有価証券報告書-第53期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 9:59
【資料】
PDFをみる
【項目】
169項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「安全・健康・品質・コンプライアンスの徹底は、企業存続の生命線」との前提条件のもと、経営理念「会社はお客様のためにあり社員とともに会社は栄える」を基盤として、全ての従業員が参画するOne Team経営をテーマに、「もっといい会社・もっといい現場」を目指し、お客様のお困りごとやニーズにお応えすることにより、更なる価値創造を実現します。
(2)経営環境及び中長期的な経営戦略等
国内経済は、個人消費が堅調に推移する一方で、企業業績や物価は不透明な状況が続き、日銀の政策転換や海外経済の動向にも注意が必要な状況です。また、世界各地で発生する地政学のリスクの高まりや自然災害などにより、市場をとりまく環境は不透明な状況が予想されております。このような経営環境の中ではありますが、当社グループは、2024年3月27日に2027年3月期を最終年度とする「中期経営計画2026」を公表しました。
今回策定した「中期経営計画2026」は、前回の中期経営計画で取り組んでまいりました、一人ひとりが自らの力を発揮し、最大限に活かす「全員参画によるOne Team経営」の“基盤構築”のフェーズから、“戦略確立”のフェーズへと移行し、お客様から選んでいただける商品・サービスへと磨き上げることで、「キムラブランド」を確立し、創業150年、更にその先への成長・発展に繋げてまいります。
経営戦略等は以下のとおりです。
① 事業戦略・DX戦略
物流サービス事業×情報サービス事業モビリティサービス事業×情報サービス事業
・物流品質のバラツキを無くし、効率的な事業運営を行っていくための「エリア戦略の推進強化」
・「現場+ITによる拡販戦略」で最適なソリューションを提供
・2024年問題に対するトラックの稼働率向上に向けた取り組み等の「新たな価値創造」
・「豊田通商様との連携強化」を図り、更なる海外進出の検討
・お客様の第二の総務として、「KIBACOを軸としたビジネスの拡大」
・お客様と整備工場、両方のメリットを追求する「唯一無二のカーメンテ」
・車両架装事業をはじめとする「新たな価値創造」

② 財務戦略
企業価値向上に向けた取り組みキャッシュアロケーション株主還元
・本業での成長に加え資本コストを意識した経営に取り組むことで、更なるPBR向上を目指すとともに、収益性向上と最適な資本構成の追求で、ROE12%以上を目指す・成長投資と株主還元を戦略的に配分んし、事業の成長と資本収益性の向上を図る・還元方針に則り、配当性向40%を目安に、財務基盤を維持しつつ、還元向上を図る

③ ESG戦略
Environment(地球環境のために)Social(人的資本の拡充)Governance(ガバナンスの向上)
・環境に配慮した物流資材の開発・提供や車両整備等、事業活動を通じたサービスの提供により、CO₂削減や資源循環等の環境保全に取り組み、企業の責任として、地球温暖化等の環境課題の解決に取り組む・経営理念を共有した共に働くすべての人々に、成長できる環境、挑戦できる環境の下で、「全員参画によるOne Team経営」を推進することにより、働きがいに満ちた職場づくりに取り組む・コンプライアンスの徹底やリスクマネジメント活動の推進強化により、リスクの回避・抑制や不祥事の未然防止等に取り組み、開かれた透明性の高い経営を継続することで、ステークホルダーのベストパートナーであり続ける

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、1株当たり当期純利益、ROE(自己資本利益率)であります。具体的な目標値としては、ROE(自己資本利益率)12.0%以上を目指し取り組みを推進しております。なお、ROE(自己資本利益率)につきましては、当社が属している「運輸に付帯するサービス」の業種平均値等を参考に設定しております。
2024年3月期実績2027年3月期中期計画
売上高61,493百万円70,000百万円
営業利益4,109百万円5,300百万円
経常利益4,897百万円5,800百万円
親会社株主に帰属する当期純利益3,168百万円3,800百万円
1株当たり当期純利益144.18円175.80円
ROE(自己資本利益率)8.79%12.00%

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画2026のスタート年度として、エリアを軸とした事業部へと組織変更し、引き続き、「全員参画によるOne Team経営」を推進し、人に寄り添い、プラス思考で主体性とスピード感を持った企業風土づくりへの取り組みを進めて参ります。
<重点実施事項>1.“人財”の“採用・育成”
我々のビジネスは、非正規雇用労働者の方のおかげで成り立っており、改めて、“感謝の気持ちを持ったコミュニケーションを行う事で「どんな人材も輝く事ができる」職場風土の醸成を図ってまいります。
日々、現場の人財定着活動が着実に進展していることを実感している一方で、昨今の人手不足の状況は一層厳しさを増す中で“採用”を会社の最重要課題と位置づけ、経営資源を最優先で投入してまいります。
また、採用活動の結果、当社グループを選んでいただいた人財がずっと当社グループで頑張りたいと思っていただけるように、これまでより一段階レベルを上げた人財定着活動に取り組んでまいります。
2.各事業の戦略
当社グループの強みとは、“人”☓“機能”☓“知識と経験”であり、この強みを持って、「お客様が当社グループに頼みたいと思ってと思ってもらえる職場(商品)」こそ“キムラブランド”と位置づけております。当社グループが持っている豊富な商品ラインナップや、お客様のニーズを満たす企画力・設計力・システム開発力・改善力・現場管理能力といった“機能”を磨き、お客様への貢献を通じ“知識と経験”を活かすのは“人”です。「お客様のために」、その思いを持った“人”がいるからこそ、当社の強みを十二分に発揮することができると考え、会社を挙げて人財育成に力をいれてまいります。創業から当社グループが大切にしてきた経営理念を実現していくための“考え方(経営哲学)”、当社グループの強みの発揮に必要な“知識”、最前線で汗をかく“経験”、この3つの柱で、当社グループの強みを理解し、また、理解するだけでなく日々実践できる“活きた人財育成”に取り組んでまいります。
なお、各事業別には以下のとおりです。
①物流サービス事業
今後、物流サービス事業が成長するうえで、競合他社を圧倒する現場力、お客様との新たな関係構築、すべての従業員が活躍し続ける職場の構築が重要であると考えます。成長のためには「人」が最も重要であり、事業の継続・発展のカギとなります。人材不足が続く中、職場環境の改善に取り組み、採用力、定着率の向上を図ります。また、リーダーを中心とした研修の充実による人財育成、さらには現場力の強化を行いながら、お客様だけでなく従業員の満足度・貢献度を追求してまいります。
物流サービス+ITによる顧客提案力の更なる強化により、一層の新規顧客の獲得を図ってまいります。
さらに、物流企業として2024年問題への対応、SDGsへの取り組み、研究開発やDXの展開を進め、将来にわたりお客様からも従業員からも選ばれる企業となるよう、活動を進めてまいります。
②モビリティサービス事業
「所有から利用」へと車社会が大きな変革期を迎えた今、1958年から始まった車両整備や保険・交通事故削減・車両リース・車両販売・車両管理BPOなどの各種サービスでお客様に対して「安心・安全」で「高品質」なサービスを提供しております。今後の更なるモビリティ社会の発展に貢献するため、以下の2つの戦略を推進してまいります。「エリア戦略」では、自社整備工場周辺の法人・個人のお客様を中心に、それぞれのお困り事やニーズに「徹底的に寄り添いワンストップで解決する体制」で、お客様の快適なモビリティライフを実現し、既存の事業領域における収益基盤の強化を図ってまいります。「フリート戦略」では、全国に展開する大口法人顧客に対し、独自開発のクラウド型車両管理システム「KIBACO」を活用した新たなサービスを提供します。お客様の「車両・人・組織・行動」のデータを繋げることで最適な車両管理体制を構築し、安全・安心・コスト削減を実現しながら新しい事業領域で収益拡大を図ってまいります。
③情報サービス事業
積極的に取り組んでいる「物流サービス+IT」によるソリューション提案活動では新規顧客獲得を実現しました。今後は当社の強みを活かし物流サービス事業とより一層の連携強化を行い、更なる成長を目指すとともに既存顧客におきましては絶対的地位の獲得に向け、深耕拡販に取り組んでまいります。更に全社の持続的成長(人、組織)とDX推進を加速させるため、今年度内の社内インフラ更新を実現させます。
また、昨今のサイバーセキュリティーの情勢に鑑み、情報の機密性、完全性、可用性を担保するため、従来以上に危機管理能力を高め、情報セキュリティー強化に取り組み、安全で安心な作業環境の提供に邁進してまいります。
④人材サービス事業
物流サービス事業と人材サービス事業の連携による相乗効果を通じて、人財を活かしたお客様への価値提供と地域貢献に取り組んでまいります。定着にこだわった採用活動を強化する為、国内子会社ビジネスピープル株式会社との連携を強化してエリア軸でタイムリーかつスピーディーな人財戦略を展開してまいります。