有価証券報告書-第17期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響の下にありましたが、緊急事態宣言の解除等、厳しい状況は徐々に緩和され、持ち直しの動きがみられます。しかし、高速道路の料金収入やSA・PAの売上がコロナ禍前と比べて依然として減少している等、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いています。
このような状況下において、当社グループは、ゴールデンウイーク期間を含めて休日割引を適用しないことやSA・PAテナントに対する営業自粛の要請をはじめとした新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に努めつつ、24時間365日、我が国の大動脈として生活・経済活動に欠かせない重要なインフラである高速道路の機能・サービスを間断なく提供し続けました。
また、令和3年8月の大雨の影響により長崎自動車道の佐賀県内をはじめ、復旧に時間を要した4箇所を含む管内全体で30箇所が被災しました。これをはじめとする災害に伴い、通行止め等の通行の制限を余儀なくされましたが、その都度、関係機関等からのご協力のもと、当社グループの総力を結集し復旧を進めました。
こうした厳しい経営環境のなかで当社グループは、「私たちは、高速道路の安全・安心を最優先に、高速道路の進化に挑み続け、地域の発展と豊かな未来の実現に貢献します」というグループ理念のもと、安全・安心の確保を目指し、さらに満足度の高い機能・サービスの提供を行うべく事業を展開しました。
その結果、当連結会計年度の通行台数は、前期比5.2%増となり、料金収入は、前期比2.4%増(677,274百万円)となりました。
高速道路事業以外の事業においては、SA・PA事業を中心に展開していますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等もありながらも、店舗及びガスステーションの売上は前期比19.1%増の131,972百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は1,329,669百万円(前連結会計年度比42.8%増)、営業費用は1,324,424百万円(同41.1%増)、営業利益は5,244百万円(前連結会計年度は営業損失7,899百万円)、経常利益は7,999百万円(同経常損失3,251百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6,632百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失は6,566百万円)となりました。
今後、「高速道路における安全・安心基本計画」(令和元年9月国土交通省)を踏まえ、令和元年12月に策定した「高速道路における安全・安心実施計画」に基づき、暫定2車線区間の解消、災害時におけるネットワークの確保等の高速道路の更なる機能強化を図る各種事業を着実に推進していきます。
各セグメントの概況は次のとおりです。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、機構との協定、特措法第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行いました。
まず、道路管理事業に関して、令和3年8月の大雨では当社が管理する高速道路の複数箇所で土砂崩れ等の被害が生じましたが、速やかに応急復旧のうえ交通確保を行いました。特に、長崎自動車道の佐賀県内では、11日間で総雨量1,200ミリを超える記録的な大雨の影響により、切土のり面変状に伴う通行止めが生じましたが、速やかな応急復旧により早期の通行止め解除に取り組みました。また、被害の大きかった滋賀県における災害復旧活動の円滑化や生活支援を目的として、被災した国道の代替路として名神高速道路(京都東インターチェンジ~大津インターチェンジ)の代替路(無料)措置を行いました。
高速道路リニューアルプロジェクトについて、地方部での事業に加え、関西都市圏の事業を推進しました。中国自動車道(吹田ジャンクション~中国池田インターチェンジ)においては、令和3年度は3回(約1.5ヵ月/回)の終日通行止めを実施し、上り線の床版取替を完了しました。工事にあたっては、大型クレーンでの一括架設やジャッキアップ工法の採用により規制期間の短縮を図りました。また、中国自動車道(中国池田インターチェンジ~宝塚インターチェンジ)においては、交通混雑期を除き、終日車線規制により4車線運用をしながら床版取替を実施しました。これらの工事においては、テレビCMやリニューアル工事専用ウェブサイトを活用し、渋滞予測やリアルタイム所要時間等の情報提供を積極的に行うとともに、工事期間中に新名神高速道路への迂回にご協力いただいたお客さまへのSA・PA割引クーポンの提供や通行料金の引下げを行うなど、関係機関と連携しながら、工事中の社会的影響を最小化させるよう取り組みました。
さらに、地震に強い道路を目指して、平成28年熊本地震の被災状況を踏まえ、橋梁の更なる耐震補強を推進しました。
交通安全対策については、より安心かつ快適な道路環境を提供するため、事故多発箇所を中心としたハード対策や交通安全キャンペーン等によるソフト対策等、引き続き交通安全対策に取り組みました。対面通行区間での正面衝突事故防止のため、これまでのラバーポールに代えて区画柵を設置したほか、逆走による重大事故ゼロの実現のため、行き先を誤ったお客さまに対して適切な対処方法をご案内する看板の設置や一般道接続部等での誤進入対策、一般公募で寄せられた逆走防止技術の現地展開を進めました。道路の劣化を進行させる要因の一つである重量超過等の車両制限令に違反する車両に対しては、積載物の軽減や通行の中止など厳格な措置を実施し、指導及び取り締まりに引き続き取り組みました。また、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社及び株式会社エフエム大阪と共同で進めている、“ながら運転撲滅活動”(通称「SNDプロジェクト」)により交通安全啓発活動への取組みを推進しました。さらに、新名神高速道路 草津ジャンクション及び沖縄自動車道 沖縄南インターチェンジ出口の車線運用の変更による渋滞対策の実施や、従来よりも迅速な道路情報の収集・提供を可能にするAI画像処理技術を活用した異常走行等把握システムの構築に取り組みました。
上記の取組みに加え、高速道路資産を確実に点検し正確に健全性を把握するため、高解像度カメラ、赤外線カメラなどの点検技術の活用を拡大するとともに、無人航空機を活用した点検にも取り組みました。また、タブレット端末を使用した点検結果の記録に取り組むなど、点検から補修までの一連のサイクルである「保全事業システム」の高度化、効率化を推進しました。
近畿圏の新たな高速道路料金については、令和4年2月14日に第二神明道路 大蔵谷インターチェンジにおいて料金所の運用を開始したほか、令和4年3月31日に車種間比率の激変緩和措置が終了したことに伴う大型車及び中型車の通行料金変更に対応しました。
また、システム上の制約にとらわれず、必要な料金施策を必要な時期に実施できるようにするため、様々な料金施策に迅速かつ正確に対応可能な新料金システムの構築を推進しました。併せて、料金所のキャッシュレス化・タッチレス化に向け、ETCの普及促進を目的にETC車載器購入助成キャンペーンを実施しました。
その他、交通混雑期における渋滞の激化を避ける取組みとして、国土交通省からの依頼を受け、令和4年1月1日から令和4年1月3日に休日割引を適用しないこととしました。
災害対応力の強化については、近年、災害が広域化・激甚化しており、当社管内の高速道路においても毎年災害が発生していることを踏まえ、災害発生時に迅速な対応ができるよう、防災業務の標準的な作業手順や留意点を記した「防災対策業務必携」及び復旧支援を強化するため過去の災害と復旧で経験した知見をとりまとめた「災害復旧事例集」を整備するとともに、既存の「災害対応計画」を基に最新の知見等を踏まえ、事業継続計画(災害対応編)を策定しました。
また、発災直後の早期の道路機能確保のため中央分離帯の開口部やジャンクション等の土工部ランプ部の拡幅を行うことでスムーズな対面通行が可能となるなどの将来に備えた最適な構造(最適管理構造)の計画策定や、災害時の活動状況について広く理解を得るために被災状況や活動状況等を専属部隊により記録、撮影するなどの取組みも進めました。
冬季の高速道路の安全・安心については、通常の雪氷作業に加え、気象庁等が緊急発表を行った場合などは、出控えのお願いや通行止めの可能性のある区間の公表など、他機関と連携した事前広報に努めました。また、支社間応援体制の早期構築や巡回の強化、集中除雪をすることにより、人命を最優先に幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避する取組みを行いました。
上記の取組みに加え、道路管理事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、感染拡大防止を図るための都道府県をまたぐ移動の自粛に向けた取組みについて、令和3年4月29日から令和3年10月31日までの間、休日割引を適用しないこととしました。
間断なく高速道路サービスを提供するために保全サービス事業部門においては、料金所等グループ会社においてマスク着用・消毒及び清掃等を徹底し、コロナ感染者の発生を想定した具体的なケーススタディを繰り返し行い運営体制に反映させ、グループ一丸となった危機管理体制を構築しました。
特に、雪氷作業体制においては、作業レベルを維持するため、万が一雪氷作業従事者にコロナ感染者が発生した場合の感染拡大を抑止するため予め作業班の固定化や応援体制の構築を行い、冬期の交通確保に努めました。
次に、道路建設事業については、新名神高速道路の着実な整備や4・6車線化を推進するなど、高速道路ネットワークの形成及び充実を図りました。新設事業では、令和4年3月12日に播磨自動車道(播磨新宮インターチェンジ~宍粟ジャンクション)、令和4年3月21日に徳島南部自動車道(徳島ジャンクション~徳島沖洲インターチェンジ)が開通しました。
4車線化では、令和3年4月10日に阪和自動車道(印南インターチェンジ)の一部、令和3年5月28日及び令和3年9月10日に岡山自動車道(賀陽インターチェンジ~有漢インターチェンジ)の一部、令和3年12月10日に米子自動車道(蒜山インターチェンジ~江府インターチェンジ)の一部、令和3年12月18日に阪和自動車道・湯浅御坊道路(有田インターチェンジ~印南インターチェンジ)、令和4年3月17日に長崎自動車道(長崎インターチェンジ~長崎芒塚インターチェンジ)がそれぞれ完成しました。6車線化では、令和4年3月29日に新名神高速道路(甲賀土山インターチェンジ~大津ジャンクション(仮称))の一部がそれぞれ完成しました。
工事の安全対策については、全社的な工事安全レベルの向上を図るため各支社において安全協議会の「安全対策部会」を、本社において「工事安全推進会議」をそれぞれ開催し、発注者による安全確認や啓発活動を通して、工事施工会社の安全意識を高めるとともに、重大事故リスクアセスメントの実施等、受発注者一体となり工事安全管理に取り組みました。
また、令和3年8月6日に名神高速道路 黒丸スマートインターチェンジ(仮称)、令和4年3月30日に舞鶴若狭自動車道(小浜西インターチェンジ~小浜インターチェンジ)他3路線の4車線化等についてそれぞれ事業許可を受けました。
上記の取組みに加え、道路建設事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、受発注者双方において工事現場における「三つの密」回避の徹底等、感染拡大防止の徹底に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は1,295,241百万円(前連結会計年度比44.0%増)、営業費用は1,287,220百万円(同42.6%増)となり、営業利益は8,021百万円(前連結会計年度は営業損失3,733百万円)となりました。
(受託事業)
受託事業においては、高速道路の計画、建設及び管理の各段階を通じ、これまで培ってきた技術力及びノウハウを活かして、国及び地方公共団体等の委託に基づき道路の新設、改築、維持、修繕等を実施しました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は6,305百万円(前連結会計年度比53.3%増)、営業費用は6,273百万円(同53.5%増)となり、営業利益は31百万円(同23.1%増)となりました。
(SA・PA事業)
SA・PA事業においては、医療物資及び生活必需品等の輸送を担う物流事業者等のお客さまへのサービスを維持するとともに、コロナ禍の影響により売上が大きく減少したテナント事業者への支援を行いました。また、キャッシュレス決済の利用促進や、サービスエリアのインフォメーションにおけるリモート案内機器を試行導入するなど、お客さまにとって安全・安心な空間づくりに取り組みました。
さらに、「SAPA2021 とりもどそう!元気なニッポン」を合言葉に「SAPAお客さま感謝DAY」を実施するなど、お客さまにお買い物を楽しんでいただく企画や地域の高等学校と商品の共同開発を行い販売するなど、地域の魅力を発掘し、積極的な情報発信により地域と共生を目指す企画に取り組みました。加えて、デジタル技術の活用によりお客さま一人ひとりに寄り添ったサービスの提供を目指し、オンラインショップのオープンやモテナス店舗で使えるスタンプカードアプリ「モテナススタンプ」のサービス開始等に取り組みました。
また、「ここにしかない出逢い」を演出し、お客さま「推し」のSA・PAの創造を目指して、山陽自動車道 吉備サービスエリア(下り線)、高知自動車道 馬立パーキングエリア(上り線)及び立川パーキングエリア(下り線)並びに関門自動車道 めかりパーキングエリア(上り線)及び壇之浦パーキングエリア(下り線)等をより楽しくより快適にご利用いただけるようリニューアルオープンしました。
その他、地域とともに発展するSA・PAを目指し、お客さまへ、その場所でその時しか得られない旬な情報を届ける地域連携メディア「関門ONAIR」をパーキングエリア内の地域連携スペースに開設しました。また、愛媛県伊予市や大分県佐伯市への誘客を図ることを目的とし、サービスエリアにてそれぞれの市内において使用可能なクーポン券が当たる自動販売機を設置するなど、地域との連携・共創を推進しました。
上記の取組みに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図るため、店舗内において、消毒液の設置、定期的な換気を行うとともに、レジ待ち距離の確保、客席の間引き及びパーテーションの設置等、テナント各社と協力し、感染症拡大防止に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は21,234百万円(前連結会計年度比7.1%増)、営業費用は24,480百万円(同1.4%減)となり、営業損失は3,246百万円(前連結会計年度は営業損失4,993百万円)となりました。
(その他)
その他の事業においては、福岡市天神地区における駐車場事業、佐賀県鳥栖市及び熊本市東区の2箇所におけるトラックターミナル事業並びに海外における有料道路事業及びコンサルティング事業等を行いました。
米国においては、子会社であるNEXCO-West USA,Inc.を通じて非破壊検査点検事業に取り組みました。インドネシアにおいては、出資先である同国の高速道路運営会社PT Margautama Nusantara(マルガウタマ ヌサンタラ)と平成27年8月に締結した包括的技術連携に基づき、当社からの出向社員が技術指導等を行い道路維持管理の品質向上に寄与しました。
当連結会計年度のその他全体としては、営業収益は8,607百万円(前連結会計年度比11.7%減)、営業費用は8,158百万円(同8.6%減)となり、営業利益は449百万円(同45.5%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ4,489百万円増加し、1,648,344百万円となりました。有価証券が増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ4,560百万円減少し、1,422,269百万円となりました。道路建設関係長期借入金が減少したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ9,049百万円増加し、226,074百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因です。
自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.5ポイント増加し、13.7%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は339,738百万円(前連結会計年度比84.2%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は249,239百万円(前連結会計年度は265,931百万円の資金の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の減少額90,368百万円に加え、売上債権の減少額73,527百万円や減価償却費31,312百万円の資金の獲得があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は35,789百万円(前連結会計年度比11.0%減)となりました。これは主に、料金収受機械、ETC装置等の設備投資36,649百万円の資金の使用があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は58,205百万円(前連結会計年度は270,372百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、長期借入れ及び道路建設関係社債発行による資金の獲得609,850百万円があったものの、長期借入金の返済及び道路建設関係社債償還による資金の使用667,007百万円(機構法第15条第1項による債務引受額667,002百万円を含みます。)があったためです。
なお、建設投資(仕掛道路資産)に係る有利子負債は、建設投資(仕掛道路資産)を機構に引き渡す際に同時に機構が債務を引き受けます。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
なお、「高速道路事業営業費用、営業外費用及び特別損失等明細表」については、後記「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 ②損益計算書 営業費用明細書のうち高速道路事業原価明細書」をご参照ください。
(注) 本明細表は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成しています。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
当事業年度(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日)
(注) 収益の配賦基準は次のとおりです。
1.高速道路事業又はその他収益として事業が特定できるものは、各々の特定の事業部門に直接
配賦しています。
2.事業が特定できないものについては、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)
第24条の規定により各事業へ配賦しています。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を、金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「1.経営成績等の状況の概要」において各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の非営利性等について
高速道路事業においては、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と締結した協定並びに特措法の規定による事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を徴収、かかる料金収入から機構への賃借料及び管理費用の支払いに充てています。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の徴収する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされています。なお、各連結会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合がありますが機構との協定に基づき、賃借料の着実な支払いを行うことが重要であるとの認識から、将来の社会経済変動及び自然災害の発生により料金収入が変動した場合等を想定し、高速道路事業に係る利益を備えのために積み立てています。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いことから、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏季の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
なお、高速道路事業の収益には、インセンティブ助成金収入が含まれています。インセンティブ助成金とは、機構法第12条第1項第8号の規定に基づき、当社が経営努力による高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に要する費用の縮減を行った際に、機構より縮減額の一部を助成されるものです。当連結会計年度におけるインセンティブ助成金を原資とする支出は16百万円となっています。当連結会計年度末におけるインセンティブ助成金残高は919百万円であり、利益剰余金に留保されています。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的(重畳的)債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しています。
なお、高速道路にかかる道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、原則当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、日本道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱が承継した日本道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じています(民営化関係法施行法第16条)。
(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えています。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費・人件費等のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等その他道路資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しています。
なお、上記「(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 料金収入等の計上基準
営業収益のうち、料金収入については、顧客が当社の管理する道路を通行した時点で収益を計上しています。
なお、ETCマイレージサービス制度に係る将来の無料走行に使用できるポイント等を付与した場合、当該ポイント等にて追加のサービスを顧客に提供したものとして、将来、当該サービスが顧客に移転した時に履行義務が充足するものとして収益を計上しています。また、営業収益のうち、道路資産完成高の計上は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した日に行っています。
③ 受託業務収入等の計上基準
営業収益のうち、直轄高速道路事業収入及び受託業務収入等については、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を計上しています。ただし、契約における取引開始日から履行義務の全部を充足すると見込まれる時点までの期間が短い等、重要性が乏しい場合は、引き渡し時点において履行義務が充足されたものとして収益を計上しています。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これら固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出し、減損の要否を検討しています。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断する際、将来の課税所得を合理的に見積もっています。よって、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営成績の分析
① 営業収益
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益については、道路資産完成高が増加したこと等により1,295,241百万円(前連結会計年度比44.0%増)となりました。受託事業の営業収益については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が増加したこと等により6,305百万円(同53.3%増)、SA・PA事業の営業収益については、21,234百万円(同7.1%増)、その他の営業収益については、8,607百万円(同11.7%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業収益合計は、1,329,669百万円(同42.8%増)となりました。
② 営業利益
当連結会計年度における高速道路事業にかかる営業費用は、道路資産完成原価が増加したこと等により1,287,220百万円(前連結会計年度比42.6%増)となり、受託事業の営業費用については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が増加したこと等により6,273百万円(同53.5%増)、SA・PA事業の営業費用については、24,480百万円(同1.4%減)、その他の営業費用については8,158百万円(同8.6%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業費用合計は、1,324,424百万円(同41.1%増)となりました。
その結果、当連結会計年度における営業利益は、5,244百万円(前連結会計年度は営業損失7,899百万円)となりました。その内訳は、高速道路事業の営業利益は8,021百万円(同営業損失3,733百万円)、受託事業の営業利益は31百万円(前連結会計年度比23.1%増)、SA・PA事業の営業損失は3,246百万円(前連結会計年度は営業損失4,993百万円)、その他の営業利益は449百万円(前連結会計年度比45.5%減)です。
③ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、土地物件貸付料959百万円等の計上により2,958百万円(前連結会計年度比41.0%減)となり、営業外費用は、棚卸資産処分損68百万円等の計上により203百万円(同44.9%減)となりました。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、7,999百万円(前連結会計年度は経常損失3,251百万円)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益143百万円等の計上により184百万円(前連結会計年度比45.8%増)となり、特別損失は、固定資産売却損59百万円等の計上により213百万円(同52.4%減)となりました。
その結果、税金等調整前当期純利益は7,970百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失3,573百万円)となり、これから法人税等合計1,338百万円(前連結会計年度比55.3%減)及び非支配株主に帰属する当期純損失0百万円(前連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純利益0百万円)を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、6,632百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失6,566百万円)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析は、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
② 資金調達
資金の調達は、高速道路料金の徴収等の営業活動のほか、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産にかかる投資については、道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入れ並びに金融機関等からの借入れを通じて実施しました。
資金の調達においては低利且つ安定的な調達を目指し、道路建設関係社債の発行を基軸としつつ、金融機関等からの借入れも実施し、調達バランスの最適化を図っています。
③ 資金需要と設備投資
当社グループの主な資金需要は、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金です。
道路資産賃借料の支払いには高速道路料金収入を、道路資産の建設資金には道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入金並びに金融機関等からの借入金を充てています。
なお、資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しています。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響の下にありましたが、緊急事態宣言の解除等、厳しい状況は徐々に緩和され、持ち直しの動きがみられます。しかし、高速道路の料金収入やSA・PAの売上がコロナ禍前と比べて依然として減少している等、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いています。
このような状況下において、当社グループは、ゴールデンウイーク期間を含めて休日割引を適用しないことやSA・PAテナントに対する営業自粛の要請をはじめとした新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に努めつつ、24時間365日、我が国の大動脈として生活・経済活動に欠かせない重要なインフラである高速道路の機能・サービスを間断なく提供し続けました。
また、令和3年8月の大雨の影響により長崎自動車道の佐賀県内をはじめ、復旧に時間を要した4箇所を含む管内全体で30箇所が被災しました。これをはじめとする災害に伴い、通行止め等の通行の制限を余儀なくされましたが、その都度、関係機関等からのご協力のもと、当社グループの総力を結集し復旧を進めました。
こうした厳しい経営環境のなかで当社グループは、「私たちは、高速道路の安全・安心を最優先に、高速道路の進化に挑み続け、地域の発展と豊かな未来の実現に貢献します」というグループ理念のもと、安全・安心の確保を目指し、さらに満足度の高い機能・サービスの提供を行うべく事業を展開しました。
その結果、当連結会計年度の通行台数は、前期比5.2%増となり、料金収入は、前期比2.4%増(677,274百万円)となりました。
高速道路事業以外の事業においては、SA・PA事業を中心に展開していますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等もありながらも、店舗及びガスステーションの売上は前期比19.1%増の131,972百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は1,329,669百万円(前連結会計年度比42.8%増)、営業費用は1,324,424百万円(同41.1%増)、営業利益は5,244百万円(前連結会計年度は営業損失7,899百万円)、経常利益は7,999百万円(同経常損失3,251百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6,632百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失は6,566百万円)となりました。
今後、「高速道路における安全・安心基本計画」(令和元年9月国土交通省)を踏まえ、令和元年12月に策定した「高速道路における安全・安心実施計画」に基づき、暫定2車線区間の解消、災害時におけるネットワークの確保等の高速道路の更なる機能強化を図る各種事業を着実に推進していきます。
各セグメントの概況は次のとおりです。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、機構との協定、特措法第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行いました。
まず、道路管理事業に関して、令和3年8月の大雨では当社が管理する高速道路の複数箇所で土砂崩れ等の被害が生じましたが、速やかに応急復旧のうえ交通確保を行いました。特に、長崎自動車道の佐賀県内では、11日間で総雨量1,200ミリを超える記録的な大雨の影響により、切土のり面変状に伴う通行止めが生じましたが、速やかな応急復旧により早期の通行止め解除に取り組みました。また、被害の大きかった滋賀県における災害復旧活動の円滑化や生活支援を目的として、被災した国道の代替路として名神高速道路(京都東インターチェンジ~大津インターチェンジ)の代替路(無料)措置を行いました。
高速道路リニューアルプロジェクトについて、地方部での事業に加え、関西都市圏の事業を推進しました。中国自動車道(吹田ジャンクション~中国池田インターチェンジ)においては、令和3年度は3回(約1.5ヵ月/回)の終日通行止めを実施し、上り線の床版取替を完了しました。工事にあたっては、大型クレーンでの一括架設やジャッキアップ工法の採用により規制期間の短縮を図りました。また、中国自動車道(中国池田インターチェンジ~宝塚インターチェンジ)においては、交通混雑期を除き、終日車線規制により4車線運用をしながら床版取替を実施しました。これらの工事においては、テレビCMやリニューアル工事専用ウェブサイトを活用し、渋滞予測やリアルタイム所要時間等の情報提供を積極的に行うとともに、工事期間中に新名神高速道路への迂回にご協力いただいたお客さまへのSA・PA割引クーポンの提供や通行料金の引下げを行うなど、関係機関と連携しながら、工事中の社会的影響を最小化させるよう取り組みました。
さらに、地震に強い道路を目指して、平成28年熊本地震の被災状況を踏まえ、橋梁の更なる耐震補強を推進しました。
交通安全対策については、より安心かつ快適な道路環境を提供するため、事故多発箇所を中心としたハード対策や交通安全キャンペーン等によるソフト対策等、引き続き交通安全対策に取り組みました。対面通行区間での正面衝突事故防止のため、これまでのラバーポールに代えて区画柵を設置したほか、逆走による重大事故ゼロの実現のため、行き先を誤ったお客さまに対して適切な対処方法をご案内する看板の設置や一般道接続部等での誤進入対策、一般公募で寄せられた逆走防止技術の現地展開を進めました。道路の劣化を進行させる要因の一つである重量超過等の車両制限令に違反する車両に対しては、積載物の軽減や通行の中止など厳格な措置を実施し、指導及び取り締まりに引き続き取り組みました。また、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社及び株式会社エフエム大阪と共同で進めている、“ながら運転撲滅活動”(通称「SNDプロジェクト」)により交通安全啓発活動への取組みを推進しました。さらに、新名神高速道路 草津ジャンクション及び沖縄自動車道 沖縄南インターチェンジ出口の車線運用の変更による渋滞対策の実施や、従来よりも迅速な道路情報の収集・提供を可能にするAI画像処理技術を活用した異常走行等把握システムの構築に取り組みました。
上記の取組みに加え、高速道路資産を確実に点検し正確に健全性を把握するため、高解像度カメラ、赤外線カメラなどの点検技術の活用を拡大するとともに、無人航空機を活用した点検にも取り組みました。また、タブレット端末を使用した点検結果の記録に取り組むなど、点検から補修までの一連のサイクルである「保全事業システム」の高度化、効率化を推進しました。
近畿圏の新たな高速道路料金については、令和4年2月14日に第二神明道路 大蔵谷インターチェンジにおいて料金所の運用を開始したほか、令和4年3月31日に車種間比率の激変緩和措置が終了したことに伴う大型車及び中型車の通行料金変更に対応しました。
また、システム上の制約にとらわれず、必要な料金施策を必要な時期に実施できるようにするため、様々な料金施策に迅速かつ正確に対応可能な新料金システムの構築を推進しました。併せて、料金所のキャッシュレス化・タッチレス化に向け、ETCの普及促進を目的にETC車載器購入助成キャンペーンを実施しました。
その他、交通混雑期における渋滞の激化を避ける取組みとして、国土交通省からの依頼を受け、令和4年1月1日から令和4年1月3日に休日割引を適用しないこととしました。
災害対応力の強化については、近年、災害が広域化・激甚化しており、当社管内の高速道路においても毎年災害が発生していることを踏まえ、災害発生時に迅速な対応ができるよう、防災業務の標準的な作業手順や留意点を記した「防災対策業務必携」及び復旧支援を強化するため過去の災害と復旧で経験した知見をとりまとめた「災害復旧事例集」を整備するとともに、既存の「災害対応計画」を基に最新の知見等を踏まえ、事業継続計画(災害対応編)を策定しました。
また、発災直後の早期の道路機能確保のため中央分離帯の開口部やジャンクション等の土工部ランプ部の拡幅を行うことでスムーズな対面通行が可能となるなどの将来に備えた最適な構造(最適管理構造)の計画策定や、災害時の活動状況について広く理解を得るために被災状況や活動状況等を専属部隊により記録、撮影するなどの取組みも進めました。
冬季の高速道路の安全・安心については、通常の雪氷作業に加え、気象庁等が緊急発表を行った場合などは、出控えのお願いや通行止めの可能性のある区間の公表など、他機関と連携した事前広報に努めました。また、支社間応援体制の早期構築や巡回の強化、集中除雪をすることにより、人命を最優先に幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避する取組みを行いました。
上記の取組みに加え、道路管理事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、感染拡大防止を図るための都道府県をまたぐ移動の自粛に向けた取組みについて、令和3年4月29日から令和3年10月31日までの間、休日割引を適用しないこととしました。
間断なく高速道路サービスを提供するために保全サービス事業部門においては、料金所等グループ会社においてマスク着用・消毒及び清掃等を徹底し、コロナ感染者の発生を想定した具体的なケーススタディを繰り返し行い運営体制に反映させ、グループ一丸となった危機管理体制を構築しました。
特に、雪氷作業体制においては、作業レベルを維持するため、万が一雪氷作業従事者にコロナ感染者が発生した場合の感染拡大を抑止するため予め作業班の固定化や応援体制の構築を行い、冬期の交通確保に努めました。
次に、道路建設事業については、新名神高速道路の着実な整備や4・6車線化を推進するなど、高速道路ネットワークの形成及び充実を図りました。新設事業では、令和4年3月12日に播磨自動車道(播磨新宮インターチェンジ~宍粟ジャンクション)、令和4年3月21日に徳島南部自動車道(徳島ジャンクション~徳島沖洲インターチェンジ)が開通しました。
4車線化では、令和3年4月10日に阪和自動車道(印南インターチェンジ)の一部、令和3年5月28日及び令和3年9月10日に岡山自動車道(賀陽インターチェンジ~有漢インターチェンジ)の一部、令和3年12月10日に米子自動車道(蒜山インターチェンジ~江府インターチェンジ)の一部、令和3年12月18日に阪和自動車道・湯浅御坊道路(有田インターチェンジ~印南インターチェンジ)、令和4年3月17日に長崎自動車道(長崎インターチェンジ~長崎芒塚インターチェンジ)がそれぞれ完成しました。6車線化では、令和4年3月29日に新名神高速道路(甲賀土山インターチェンジ~大津ジャンクション(仮称))の一部がそれぞれ完成しました。
工事の安全対策については、全社的な工事安全レベルの向上を図るため各支社において安全協議会の「安全対策部会」を、本社において「工事安全推進会議」をそれぞれ開催し、発注者による安全確認や啓発活動を通して、工事施工会社の安全意識を高めるとともに、重大事故リスクアセスメントの実施等、受発注者一体となり工事安全管理に取り組みました。
また、令和3年8月6日に名神高速道路 黒丸スマートインターチェンジ(仮称)、令和4年3月30日に舞鶴若狭自動車道(小浜西インターチェンジ~小浜インターチェンジ)他3路線の4車線化等についてそれぞれ事業許可を受けました。
上記の取組みに加え、道路建設事業における新型コロナウイルス感染症への対応として、受発注者双方において工事現場における「三つの密」回避の徹底等、感染拡大防止の徹底に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は1,295,241百万円(前連結会計年度比44.0%増)、営業費用は1,287,220百万円(同42.6%増)となり、営業利益は8,021百万円(前連結会計年度は営業損失3,733百万円)となりました。
(受託事業)
受託事業においては、高速道路の計画、建設及び管理の各段階を通じ、これまで培ってきた技術力及びノウハウを活かして、国及び地方公共団体等の委託に基づき道路の新設、改築、維持、修繕等を実施しました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は6,305百万円(前連結会計年度比53.3%増)、営業費用は6,273百万円(同53.5%増)となり、営業利益は31百万円(同23.1%増)となりました。
(SA・PA事業)
SA・PA事業においては、医療物資及び生活必需品等の輸送を担う物流事業者等のお客さまへのサービスを維持するとともに、コロナ禍の影響により売上が大きく減少したテナント事業者への支援を行いました。また、キャッシュレス決済の利用促進や、サービスエリアのインフォメーションにおけるリモート案内機器を試行導入するなど、お客さまにとって安全・安心な空間づくりに取り組みました。
さらに、「SAPA2021 とりもどそう!元気なニッポン」を合言葉に「SAPAお客さま感謝DAY」を実施するなど、お客さまにお買い物を楽しんでいただく企画や地域の高等学校と商品の共同開発を行い販売するなど、地域の魅力を発掘し、積極的な情報発信により地域と共生を目指す企画に取り組みました。加えて、デジタル技術の活用によりお客さま一人ひとりに寄り添ったサービスの提供を目指し、オンラインショップのオープンやモテナス店舗で使えるスタンプカードアプリ「モテナススタンプ」のサービス開始等に取り組みました。
また、「ここにしかない出逢い」を演出し、お客さま「推し」のSA・PAの創造を目指して、山陽自動車道 吉備サービスエリア(下り線)、高知自動車道 馬立パーキングエリア(上り線)及び立川パーキングエリア(下り線)並びに関門自動車道 めかりパーキングエリア(上り線)及び壇之浦パーキングエリア(下り線)等をより楽しくより快適にご利用いただけるようリニューアルオープンしました。
その他、地域とともに発展するSA・PAを目指し、お客さまへ、その場所でその時しか得られない旬な情報を届ける地域連携メディア「関門ONAIR」をパーキングエリア内の地域連携スペースに開設しました。また、愛媛県伊予市や大分県佐伯市への誘客を図ることを目的とし、サービスエリアにてそれぞれの市内において使用可能なクーポン券が当たる自動販売機を設置するなど、地域との連携・共創を推進しました。
上記の取組みに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図るため、店舗内において、消毒液の設置、定期的な換気を行うとともに、レジ待ち距離の確保、客席の間引き及びパーテーションの設置等、テナント各社と協力し、感染症拡大防止に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は21,234百万円(前連結会計年度比7.1%増)、営業費用は24,480百万円(同1.4%減)となり、営業損失は3,246百万円(前連結会計年度は営業損失4,993百万円)となりました。
(その他)
その他の事業においては、福岡市天神地区における駐車場事業、佐賀県鳥栖市及び熊本市東区の2箇所におけるトラックターミナル事業並びに海外における有料道路事業及びコンサルティング事業等を行いました。
米国においては、子会社であるNEXCO-West USA,Inc.を通じて非破壊検査点検事業に取り組みました。インドネシアにおいては、出資先である同国の高速道路運営会社PT Margautama Nusantara(マルガウタマ ヌサンタラ)と平成27年8月に締結した包括的技術連携に基づき、当社からの出向社員が技術指導等を行い道路維持管理の品質向上に寄与しました。
当連結会計年度のその他全体としては、営業収益は8,607百万円(前連結会計年度比11.7%減)、営業費用は8,158百万円(同8.6%減)となり、営業利益は449百万円(同45.5%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ4,489百万円増加し、1,648,344百万円となりました。有価証券が増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ4,560百万円減少し、1,422,269百万円となりました。道路建設関係長期借入金が減少したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ9,049百万円増加し、226,074百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因です。
自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.5ポイント増加し、13.7%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は339,738百万円(前連結会計年度比84.2%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は249,239百万円(前連結会計年度は265,931百万円の資金の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の減少額90,368百万円に加え、売上債権の減少額73,527百万円や減価償却費31,312百万円の資金の獲得があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は35,789百万円(前連結会計年度比11.0%減)となりました。これは主に、料金収受機械、ETC装置等の設備投資36,649百万円の資金の使用があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は58,205百万円(前連結会計年度は270,372百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、長期借入れ及び道路建設関係社債発行による資金の獲得609,850百万円があったものの、長期借入金の返済及び道路建設関係社債償還による資金の使用667,007百万円(機構法第15条第1項による債務引受額667,002百万円を含みます。)があったためです。
なお、建設投資(仕掛道路資産)に係る有利子負債は、建設投資(仕掛道路資産)を機構に引き渡す際に同時に機構が債務を引き受けます。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
なお、「高速道路事業営業費用、営業外費用及び特別損失等明細表」については、後記「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 ②損益計算書 営業費用明細書のうち高速道路事業原価明細書」をご参照ください。
(注) 本明細表は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成しています。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
当事業年度(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日)
| 区分 | 金額(百万円) | |
| 1.営業収益 | ||
| 料金収入 | 677,459 | |
| 道路資産完成高 | 614,557 | |
| 受託業務収入 | 0 | |
| その他の売上高 | 1,319 | 1,293,337 |
| 2.営業外収益 | ||
| 受取利息 | 13 | |
| 有価証券利息 | 1 | |
| 受取配当金 | 832 | |
| 土地物件貸付料 | 812 | |
| 雑収入 | 492 | 2,152 |
| 3.特別利益 | ||
| 固定資産売却益 | 47 | 47 |
| 高速道路事業営業収益等合計 | 1,295,537 | |
(注) 収益の配賦基準は次のとおりです。
1.高速道路事業又はその他収益として事業が特定できるものは、各々の特定の事業部門に直接
配賦しています。
2.事業が特定できないものについては、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)
第24条の規定により各事業へ配賦しています。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を、金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「1.経営成績等の状況の概要」において各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の非営利性等について
高速道路事業においては、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と締結した協定並びに特措法の規定による事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を徴収、かかる料金収入から機構への賃借料及び管理費用の支払いに充てています。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の徴収する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされています。なお、各連結会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合がありますが機構との協定に基づき、賃借料の着実な支払いを行うことが重要であるとの認識から、将来の社会経済変動及び自然災害の発生により料金収入が変動した場合等を想定し、高速道路事業に係る利益を備えのために積み立てています。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いことから、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏季の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
なお、高速道路事業の収益には、インセンティブ助成金収入が含まれています。インセンティブ助成金とは、機構法第12条第1項第8号の規定に基づき、当社が経営努力による高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に要する費用の縮減を行った際に、機構より縮減額の一部を助成されるものです。当連結会計年度におけるインセンティブ助成金を原資とする支出は16百万円となっています。当連結会計年度末におけるインセンティブ助成金残高は919百万円であり、利益剰余金に留保されています。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的(重畳的)債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しています。
なお、高速道路にかかる道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、原則当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、日本道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱が承継した日本道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じています(民営化関係法施行法第16条)。
(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えています。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費・人件費等のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等その他道路資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しています。
なお、上記「(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 料金収入等の計上基準
営業収益のうち、料金収入については、顧客が当社の管理する道路を通行した時点で収益を計上しています。
なお、ETCマイレージサービス制度に係る将来の無料走行に使用できるポイント等を付与した場合、当該ポイント等にて追加のサービスを顧客に提供したものとして、将来、当該サービスが顧客に移転した時に履行義務が充足するものとして収益を計上しています。また、営業収益のうち、道路資産完成高の計上は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した日に行っています。
③ 受託業務収入等の計上基準
営業収益のうち、直轄高速道路事業収入及び受託業務収入等については、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を計上しています。ただし、契約における取引開始日から履行義務の全部を充足すると見込まれる時点までの期間が短い等、重要性が乏しい場合は、引き渡し時点において履行義務が充足されたものとして収益を計上しています。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これら固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出し、減損の要否を検討しています。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断する際、将来の課税所得を合理的に見積もっています。よって、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営成績の分析
① 営業収益
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益については、道路資産完成高が増加したこと等により1,295,241百万円(前連結会計年度比44.0%増)となりました。受託事業の営業収益については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が増加したこと等により6,305百万円(同53.3%増)、SA・PA事業の営業収益については、21,234百万円(同7.1%増)、その他の営業収益については、8,607百万円(同11.7%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業収益合計は、1,329,669百万円(同42.8%増)となりました。
② 営業利益
当連結会計年度における高速道路事業にかかる営業費用は、道路資産完成原価が増加したこと等により1,287,220百万円(前連結会計年度比42.6%増)となり、受託事業の営業費用については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が増加したこと等により6,273百万円(同53.5%増)、SA・PA事業の営業費用については、24,480百万円(同1.4%減)、その他の営業費用については8,158百万円(同8.6%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業費用合計は、1,324,424百万円(同41.1%増)となりました。
その結果、当連結会計年度における営業利益は、5,244百万円(前連結会計年度は営業損失7,899百万円)となりました。その内訳は、高速道路事業の営業利益は8,021百万円(同営業損失3,733百万円)、受託事業の営業利益は31百万円(前連結会計年度比23.1%増)、SA・PA事業の営業損失は3,246百万円(前連結会計年度は営業損失4,993百万円)、その他の営業利益は449百万円(前連結会計年度比45.5%減)です。
③ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、土地物件貸付料959百万円等の計上により2,958百万円(前連結会計年度比41.0%減)となり、営業外費用は、棚卸資産処分損68百万円等の計上により203百万円(同44.9%減)となりました。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、7,999百万円(前連結会計年度は経常損失3,251百万円)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益143百万円等の計上により184百万円(前連結会計年度比45.8%増)となり、特別損失は、固定資産売却損59百万円等の計上により213百万円(同52.4%減)となりました。
その結果、税金等調整前当期純利益は7,970百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失3,573百万円)となり、これから法人税等合計1,338百万円(前連結会計年度比55.3%減)及び非支配株主に帰属する当期純損失0百万円(前連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純利益0百万円)を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、6,632百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失6,566百万円)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析は、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
② 資金調達
資金の調達は、高速道路料金の徴収等の営業活動のほか、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産にかかる投資については、道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入れ並びに金融機関等からの借入れを通じて実施しました。
資金の調達においては低利且つ安定的な調達を目指し、道路建設関係社債の発行を基軸としつつ、金融機関等からの借入れも実施し、調達バランスの最適化を図っています。
③ 資金需要と設備投資
当社グループの主な資金需要は、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金です。
道路資産賃借料の支払いには高速道路料金収入を、道路資産の建設資金には道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入金並びに金融機関等からの借入金を充てています。
なお、資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しています。