往査を実施しています。
c.公益通報窓口(社内・社外)を設置し、コンプライアンスに係る相談や、組織的または個人的な法令および社内規程違反行為に係る公益通報をした者を保護する体制を整備しています。
8.監査役の職務の執行について生ずる費用の前払または償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項を整備します。
監査役監査に必要な費用は適切に支払っています。
9.その他監査役会または監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制を整備します。
監査役は監査部および監査法人と定期的に意見・情報交換を実施し監査の実効性を高めています。
④責任限定契約の内容の概要
当社と各社外取締役および各監査役との間では、それぞれ、会社法第427条第1項および当社定款の規定に基づき、同法第423条第1項に定める損害賠償責任の限度額について、同法第425条第1項に定める最低責任限度額とする責任限定契約を締結しております。
⑤取締役の定数
当社の取締役は3名以上15名以内とする旨定款で定めております。
⑥取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。なお、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨定款に定めております。
⑦株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行なうことを目的とするものです。
⑧中間配当
当社は、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款を定めております。これは、株主の皆様への利益配分の機会を充実させるためです。
⑨自己の株式の取得
当社は、会社法第165条第2項および第459条第1項第1号の規定により、取締役会の決議をもって、自己の株式を取得することができる旨定款に定めております。これは、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするため、市場取引等により自己の株式を取得することを目的とするものです。
⑩取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役会の決議をもって取締役および監査役(取締役および監査役であった者を含む)の損害賠償責任を法令に定める限度において取締役会の決議によって免除することができる旨定款に定めております。これは、取締役および監査役が職務を遂行するにあたり、その能力を十分に発揮して、期待される役割を果たし得る環境を整備することを目的とするものです。