有価証券報告書-第73期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/22 15:00
【資料】
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【項目】
137項目

当社は、株主の皆さまへの還元を経営の最重要事項のひとつとしてとらえており、将来における企業成長と経営環境の変化に対応するための投資や強固な財務体質構築に資する内部留保を確保しつつ、継続的・安定的な配当に加え、自己株式の取得を柔軟に行うことで、株主の皆さまへの還元を積極的に行うことを基本方針としております。
新型コロナウイルス感染拡大の長期化により当社の財務状況は大きな影響を受けたことから、足許を「財務再構築フェーズ」と位置付け、財務基盤の再構築とリスク耐性を強化することを優先することといたします。そして早期に財務基盤の再構築を成し遂げ、「持続的成長フェーズ」へ移行し、キャッシュ・フロー創出力の回復に沿って株主還元、サステナブルな成長に向けた投資にキャッシュ・フロー配分を徐々にシフトしてまいります。
「持続的成長フェーズ」における配当金額については、配当性向を概ね35%程度を目安としつつ、継続性・安定性および予測可能性を重視して決定してまいります。加えて、自己株式の取得については、当社の財務状況などを見据え、積極的かつ柔軟に実施を検討いたします。これにより、当社は、ステークホルダーの皆さまへの期間利益および経営資源の適切な配分を実施することで、配当金総額と自己株式取得額の合計額を踏まえた総還元性向について、概ね35%から50%程度の範囲となるよう努めてまいります。
また、資本効率の向上にも継続的に取り組み、配当金総額と自己株式取得額の合計額を株主に帰属する資本で除した「株主資本総還元率」の水準にも留意し、同指標については概ね3%以上となるよう努めてまいります。
なお、当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
新型コロナウイルス感染拡大の影響はようやく収束に向かいつつあり、国内線を中心に旅客需要の回復が見込める状況になってまいりましたが、当連結会計年度の業績は、コロナ禍による旅客需要の回復遅れにより2期連続で大幅な損失を計上することとなりました。加えて、地政学リスクの顕在化や原油市況の高騰といった直近の当社グループを取り巻く経営環境を踏まえると、リスク耐性を強化すべく手元流動性の確保と財務体質の強化を最優先することが最善であると判断し、2020年度、2021年度の2期連続で無配とさせていただきました。株主の皆さまには大変申し訳なく思っておりますが、当社グループが現在置かれている状況に鑑み、ご理解を賜りたく存じます。2023年3月期については、新型コロナウイルス感染拡大の影響から国際旅客需要の回復にはまだ相応の時間を要するものの、国内旅客需要については力強い回復が見通せる状況になっております。地政学リスクの顕在化や原油市況 の高騰等のリスクへの警戒は必要なものの、今後大きなイベントリスクが発生しない限り業績の回復とキャッシュ・フロー創出力の改善の目途が立ってきたことから、2023年3月期末までに復配を目指すことといたします。なお、中間および期末配当予想については、今後の経営環境の変化を見極めつつ、業績回復の進捗状況をより確実に見通すことができる段階でお示しすることといたします。早期に業績を回復軌道に乗せ財務再構築を成し遂げ、再び継続的かつ安定的な株主還元の実現に努めてまいります。