有価証券報告書-第58期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/22 9:33
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の国内経済は、中国経済の減速や個人消費の伸び悩みが大きく影響し、インターネット広告費以外ほとんどの広告費が前年割れしてしまいました。電通が発表した「2015年日本の広告費」によりますと、地上波テレビ広告費は前年比1.4%減の98.6%でした。そのうち番組(タイム)広告費は1.6%の減少、スポット広告費が1.3%の減少でした。
このような状況下、当社グループの当期の業績は、売上高は180億37百万円で前年と比較して2億20百万円(-1.2%)の減収でした。また、経常利益は10億3百万円で前年と比較して5億79百万円(-36.6%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益も6億13百万円と前年比4億18百万円(-40.5%)の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、以下の通りです。
① 放送事業
福岡地区のスポットCM投下量は前年比100.5%で前年並みの水準でしたが、当社は4月改編番組の視聴率が振るわず、第2四半期以降GRPが減少してしまいました。そのため、需要に対して販売枠の供給が追い付かず、スポット広告収入は前年比4.2%の減少となりました。タイム広告収入は、前年に続きネットタイムは前年比2.1%の減少に、ローカルタイムは前年度増加した新規スポンサーによる自社制作番組が終了し、そのリカバリーに苦戦したことから前年比6.5%の減少と大きく落ち込みました。タイム広告収入全体では前年比3.6%の減少でした。また、制作収入もローカルタイムの減少に伴い前年比11.3%の減少でした。放送事業その他収入も制作協力金の減少で前年比24.0%の減少となりました。催物収入は興業件数の増加と規模の大きな催事が増加したことで、券売収入・物販収入・協賛収入などが増加し前年比74.2%の増加となりました。このほか、「ゴリパラ見聞録」のDVDやグッズの販売が好調に推移しMD事業収入も伸張しましたが、当事業全体での売上高は132億62百万円(前年比-2.6%)と減収になりました。
一方、費用は、野球中継制作数の減少で放映権料の支払が減少し番組制作雑費が大きく減少しました。また、前年度はファイル化に係る改修工事や、報道支援システムなどソフトの導入があったものの今年度は設備関連の支出が減少、ライブラリーのデータ化による販売番組費の減少、「ももち浜ストア夕方版」のスタートで番組購入費が減少したほか、大型セットの更新の減少などで費用の減少がありました。しかし、退職給付費用の増加による人件費の増加、「ももち浜ストア夕方版」の視聴率強化に伴う出演料や業務委託費・旅費などが増加、大型中継車など放送設備の保守費の増加などもありました。特に催物費は興業件数と規模の増加で業務委託費・出演料・宣伝費・運営費・会場費・旅費交通費などが軒並み増大してしまいました。以上の結果、営業費用は前年比1.7%の増加となり、当期のセグメント利益(営業利益)は6億46百万円(前年比-46.5%)で減益となりました。
② 不動産賃貸事業
㈱TNC放送会館の平成27年度期首の入居率は96.2%で期末には98.5%となりました。入居率の増加は商業店舗ゾーンの新規入居とオフィスゾーンのテナントの増床によるものです。当事業の売上高は、入居率の増加とテナントの増床により14億73百万円(前年比+1.3%)と増収になりました。一方、デマンド引下げによる電力料の減少、設備機器の減価償却費の減少、入退管理システム増強に伴う警備費の減少などで売上原価は減少しました。人件費の増加などで販売費及び一般管理費は増加となりましたが、営業費用は前年比0.1%の減少となり、セグメント利益(営業利益)は1億94百万円(前年比+19.5%)と増益となりました。
③ 情報処理事業
西日本コンピュータ㈱では、営放システムをはじめとした放送局関連の大規模案件が収束し、系列外では独自の系列標準システムが具体化してきたことで他系列局への営放システム導入が実らず、主力の放送系ビジネスでの売り上げが減少しました。当事業の売上高は23億34百万円(前年比-7.0%)と減収になりました。費用は、クラウド化でハードウェアの仕入が減少したことが大きく、売上原価は減少しました。一方、人件費と雑費が増加したことから販売費及び一般管理費は増加しています。これにより営業費用は前年比3.5%の減少となりましたが、セグメント損失(営業損失)は△37百万円と減益となりました。
④ その他の事業
㈱ビデオ・ステーション・キューでは、「ももち浜ストア夕方版」のスタートで番組売上が増加し連動してプリプロダクションなど、その他売上も増加しました。また、地方創生で観光PR映像の大口の受注などがありVP売上も増加しましたが、CM売上と派遣収入は減少となりました。売上高全体では2.5%の増収となりました。コスト削減努力が功を奏し業務委託費や旅費交通費などが大きく減少し、番組制作に係る人件費の増加はあったものの販売費及び一般管理も減少したことから営業利益は前年比474.7%の増益となりました。
㈱TNCプロジェクトでは、大型イベントのチケットセンター業務の取扱いがあったことと雇用環境の改善でグループ外への労働者派遣数が増加したことから売上が大幅に増加しました。売上高全体では前年比27.2%の増収でした。売上の増加に連動しチケットの仕入れの増加や派遣の労務費なども増加、販売費及び一般管理費もわずかに増加しましたが営業利益は前年比52.3%の増益となりました。
当事業の売上高は26億65百万円(前年比+8.8%)と増収で営業費用も前期比5.1%の増加でセグメント利益(営業利益)は1億32百万円(前年比+235.2%)と増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、84億65百万円(前期末96億42百万円)となりました。前期末に比べて営業活動による収入が減少し、投資活動による支出が増加し、財務活動による支出は減少して、11億77百万円(-12.2%)減少しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、14億14百万円と前期に比べ11億82百万円(-45.5%)減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が大きく減少し未払消費税等が減少、法人税等の支払額が増加したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、17億98百万円と前期に比べ6億60百万円(+58.1%)増加しました。これは主に、有形固定資産の除却による支出がなかったものの、取得による支出の増加、定期預金の払戻による収入は増加しましたが預入による支出も増加、投資有価証券の取得による支出が増加し、償還による収入が減少したためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、7億93百万円と前期に比べ20百万円(-2.5%)減少しました。これは主に、長期借入金の返済による支出が減少したためです。