有価証券報告書-第101期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による個人消費の低迷が続き、未だ先行きの不確実性が高い状況が継続しております。世界経済は、新型コロナウイルスの感染者数が増加している一方で、製造業を中心に回復傾向にありますが、依然として景気の先行きは不透明な状況となっております。
このような状況下、当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金の減少等により前連結会計年度末比593百万円減の52,461百万円となりました。負債は、借入金の増加等により前連結会計年度末比383百万円増の34,451百万円となりました。純資産は、利益剰余金の減少等により前連結会計年度末比976百万円減の18,009百万円となりました。この結果、自己資本比率は35.8%から34.3%になりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は前年同期比2,907百万円減収(△13.3%)の18,879百万円、営業損益は前年同期比349百万円減益の1,233百万円の損失、経常損益は前年同期比248百万円減益の1,329百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は前年同期比1,266百万円減益の1,186百万円の損失となりました。
当社グループのセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 外航海運事業(ロジスティクス)
外航海運事業におけるハンディ船市況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で期初に一時的に大きく下落しましたが、その後は順調に回復し、年度終盤には損益分岐点を大きく上回る水準に上昇いたしました。一方、船員交代問題や船舶修繕ドックにおけるリモート対応等の安全航行維持に対しての課題は多く継続しており、これらによる費用増大も続きました。このような状況下、当社グループの外航海運事業におきましては、売上高は、前連結会計年度における保有船舶の売船や長期借船返船に伴う稼働日数の減少等により前年同期比2,362百万円減収(△18.6%)の10,371百万円、セグメント損益は新型コロナウイルスの感染拡大による船舶の維持管理コスト増加の影響等により前年同期比108百万円悪化し、2,709百万円の損失(前年同期は2,601百万円の損失)となりました。
セグメント資産は、船舶の取得による有形固定資産の増加等により前連結会計年度末比70百万円増加し、25,476百万円となりました。
② 倉庫・運送事業(ロジスティクス)
物流業界におきましては、貨物保管残高は前年同期をやや上回る水準で推移しましたが、貨物取扱量は国内経済活動全般が抑制され荷動きが鈍化したことから前年同期を下回る水準で推移いたしました。このような状況下、当社グループの倉庫・運送事業におきましては、一般貨物に係る倉庫事業では既存荷主の取扱物量が減少いたしましたが、新規顧客の獲得やスポット案件の受注の積み上げが寄与し、取扱高は小幅な減少に留まりました。一方で、連結子会社の引越業では、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減退に伴い、取扱高が大幅に減少いたしました。結果として、売上高は前年同期比479百万円減収(△10.9%)の3,904百万円となりました。セグメント損益は、上述の引越業における取扱高の減少や2020年4月稼働の新設文書倉庫における減価償却費の増加等により前年同期比244百万円減益の198百万円の損失(前年同期は45百万円の利益)となりました。
セグメント資産は、倉庫建設による有形固定資産の増加等により前連結会計年度末比592百万円増加し、5,073百万円となりました。
③ 不動産事業
都心部の賃貸オフィスビル市況は低水準で推移していた空室率が緩やかに上昇しており、今後も、新型コロナウイルスの感染拡大を契機としたテレワークの普及により、オフィス需要の鈍化が懸念されます。その一方で、東京23区の賃貸マンション市況については引き続き堅調に推移しております。このような状況下、当社グループの不動産事業におきましては、既存賃貸物件は概ね安定して高稼働を維持しております。集客が困難となった店舗テナントへの賃料減免や一部の既存賃貸物件の若干の稼働率低下により、売上高は前年同期比65百万円減収(△1.4%)の4,603百万円、セグメント利益は前年同期比63百万円減益(△2.5%)の2,489百万円となりました。
セグメント資産は、主に既存賃貸物件の減価償却費の計上等により前連結会計年度末比287百万円減少し、13,238百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純損失1,394百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益131百万円)を計上したこと等により、前連結会計年度末と比較して2,207百万円減少し、7,137百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動の結果として得られた資金は、2,431百万円(前年同期比35.0%増)となりました。これは主として、非資金損益項目である減価償却費3,214百万円等によるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動の結果として使用した資金は、4,629百万円(前年同期比20.1%減)となりました。これは主として、固定資産の取得による支出等によるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動の結果として使用した資金は、65百万円(前年同期は1,875百万円の資金の獲得)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び調達並びに設備関係割賦債務の返済等によるものです。
(3)生産、受注及び販売の状況
①売上高
当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②船舶の稼動状況
(注)以下の船舶については、当連結会計年度に船名を変更しております。旧船名は( )内に記載しております。
KEN UN(ULTRA LASCAR)
③主要品目別輸送量
(注)1.上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。
2.以下の船舶については、当連結会計年度に船名を変更しております。旧船名は( )内に記載しております。
KEN BREEZE(ISS BREEZE)、KEN SPIRIT(ISS SPIRIT)、KEN RYU(ISS CANTATA)、KEN VISTA(SANTA VISTA)
(注)上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は中期経営計画「Beyond120」の初年度となりました。
外航海運事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大により将来を予測することが難しい状況における中期経営計画の公表でしたが、中期経営計画公表後の海運市況は順調に回復し、売上高、営業損益において、計画値を上回りました。
倉庫・運送事業におきましては、カイゼン活動によるコストコントロールの効果によって、売上高、営業損益において、計画値を上回りました。
不動産事業におきましては、適正な賃料設定により、各物件ともに概ね安定した高稼働を維持しております。
① 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末比593百万円減の52,461百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、借入金の増加等により、前連結会計年度末比383百万円増の34,451百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末比976百万円減の18,009百万円となりました。
② 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前年同期比2,907百万円減収(△13.3%)の18,879百万円となりました。これは主として、外航海運事業における保有船舶の売船や長期借船返船に伴う稼働日数の減少等によるものです。外航海運事業におけるハンディ船市況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で期初に一時的に大きく下落しましたが、その後は順調に回復し、年度終盤には損益分岐点を大きく上回る水準に上昇し、その結果、年間平均のハンディ船市況は前連結会計年度と概ね同水準(約7,000ドル)となりました。
セグメント別の売上高については、「1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(営業損益)
当連結会計年度における営業損益は、前年同期比349百万円減益の1,233百万円の損失となりました。これは主として、倉庫・運送事業における引越取扱高の減少や2020年4月稼働の新設文書倉庫における減価償却費の増加等によるものであります。また、外航海運事業における新型コロナウイルス感染拡大の影響により、船員交代問題やドックのリモート対応等の必要性は継続しており、船舶の維持管理コスト増大の影響が継続いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損益は、前年同期比1,266百万円減益の1,186百万円の損失となりました。これは主として、前連結会計年度において計上したシンガポール子会社の子会社清算益444百万円および船舶3隻等の売却による固定資産売却益807百万円が剥落したことに加え、当連結会計年度において繰延税金資産を追加計上し、法人税等調整額△218百万円を計上した影響等によるものであります。
今後の見通しにつきましては、外航海運事業では新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により一時は大きく下落した市況も、現下は回復し高水準で推移しており、今後も米国や中国を中心に旺盛な資源需要が予想され、バルク貨物荷動きの増加や船舶に対する環境規制強化の影響による船腹需給の引き締まりにより、ハンディ船市況は堅調に推移することが予想されます。一方、欧州やインド等一部地域では新型コロナウイルスの再拡大によるロックダウンが再発しており、今後もコロナウイルスによる実体経済の停滞シナリオや、新興国の経済危機や株バブルの崩壊など突発的な経済危機が発生するリスクも想定されます。
倉庫・運送事業では、一般貨物や文書保管に係る倉庫事業においては、新型コロナウイルス感染の影響は限定的であるものと見込んでおります。他方、需要が減退している引越事業においては、事務所移転の需要改善等により徐々に回復の兆しが見られますが、転勤引越需要の減少等の影響を引き続き受けており、予断を許さない状況が続いております。そのような状況の中、コストを抑えつつも、社会課題となっているドライバーの高齢化や人材不足等の課題に対しても取り組み、安全で働き甲斐のある労働環境づくりを推進し、需要の回復に備えていきます。
不動産事業では、シェア型企業寮、月島壮の入居率が低下しております。物件の特性から、コロナ禍の状況によっては回復が期待できない可能性もあります。また、新型コロナウイルス対策や働き方改革に伴うテレワークの増加等により都心部の賃貸オフィスビルの空室率が緩やかに上昇しております。現時点における当社賃貸物件への影響は限定的なものではありますが、今後の状況を慎重に見極めた対応を必要としております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 財務政策
当社グループは、外航海運事業において、米ドル建てによる収入を得る一方で、従業員に対する給与の支払など円建てによる支出もあるため、為替変動による影響を受けやすい環境にあります。そのため、円・米ドル双方の通貨建てによる収益がある場合には、双方の通貨を多く保有することで、為替変動による資金効率の悪化を抑えることとしており、当社の現預金の保有は、他業種と比較して、事業規模に比して多くなる傾向にあります。また、運賃市況が悪い時は、船価は低く、絶好の船舶購入の機会が到来しますが、運賃市況の低迷時には、融資案件を成約させるのは大変な苦労が伴うため、手元資金が十分でなければ、絶好の船舶購入の機会を逃すことになります。一定の現預金を保有して、商機を逃さないよう準備を整えております。
なお、当社グループは、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行4行と当座貸越契約を締結しております。当連結会計年度末における当座貸越契約に係る借入未実行残高は500百万円であります。
また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は29,139百万円、現金及び現金同等物の残高は7,137百万円となっております。
③ 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、船舶の購入や重要な不動産資産の資産価値の維持等に係る設備資金、運転資金、借入金の返済、配当金の支払い等であります。また、容積率に余裕のある「プラザ勝どき(賃貸マンション)」において、建替えにより床面積を大幅に増加させ、将来の中長期的な収益性を向上させるべく、現在、大型再開発の検討を進めております。資金計画等については何ら決定した事実はありませんが、現状、工事費のみで数百億円規模となることが見込まれており、その実現に向けた資金面での備えが必要となります。
④ 資金調達
当社グループは現在、運転資金については内部資金又は金融機関からの短期借入金により充当し、設備資金については、設備投資計画に基づき、調達計画を作成し、内部資金又は金融機関からの長期借入金により調達を行っております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社保有の不動産資産の一定の含み益を背景に、超長期に資産から資金を抽出するアセットバックローンや、不動産資産の含み益を活用したファイナンス等、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保し、事業の基盤を整えております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について」に記載のとおり、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の会計上の見積りが当社グループの財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
① 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業所別等の管理会計上の区分を単位としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
2021年3月31日現在のセグメントごとの有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額は以下のとおりです。
(外航海運事業)
当社保有船舶全船を1船団としてグルーピングを行っております。今後、海運市況の悪化等により固定資産の収益性が低下した場合は、減損損失の計上の可能性があります。
なお、2016年3月期において、主に船舶について13,960百万円の減損損失を計上しております。この際の回収可能額は正味売却価額により測定しており、第三者により合理的に算定された評価額により算定致しました。
(倉庫・運送事業)
主に事業所別にグルーピングを行っております。当連結会計年度において、一部事業所の収益性の低下が認められたため、減損損失(59百万円)を特別損失として計上しております。
(不動産事業)
主に事業所別にグルーピングを行っております。新型コロナウイルス感染症拡大による不動産市況の先行き懸念はあるものの、当社保有物件は簿価に比して多くの含み益を有しており、多額の減損損失の計上の可能性は低いものと認識しております。
② 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性が低下した場合に評価性引当額を計上することとしております。評価性引当額の計上に関する必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の一部又は全部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を収益として計上します。
当連結会計年度末においては繰延税金資産を216百万円計上しております(但し、繰延税金負債との相殺消去により連結貸借対照表上は計上しておりません。)。詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
③ 航海日割基準に基づく収益認識
当社グループは、期末日を跨ぐ航海(期跨り航海)については、各航海の海運業収益総額に、見積総航海日数に対する期末日時点の進捗率を乗じて見積り計上しております。海運業収益の測定方法に含まれる総航海日数の見積りは、将来の航行スケジュールや予想停泊期間等の仮定を用いておりますが、将来の航行スケジュールは見積りの不確実性が高く、気象海象や港の混雑状況等によって変動します。総航海日数が変動した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。また、航海完了後に見積りと実績の比較を行い、見積りの合理性を確認しております。
当連結会計年度において航海日割基準に基づき計上した海運業収益の金額は778百万円であります。詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2020年度8月に中期経営計画(計画期間:2020年4月~2023年3月)を策定しております。計画の概要は、当社ホームページをご参照ください。
(https://ssl4.eir-parts.net/doc/9308/ir_material3/145286/00.pdf)
中期経営計画の1年目である当連結会計年度の達成・進捗状況は次のとおりであります。
売上高は、計画比720百万円増収(+2.7%)の18,879百万円となりました。これは、主に外航海運事業において、ハンディ船市況回復による増収要因があったこと等によるものであります。2020年度のハンディ船市況は、平均1日あたり約7,000ドルであり、計画値6,400ドルを上回りました。
営業損益は、外航海運事業におけるハンディ船市況が回復した影響等により、計画比+774百万円増収の1,233百万円の損失となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、上記の営業損失改善の影響に加え、繰延税金資産を追加計上し、法人税等調整額△218百万円を計上した影響等により、計画比1,032百万円増益の1,186百万円の損失となりました。
ROEは、当期純利益の増加により計画比6.0ポイント増加し△6.4%となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による個人消費の低迷が続き、未だ先行きの不確実性が高い状況が継続しております。世界経済は、新型コロナウイルスの感染者数が増加している一方で、製造業を中心に回復傾向にありますが、依然として景気の先行きは不透明な状況となっております。
このような状況下、当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金の減少等により前連結会計年度末比593百万円減の52,461百万円となりました。負債は、借入金の増加等により前連結会計年度末比383百万円増の34,451百万円となりました。純資産は、利益剰余金の減少等により前連結会計年度末比976百万円減の18,009百万円となりました。この結果、自己資本比率は35.8%から34.3%になりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は前年同期比2,907百万円減収(△13.3%)の18,879百万円、営業損益は前年同期比349百万円減益の1,233百万円の損失、経常損益は前年同期比248百万円減益の1,329百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は前年同期比1,266百万円減益の1,186百万円の損失となりました。
当社グループのセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 外航海運事業(ロジスティクス)
外航海運事業におけるハンディ船市況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で期初に一時的に大きく下落しましたが、その後は順調に回復し、年度終盤には損益分岐点を大きく上回る水準に上昇いたしました。一方、船員交代問題や船舶修繕ドックにおけるリモート対応等の安全航行維持に対しての課題は多く継続しており、これらによる費用増大も続きました。このような状況下、当社グループの外航海運事業におきましては、売上高は、前連結会計年度における保有船舶の売船や長期借船返船に伴う稼働日数の減少等により前年同期比2,362百万円減収(△18.6%)の10,371百万円、セグメント損益は新型コロナウイルスの感染拡大による船舶の維持管理コスト増加の影響等により前年同期比108百万円悪化し、2,709百万円の損失(前年同期は2,601百万円の損失)となりました。
セグメント資産は、船舶の取得による有形固定資産の増加等により前連結会計年度末比70百万円増加し、25,476百万円となりました。
② 倉庫・運送事業(ロジスティクス)
物流業界におきましては、貨物保管残高は前年同期をやや上回る水準で推移しましたが、貨物取扱量は国内経済活動全般が抑制され荷動きが鈍化したことから前年同期を下回る水準で推移いたしました。このような状況下、当社グループの倉庫・運送事業におきましては、一般貨物に係る倉庫事業では既存荷主の取扱物量が減少いたしましたが、新規顧客の獲得やスポット案件の受注の積み上げが寄与し、取扱高は小幅な減少に留まりました。一方で、連結子会社の引越業では、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減退に伴い、取扱高が大幅に減少いたしました。結果として、売上高は前年同期比479百万円減収(△10.9%)の3,904百万円となりました。セグメント損益は、上述の引越業における取扱高の減少や2020年4月稼働の新設文書倉庫における減価償却費の増加等により前年同期比244百万円減益の198百万円の損失(前年同期は45百万円の利益)となりました。
セグメント資産は、倉庫建設による有形固定資産の増加等により前連結会計年度末比592百万円増加し、5,073百万円となりました。
③ 不動産事業
都心部の賃貸オフィスビル市況は低水準で推移していた空室率が緩やかに上昇しており、今後も、新型コロナウイルスの感染拡大を契機としたテレワークの普及により、オフィス需要の鈍化が懸念されます。その一方で、東京23区の賃貸マンション市況については引き続き堅調に推移しております。このような状況下、当社グループの不動産事業におきましては、既存賃貸物件は概ね安定して高稼働を維持しております。集客が困難となった店舗テナントへの賃料減免や一部の既存賃貸物件の若干の稼働率低下により、売上高は前年同期比65百万円減収(△1.4%)の4,603百万円、セグメント利益は前年同期比63百万円減益(△2.5%)の2,489百万円となりました。
セグメント資産は、主に既存賃貸物件の減価償却費の計上等により前連結会計年度末比287百万円減少し、13,238百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純損失1,394百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益131百万円)を計上したこと等により、前連結会計年度末と比較して2,207百万円減少し、7,137百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動の結果として得られた資金は、2,431百万円(前年同期比35.0%増)となりました。これは主として、非資金損益項目である減価償却費3,214百万円等によるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動の結果として使用した資金は、4,629百万円(前年同期比20.1%減)となりました。これは主として、固定資産の取得による支出等によるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動の結果として使用した資金は、65百万円(前年同期は1,875百万円の資金の獲得)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び調達並びに設備関係割賦債務の返済等によるものです。
(3)生産、受注及び販売の状況
①売上高
当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 外航海運事業(百万円) | 10,371 | 81.4 |
| 倉庫・運送事業(百万円) | 3,904 | 89.1 |
| 不動産事業(百万円) | 4,603 | 98.6 |
| 合計(百万円) | 18,879 | 86.7 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 東急住宅リース㈱ | 2,291 | 10.5 | 2,262 | 12.0 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②船舶の稼動状況
| 船名 | 第100期(2019年4月1日~2020年3月31日) | 第101期(2020年4月1日~2021年3月31日) | ||||||
| 総日数(日) | 稼働日数(日) | 稼働率(%) | 補足 | 総日数(日) | 稼働日数(日) | 稼働率(%) | 補足 | |
| KEN SAN | 310 | 302 | 97 | 2月 売船 | - | - | - | |
| KEN TEN | 354 | 331 | 93 | 3月 売船 | - | - | - | |
| KEN GOH | 366 | 352 | 96 | 6月 臨時修繕 | 365 | 360 | 99 | |
| KEN YU | 326 | 317 | 97 | 2月 売船 | - | - | - | |
| KEN REI | 366 | 366 | 100 | 365 | 360 | 99 | ||
| KEN MEI | 366 | 366 | 100 | 365 | 360 | 99 | ||
| KEN HOU | 366 | 331 | 90 | 11月 定期検査 | 365 | 362 | 99 | |
| KEN SEI | 366 | 366 | 100 | 365 | 347 | 95 | 5月 定期検査 | |
| KEN TOKU | 366 | 366 | 100 | 365 | 332 | 91 | 8月 定期検査 | |
| KEN KON | 366 | 366 | 100 | 365 | 365 | 100 | ||
| KEN EI | 366 | 366 | 100 | 365 | 362 | 99 | ||
| KEN SHIN | 366 | 296 | 81 | 10月 定期検査 | 365 | 362 | 99 | |
| KEN JYO | 366 | 366 | 100 | 365 | 361 | 99 | ||
| KEN HOPE | 366 | 366 | 100 | 365 | 317 | 87 | 10月 定期検査 | |
| KEN BOS | 222 | 222 | 100 | 8月 竣工 | 365 | 364 | 100 | |
| KEN ANN | 147 | 147 | 100 | 11月 竣工 | 365 | 363 | 100 | |
| KEN BREEZE | 366 | 342 | 93 | 12月 中間検査・船名変更 | 365 | 233 | 64 | 臨時修繕 |
| KEN SPIRIT | 366 | 344 | 94 | 8月 中間検査・船名変更 | 365 | 352 | 96 | |
| KEN RYU | 366 | 349 | 95 | 10月 中間検査・船名変更 | 365 | 360 | 99 | |
| KEN UN | 366 | 365 | 100 | 365 | 290 | 80 | 12月 定期検査・船名変更 | |
| KEN YO | 366 | 366 | 100 | 365 | 338 | 93 | 9月 中間検査 | |
| KEN VOYAGER | 366 | 362 | 99 | 365 | 289 | 79 | 9月 定期検査 | |
| KEN SKY | 366 | 366 | 100 | 365 | 343 | 94 | 9月 定期検査 | |
| KEN VISTA | 366 | 336 | 92 | 8月 中間検査・船名変更 | 365 | 362 | 99 | |
| KEN HARU | - | - | - | 15 | 15 | 100 | 3月 竣工 | |
| 他社定期用船 | 1,822 | 1,783 | 98 | 1,157 | 1,151 | 99 | ||
| 合計又は平均 | 10,136 | 9,838 | 97 | 8,837 | 8,350 | 94 | ||
(注)以下の船舶については、当連結会計年度に船名を変更しております。旧船名は( )内に記載しております。
KEN UN(ULTRA LASCAR)
③主要品目別輸送量
| 船名 | 第100期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||||||
| 木材 (キロトン) | 穀物 (キロトン) | 石炭 (キロトン) | セメント (キロトン) | スラグ (キロトン) | その他 (キロトン) | 合計 (キロトン) | |
| KEN SAN | - | - | 20,280 | 46,420 | - | 16,500 | 83,200 |
| KEN TEN | - | - | 102,475 | 67,535 | - | 16,500 | 186,510 |
| KEN GOH | 31,805 | 100,153 | - | - | - | 30,520 | 162,477 |
| KEN YU | - | - | 79,991 | 87,380 | - | - | 167,371 |
| KEN REI | 95,061 | - | - | - | 27,500 | - | 122,561 |
| KEN MEI | - | 26,330 | - | - | 56,158 | 43,250 | 125,738 |
| KEN HOU | - | 51,492 | - | - | 76,051 | 52,595 | 180,138 |
| KEN SEI | - | 68,952 | - | - | 27,500 | - | 96,452 |
| KEN TOKU | - | 102,321 | 27,500 | - | - | - | 129,821 |
| KEN KON | - | 30,191 | - | 41,001 | - | 169,211 | 240,403 |
| KEN EI | - | 103,313 | - | - | - | - | 103,313 |
| KEN SHIN | - | 95,662 | - | - | 27,500 | - | 123,162 |
| KEN JYO | 111,603 | 70,199 | - | - | - | 25,000 | 206,803 |
| KEN HOPE | 125,439 | - | - | - | 30,250 | 30,184 | 185,873 |
| KEN BOS | 76,634 | - | - | - | 30,000 | - | 106,634 |
| KEN ANN | 79,478 | 34,193 | - | - | - | - | 113,671 |
| KEN BREEZE | - | 35,852 | - | - | - | 33,000 | 68,852 |
| KEN SPIRIT | - | 26,500 | - | - | - | - | 26,500 |
| KEN RYU | 56,527 | - | 22,000 | - | 21,350 | 30,410 | 130,287 |
| KEN YO | - | 30,278 | - | 26,100 | - | 51,325 | 107,704 |
| KEN SKY | - | 52,377 | 27,030 | 22,000 | - | 15,905 | 117,311 |
| KEN VISTA | 155,511 | 36,056 | - | - | - | 55,521 | 247,088 |
| 他社定期用船 | - | 203,003 | 66,368 | 69,960 | - | 48,750 | 388,082 |
| 合計 | 732,058 | 1,066,871 | 345,644 | 360,396 | 296,309 | 618,671 | 3,419,949 |
(注)1.上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。
2.以下の船舶については、当連結会計年度に船名を変更しております。旧船名は( )内に記載しております。
KEN BREEZE(ISS BREEZE)、KEN SPIRIT(ISS SPIRIT)、KEN RYU(ISS CANTATA)、KEN VISTA(SANTA VISTA)
| 船名 | 第101期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||||||
| 木材 (キロトン) | 穀物 (キロトン) | 肥料 (キロトン) | セメント (キロトン) | 石炭 (キロトン) | その他 (キロトン) | 合計 (キロトン) | |
| KEN GOH | - | 145,258 | - | - | - | - | 145,258 |
| KEN REI | 69,172 | - | 29,949 | - | - | - | 99,121 |
| KEN MEI | - | 26,330 | - | 28,350 | - | 68,631 | 123,310 |
| KEN HOU | - | 82,443 | - | - | 47,000 | - | 129,443 |
| KEN SEI | - | 29,153 | - | - | - | - | 29,153 |
| KEN TOKU | - | 27,417 | - | - | - | 44,001 | 71,417 |
| KEN KON | - | 94,044 | - | 30,671 | - | 42,008 | 166,723 |
| KEN EI | - | 94,737 | - | - | - | - | 94,737 |
| KEN SHIN | - | 83,058 | - | 60,162 | - | 25,400 | 168,620 |
| KEN JYO | 151,223 | 34,562 | 27,872 | - | - | 28,512 | 242,168 |
| KEN HOPE | 134,033 | - | 26,834 | - | - | - | 160,867 |
| KEN BOS | 188,768 | 32,534 | 26,881 | - | - | - | 248,183 |
| KEN ANN | 192,770 | 34,193 | 32,932 | - | - | - | 259,895 |
| KEN SPIRIT | - | 26,500 | - | 29,800 | - | 31,533 | 87,833 |
| KEN RYU | 96,503 | 30,626 | 51,896 | - | - | 30,410 | 209,435 |
| KEN UN | - | 31,550 | - | - | - | - | 31,550 |
| KEN YO | - | - | - | - | 33,000 | - | 33,000 |
| KEN VOYAGER | - | - | - | 66,000 | - | 37,000 | 103,000 |
| KEN SKY | - | 24,669 | - | - | 39,000 | 42,830 | 106,499 |
| KEN VISTA | 154,740 | - | 63,413 | - | - | - | 218,153 |
| KEN HARU | - | - | 25,000 | - | - | - | 25,000 |
| 他社定期用船 | - | 71,300 | - | 66,000 | 55,408 | 105,799 | 298,508 |
| 合計又は平均 | 987,208 | 868,371 | 284,777 | 280,983 | 174,408 | 456,124 | 3,051,871 |
(注)上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は中期経営計画「Beyond120」の初年度となりました。
外航海運事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大により将来を予測することが難しい状況における中期経営計画の公表でしたが、中期経営計画公表後の海運市況は順調に回復し、売上高、営業損益において、計画値を上回りました。
倉庫・運送事業におきましては、カイゼン活動によるコストコントロールの効果によって、売上高、営業損益において、計画値を上回りました。
不動産事業におきましては、適正な賃料設定により、各物件ともに概ね安定した高稼働を維持しております。
① 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末比593百万円減の52,461百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、借入金の増加等により、前連結会計年度末比383百万円増の34,451百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末比976百万円減の18,009百万円となりました。
② 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前年同期比2,907百万円減収(△13.3%)の18,879百万円となりました。これは主として、外航海運事業における保有船舶の売船や長期借船返船に伴う稼働日数の減少等によるものです。外航海運事業におけるハンディ船市況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で期初に一時的に大きく下落しましたが、その後は順調に回復し、年度終盤には損益分岐点を大きく上回る水準に上昇し、その結果、年間平均のハンディ船市況は前連結会計年度と概ね同水準(約7,000ドル)となりました。
セグメント別の売上高については、「1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(営業損益)
当連結会計年度における営業損益は、前年同期比349百万円減益の1,233百万円の損失となりました。これは主として、倉庫・運送事業における引越取扱高の減少や2020年4月稼働の新設文書倉庫における減価償却費の増加等によるものであります。また、外航海運事業における新型コロナウイルス感染拡大の影響により、船員交代問題やドックのリモート対応等の必要性は継続しており、船舶の維持管理コスト増大の影響が継続いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損益は、前年同期比1,266百万円減益の1,186百万円の損失となりました。これは主として、前連結会計年度において計上したシンガポール子会社の子会社清算益444百万円および船舶3隻等の売却による固定資産売却益807百万円が剥落したことに加え、当連結会計年度において繰延税金資産を追加計上し、法人税等調整額△218百万円を計上した影響等によるものであります。
今後の見通しにつきましては、外航海運事業では新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により一時は大きく下落した市況も、現下は回復し高水準で推移しており、今後も米国や中国を中心に旺盛な資源需要が予想され、バルク貨物荷動きの増加や船舶に対する環境規制強化の影響による船腹需給の引き締まりにより、ハンディ船市況は堅調に推移することが予想されます。一方、欧州やインド等一部地域では新型コロナウイルスの再拡大によるロックダウンが再発しており、今後もコロナウイルスによる実体経済の停滞シナリオや、新興国の経済危機や株バブルの崩壊など突発的な経済危機が発生するリスクも想定されます。
倉庫・運送事業では、一般貨物や文書保管に係る倉庫事業においては、新型コロナウイルス感染の影響は限定的であるものと見込んでおります。他方、需要が減退している引越事業においては、事務所移転の需要改善等により徐々に回復の兆しが見られますが、転勤引越需要の減少等の影響を引き続き受けており、予断を許さない状況が続いております。そのような状況の中、コストを抑えつつも、社会課題となっているドライバーの高齢化や人材不足等の課題に対しても取り組み、安全で働き甲斐のある労働環境づくりを推進し、需要の回復に備えていきます。
不動産事業では、シェア型企業寮、月島壮の入居率が低下しております。物件の特性から、コロナ禍の状況によっては回復が期待できない可能性もあります。また、新型コロナウイルス対策や働き方改革に伴うテレワークの増加等により都心部の賃貸オフィスビルの空室率が緩やかに上昇しております。現時点における当社賃貸物件への影響は限定的なものではありますが、今後の状況を慎重に見極めた対応を必要としております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 財務政策
当社グループは、外航海運事業において、米ドル建てによる収入を得る一方で、従業員に対する給与の支払など円建てによる支出もあるため、為替変動による影響を受けやすい環境にあります。そのため、円・米ドル双方の通貨建てによる収益がある場合には、双方の通貨を多く保有することで、為替変動による資金効率の悪化を抑えることとしており、当社の現預金の保有は、他業種と比較して、事業規模に比して多くなる傾向にあります。また、運賃市況が悪い時は、船価は低く、絶好の船舶購入の機会が到来しますが、運賃市況の低迷時には、融資案件を成約させるのは大変な苦労が伴うため、手元資金が十分でなければ、絶好の船舶購入の機会を逃すことになります。一定の現預金を保有して、商機を逃さないよう準備を整えております。
なお、当社グループは、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行4行と当座貸越契約を締結しております。当連結会計年度末における当座貸越契約に係る借入未実行残高は500百万円であります。
また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は29,139百万円、現金及び現金同等物の残高は7,137百万円となっております。
③ 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、船舶の購入や重要な不動産資産の資産価値の維持等に係る設備資金、運転資金、借入金の返済、配当金の支払い等であります。また、容積率に余裕のある「プラザ勝どき(賃貸マンション)」において、建替えにより床面積を大幅に増加させ、将来の中長期的な収益性を向上させるべく、現在、大型再開発の検討を進めております。資金計画等については何ら決定した事実はありませんが、現状、工事費のみで数百億円規模となることが見込まれており、その実現に向けた資金面での備えが必要となります。
④ 資金調達
当社グループは現在、運転資金については内部資金又は金融機関からの短期借入金により充当し、設備資金については、設備投資計画に基づき、調達計画を作成し、内部資金又は金融機関からの長期借入金により調達を行っております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社保有の不動産資産の一定の含み益を背景に、超長期に資産から資金を抽出するアセットバックローンや、不動産資産の含み益を活用したファイナンス等、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保し、事業の基盤を整えております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について」に記載のとおり、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の会計上の見積りが当社グループの財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
① 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業所別等の管理会計上の区分を単位としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
2021年3月31日現在のセグメントごとの有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額は以下のとおりです。
| セグメント | 主な資産 | 金額(単位:百万円) |
| 外航海運事業 | 船舶等 | 20,515 |
| 倉庫・運送事業 | 倉庫用の土地、建物及び構築物等 | 3,742 |
| 不動産事業 | 賃貸住宅や賃貸オフィス用の建物及び構築物等 | 13,180 |
| その他 | 全社資産 | 153 |
| 計 | 37,591 |
(外航海運事業)
当社保有船舶全船を1船団としてグルーピングを行っております。今後、海運市況の悪化等により固定資産の収益性が低下した場合は、減損損失の計上の可能性があります。
なお、2016年3月期において、主に船舶について13,960百万円の減損損失を計上しております。この際の回収可能額は正味売却価額により測定しており、第三者により合理的に算定された評価額により算定致しました。
(倉庫・運送事業)
主に事業所別にグルーピングを行っております。当連結会計年度において、一部事業所の収益性の低下が認められたため、減損損失(59百万円)を特別損失として計上しております。
(不動産事業)
主に事業所別にグルーピングを行っております。新型コロナウイルス感染症拡大による不動産市況の先行き懸念はあるものの、当社保有物件は簿価に比して多くの含み益を有しており、多額の減損損失の計上の可能性は低いものと認識しております。
② 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性が低下した場合に評価性引当額を計上することとしております。評価性引当額の計上に関する必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の一部又は全部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を収益として計上します。
当連結会計年度末においては繰延税金資産を216百万円計上しております(但し、繰延税金負債との相殺消去により連結貸借対照表上は計上しておりません。)。詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
③ 航海日割基準に基づく収益認識
当社グループは、期末日を跨ぐ航海(期跨り航海)については、各航海の海運業収益総額に、見積総航海日数に対する期末日時点の進捗率を乗じて見積り計上しております。海運業収益の測定方法に含まれる総航海日数の見積りは、将来の航行スケジュールや予想停泊期間等の仮定を用いておりますが、将来の航行スケジュールは見積りの不確実性が高く、気象海象や港の混雑状況等によって変動します。総航海日数が変動した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。また、航海完了後に見積りと実績の比較を行い、見積りの合理性を確認しております。
当連結会計年度において航海日割基準に基づき計上した海運業収益の金額は778百万円であります。詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2020年度8月に中期経営計画(計画期間:2020年4月~2023年3月)を策定しております。計画の概要は、当社ホームページをご参照ください。
(https://ssl4.eir-parts.net/doc/9308/ir_material3/145286/00.pdf)
中期経営計画の1年目である当連結会計年度の達成・進捗状況は次のとおりであります。
| 指標 | 計画値 | 実績値 | 計画比 |
| 売上高 | 18,160百万円 | 18,879百万円 | 720百万円 |
| 営業利益 | △2,007百万円 | △1,233百万円 | 774百万円 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | △2,218百万円 | △1,186百万円 | 1,032百万円 |
| ROE(自己資本利益率) | △12.4 % | △6.4 % | 6.0ポイント |
売上高は、計画比720百万円増収(+2.7%)の18,879百万円となりました。これは、主に外航海運事業において、ハンディ船市況回復による増収要因があったこと等によるものであります。2020年度のハンディ船市況は、平均1日あたり約7,000ドルであり、計画値6,400ドルを上回りました。
営業損益は、外航海運事業におけるハンディ船市況が回復した影響等により、計画比+774百万円増収の1,233百万円の損失となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、上記の営業損失改善の影響に加え、繰延税金資産を追加計上し、法人税等調整額△218百万円を計上した影響等により、計画比1,032百万円増益の1,186百万円の損失となりました。
ROEは、当期純利益の増加により計画比6.0ポイント増加し△6.4%となりました。