有価証券報告書-第10期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:07
【資料】
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【項目】
122項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の特性について
高速道路事業においては、第1期連結会計年度においては民営化関係法施行法第24条第1項の規定により策定された暫定協定(以下「暫定協定」といいます。)に基づき、また、第2期連結会計年度以降は高速道路会社法及び機構法の規定により、機構と平成18年3月31日付で締結した協定並びに特措法の規定による同日付事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けた上で道路利用者より料金を収受し、かかる料金収入から機構への賃借料及びその他の道路事業にかかる管理費用の支払いに充てております。
このような暫定協定、協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社が収受する料金には当社の利潤を含めないことを前提としております。なお、事業年度によっては、料金収入、管理費用等の当初計画と実績の乖離により、利益又は損失が計上される場合があります。
また、高速道路事業においては、交通量の季節的な変動により上半期が下半期よりも収入が大きく、他方、補修工事等の完成が下半期に多いことから、管理費については下半期が上半期よりも大きくなる傾向にあります。
② 機構による債務引受け等について
当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定することや、債務引受けは重畳的債務引受けの方法によること等について確認しております。
なお、高速道路にかかる道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなり、債務返済の履行については機構が主に行うこととなりますが、当該債務については、当社と機構が連帯して債務の弁済の責を負うものとされております。
また、阪神公団の民営化に伴い当社及び機構が承継した阪神公団の債務の一部について、当社と機構との間に、連帯債務関係が生じております(民営化関係法施行法第16条)。
(2)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の一部について、見積りを実施する必要があり、当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる方法によって実施しておりますが、見積りと実績が異なる可能性があります。また、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えております。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社グループの連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されます。当該資産の取得原価には、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費、人件費等のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額、除却工事費用等資産の取得に要した費用の額及び仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息のうち、当該資産の工事完了の日までに発生したものを計上しております。
なお、高速道路建設が完了したのち、かかる道路資産は上記取得原価をもって機構に帰属すると同時に、協定に基づいて当社が当該道路資産を機構から借り受けることとなります。かかる借受けについてはオペレーティング・リース取引として処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 回数券払戻引当金
当社グループは、阪神公団時代に発行した回数通行券の廃止に伴う払戻に備えるため、販売実績、使用実績及び払戻実績等に基づいて算出した発生見込額を計上しております。
③ 仕掛道路損失引当金
当社グループは、将来の道路資産の引渡時の損失に備えるため、仕掛道路資産のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることが可能なものについて、損失見込額を計上しております。
④ ETCマイレージサービス引当金
当社グループは、ETCマイレージサービス制度による高速道路通行料金割引に備えるため、マイレージポイント発生見込額を計上しております。
⑤ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
(3)経営成績の分析
① 営業収益
当連結会計年度における営業収益は、合計で前年同期比32.9%減の220,825百万円となりました。高速道路事業については、通行台数減少の影響等により、料金収入は170,625百万円、道路資産の完成、引渡しによる道路資産完成高28,042百万円等を合わせて高速道路事業営業収益は199,255百万円となり、受託事業については、大阪府道高速大和川線に係る工事受託等により15,731百万円、その他の事業については、5,931百万円となりました。
② 営業費用及び営業利益
当連結会計年度における営業費用は、合計で前年同期比33.8%減の218,863百万円となりました。
その内容は、協定に基づく機構への賃借料の支払い131,840百万円、道路資産完成原価27,335百万円、維持修繕費や管理業務費等の管理費用38,816百万円による高速道路事業営業費用197,991百万円、受託事業における受託事業営業費用15,549百万円、その他の事業の営業費用5,416百万円であります。
これらの営業費用を差し引いた結果、当連結会計年度における営業利益は、1,961百万円(前年同期は営業損失1,453百万円)となりました。
③ 営業外損益及び経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、持分法による投資利益192百万円等により612百万円となりました。
また、当連結会計年度の営業外費用は、長期借入金等の支払利息29百万円等により51百万円となりました。
これらの営業外損益を計上した結果、当連結会計年度における経常利益は、2,522百万円(前年同期は経常損失988百万円)となりました。
④ 特別損益及び税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の特別利益は、負ののれん発生益405百万円等の計上により441百万円、特別損失は固定資産除却費41百万円等の計上により103百万円となりました。
これらの特別損益を計上した結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、2,861百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失970百万円)となりました。
⑤ 当期純利益
当連結会計年度の当期純利益は、法人税等263百万円、少数株主利益56百万円を計上した結果、2,541百万円(前年同期は当期純損失1,945百万円)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、前記「第2 事業の状況 1 業績等の概要
(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、道路料金の徴収等の営業活動のほか、道路建設関係社債(普通社債)の発行及び機構からの無利子借入れ並びに金融機関等からの長期借入れを通じて実施いたしました。
当社グループの今後の資金需要として主なものは、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金であり、かかる資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しております。