四半期報告書-第19期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/02/12 14:39
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【項目】
29項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績の状況
当社及び連結子会社6社(以下、「当社グループ」という)は、当第3四半期において、現在の主力事業であるSIM事業を維持しつつ、同時に当社が今後の主力事業と位置付けるMSP(モバイル・ソリューション・プラットフォーム)事業を牽引するコアである新製品の開発及び新パートナーの開拓に注力しました。
(日本事業)
当四半期においても、SIMロック解除・MVNOに関する報道や特集記事は前四半期同様、引き続き旺盛に推移しました。このような市場環境において、MVNO事業への新たな参入も続いており、特にコンシューマ市場向けに、いわゆる「格安SIM」「格安スマホ」を発売し、販売合戦の様相を呈しています。この市場は、当社が生みだした市場であり、活性化することは大歓迎ではありますが、1つ大きな危惧を感じています。すなわち、MVNO事業者が提供するSIMやスマートフォンは、確かに価格は安いけれども、そうだからと言って是非とも欲しい製品になっていないのではないか、という懸念です。この状況が日増しに強くなり、さらに広がってしまうと、結果的にはMVNOが短期的なブームで終わってしまうという危機感です。
このような危機意識のもと、当社は当第3四半期において、3つの大きなプロジェクトを進めました。1つ目は、市場認知度が極めて高いVAIOブランドのスマートフォンの企画開発プロジェクトです。2014年12月25日に公表したとおり、VAIO株式会社と当社は、MSP事業に関して協業していくことで合意し、その第一弾として当第4四半期にいよいよ製品を市場投入いたします。今日のMVNO市場においては、ブランド力が低いメーカーのスマートフォンか、ブランド力はある日本メーカーの製品ながら、既に携帯事業者が1年前に販売した型落ちのスマートフォンしか選択肢がない状況です。VAIOブランドのスマートフォンは、MVNO市場においては際立った存在になり、これが上記の懸念を払拭する契機になります。
2つ目のプロジェクトは、使い放題の高速定額SIMの投入です。携帯事業者が定額6,000円前後でデータ通信サービスを提供していた時代に、当初は通信速度を100kbpsに抑えて月額980円定額を提供したり、あるいは高速通信を月に1GBまで使えるようにして月額料金を抑えたりすることで、いわゆる格安SIMの市場を作ってきました。しかし、LTE環境の進展やスマートフォンの性能アップ、そして何よりも利用者の使い方の進化によって、通信速度の制限や高速データ通信量の制限等を一切意識することなく高速通信をエンジョイしたいというのが今日の顧客ニーズです。
スマートフォンにしても、それに組み合わせるSIMにしても、「安いから我慢して使う」から「あのスマートフォンが使いたい、データ量などの制限を気にしなくて使いたい、でもトータルコストはリーズナブル」という時代へ、当社は上記2つのプロジェクトを進めてまいります。
そして3つ目のプロジェクトは、03電話番号で利用できるスマートフォンの通話サービスです。箱から取り出したスマートフォンを日本全国、どこにいても03番号(03-xxxx-xxxx)で利用でき、しかも通話料は携帯電話に比べて安価です。長らく市場が待っていたFMCの真骨頂ともいうべきものです。限定販売としてスタートしましたが、コンシューマ向けのみならず、本格的な利用が見込まれる法人市場に向けて、既にパートナー企業が提案活動を開始しています。
上記3つのプロジェクトに共通しているのは、他社と差別化した製品・サービスを提供していくということです。これは当社が創業以来続けていることであり、将来に渡っても同様に当社の基本方針でもあります。
以上、当四半期は、市場が「格安SIM」「格安スマホ」で盛り上がる中、短期的にその市場を他社と同じ方法で追いかけるのではなく、このままではMVNO市場が一時のブームで終わってしまうという危機感から、継続的かつ急成長を遂げられるための準備となる3つのプロジェクトを推進し、すべて当四半期に公表することができました。
この結果、当社グループの日本事業における当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比14.0%増の3,242百万円(前年同四半期は2,845百万円)、セグメント利益は同2.2%減の1,059百万円(前年同四半期は1,083百万円)を計上しました。
(米国事業)
米国事業は、最上位セキュリティ認定であるPCI-DSSを武器に、引き続きATM(現金自動支払機)向け無線専用線サービスを中心に、POS(販売時点情報管理)やKIOSK(街中情報端末)などへのM2M事業の拡大に努めました。また、ネットワークコストの最適化や不採算回線の見直しにも積極的に取込み、収益性の改善を更に推し進めました。セキュリティの重要性の認識がこれまでに増して広がってきている昨今、米国事業の飛躍ポテンシャルはますます大きなものとなっています。
この結果、当社グループの米国事業における当第3四半期連結累計期間の売上高は278百万円(前年同四半期は275百万円)、セグメント利益は9百万円(前年同四半期は45百万円の損失)を計上しました。
以上の結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比12.8%増の3,521百万円(前年同四半期は3,120百万円)、営業利益は同53.8%減の166百万円(前年同四半期は360百万円)を計上しました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は5,864百万円となり、前連結会計年度末に比べ656百万円増加しました。これは主に銀行借入により現金及び預金が1,134百万円増加した一方、NTTドコモの2013年度接続料金の精算金額として計上した未収入金が514百万円減少したことによるものです。固定資産は1,410百万円となりました。
この結果、総資産は7,275百万円となり、前連結会計年度末に比べ765百万円増加しました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,444百万円となり、前連結会計年度末に比べ190百万円減少しました。これは主に買掛金が98百万円減少した一方、1年内返済予定の長期借入金が350百万円増加したことによるものです。固定負債は1,107百万円となり、前連結会計年度末に比べ299百万円減少しました。これは主に社債が800百万円減少した一方、長期借入金が566百万円増加したことによるものです。
この結果、負債は2,552百万円となり、前連結会計年度末に比べ490百万円減少しました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は4,722百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,255百万円増加しました。これは主に資本金が560百万円、資本準備金が558百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は64.2%(前連結会計年度末は52.0%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の四半期末残高は3,821百万円となり、前年同四半期に比べ1,585百万円増加しました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは586百万円の収入(前年同四半期は127百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益210百万円を計上したこと、NTTドコモの接続料金の精算により、未収入金が514百万円減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは370百万円の支出(前年同四半期は317百万円の支出)となりました。これは主に固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは902百万円の収入(前年同四半期は251百万円の収入)となりました。これは主に銀行借入によるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は73百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。