有価証券報告書-第16期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、高速道路の料金収入やSA・PAの売上が大きく減少する等、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いています。
このような状況下において、当社グループは、ゴールデンウイーク期間を含む休日割引の適用除外やSA・PAテナントに対する営業自粛の要請をはじめとした新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に努めつつ、24時間365日、我が国の大動脈として生活・経済活動に欠かせない重要なインフラである高速道路の機能・サービスを間断なく提供し続けました。
また、令和2年7月豪雨の影響により九州自動車道の熊本県内及び大分自動車道の大分県内をはじめ、復旧に時間を要した5箇所を含む管内全体で53箇所が被災しました。これをはじめとする災害に伴い、通行止め等の通行の制限を余儀なくされましたが、その都度、関係機関等からのご協力のもと、当社グループの総力を結集し復旧を進めました。
こうした厳しい経営環境のなかで、令和3年3月25日に、経営環境の変化に柔軟に対応しつつ、当社グループの事業を推し進めるため、グループ理念を「私たちは、高速道路の安全・安心を最優先に、高速道路の進化に挑み続け、地域の発展と豊かな未来の実現に貢献します」に改めました。
当社グループが運営する高速道路事業においては、通行台数は、新型コロナウイルス感染症の影響等により前期比14.2%減となり、料金収入は、前期比17.2%減(661,085百万円)となりました。
高速道路事業以外の事業においては、SA・PA事業を中心に展開しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により、店舗及びガスステーションの売上は前期比31.6%減の110,808百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は930,983百万円(前連結会計年度比14.4%減)、営業費用は938,883百万円(同13.1%減)、営業損失は7,899百万円(前連結会計年度は営業利益6,747百万円)、経常損失は3,251百万円(同経常利益9,689百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は6,566百万円(同親会社株主に帰属する当期純利益は6,531百万円)となりました。
今後、「高速道路における安全・安心基本計画」(令和元年9月国土交通省)を踏まえ、令和元年12月に策定した「高速道路における安全・安心実施計画」に基づき、暫定2車線区間の解消、災害時におけるネットワークの確保等の高速道路の更なる機能強化を図る各種事業を着実に推進していきます。
各セグメントの概況は次のとおりです。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、機構との協定、特措法第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行いました。
まず、道路管理事業に関して、令和元年8月の大雨の影響により、のり面変状が発生した長崎自動車道武雄ジャンクション(武雄北方インターチェンジ~嬉野インターチェンジ)については、当初は令和2年秋頃を予定していた4車線での完全復旧を、同年7月に前倒しする等、当社グループと関係機関等が一丸となって迅速な復旧に取り組みました。
令和2年7月豪雨では、九州地方を中心として当社が管理する高速道路の複数箇所で土砂崩れ等の被害が生じましたが、速やかに応急復旧のうえ交通確保を行いました。特に被害の大きかった熊本県南部においては被災した地域における災害復旧活動の円滑化や生活支援を目的として、被災した国道の代替路として九州自動車道(八代インターチェンジ~人吉インターチェンジ)、大分県西部においては、大分自動車道(玖珠インターチェンジ~湯布院インターチェンジ)の代替路(無料)措置を行いました。
また、九州自動車道坂本パーキングエリアでは一般道との開口部を改良設置することで、地域住民の出入り口として活用する取組みや、通常、危険物積載車両の通行が禁止及び制限されている肥後トンネルにおいて、全国の高速道路で初めて、災害時の特例としてエスコート通行方式によるタンクローリーの通行を行いました。
高速道路リニューアルプロジェクトについて、地方部での事業の推進に加えて、関西都市圏の工事にも着手しました。中国自動車道で実施した終日通行止め(約16日間)を伴う工事では、テレビCMやホームページのリニューアル工事専用ウェブサイトを活用し、渋滞予測やリアルタイム所要時間等の情報提供を積極的に行うとともに、工事期間中に新名神高速道路への迂回にご協力いただいたお客さまへのSA・PA割引クーポンの提供や通行料金の引下げ等を行い、関係機関と連携しながら、工事中の社会的影響を最小化させるよう取り組みました。また、地震に強い道路を目指して、平成28年熊本地震の被災状況を踏まえ、橋梁の更なる耐震補強を推進しました。
交通安全対策については、より安心かつ快適な道路環境を提供するため、事故多発箇所を中心としたハード対策や交通安全キャンペーン等によるソフト対策等、引き続き交通安全対策に取り組みました。対面通行区間での正面衝突事故防止のため、これまでのラバーポールに代えてワイヤロープを設置したほか、逆走による重大事故ゼロの実現のため、行先を誤ったお客さまに対して適切な対処方法をご案内する看板の設置や一般道接続部等での誤進入対策、一般公募で寄せられた逆走防止技術の現地展開を進めました。道路の劣化を進行させる要因の一つである重量超過等の車両制限令に違反する車両に対しては、積載物の軽減や通行の中止など厳格な措置を実施し、指導及び取り締まりに引き続き取り組みました。また、阪神高速道路㈱、本州四国連絡高速道路㈱及び㈱エフエム大阪と共同で進めている、“ながら運転撲滅活動”(通称「SNDプロジェクト」)により交通安全啓発活動への取組みを推進しました。
さらに、九州自動車道太宰府インターチェンジのレーン運用の見直しによる渋滞対策の実施や、従来よりも迅速な道路情報の収集・提供を可能にするAI画像処理技術を活用した異常走行等把握システムの構築に取り組みました。
上記の取組みに加え、高速道路資産を確実に点検し正確に健全性を把握するため、高解像度カメラ、赤外線カメラなどの点検技術の活用を拡大すべくガイドブックの作成や、地理空間情報システムを搭載したグループ会社全体で活用できるタブレット端末を使った点検の記録に取り組むなど、点検から補修までの一連の業務サイクルである「保全事業システム」の高度化、効率化を推進しました。
近畿圏の新たな高速道路料金については、第二阪奈道路中町インターチェンジへのETCフリーフローアンテナ整備に伴い、令和2年8月3日に中町インターチェンジを利用の際のETC料金を引き下げたほか、令和3年2月26日には第二京阪道路鴨川西本線料金所の運用を開始しました。
令和3年3月8日には、周辺一般道の渋滞緩和を図るため、広島呉道路と広島高速道路を連続して通行するETC車を対象に、広島呉道路連続利用割引の適用を開始しました。
また、システム上の制約にとらわれず、必要な料金施策を必要な時期に実施出来るようにするため、様々な料金施策に迅速かつ正確に対応可能な新料金システムの構築を推進しました。併せて、料金所のキャッシュレス化・タッチレス化に向けた新しい料金精算機(ITCM)の山陰自動車道への配備やETC専用化等のロードマップの施策を行いました。
災害対応力の強化については、近年、災害が広域化・激甚化しており、当社管内の高速道路においても毎年災害が発生していることを踏まえ、災害発生時に迅速な対応が出来るよう、防災業務の標準的な作業手順や留意点を記した防災対策業務必携を更新するとともに、復旧支援を強化するため過去の災害と復旧で経験した知見をとりまとめた「災害復旧事例集」を作成しました。
また、発災直後の早期の道路機能確保のため中央分離帯の開口部やジャンクション等の土工部ランプ部の拡幅を行うことでスムーズな対面通行が可能となるなどの将来に備えた最適な構造(最適管理構造)の計画策定、災害時の活動状況を広く理解を得るために被災状況及び活動状況等を記録、撮影する専属部隊を設置試行するなどの取組みも進めました。
冬季の高速道路の安全・安心については、通常の雪氷作業に加え、気象庁等が緊急発表を行った場合などは、出控えのお願いや通行止め区間予測の公表など、他機関と連携した事前広報に努めました。また、支社間応援体制の早期構築や滞留車両を減少させるため流入制限のための拡大通行止めを実施することにより、人命を最優先に考えた大規模な車両滞留を回避する取組みを行いました。
上記の取組みに加え、道路管理事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、感染拡大防止を図るための都道府県をまたぐ移動の自粛に向けた取組みについて、ゴールデンウイーク期間を含む休日割引の適用除外を行いました。
間断なく高速道路サービスを提供するために保全サービス事業部門においては、料金所等グループ会社においてマスク着用・消毒及び清掃等を徹底し、新型コロナウイルス感染症の感染者の発生を想定した具体的なケーススタディを繰り返し行い運営体制に反映させ、グループ一丸となった危機管理体制を構築しました。
特に、雪氷作業体制においては、作業レベルを維持するため、万が一雪氷作業従事者にコロナ感染者が発生した場合の感染拡大を防止するためあらかじめ作業班の固定化や応援体制の構築を行い、冬期の交通確保に努めました。
次に、道路建設事業については、新名神高速道路の着実な整備や4車線化を推進するなど、高速道路ネットワークの形成及び充実を図りました。4車線化では、令和2年7月1日に南阪奈道路(太子インターチェンジ~葛城インターチェンジ)の一部、令和3年3月26日に舞鶴若狭自動車道(福知山インターチェンジ~綾部インターチェンジ)及び岡山自動車道(賀陽インターチェンジ~有漢インターチェンジ)の一部、令和3年3月27日に阪和自動車道印南インターチェンジ付近、令和3年3月31日に徳島自動車道(土成インターチェンジ~脇町インターチェンジ)の一部がそれぞれ完成しました。その他、令和3年3月13日に九州自動車道桜島スマートインターチェンジの加治木ジャンクション・インターチェンジ方面(熊本・宮崎方面)への入口が完成し、各方面へのすべての出入りが可能になりました。
工事の安全対策については、全社的な工事安全レベルの向上を図るため各支社において安全協議会の「安全対策部会」を、本社において「工事安全推進会議」をそれぞれ開催し、発注者による安全確認や啓発活動を通して、工事施工会社の安全意識を高めるとともに、重大事故リスクアセスメントの実施等、受発注者一体となり工事安全管理に取り組みました。
また、令和2年10月23日に山陽自動車道三木スマートインターチェンジ(仮称)他4箇所のスマートインターチェンジ、令和3年3月30日に阪和自動車道(みなべインターチェンジ~南紀田辺インターチェンジ)他6箇所の4車線化等についての事業許可を受けました。
上記の取組みに加え、道路建設事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、受発注者双方において工事現場における「三つの密」回避の徹底等、感染拡大防止の徹底に取り組みました。
その結果、新型コロナウイルス感染症の影響等による料金収入の減少等により当連結会計年度の営業収益は899,169百万円(前連結会計年度比13.6%減)、営業費用は902,902百万円(同13.0%減)となり、営業損失は3,733百万円(前連結会計年度は営業利益2,553百万円)となりました。
(受託事業)
受託事業においては、高速道路の計画、建設及び管理の各段階を通じ、これまで培ってきた技術力及びノウハウを活かして、国及び地方公共団体等の委託に基づき道路の新設、改築、維持、修繕等を実施しました。
その結果、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が減少したこと等により当連結会計年度の営業収益は4,111百万円(前連結会計年度比27.0%減)、営業費用は4,086百万円(同28.6%減)となり、営業利益は25百万円(前連結会計年度は営業損失87百万円)となりました。
(SA・PA事業)
SA・PA事業においては、昼夜を問わず医療物資、食料品、生活必需品等の輸送を担う物流事業者等のお客さまへのサービスを維持するため、コロナ禍の影響により売上が大きく減少したテナント事業者への支援を行いました。また、テナント事業者と連携し、コンビニ等の品揃えの充実や欠品の防止、電子レンジ設置数の増加、テイクアウトの充実等、深夜の高速道路利用に向けたサービスの充実を図りました。
さらに、新型コロナウイルス感染症や豪雨による被害の中で頑張っている皆さまに感謝をお伝えし、コロナ禍以前の「元気」を取り戻していただくため、『とりもどそう!元気なニッポン』を合言葉に、物流を支える皆様への応援メッセージの店舗内での掲出、対象店舗のショッピングコーナー・ベーカリーコーナーの商品が2割引となる「SA・PAお客様感謝DAY」などのお客さまにお買い物を楽しんでいただく企画、地元商品の応援販売企画の実施などに取り組みました。
その他、地域とともに発展するSA・PAを目指し、高速道路を利用して大分県佐伯市への誘客を図ることを目的とした「おかえりなさいきキャンペーン」を実施しました。また、自治体や地元企業と協力し、無人パーキングエリアへの焼き芋自動販売機の設置や、新しい土産品を開発・当社管内のパーキングエリアで販売するなど、産学官民連携のプロジェクトを推進しました。
上記の取組みに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図るため、店舗内において、消毒液の設置、定期的な換気を行うとともに、レジ待ち距離の確保、客席の間引き及びパーテーションの設置等、テナント各社と協力し、感染症拡大防止に取り組みました。さらに、新型コロナウイルス感染症を想定したニューノーマル時代を見据えた施策の一環として、キャッシュレス決済の拡大や、サービスエリアのインフォメーションにおけるリモート案内機器を試行導入するなど、お客さまにとって安全・安心な空間づくりに取り組みました。
その結果、新型コロナウイルス感染症の影響等により当連結会計年度の営業収益は19,831百万円(前連結会計年度比40.0%減)、営業費用は24,825百万円(同16.8%減)となり、営業損失は4,993百万円(前連結会計年度は営業利益3,238百万円)となりました。
(その他)
その他事業においては、福岡市天神地区における駐車場事業、佐賀県鳥栖市及び熊本県熊本市の2箇所におけるトラックターミナル事業並びに海外における有料道路事業及びコンサルティング事業等を引き続き行いました。
インドネシアにおいては、同国における有料道路事業の拡大を目指し、令和2年5月に同国の高速道路運営会社PT Margautama Nusantara(マルガウタマ ヌサンタラ、以下「MUN社」といいます。)の株式を一部取得しました。また同社の子会社であるPT Makassar Metro Network(マカッサル メトロ ネットワーク)が建設工事を実施したA.P.ペタラニ高架有料道路が令和3年3月に開通しましたが、当該道路については、平成27年8月にMUN社と締結した包括的技術連携に基づき、当社からの出向社員が技術指導を行い、工事完成に寄与しました。
当連結会計年度のその他全体としては、連結子会社の外販が増加したこと等により営業収益は9,750百万円(前連結会計年度比5.4%増)、営業費用は8,925百万円(同8.7%増)となり、営業利益は825百万円(同20.7%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ263,420百万円増加し、1,643,855百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ266,938百万円増加し、1,426,830百万円となりました。道路建設関係社債が増加したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,518百万円減少し、217,024百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少が主な要因です。
自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント減少し、13.2%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は184,484百万円(前連結会計年度比16.2%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は265,931百万円(前連結会計年度は85,594百万円)となりました。これは主に、減価償却費29,559百万円の資金の獲得があったものの、たな卸資産の増加額190,189百万円に加え、売上債権の増加額85,983百万円といった資金の使用があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は40,228百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。これは主に、料金収受機械、ETC装置等の設備投資39,245百万円の資金の使用があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は270,372百万円(前連結会計年度は57,581百万円)となりました。これは主に、長期借入れ及び道路建設関係社債発行による資金の獲得524,364百万円があったものの、長期借入金の返済及び道路建設関係社債償還による資金の使用252,950百万円(機構法第15条第1項による債務引受額252,879百万円を含みます。)があったためです。
なお、建設投資(仕掛道路資産)に係る有利子負債は、建設投資(仕掛道路資産)を機構に引き渡す際に同時に機構が債務を引き受けます。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
なお、「高速道路事業営業費用、営業外費用及び特別損失等明細表」については、後記「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 ②損益計算書 営業費用明細書のうち高速道路事業原価明細書」をご参照ください。
(注) 本明細表は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成しています。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
当事業年度(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)
(注) 収益の配賦基準は次のとおりです。
1.高速道路事業又はその他収益として事業が特定できるものは、各々の特定の事業部門に直接
配賦しています。
2.事業が特定できないものについては、営業損失の逆数の比により各事業へ配賦しています。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を、金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「1.経営成績等の状況の概要」において各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の非営利性等について
高速道路事業においては、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と締結した協定並びに特措法の規定による事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を徴収、かかる料金収入から機構への賃借料及び管理費用の支払いに充てています。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の徴収する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされています。なお、各連結会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合がありますが機構との協定に基づき、賃借料の着実な支払いを行うことが重要であるとの認識から、将来の社会経済変動及び自然災害の発生により料金収入が変動した場合等を想定し、高速道路事業に係る利益を備えのために積み立てています。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いことから、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏季の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
なお、高速道路事業の収益には、インセンティブ助成金収入が含まれています。インセンティブ助成金とは、機構法第12条第1項第8号の規定に基づき、当社が経営努力による高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に要する費用の縮減を行った際に、機構より縮減額の一部を助成されるものです。当連結会計年度におけるインセンティブ助成金を原資とする支出は41百万円となっています。当連結会計年度末におけるインセンティブ助成金残高は607百万円であり、利益剰余金に留保されています。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的(重畳的)債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しています。
なお、高速道路にかかる道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、原則当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、日本道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱が承継した日本道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じています(民営化関係法施行法第16条)。
(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えています。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費・人件費等のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等その他道路資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しています。
なお、上記「(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 完成工事高の計上基準
営業収益のうち、直轄高速道路事業収入及び受託業務収入等、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しています。
なお、営業収益のうち、道路資産完成高の計上は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した日に行っています。
③ ETCマイレージサービス引当金
ETCマイレージサービス制度による無料走行に備えるため、当連結会計年度末におけるポイント発行残高に対する将来の使用見込額を計上しています。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これら固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出し、減損の要否を検討しています。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断する際、将来の課税所得を合理的に見積もっています。よって、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営成績の分析
① 営業収益
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益については、新型コロナウイルス感染症の影響等による料金収入の減少等により899,169百万円(前連結会計年度比13.6%減)となりました。受託事業の営業収益については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が減少したこと等により4,111百万円(同27.0%減)、SA・PA事業の営業収益については、新型コロナウイルス感染症の影響等により19,831百万円(同40.0%減)、その他の営業収益については、連結子会社の外販が増加したこと等により9,750百万円(同5.4%増)となりました。以上により、当連結会計年度における営業収益合計は、930,983百万円(同14.4%減)となりました。
② 営業利益
当連結会計年度における高速道路事業にかかる営業費用は、道路資産賃借料の減少等により902,902百万円(前連結会計年度比13.0%減)となり、受託事業の営業費用については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が減少したこと等により4,086百万円(同28.6%減)、SA・PA事業の営業費用については、新型コロナウイルス感染症の影響により24,825百万円(同16.8%減)、その他の営業費用については8,925百万円(同8.7%増)となりました。以上により、当連結会計年度における営業費用合計は、938,883百万円(同13.1%減)となりました。
その結果、当連結会計年度における営業損失は、7,899百万円(前連結会計年度は営業利益6,747百万円)となりました。その内訳は、高速道路事業の営業損失は3,733百万円(同営業利益2,553百万円)、受託事業の営業利益は25百万円(同営業損失87百万円)、SA・PA事業の営業損失は4,993百万円(同営業利益3,238百万円)、その他の営業利益は825百万円(前連結会計年度比20.7%減)です。
③ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、固定資産受贈益1,864百万円及び土地物件貸付料953百万円等の計上により5,017百万円(前連結会計年度比50.4%増)となり、営業外費用は、たな卸資産処分損168百万円等の計上により369百万円(同6.3%減)となりました。
その結果、当連結会計年度の経常損失は、3,251百万円(前連結会計年度は経常利益9,689百万円)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別利益は、移転補償金87百万円等の計上により126百万円(前連結会計年度比14.3%増)となり、特別損失は、減損損失234百万円等の計上により448百万円(同44.0%減)となりました。
その結果、税金等調整前当期純損失は3,573百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益8,999百万円)となり、これから法人税等合計2,992百万円(前連結会計年度比21.0%増)及び非支配株主に帰属する当期純利益0百万円(前連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純損失5百万円)を控除した親会社株主に帰属する当期純損失は、6,566百万円(同親会社株主に帰属する当期純利益6,531百万円)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析は、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
② 資金調達
資金の調達は、高速道路料金の徴収等の営業活動のほか、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産にかかる投資については、道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入れ並びに金融機関等からの借入れを通じて実施しました。
資金の調達においては低利且つ安定的な調達を目指し、道路建設関係社債の発行を基軸としつつ、金融機関等からの借入れも実施し、調達バランスの最適化を図っています。
また、令和2年度においては、財政融資資金の借入れを実施しました。
③ 資金需要と設備投資
当社グループの主な資金需要は、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金です。
道路資産賃借料の支払いには高速道路料金収入を、道路資産の建設資金には道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入金並びに金融機関等からの借入金を充てております。
なお、資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しています。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、高速道路の料金収入やSA・PAの売上が大きく減少する等、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いています。
このような状況下において、当社グループは、ゴールデンウイーク期間を含む休日割引の適用除外やSA・PAテナントに対する営業自粛の要請をはじめとした新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に努めつつ、24時間365日、我が国の大動脈として生活・経済活動に欠かせない重要なインフラである高速道路の機能・サービスを間断なく提供し続けました。
また、令和2年7月豪雨の影響により九州自動車道の熊本県内及び大分自動車道の大分県内をはじめ、復旧に時間を要した5箇所を含む管内全体で53箇所が被災しました。これをはじめとする災害に伴い、通行止め等の通行の制限を余儀なくされましたが、その都度、関係機関等からのご協力のもと、当社グループの総力を結集し復旧を進めました。
こうした厳しい経営環境のなかで、令和3年3月25日に、経営環境の変化に柔軟に対応しつつ、当社グループの事業を推し進めるため、グループ理念を「私たちは、高速道路の安全・安心を最優先に、高速道路の進化に挑み続け、地域の発展と豊かな未来の実現に貢献します」に改めました。
当社グループが運営する高速道路事業においては、通行台数は、新型コロナウイルス感染症の影響等により前期比14.2%減となり、料金収入は、前期比17.2%減(661,085百万円)となりました。
高速道路事業以外の事業においては、SA・PA事業を中心に展開しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により、店舗及びガスステーションの売上は前期比31.6%減の110,808百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は930,983百万円(前連結会計年度比14.4%減)、営業費用は938,883百万円(同13.1%減)、営業損失は7,899百万円(前連結会計年度は営業利益6,747百万円)、経常損失は3,251百万円(同経常利益9,689百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は6,566百万円(同親会社株主に帰属する当期純利益は6,531百万円)となりました。
今後、「高速道路における安全・安心基本計画」(令和元年9月国土交通省)を踏まえ、令和元年12月に策定した「高速道路における安全・安心実施計画」に基づき、暫定2車線区間の解消、災害時におけるネットワークの確保等の高速道路の更なる機能強化を図る各種事業を着実に推進していきます。
各セグメントの概況は次のとおりです。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、機構との協定、特措法第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行いました。
まず、道路管理事業に関して、令和元年8月の大雨の影響により、のり面変状が発生した長崎自動車道武雄ジャンクション(武雄北方インターチェンジ~嬉野インターチェンジ)については、当初は令和2年秋頃を予定していた4車線での完全復旧を、同年7月に前倒しする等、当社グループと関係機関等が一丸となって迅速な復旧に取り組みました。
令和2年7月豪雨では、九州地方を中心として当社が管理する高速道路の複数箇所で土砂崩れ等の被害が生じましたが、速やかに応急復旧のうえ交通確保を行いました。特に被害の大きかった熊本県南部においては被災した地域における災害復旧活動の円滑化や生活支援を目的として、被災した国道の代替路として九州自動車道(八代インターチェンジ~人吉インターチェンジ)、大分県西部においては、大分自動車道(玖珠インターチェンジ~湯布院インターチェンジ)の代替路(無料)措置を行いました。
また、九州自動車道坂本パーキングエリアでは一般道との開口部を改良設置することで、地域住民の出入り口として活用する取組みや、通常、危険物積載車両の通行が禁止及び制限されている肥後トンネルにおいて、全国の高速道路で初めて、災害時の特例としてエスコート通行方式によるタンクローリーの通行を行いました。
高速道路リニューアルプロジェクトについて、地方部での事業の推進に加えて、関西都市圏の工事にも着手しました。中国自動車道で実施した終日通行止め(約16日間)を伴う工事では、テレビCMやホームページのリニューアル工事専用ウェブサイトを活用し、渋滞予測やリアルタイム所要時間等の情報提供を積極的に行うとともに、工事期間中に新名神高速道路への迂回にご協力いただいたお客さまへのSA・PA割引クーポンの提供や通行料金の引下げ等を行い、関係機関と連携しながら、工事中の社会的影響を最小化させるよう取り組みました。また、地震に強い道路を目指して、平成28年熊本地震の被災状況を踏まえ、橋梁の更なる耐震補強を推進しました。
交通安全対策については、より安心かつ快適な道路環境を提供するため、事故多発箇所を中心としたハード対策や交通安全キャンペーン等によるソフト対策等、引き続き交通安全対策に取り組みました。対面通行区間での正面衝突事故防止のため、これまでのラバーポールに代えてワイヤロープを設置したほか、逆走による重大事故ゼロの実現のため、行先を誤ったお客さまに対して適切な対処方法をご案内する看板の設置や一般道接続部等での誤進入対策、一般公募で寄せられた逆走防止技術の現地展開を進めました。道路の劣化を進行させる要因の一つである重量超過等の車両制限令に違反する車両に対しては、積載物の軽減や通行の中止など厳格な措置を実施し、指導及び取り締まりに引き続き取り組みました。また、阪神高速道路㈱、本州四国連絡高速道路㈱及び㈱エフエム大阪と共同で進めている、“ながら運転撲滅活動”(通称「SNDプロジェクト」)により交通安全啓発活動への取組みを推進しました。
さらに、九州自動車道太宰府インターチェンジのレーン運用の見直しによる渋滞対策の実施や、従来よりも迅速な道路情報の収集・提供を可能にするAI画像処理技術を活用した異常走行等把握システムの構築に取り組みました。
上記の取組みに加え、高速道路資産を確実に点検し正確に健全性を把握するため、高解像度カメラ、赤外線カメラなどの点検技術の活用を拡大すべくガイドブックの作成や、地理空間情報システムを搭載したグループ会社全体で活用できるタブレット端末を使った点検の記録に取り組むなど、点検から補修までの一連の業務サイクルである「保全事業システム」の高度化、効率化を推進しました。
近畿圏の新たな高速道路料金については、第二阪奈道路中町インターチェンジへのETCフリーフローアンテナ整備に伴い、令和2年8月3日に中町インターチェンジを利用の際のETC料金を引き下げたほか、令和3年2月26日には第二京阪道路鴨川西本線料金所の運用を開始しました。
令和3年3月8日には、周辺一般道の渋滞緩和を図るため、広島呉道路と広島高速道路を連続して通行するETC車を対象に、広島呉道路連続利用割引の適用を開始しました。
また、システム上の制約にとらわれず、必要な料金施策を必要な時期に実施出来るようにするため、様々な料金施策に迅速かつ正確に対応可能な新料金システムの構築を推進しました。併せて、料金所のキャッシュレス化・タッチレス化に向けた新しい料金精算機(ITCM)の山陰自動車道への配備やETC専用化等のロードマップの施策を行いました。
災害対応力の強化については、近年、災害が広域化・激甚化しており、当社管内の高速道路においても毎年災害が発生していることを踏まえ、災害発生時に迅速な対応が出来るよう、防災業務の標準的な作業手順や留意点を記した防災対策業務必携を更新するとともに、復旧支援を強化するため過去の災害と復旧で経験した知見をとりまとめた「災害復旧事例集」を作成しました。
また、発災直後の早期の道路機能確保のため中央分離帯の開口部やジャンクション等の土工部ランプ部の拡幅を行うことでスムーズな対面通行が可能となるなどの将来に備えた最適な構造(最適管理構造)の計画策定、災害時の活動状況を広く理解を得るために被災状況及び活動状況等を記録、撮影する専属部隊を設置試行するなどの取組みも進めました。
冬季の高速道路の安全・安心については、通常の雪氷作業に加え、気象庁等が緊急発表を行った場合などは、出控えのお願いや通行止め区間予測の公表など、他機関と連携した事前広報に努めました。また、支社間応援体制の早期構築や滞留車両を減少させるため流入制限のための拡大通行止めを実施することにより、人命を最優先に考えた大規模な車両滞留を回避する取組みを行いました。
上記の取組みに加え、道路管理事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、感染拡大防止を図るための都道府県をまたぐ移動の自粛に向けた取組みについて、ゴールデンウイーク期間を含む休日割引の適用除外を行いました。
間断なく高速道路サービスを提供するために保全サービス事業部門においては、料金所等グループ会社においてマスク着用・消毒及び清掃等を徹底し、新型コロナウイルス感染症の感染者の発生を想定した具体的なケーススタディを繰り返し行い運営体制に反映させ、グループ一丸となった危機管理体制を構築しました。
特に、雪氷作業体制においては、作業レベルを維持するため、万が一雪氷作業従事者にコロナ感染者が発生した場合の感染拡大を防止するためあらかじめ作業班の固定化や応援体制の構築を行い、冬期の交通確保に努めました。
次に、道路建設事業については、新名神高速道路の着実な整備や4車線化を推進するなど、高速道路ネットワークの形成及び充実を図りました。4車線化では、令和2年7月1日に南阪奈道路(太子インターチェンジ~葛城インターチェンジ)の一部、令和3年3月26日に舞鶴若狭自動車道(福知山インターチェンジ~綾部インターチェンジ)及び岡山自動車道(賀陽インターチェンジ~有漢インターチェンジ)の一部、令和3年3月27日に阪和自動車道印南インターチェンジ付近、令和3年3月31日に徳島自動車道(土成インターチェンジ~脇町インターチェンジ)の一部がそれぞれ完成しました。その他、令和3年3月13日に九州自動車道桜島スマートインターチェンジの加治木ジャンクション・インターチェンジ方面(熊本・宮崎方面)への入口が完成し、各方面へのすべての出入りが可能になりました。
工事の安全対策については、全社的な工事安全レベルの向上を図るため各支社において安全協議会の「安全対策部会」を、本社において「工事安全推進会議」をそれぞれ開催し、発注者による安全確認や啓発活動を通して、工事施工会社の安全意識を高めるとともに、重大事故リスクアセスメントの実施等、受発注者一体となり工事安全管理に取り組みました。
また、令和2年10月23日に山陽自動車道三木スマートインターチェンジ(仮称)他4箇所のスマートインターチェンジ、令和3年3月30日に阪和自動車道(みなべインターチェンジ~南紀田辺インターチェンジ)他6箇所の4車線化等についての事業許可を受けました。
上記の取組みに加え、道路建設事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、受発注者双方において工事現場における「三つの密」回避の徹底等、感染拡大防止の徹底に取り組みました。
その結果、新型コロナウイルス感染症の影響等による料金収入の減少等により当連結会計年度の営業収益は899,169百万円(前連結会計年度比13.6%減)、営業費用は902,902百万円(同13.0%減)となり、営業損失は3,733百万円(前連結会計年度は営業利益2,553百万円)となりました。
(受託事業)
受託事業においては、高速道路の計画、建設及び管理の各段階を通じ、これまで培ってきた技術力及びノウハウを活かして、国及び地方公共団体等の委託に基づき道路の新設、改築、維持、修繕等を実施しました。
その結果、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が減少したこと等により当連結会計年度の営業収益は4,111百万円(前連結会計年度比27.0%減)、営業費用は4,086百万円(同28.6%減)となり、営業利益は25百万円(前連結会計年度は営業損失87百万円)となりました。
(SA・PA事業)
SA・PA事業においては、昼夜を問わず医療物資、食料品、生活必需品等の輸送を担う物流事業者等のお客さまへのサービスを維持するため、コロナ禍の影響により売上が大きく減少したテナント事業者への支援を行いました。また、テナント事業者と連携し、コンビニ等の品揃えの充実や欠品の防止、電子レンジ設置数の増加、テイクアウトの充実等、深夜の高速道路利用に向けたサービスの充実を図りました。
さらに、新型コロナウイルス感染症や豪雨による被害の中で頑張っている皆さまに感謝をお伝えし、コロナ禍以前の「元気」を取り戻していただくため、『とりもどそう!元気なニッポン』を合言葉に、物流を支える皆様への応援メッセージの店舗内での掲出、対象店舗のショッピングコーナー・ベーカリーコーナーの商品が2割引となる「SA・PAお客様感謝DAY」などのお客さまにお買い物を楽しんでいただく企画、地元商品の応援販売企画の実施などに取り組みました。
その他、地域とともに発展するSA・PAを目指し、高速道路を利用して大分県佐伯市への誘客を図ることを目的とした「おかえりなさいきキャンペーン」を実施しました。また、自治体や地元企業と協力し、無人パーキングエリアへの焼き芋自動販売機の設置や、新しい土産品を開発・当社管内のパーキングエリアで販売するなど、産学官民連携のプロジェクトを推進しました。
上記の取組みに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図るため、店舗内において、消毒液の設置、定期的な換気を行うとともに、レジ待ち距離の確保、客席の間引き及びパーテーションの設置等、テナント各社と協力し、感染症拡大防止に取り組みました。さらに、新型コロナウイルス感染症を想定したニューノーマル時代を見据えた施策の一環として、キャッシュレス決済の拡大や、サービスエリアのインフォメーションにおけるリモート案内機器を試行導入するなど、お客さまにとって安全・安心な空間づくりに取り組みました。
その結果、新型コロナウイルス感染症の影響等により当連結会計年度の営業収益は19,831百万円(前連結会計年度比40.0%減)、営業費用は24,825百万円(同16.8%減)となり、営業損失は4,993百万円(前連結会計年度は営業利益3,238百万円)となりました。
(その他)
その他事業においては、福岡市天神地区における駐車場事業、佐賀県鳥栖市及び熊本県熊本市の2箇所におけるトラックターミナル事業並びに海外における有料道路事業及びコンサルティング事業等を引き続き行いました。
インドネシアにおいては、同国における有料道路事業の拡大を目指し、令和2年5月に同国の高速道路運営会社PT Margautama Nusantara(マルガウタマ ヌサンタラ、以下「MUN社」といいます。)の株式を一部取得しました。また同社の子会社であるPT Makassar Metro Network(マカッサル メトロ ネットワーク)が建設工事を実施したA.P.ペタラニ高架有料道路が令和3年3月に開通しましたが、当該道路については、平成27年8月にMUN社と締結した包括的技術連携に基づき、当社からの出向社員が技術指導を行い、工事完成に寄与しました。
当連結会計年度のその他全体としては、連結子会社の外販が増加したこと等により営業収益は9,750百万円(前連結会計年度比5.4%増)、営業費用は8,925百万円(同8.7%増)となり、営業利益は825百万円(同20.7%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ263,420百万円増加し、1,643,855百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ266,938百万円増加し、1,426,830百万円となりました。道路建設関係社債が増加したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,518百万円減少し、217,024百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少が主な要因です。
自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント減少し、13.2%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は184,484百万円(前連結会計年度比16.2%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は265,931百万円(前連結会計年度は85,594百万円)となりました。これは主に、減価償却費29,559百万円の資金の獲得があったものの、たな卸資産の増加額190,189百万円に加え、売上債権の増加額85,983百万円といった資金の使用があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は40,228百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。これは主に、料金収受機械、ETC装置等の設備投資39,245百万円の資金の使用があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は270,372百万円(前連結会計年度は57,581百万円)となりました。これは主に、長期借入れ及び道路建設関係社債発行による資金の獲得524,364百万円があったものの、長期借入金の返済及び道路建設関係社債償還による資金の使用252,950百万円(機構法第15条第1項による債務引受額252,879百万円を含みます。)があったためです。
なお、建設投資(仕掛道路資産)に係る有利子負債は、建設投資(仕掛道路資産)を機構に引き渡す際に同時に機構が債務を引き受けます。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
なお、「高速道路事業営業費用、営業外費用及び特別損失等明細表」については、後記「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 ②損益計算書 営業費用明細書のうち高速道路事業原価明細書」をご参照ください。
(注) 本明細表は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成しています。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
当事業年度(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)
| 区分 | 金額(百万円) | |
| 1.営業収益 | ||
| 料金収入 | 661,278 | |
| 道路資産完成高 | 235,179 | |
| 受託業務収入 | 0 | |
| その他の売上高 | 943 | 897,402 |
| 2.営業外収益 | ||
| 受取利息 | 2 | |
| 有価証券利息 | 0 | |
| 受取配当金 | 1,181 | |
| 土地物件貸付料 | 189 | |
| 固定資産受贈益 | 1,845 | |
| 雑収入 | 475 | 3,694 |
| 3.特別利益 | ||
| 固定資産売却益 | 15 | |
| その他特別利益 | 0 | 15 |
| 高速道路事業営業収益等合計 | 901,113 | |
(注) 収益の配賦基準は次のとおりです。
1.高速道路事業又はその他収益として事業が特定できるものは、各々の特定の事業部門に直接
配賦しています。
2.事業が特定できないものについては、営業損失の逆数の比により各事業へ配賦しています。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を、金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「1.経営成績等の状況の概要」において各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の非営利性等について
高速道路事業においては、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と締結した協定並びに特措法の規定による事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を徴収、かかる料金収入から機構への賃借料及び管理費用の支払いに充てています。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の徴収する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされています。なお、各連結会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合がありますが機構との協定に基づき、賃借料の着実な支払いを行うことが重要であるとの認識から、将来の社会経済変動及び自然災害の発生により料金収入が変動した場合等を想定し、高速道路事業に係る利益を備えのために積み立てています。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いことから、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏季の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
なお、高速道路事業の収益には、インセンティブ助成金収入が含まれています。インセンティブ助成金とは、機構法第12条第1項第8号の規定に基づき、当社が経営努力による高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に要する費用の縮減を行った際に、機構より縮減額の一部を助成されるものです。当連結会計年度におけるインセンティブ助成金を原資とする支出は41百万円となっています。当連結会計年度末におけるインセンティブ助成金残高は607百万円であり、利益剰余金に留保されています。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的(重畳的)債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しています。
なお、高速道路にかかる道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、原則当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、日本道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱が承継した日本道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じています(民営化関係法施行法第16条)。
(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えています。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費・人件費等のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等その他道路資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しています。
なお、上記「(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 完成工事高の計上基準
営業収益のうち、直轄高速道路事業収入及び受託業務収入等、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しています。
なお、営業収益のうち、道路資産完成高の計上は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した日に行っています。
③ ETCマイレージサービス引当金
ETCマイレージサービス制度による無料走行に備えるため、当連結会計年度末におけるポイント発行残高に対する将来の使用見込額を計上しています。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これら固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出し、減損の要否を検討しています。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断する際、将来の課税所得を合理的に見積もっています。よって、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営成績の分析
① 営業収益
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益については、新型コロナウイルス感染症の影響等による料金収入の減少等により899,169百万円(前連結会計年度比13.6%減)となりました。受託事業の営業収益については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が減少したこと等により4,111百万円(同27.0%減)、SA・PA事業の営業収益については、新型コロナウイルス感染症の影響等により19,831百万円(同40.0%減)、その他の営業収益については、連結子会社の外販が増加したこと等により9,750百万円(同5.4%増)となりました。以上により、当連結会計年度における営業収益合計は、930,983百万円(同14.4%減)となりました。
② 営業利益
当連結会計年度における高速道路事業にかかる営業費用は、道路資産賃借料の減少等により902,902百万円(前連結会計年度比13.0%減)となり、受託事業の営業費用については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が減少したこと等により4,086百万円(同28.6%減)、SA・PA事業の営業費用については、新型コロナウイルス感染症の影響により24,825百万円(同16.8%減)、その他の営業費用については8,925百万円(同8.7%増)となりました。以上により、当連結会計年度における営業費用合計は、938,883百万円(同13.1%減)となりました。
その結果、当連結会計年度における営業損失は、7,899百万円(前連結会計年度は営業利益6,747百万円)となりました。その内訳は、高速道路事業の営業損失は3,733百万円(同営業利益2,553百万円)、受託事業の営業利益は25百万円(同営業損失87百万円)、SA・PA事業の営業損失は4,993百万円(同営業利益3,238百万円)、その他の営業利益は825百万円(前連結会計年度比20.7%減)です。
③ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、固定資産受贈益1,864百万円及び土地物件貸付料953百万円等の計上により5,017百万円(前連結会計年度比50.4%増)となり、営業外費用は、たな卸資産処分損168百万円等の計上により369百万円(同6.3%減)となりました。
その結果、当連結会計年度の経常損失は、3,251百万円(前連結会計年度は経常利益9,689百万円)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別利益は、移転補償金87百万円等の計上により126百万円(前連結会計年度比14.3%増)となり、特別損失は、減損損失234百万円等の計上により448百万円(同44.0%減)となりました。
その結果、税金等調整前当期純損失は3,573百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益8,999百万円)となり、これから法人税等合計2,992百万円(前連結会計年度比21.0%増)及び非支配株主に帰属する当期純利益0百万円(前連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純損失5百万円)を控除した親会社株主に帰属する当期純損失は、6,566百万円(同親会社株主に帰属する当期純利益6,531百万円)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析は、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
② 資金調達
資金の調達は、高速道路料金の徴収等の営業活動のほか、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産にかかる投資については、道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入れ並びに金融機関等からの借入れを通じて実施しました。
資金の調達においては低利且つ安定的な調達を目指し、道路建設関係社債の発行を基軸としつつ、金融機関等からの借入れも実施し、調達バランスの最適化を図っています。
また、令和2年度においては、財政融資資金の借入れを実施しました。
③ 資金需要と設備投資
当社グループの主な資金需要は、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金です。
道路資産賃借料の支払いには高速道路料金収入を、道路資産の建設資金には道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入金並びに金融機関等からの借入金を充てております。
なお、資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しています。