有価証券報告書-第92期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、輸出や生産の一部に弱さも見られる他、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響により、先行き不透明な状況が続いております。
こうした環境下、「2018年日本の広告費」(暦年、㈱電通発表)によりますと、日本の総広告費は6兆5,300億円(前年比2.2%増)と7年連続のプラス成長となりましたが、そのうちの地上波テレビ広告費は1兆7,848億円(同1.8%減)、衛星メディア関連は1,275億円(同1.9%減)、ラジオ広告費は1,278億円(同0.9%減)となりました。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループの連結売上高は、スポット広告市況の低迷に起因するスポット収入の微減収があった一方で、大型単発セールス等によるタイム収入の増収や無料動画配信の広告収入を含むコンテンツ収入の伸長、大ヒット商品の好調が続くスタイリングライフグループの増収などにより、3,663億5千3百万円(前年比1.2%増)となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、大型スポーツ単発に係る放送権料の増加、増収に伴う費用の増加などにより、3,477億8千万円(前年比1.3%増)となりました。
この結果、営業利益は185億7千2百万円(前年比1.2%減)となりました。また、経常利益は受取配当金の増加などにより288億3千5百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益に投資有価証券売却益が計上されたことなどにより252億5百万円(同46.7%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
◇放送事業
㈱TBSテレビは、当連結会計年度のタイム収入が879億円(前年比1.8%増)、スポット収入が836億6百万円(同0.1%減)、国内番販や、無料動画配信の広告収入を含むコンテンツ収入が108億2千9百万円(同4.8%増)となりました。タイム収入については、視聴率向上を背景にレギュラーセールスが伸長したことに加え、「2018 FIFA ワールドカップ ロシア」、「アジア大会2018 ジャカルタ」、「2018世界バレー」などのスポーツ単発セールスや年末年始セールスが好調に推移したことで増収となりました。スポット収入については、広告主の関東地区投下量が、1・2月を除いて前連結会計年度を下回る低調の中、第4四半期に前年比10.1%増の売上を記録しましたが、通年ではわずかに前年実績に届かず減収となりました。5局シェアは19.1%と前連結会計年度よりも0.4ポイントの増加となりました。コンテンツ収入は、無料動画配信の広告出稿の伸長などで増収となりました。
㈱BS-TBSは、当連結会計年度で売上高163億9千9百万円(前年比2.3%減)となりました。収入面では、1社枠の復調やセールス枠の増加などでタイムレギュラーが伸長し、ショッピング番組も堅調に推移しましたが、スポーツコンテンツの消滅などによるタイム単発の不調と、事業収入における前連結会計年度の大型コンサートの反動減が響いて、トータルで減収となりました。
㈱TBSラジオは、当連結会計年度で売上高97億8千5百万円(前年比6.6%減)となりました。広告市況の落ち込みにより減収となりました。
この結果、放送事業セグメントの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ6億8千4百万円増収の2,183億1千7百万円(前年比0.3%増)となりました。また、費用面においては、大型スポーツ単発に係る放送権料の増加、BS4K放送開始に伴う費用の増加、設備更新による減価償却費の増加などがありました。㈱TBSテレビでは働き方改革に伴う人件費の減少もあり増益を確保しましたが、他の子会社の収支悪化の影響などにより、同セグメントにおける営業利益は1億2千8百万円減益となる31億7千2百万円(同3.9%減)となりました。
◇映像・文化事業
㈱TBSテレビの事業部門の当連結会計年度の売上高につきましては、14億9千6百万円減収の282億3千1百万円(前年比5.0%減)となりました。催事では、箱根の「星の王子さまミュージアム」で過去最高の年間動員記録を達成し、国立西洋美術館にて開催した「ルーベンス展〜バロックの誕生」が33万人を超える動員を記録するなど、好調に推移しました。一方興行では、アジア初の360度シアターである「IHIステージアラウンド東京」において、「髑髏城の七人」シリーズに続く「新感線☆RS『メタルマクベス』」や「BOUM!BOUM!BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展」など、話題作を上演しましたが、企画入れ替えによる公演数の減少や「髑髏城の七人」シリーズの反動減により減収となりました。映画では、9月公開の「コーヒーが冷めないうちに」(出演:有村架純ほか、監督:塚原あゆ子)、11月公開の「スマホを落としただけなのに」(出演:北川景子ほか、監督:中田秀夫)、2月公開の「七つの会議」(出演:野村萬斎ほか、監督:福澤克雄)がヒットしたものの、前連結会計年度の収入実績には届きませんでした。海外事業では、「SASUKE」などのフォーマット販売が好調でしたが、アニメやドラマの番販が不調であったため、減収となりました。CS事業では、千葉ロッテマリーンズの中継終了やプラットフォーム加入者の減少に伴い大幅な減収となりました。
スタイリングライフグループは、当連結会計年度で売上高718億9千6百万円(前年比2.6%増)となりました。大ヒット商品を中心に好調が続く化粧品事業が牽引し、また、中核の小売事業「プラザスタイルカンパニー」も、化粧品や衣料雑貨等の販売が好調に推移していることから増収となりました。
その他、新規連結子会社による増収効果などもあり、映像・文化事業セグメントの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ33億1千3百万円増収の1,317億6千7百万円(前年比2.6%増)となりました。また、費用面において、増収に伴う費用の増加などがありましたが、営業利益は7千5百万円増益となる76億2千6百万円(同1.0%増)となりました。
◇不動産事業
赤坂Bizタワーが引き続き高い稼働を維持しており、さらに当連結会計年度より当社敷地に隣接するビル「ザ・へクサゴン」の収入が加わったことなどにより、不動産事業セグメントの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ4億円増収の162億6千8百万円(前年比2.5%増)となりました。また、費用面において修繕費などが増加したことにより、営業利益は1億6千7百万円減益となる77億8千7百万円(同2.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は720億3千3百万円で、前連結会計年度末に比べて90億9千5百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、352億1千5百万円の収入になりました(前年同期は355億3千6百万円の収入)。主な増額要因は、税金等調整前当期純利益400億6百万円、減価償却費148億9千7百万円など、一方、主な減額要因は、法人税等の支払額117億8千5百万円の支出などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、215億8千8百万円の支出となりました(前年同期は140億2千8百万円の支出)。主な内訳は、投資有価証券の売却による収入143億3百万円、有形固定資産の取得による支出270億7千4百万円、無形固定資産の取得による支出22億8千6百万円、投資有価証券の取得による支出38億5百万円、関係会社株式の取得による支出42億5千4百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、243億8千7百万円の支出となりました(前年同期は77億3千万円の支出)。主な内訳は、長期借入金の返済による支出182億9千4百万円、配当金の支払額54億1千5百万円などであります。
③ 販売の実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し、見積り及び仮定設定が決算数値に大きく影響を与えることを考慮し、当社グループでは特に貸倒債権、投資、賞与、退職金、偶発債務や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して慎重に評価及び測定を行っております。経営陣は発生した事象に関して、過去の実績や状況等様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果を決算数値に反映させております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、債務者の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しております。債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当てが必要となる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、これらにつきまして評価損を計上しております。将来の株式市場の低迷または投資先の財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産の算定に当たって慎重な判断を行い、評価性引当額を計上することによって実現可能性の高い金額への修正を行っております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得と継続的な税務計画を慎重に判断しております。
d.退職給付債務及び費用
当社グループの従業員退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出し、また、一部の子会社については簡便法を採用して当社グループの連結財務諸表に計上しております。
割引率は、主として安全性の高い長期の債券の市場利回りを基準に算出しております。なお、年金資産の長期期待運用収益率は2.9%としております。
数理計算上の差異は主として発生年度の翌連結会計年度に償却しておりますが、スタイリングライフグループにおいては、数理計算上の差異及び過去勤務費用を従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(11~13年)で償却しております。
e.固定資産の減損
事業用資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度におきましては、固定資産の減損損失3億9千万円を計上しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高及び営業利益
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」にて記載したとおりです。
b.経常利益
営業外収益は117億7千4百万円で、28億7千8百万円の増加となりました。受取配当金が22億5千1百万円増加、持分法による投資利益が3億9千1百万円減少しております。営業外費用は15億1千1百万円で、7億3千8百万円の増加となりました。持分法による投資損失が7億2百万円増加、支払利息が1億5千1百万円減少しております。
この結果、当連結会計年度における経常利益は288億3千5百万円で、19億1千1百万円、7.1%の増益となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は128億4千9百万円で、118億6千万円の増加となりました。投資有価証券売却益128億4千9百万円を計上しました。
特別損失は16億7千8百万円で、12億1百万円の増加となりました。組織再編関連費用12億5千6百万円、減損損失3億9千万円等を計上しました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は252億5百万円で、80億2千2百万円、46.7%の増益となりました。
③ 財政状態に関する分析
当連結会計年度末における資産合計は7,984億8千1百万円で、前連結会計年度末に比べて232億5千5百万円の減少となりました。有形固定資産が土地の取得等により158億3百万円増加した一方、現金及び預金が95億5千7百万円減少、保有する株式の含み益の減少等により投資有価証券が249億4千6百万円減少したことなどによります。
負債合計は1,971億8千9百万円で、前連結会計年度末に比べて235億9千6百万円の減少となりました。未払金が16億1千5百万円増加、未払法人税等が20億3百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が16億6千5百万円減少、長期借入金(1年内返済予定分含む)が返済により182億円減少、保有する株式の含み益の減少等により繰延税金負債が91億2千1百万円減少したことなどによります。
純資産合計は6,012億9千1百万円で、前連結会計年度末に比べて3億4千万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払いにより、利益剰余金が差し引き192億3千4百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が198億6千5百万円減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は73.2%、1株当たりの純資産は3,347円03銭となっております。
④ 流動性および資金の源泉
a.キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。
b.資金調達の状況
当連結会計年度におきまして、当社グループは次のとおり資金調達いたしました。
当連結会計年度末における当社グループの有利子負債は、短期借入金8千万円、長期借入金30億円(1年内返済予定分含み、リース債務を除く)となっております。
また、当社は、事業資金の機動的な確保を目的として、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計300億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高なし、借入未実行残高300億円)。
このほか、資金の効率化を図るため、売掛債権の一部流動化を実施しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、輸出や生産の一部に弱さも見られる他、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響により、先行き不透明な状況が続いております。
こうした環境下、「2018年日本の広告費」(暦年、㈱電通発表)によりますと、日本の総広告費は6兆5,300億円(前年比2.2%増)と7年連続のプラス成長となりましたが、そのうちの地上波テレビ広告費は1兆7,848億円(同1.8%減)、衛星メディア関連は1,275億円(同1.9%減)、ラジオ広告費は1,278億円(同0.9%減)となりました。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループの連結売上高は、スポット広告市況の低迷に起因するスポット収入の微減収があった一方で、大型単発セールス等によるタイム収入の増収や無料動画配信の広告収入を含むコンテンツ収入の伸長、大ヒット商品の好調が続くスタイリングライフグループの増収などにより、3,663億5千3百万円(前年比1.2%増)となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、大型スポーツ単発に係る放送権料の増加、増収に伴う費用の増加などにより、3,477億8千万円(前年比1.3%増)となりました。
この結果、営業利益は185億7千2百万円(前年比1.2%減)となりました。また、経常利益は受取配当金の増加などにより288億3千5百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益に投資有価証券売却益が計上されたことなどにより252億5百万円(同46.7%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
◇放送事業
㈱TBSテレビは、当連結会計年度のタイム収入が879億円(前年比1.8%増)、スポット収入が836億6百万円(同0.1%減)、国内番販や、無料動画配信の広告収入を含むコンテンツ収入が108億2千9百万円(同4.8%増)となりました。タイム収入については、視聴率向上を背景にレギュラーセールスが伸長したことに加え、「2018 FIFA ワールドカップ ロシア」、「アジア大会2018 ジャカルタ」、「2018世界バレー」などのスポーツ単発セールスや年末年始セールスが好調に推移したことで増収となりました。スポット収入については、広告主の関東地区投下量が、1・2月を除いて前連結会計年度を下回る低調の中、第4四半期に前年比10.1%増の売上を記録しましたが、通年ではわずかに前年実績に届かず減収となりました。5局シェアは19.1%と前連結会計年度よりも0.4ポイントの増加となりました。コンテンツ収入は、無料動画配信の広告出稿の伸長などで増収となりました。
㈱BS-TBSは、当連結会計年度で売上高163億9千9百万円(前年比2.3%減)となりました。収入面では、1社枠の復調やセールス枠の増加などでタイムレギュラーが伸長し、ショッピング番組も堅調に推移しましたが、スポーツコンテンツの消滅などによるタイム単発の不調と、事業収入における前連結会計年度の大型コンサートの反動減が響いて、トータルで減収となりました。
㈱TBSラジオは、当連結会計年度で売上高97億8千5百万円(前年比6.6%減)となりました。広告市況の落ち込みにより減収となりました。
この結果、放送事業セグメントの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ6億8千4百万円増収の2,183億1千7百万円(前年比0.3%増)となりました。また、費用面においては、大型スポーツ単発に係る放送権料の増加、BS4K放送開始に伴う費用の増加、設備更新による減価償却費の増加などがありました。㈱TBSテレビでは働き方改革に伴う人件費の減少もあり増益を確保しましたが、他の子会社の収支悪化の影響などにより、同セグメントにおける営業利益は1億2千8百万円減益となる31億7千2百万円(同3.9%減)となりました。
◇映像・文化事業
㈱TBSテレビの事業部門の当連結会計年度の売上高につきましては、14億9千6百万円減収の282億3千1百万円(前年比5.0%減)となりました。催事では、箱根の「星の王子さまミュージアム」で過去最高の年間動員記録を達成し、国立西洋美術館にて開催した「ルーベンス展〜バロックの誕生」が33万人を超える動員を記録するなど、好調に推移しました。一方興行では、アジア初の360度シアターである「IHIステージアラウンド東京」において、「髑髏城の七人」シリーズに続く「新感線☆RS『メタルマクベス』」や「BOUM!BOUM!BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展」など、話題作を上演しましたが、企画入れ替えによる公演数の減少や「髑髏城の七人」シリーズの反動減により減収となりました。映画では、9月公開の「コーヒーが冷めないうちに」(出演:有村架純ほか、監督:塚原あゆ子)、11月公開の「スマホを落としただけなのに」(出演:北川景子ほか、監督:中田秀夫)、2月公開の「七つの会議」(出演:野村萬斎ほか、監督:福澤克雄)がヒットしたものの、前連結会計年度の収入実績には届きませんでした。海外事業では、「SASUKE」などのフォーマット販売が好調でしたが、アニメやドラマの番販が不調であったため、減収となりました。CS事業では、千葉ロッテマリーンズの中継終了やプラットフォーム加入者の減少に伴い大幅な減収となりました。
スタイリングライフグループは、当連結会計年度で売上高718億9千6百万円(前年比2.6%増)となりました。大ヒット商品を中心に好調が続く化粧品事業が牽引し、また、中核の小売事業「プラザスタイルカンパニー」も、化粧品や衣料雑貨等の販売が好調に推移していることから増収となりました。
その他、新規連結子会社による増収効果などもあり、映像・文化事業セグメントの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ33億1千3百万円増収の1,317億6千7百万円(前年比2.6%増)となりました。また、費用面において、増収に伴う費用の増加などがありましたが、営業利益は7千5百万円増益となる76億2千6百万円(同1.0%増)となりました。
◇不動産事業
赤坂Bizタワーが引き続き高い稼働を維持しており、さらに当連結会計年度より当社敷地に隣接するビル「ザ・へクサゴン」の収入が加わったことなどにより、不動産事業セグメントの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ4億円増収の162億6千8百万円(前年比2.5%増)となりました。また、費用面において修繕費などが増加したことにより、営業利益は1億6千7百万円減益となる77億8千7百万円(同2.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は720億3千3百万円で、前連結会計年度末に比べて90億9千5百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、352億1千5百万円の収入になりました(前年同期は355億3千6百万円の収入)。主な増額要因は、税金等調整前当期純利益400億6百万円、減価償却費148億9千7百万円など、一方、主な減額要因は、法人税等の支払額117億8千5百万円の支出などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、215億8千8百万円の支出となりました(前年同期は140億2千8百万円の支出)。主な内訳は、投資有価証券の売却による収入143億3百万円、有形固定資産の取得による支出270億7千4百万円、無形固定資産の取得による支出22億8千6百万円、投資有価証券の取得による支出38億5百万円、関係会社株式の取得による支出42億5千4百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、243億8千7百万円の支出となりました(前年同期は77億3千万円の支出)。主な内訳は、長期借入金の返済による支出182億9千4百万円、配当金の支払額54億1千5百万円などであります。
③ 販売の実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
放送事業 | 218,317 | 0.3 |
映像・文化事業 | 131,767 | 2.6 |
不動産事業 | 16,268 | 2.5 |
合計 | 366,353 | 1.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱電通 | 102,102 | 28.2 | 104,309 | 28.5 |
㈱博報堂DYメディアパートナーズ | 53,236 | 14.7 | 53,749 | 14.7 |
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し、見積り及び仮定設定が決算数値に大きく影響を与えることを考慮し、当社グループでは特に貸倒債権、投資、賞与、退職金、偶発債務や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して慎重に評価及び測定を行っております。経営陣は発生した事象に関して、過去の実績や状況等様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果を決算数値に反映させております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、債務者の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しております。債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当てが必要となる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、これらにつきまして評価損を計上しております。将来の株式市場の低迷または投資先の財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産の算定に当たって慎重な判断を行い、評価性引当額を計上することによって実現可能性の高い金額への修正を行っております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得と継続的な税務計画を慎重に判断しております。
d.退職給付債務及び費用
当社グループの従業員退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出し、また、一部の子会社については簡便法を採用して当社グループの連結財務諸表に計上しております。
割引率は、主として安全性の高い長期の債券の市場利回りを基準に算出しております。なお、年金資産の長期期待運用収益率は2.9%としております。
数理計算上の差異は主として発生年度の翌連結会計年度に償却しておりますが、スタイリングライフグループにおいては、数理計算上の差異及び過去勤務費用を従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(11~13年)で償却しております。
e.固定資産の減損
事業用資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度におきましては、固定資産の減損損失3億9千万円を計上しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高及び営業利益
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」にて記載したとおりです。
b.経常利益
営業外収益は117億7千4百万円で、28億7千8百万円の増加となりました。受取配当金が22億5千1百万円増加、持分法による投資利益が3億9千1百万円減少しております。営業外費用は15億1千1百万円で、7億3千8百万円の増加となりました。持分法による投資損失が7億2百万円増加、支払利息が1億5千1百万円減少しております。
この結果、当連結会計年度における経常利益は288億3千5百万円で、19億1千1百万円、7.1%の増益となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は128億4千9百万円で、118億6千万円の増加となりました。投資有価証券売却益128億4千9百万円を計上しました。
特別損失は16億7千8百万円で、12億1百万円の増加となりました。組織再編関連費用12億5千6百万円、減損損失3億9千万円等を計上しました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は252億5百万円で、80億2千2百万円、46.7%の増益となりました。
③ 財政状態に関する分析
当連結会計年度末における資産合計は7,984億8千1百万円で、前連結会計年度末に比べて232億5千5百万円の減少となりました。有形固定資産が土地の取得等により158億3百万円増加した一方、現金及び預金が95億5千7百万円減少、保有する株式の含み益の減少等により投資有価証券が249億4千6百万円減少したことなどによります。
負債合計は1,971億8千9百万円で、前連結会計年度末に比べて235億9千6百万円の減少となりました。未払金が16億1千5百万円増加、未払法人税等が20億3百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が16億6千5百万円減少、長期借入金(1年内返済予定分含む)が返済により182億円減少、保有する株式の含み益の減少等により繰延税金負債が91億2千1百万円減少したことなどによります。
純資産合計は6,012億9千1百万円で、前連結会計年度末に比べて3億4千万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払いにより、利益剰余金が差し引き192億3千4百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が198億6千5百万円減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は73.2%、1株当たりの純資産は3,347円03銭となっております。
④ 流動性および資金の源泉
a.キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。
b.資金調達の状況
当連結会計年度におきまして、当社グループは次のとおり資金調達いたしました。
当連結会計年度末における当社グループの有利子負債は、短期借入金8千万円、長期借入金30億円(1年内返済予定分含み、リース債務を除く)となっております。
また、当社は、事業資金の機動的な確保を目的として、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計300億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高なし、借入未実行残高300億円)。
このほか、資金の効率化を図るため、売掛債権の一部流動化を実施しております。