有価証券報告書-第91期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 13:45
【資料】
PDFをみる
【項目】
112項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
わが国の経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が見られ、緩やかな回復基調が続いております。一方、欧米の政治的リスクやアジアの地政学的リスクなど、海外経済の不確実性を背景に、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高3,619億5千4百万円(前年比1.9%増)、営業利益188億円(同5.4%減)、経常利益269億2千3百万円(同2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は171億8千2百万円(同6.5%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
◇放送事業
放送事業セグメントの当連結会計年度の売上高は2,176億3千2百万円(前年比0.7%減)、営業利益は、33億円(同44.7%減)となりました。
放送事業の主力である株式会社TBSテレビは、当連結会計年度のタイム収入が863億8千8百万円(前年比1.2%増)、スポット収入が837億2百万円(同2.9%減)となりました。タイム単発セールスにおいては、「世界陸上ロンドン大会」、「SMBC日本シリーズ2017」、「ピョンチャンオリンピック2018」、「池上彰と宇宙の旅2018」など多様な単発番組をセールスしましたが、わずかに前年に届きませんでした。一方、レギュラーセールスが好調な視聴率を背景に売上を伸ばし、トータルでは増収となりました。スポットセールスでは、広告主の関東地区投下量が前年比2.0%減と振るわず、前年を下回る結果となりました。
株式会社BS-TBSは、当連結会計年度で売上高167億8千4百万円(前年比1.4%減)、営業利益は23億9千3百万円(同6.4%減)となりました。収入面では、スポット、ショッピングが好調で、タイム単発セールスも前年並みの推移でしたが、タイムレギュラーセールスの苦戦が響き、減収となりました。利益面では、番組強化に伴う制作費等の増加で減益となりました。
株式会社TBSラジオは、2月のビデオリサーチ首都圏聴取率調査においてもトップを記録し、2001年8月調査以来、16年8ヶ月・100期連続首位の座を守り続けております。当連結会計年度は、売上高は前年比3.2%の減収でしたが、コストコントロールの徹底などにより営業利益は同45.6%の大幅な増益となりました。
◇映像・文化事業
映像・文化事業セグメントの当連結会計年度の売上高は1,284億5千3百万円(前年比6.2%増)、営業利益75億5千1百万円(同22.4%増)となりました。
興行では、東京豊洲にオープンしたアジア初の360度回転劇場「IHIステージアラウンド東京」にて「劇団☆新感線『髑髏城の七人』」を公演しておりますが、第1弾『シーズン花』、第2弾『シーズン鳥』、第3弾『シーズン風』、第4弾『シーズン月』に続き、トリを飾る『修羅天魔』の上演においても、チケットが連日完売となる大盛況となりました。また、TBS赤坂ACTシアターでは、「俺節」、「ビリー・エリオット」や熊川哲也Kバレエカンパニーによる「くるみ割り人形」などが好評を博しました。催事では、「星の王子さまミュージアム 箱根サン=テグジュペリ」が過去最高となる22万人超の年間来場者を記録しました。映画事業では、7月公開の映画「忍びの国」(出演:大野智ほか、監督:中村義洋)が興行収入25億円超、12月公開の映画「8年越しの花嫁」(出演:佐藤健ほか、監督:瀬々敬久)が興行収入27億円超、1月公開の映画「祈りの幕が下りる時」(出演:阿部寛ほか、監督:福澤克雄)が興行収入15億円超と、ヒット作が続きました。赤坂サカスでは、春の「ママサカス」、夏の「デリシャカス」、冬の「White Sacas(ホワイトサカス)」など恒例のイベントに加え、新規イベントを積極的に展開し、年間を通して活況となりました。
メディアビジネス関連では、海外事業において「SASUKE」のフォーマット販売を中心に大きく売上を伸ばしました。CS事業においては、オリジナルコンテンツの拡充など視聴者増加に向けた施策を行いましたが、プラットフォームの加入件数の減少が響いて、減収となりました。その他、ライセンス事業において、TVショッピングが好調で、ヒット商品を中心に売上を伸ばしました。
スタイリングライフグループは、大ヒット商品を中心に好調が続く化粧品事業が牽引し、増収増益となりました。中核の小売事業「プラザスタイルカンパニー」も、収入面では化粧品が好調に推移して増収となり、利益面でも増益を確保しました。
◇不動産事業
不動産事業セグメントの当連結会計年度の売上高は158億6千8百万円(前年比4.4%増)、営業利益79億5千4百万円(同2.8%増)となりました。
赤坂Bizタワーは、オフィス、商業施設とも高い稼動を維持しており、堅調に推移しております。
赤坂サカスについては、今後もTBSグループや番組をより身近に感じていただくための様々な催事を行い、放送文化の発信地としての地位を不動のものとすることを目指してまいります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は811億2千9百万円で、前連結会計年度末に比べて137億3千8百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、355億3千6百万円の収入になりました(前年同期は364億8千5百万円の収入)。主な増額要因は、税金等調整前当期純利益274億3千5百万円、減価償却費148億6千6百万円、仕入債務の増加額33億1千5百万円等、一方、主な減額要因は、たな卸資産の増加額11億4千4百万円、法人税等の支払額101億円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、140億2千8百万円の支出となりました(前年同期は100億7千8百万円の支出)。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出60億7千9百万円、無形固定資産の取得による支出37億3百万円、関係会社株式の取得による支出52億3千2百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、77億3千万円の支出となりました(前年同期は367億1千8百万円の支出)。主な内訳は、長期借入れによる収入48億円、長期借入金の返済による支出60億円、配当金の支払額55億8千7百万円等であります。
③ 販売の実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
放送事業217,632△0.7
映像・文化事業128,4536.2
不動産事業15,8684.4
合計361,9541.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱電通107,13930.1102,10228.2
㈱博報堂DYメディアパートナーズ51,43014.553,23614.7

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し、見積り及び仮定設定が決算数値に大きく影響を与えることを考慮し、当社グループでは特に貸倒債権、投資、賞与、退職金、偶発債務や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して慎重に評価及び測定を行っております。経営陣は発生した事象に関して、過去の実績や状況等様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果を決算数値に反映させております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、債務者の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しております。債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当てが必要となる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、これらにつきまして評価損を計上しております。将来の株式市場の低迷または投資先の財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度におきましては、投資有価証券の評価損4百万円を計上しております。
c.繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産の算定に当たって慎重な判断を行い、評価性引当額を計上することによって実現可能性の高い金額への修正を行っております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得と継続的な税務計画を慎重に判断しております。
d.退職給付債務及び費用
当社グループの従業員退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出し、また、一部の子会社については簡便法を採用して当社グループの連結財務諸表に計上しております。
割引率は、主として安全性の高い長期の債券の市場利回りを基準に算出しております。なお、年金資産の長期期待運用収益率は2.9%としております。
数理計算上の差異は主として発生年度の翌連結会計年度に償却しておりますが、スタイリングライフグループにおいては、数理計算上の差異及び過去勤務費用を従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(11~13年)で償却しております。
e.固定資産の減損
事業用資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度におきましては、固定資産の減損損失1億4千9百万円を計上しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高及び営業利益
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」にて記載したとおりです。
b.経常利益
営業外収益は88億9千6百万円で、16億5千4百万円の増加となりました。受取配当金が29億9千6百万円増加、持分法による投資利益が5億9千4百万円減少しております。営業外費用は7億7千2百万円で、1億3千9百万円の減少となりました。支払利息が8千9百万円減少しております。
この結果、当連結会計年度における経常利益は269億2千3百万円で、7億1千6百万円、2.7%の増益となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は9億8千8百万円で、7億7千6百万円の増加となりました。投資有価証券売却益9億8千8百万円を計上しました。
特別損失は4億7千6百万円で、4億8千1百万円の減少となりました。減損損失1億4千9百万円、固定資産撤去費1億3千9百万円、事業撤退損9千7百万円等を計上しました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は171億8千2百万円で、10億4千6百万円、6.5%の増益となりました。
③ 財政状態に関する分析
当連結会計年度末における資産合計は8,236億9千3百万円で、前連結会計年度末に比べて1,166億2千9百万円の増加となりました。有形固定資産が減価償却等により71億6千4百万円減少した一方、現金及び預金が121億1千9百万円増加、保有する株式の含み益の増加等により投資有価証券が1,097億9百万円増加したこと等によります。
負債合計は2,227億4千2百万円で、前連結会計年度末に比べて331億9百万円の増加となりました。支払手形及び買掛金が33億1千5百万円増加、未払金が6億9千5百万円増加したことに加え、保有する株式の時価の上昇に伴い繰延税金負債が311億4千4百万円増加したこと等によります。
純資産合計は6,009億5千万円で、前連結会計年度末に比べて835億1千9百万円の増加となりました。自己株式の消却等により、自己株式が204億8千8百万円減少、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払い、自己株式消却により、利益剰余金が差し引き49億8千8百万円減少した一方で、その他有価証券評価差額金が711億5千7百万円増加したこと等によります。
この結果、自己資本比率は71.0%、1株当たりの純資産は3,349円52銭となっております。
④ 流動性および資金の源泉
a.キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。
b.資金調達の状況
当連結会計年度におきまして、当社グループは次のとおり資金調達いたしました。
当連結会計年度末における当社グループの有利子負債は、長期借入金212億円(1年内返済予定分含む)となっております(リース債務を除く)。
また、連結子会社である㈱スタイリングライフ・ホールディングスは、運転資金の機動的な確保を目的として、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計25億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高なし、借入未実行残高25億円)。
このほか、資金の効率化を図るため、売掛債権の一部流動化を実施しております。