有価証券報告書-第36期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/18 15:01
【資料】
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【項目】
106項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念を以下のとおり定めています。また、企業理念に謳われた使命を果たし、持続的な成長を遂げるために、社員一人ひとりが持つべき考え方、価値観、行動規範をKDDIフィロソフィとして定め、心をひとつにしてこれらを共有し実践していくことに努めております。
■企業理念
KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。
(1)中長期的な会社の経営戦略
世の中を取り巻く環境は大きな変革期にあり、5G(第5世代移動通信システム)/IoT、AI・ビッグデータをはじめとした技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。また、政府は、これら先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会課題の解決を両立していくSociety 5.0の実現を目指しています。こうした中、通信業界においては、新規通信事業者の参入や電気通信事業法の改正等により競争が激化するとともに、通信・インターネットの活用で全ての産業が変革するデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」)の進展など事業環境が大きく変化しています。さらに、今後5G/IoTが本格化し、様々な先端技術を活用した多様なサービスが生み出される新しい時代を迎えようとしています。
このような事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、以下のとおり中期経営計画(2019-21年度)を策定しています。
<中期経営計画(2019-21年度)>
■ブランドメッセージ
Tomorrow, Together KDDI / おもしろいほうの未来へ。au
■目指す姿
①お客さまに一番身近に感じてもらえる会社
②ワクワクを提案し続ける会社
③社会の持続的な成長に貢献する会社
■事業戦略
通信を中心に周辺ビジネスを拡大する「通信とライフ
デザインの融合」を核として、7つの事業戦略に沿って、持続的な成長を実現していきます。
■財務目標
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営業利益については、持続的な成長を目指し、EPS※1については、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現を目指します。
株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は従来の35%超から40%超へ、成長投資とのバランスにより機動的な自己株式取得を実施し、全ての自己株式を消却※2します。
※1 「Earnings Per Share」の略で、1株当たり当期利益。
※2 役員報酬BIP信託口及び株式付与ESOP信託口が保有する当社株式を除く。
■経営基盤強化
財務面における収益性や効率性等の改善に取り組むとともに、人財ファースト企業への変革などを通じて、企業価値最大化を目指します。
(2)優先的に対処すべき課題
■事業戦略
7つの事業戦略に沿って、持続的な成長に向けた取り組みを以下のとおり進めてまいります。
①5G時代に向けたイノベーションの創出
次世代の社会基盤インフラとなる5Gを積極的に展開し、様々なパートナー企業との共創によるビジネス開発、スタートアップ企業の斬新なアイデアや先進的なテクノロジーを取り入れたオープンイノベーションによって、新たな体験価値を創造するとともに、5Gを地方創生事業でも積極的に活用していきます。
②通信とライフデザインの融合
個人のお客さま向け事業(コンシューマビジネス)では、グループ全体でお客さまとのエンゲージメントを高め、ライフタイムバリュー(グループお客さま数(グループID)×エンゲージメント×総合ARPU)を最大化するとともに、当社の事業基盤である通信を中心に新たなライフデザイン領域に積極的に取り組むことで、事業の持続的成長を図っていきます。法人のお客さま向け事業(法人ビジネス)では、お客さまのDXをサポートし、国内外のお客さま企業の「通信とライフデザインの融合」を実現していくことで、お客さまと共に持続的成長を目指していきます。
③グローバル事業のさらなる拡大
国内コンシューマビジネスで培った知見・ノウハウを海外のコンシューマビジネスに活用し、アジア域での市場拡大を目指していきます。また、法人ビジネスにおいては、IoT世界基盤やデータセンター事業を軸に、グローバル・国内一体化でのグローバルICT事業のさらなる拡大を図っていきます。
④ビッグデータの活用
データの活用によって、お客さまを徹底的に理解し、お客さま視点に立った「心地よい提案」を通じた体験価値の最大化を図っていきます。また、今後5G/IoTによって、モノのデジタル化・ネットワーク化が急速に拡大することから、様々な産業におけるビッグデータを用いることでお客さま企業のDXを推進していきます。
⑤金融事業の拡大
生活の中心となったスマートフォンを通じ、お客さまの日常生活における決済・金融サービスをより身近に、スマホ・セントリック(中心)な金融体験を提案することで、エンゲージメント強化と利益成長を目指していきます。
⑥グループとしての成長
当社のアセットを最大限活用し、グループ会社の成長を支援することで、相互シナジーの最大化とグループ全体での新たな成長基盤の拡大・強化を目指していきます。
⑦サステナビリティ
当社が、これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続けるという決意をこめて、2030年を見据えたKDDIのSDGs「KDDI Sustainable Action」を策定しています。5GやIoTなどを活用しながら、「命をつなぐ」、「暮らしをつなぐ」、「心をつなぐ」で、当社はパートナーとともに事業を通じて社会課題の解決に貢献し、社会とともに持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指していきます。
■経営基盤強化
<財務面における収益性や効率性等の改善>・「売上を最大に、経費を最小に」という基本的な考え方を通じて、事業戦略の実行による成長と事業構造改革(収益性改善)への取り組みを強化していきます。
・CCC改善、設備投資コントロール、債券流動化などバランスシートを意識した取り組みを強化しキャッシュ・フロー向上を目指していきます。
<人財ファースト企業への変革>・社内の変革や他社との新規ビジネス創造に対応するスキルを持つ人財の育成をはじめ、市場価値の高い専門性を磨く制度や、自律的なキャリア形成を支援していきます。
・「真のダイバーシティ経営」を目指し、グループ全体で若手育成強化、女性・エルダー社員活躍推進にも取り組んでいきます。
・社員の心身の「健康」を重要な経営課題と捉え、社員の健康保持・増進の積極的支援など、社員一人ひとりの健康を組織で支える健康経営を推進していきます。
■新型コロナウイルス感染症への対応
当社は、会社の目指す姿に「社会の持続的な成長に貢献する」ことを掲げ、2030年へ向けた目標、「KDDI Sustainable Action」を策定いたしました。この目標に基づき、ライフラインを支える企業として重点的に取り組む、「新型コロナウイルス感染症対応基本方針」を定め、様々な取り組みを実施しており、引き続き事業を通じて社会と生活の安定に貢献してまいります。
<新型コロナウイルス感染症対応基本方針>①お客さまおよび当社・関係各社の従業員の安全を最優先に確保します。
②増加する通信トラフィックに対応し、社会の基盤・ライフラインである通信サービスを維持します。
③政府・自治体・公共団体などの取り組みに積極的に協力します。
④テレワーク・オンライン教育・遠隔医療など、個人・法人のお客さまのDXを推進し環境変化に強いレジリエントな社会基盤の構築に貢献します。
⑤生活の不安・困難を減らし心を満たせるようなお客さま体験を提案します。