四半期報告書-第20期第1四半期(平成27年4月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/08/13 9:41
【資料】
PDFをみる
【項目】
26項目

有報資料

(1)業績の状況
当社は、1996年の創業時からMVNO事業モデルを推進してきましたが、昨年度までに、事業モデルを自ら実現し、多くの企業の参入を促すことで新たな市場を創出するという第1フェーズを完了しました。現在、多くのMVNO事業者が競って格安SIMを販売しており、ようやくMVNO事業の認知度が向上し、市民権を得たことは明らかです。
しかし、当社は、MVNO事業モデルを生み出した者として、”MVNO=格安SIM”というイメージは、早急に払拭されなければならないと認識しています。
確かに、大手携帯事業者3社が横並びかつ高止まりした通信料金でサービスを提供している現状において、新規事業者であるMVNOがより低廉な料金で通信サービスを提供することには、大きな意義があります。当社は、2011年6月、イオンとの協業により、月額定額980円のSIMの提供を開始しましたが、これは、東日本大震災後、ツイッター等のSNSの利用が急増したことを受け、大手携帯事業者の通信料金とは別の、新たな選択肢の提供を企図したものです。
この980円SIMが契機となって多くのMVNO事業者が参入し、今は多くの格安SIMが販売されていますが、残念ながら、いずれも同SIMの焼き直しに留まり、料金以外の新たな付加価値の提供に成功しているとは言えません。
MVNOの本分は、携帯事業者ができない、あるいはやりたくない通信サービスを提供することです。料金の低廉化はその重要な要素の一つではありますが、それだけに甘んじることなく、潜在需要を発掘し、新たな提案に努めることが求められています。
当社及び連結子会社6社(以下、「当社グループ」という)は、このような現状認識に基づき、他社とは差別化した新たな通信サービスであるMSP事業(モバイル・ソリューション・プラットフォーム事業)に経営資源を集中して取り組んでいます。
日本事業では、昨年度まではSIM事業が売上の大半を占めていましたが、なるべく早期にMSP事業の売上がSIM事業の売上を上回るべく、MSP事業の成長に注力していきます。
なお、当社グループの米国事業では、従来から、ATM(現金自動預支払機)向け無線専用線を中心に展開していますが、これは、金融機関という最も厳格なセキュリティが要求される業界において、セキュリティ認定を取得して通信サービスを提供するという、明確に差別化したサービスであり、典型的なMSP事業と言えます。
(日本事業)
日本では、他のMVNO事業者によるSIM販売が活況を呈していますが、当社はこの流れとは一線を画していきます。
これは、MVNOが低廉な料金を提供することができるのはデータ通信サービスに留まり、音声サービスでは大手携帯事業者と競争できる環境にないという問題に起因します。
当社は、2014年7月18日、音声サービスへの進出を目指し、ドコモに音声網の相互接続を申し入れました(同日公表の「日本通信、NTTドコモに音声網の相互接続を申し入れ「格安スマホの将来を創る」」をご参照ください)。現時点において、具体的な実現時期は明らかになっておりませんが、これが実現した段階で、他社にない付加価値のある音声付きサービスの提供開始を計画しています。
MVNOのお客様の多くはスマートフォンでSIMを利用されており、MVNOは確かに安価なデータ通信を提供しているのですが、音声サービスを定額料金で提供することはできません。スマートフォンで電話も利用する圧倒的多数のお客様にとって、大手携帯事業者3社が提供している通話定額料金(各社とも月額2,700円)は大きな魅力であり、現時点で、MVNOがこの牙城を切り崩すことはできません。
このように、MVNOによる通話定額料金の実現が見通せない状況では、格安SIM路線に注力しても、音声サービスを含めた新たな提案にはつながらず、将来性は限られているものと判断しています。
そのため、当社グループは、日本事業においても、MSP事業の伸長に注力していきます。現在、日本でのMSP事業は、大きく分けて以下の3つのソリューションを中心に展開しています。
①モバイルIP電話技術を活用した新たなスマートフォン向けソリューション
当社は、2011年1月に他社に先駆けて050番号を使用したモバイルIP電話サービスを開始し、以来、継続的に開発投資を行ってまいりました。IP電話をスマートフォンで利用する場合、通話品質とバッテリーの持ちが致命的な弱点となっていましたが、これらは技術的に克服することに成功しました。一方、IP電話には、050番号が一般にあまり受け入れられていないという、もう一つの弱点がありましたが、この問題は、信用力の高い固定電話の番号(東京であれば03から始まる番号)を利用することで解決する方針です。固定電話の番号をスマートフォンで利用するための技術はすでに開発しており、昨年12月から一部サービスを開始しました。
現在、固定電話にかかってきた電話をスマートフォンで受信し、かつ発信もできるソリューションが、一般家庭のみならず、商店やSOHO関連で大変大きな潜在ニーズとなっています。また、企業においても、名刺に書いてあるオフィスの固定電話番号にかかってきた電話をスマートフォンで受信し、かつ発信できるソリューションが求められています。これらは、大手ITベンダーが、擬似的な方法を用いてすでに提供していますが、使い勝手に課題があり、利便性の高いソリューションを提供することができれば、需要が拡大するものと見込んでいます。当社は、このエンタープライズ向けソリョーションをVAIO® Phoneをベースに完成させ、まずは、自社で全社員向けに導入し、実践事例を作りました(2015年7月24日公表の「VAIO® Phoneエンタープライズソリューション実現」をご参照ください)。
なお、これらのソリューションは、パートナー企業からお客様にご提供していきます。パートナー企業には、地域に基盤を持つCATV事業者、企業向けシステムを提供するインテグレーター、企業用電話システム(PBX)を提供するベンダー、米国大手通信機器メーカーの日本総代理店等、多岐に渡っています。
②デュアル・ネットワークによる無線専用線を活用したソリューション
当社グループは、米国事業においてATM向け無線専用線を提供するトップ企業の地位を確立しましたが、セキュリティに加えて、信頼性の向上を図り、複数の携帯事業者の携帯網を利用することで冗長化を実現しました。当社グループは、このソリューションを日本事業でも実現するため、デュアル・ネットワークによる無線専用線を準備しています。
昨今、IoT(モノのインターネット)という言葉がキーワードになっていますが、当社は2002年から、モノにモバイルネットワークを繋ぐソリューションを提供しています。無線専用線は、この時点での経験をもとに開発投資を継続して実現したもので、現在、米国事業で提供しているATM向け無線専用線は、この技術を米国に持ち込み、セキュリティについて日本よりはるかに多くの知見を持つ米国の金融市場に受け入れられたものです。
当社グループは、今度は、米国で得た経験と実績を日本に逆輸入し、一つ一つ実績に変えていく方針です。特に、デュアル・ネットワークは、物理的なインフラを自国内で運用するという性質を有する携帯網事業者にはできない領域であるため、明確に差別化したソリューションとしての提案が可能です。現在、デュアルネットワーク用ルーターとして、単一の通信モジュールで主回線の接続が切れた場合バックアップ回線に切り替えるタイプと二つの通信モジュールで主回線の接続が切れる前に予防的にバックアップ回線に切り替わるタイプのルータで、今秋にも提供可能になります。
③モバイル端末そのもののセキュリティ・ソリューション
当社は、2005年の株式上場時に調達した資金で、当時米国で注目されていたセキュリティ技術会社、Arxceo社を買収しました。Arxceo社が開発した特許技術は、極めて小さなソフトウェアによって、インターネットからの不正侵入を防御する技術をコアにしています。当社がこの技術に着目したのは、そのソフトウェアのサイズが極めて小さいこと、そしてTCP/IPという技術の性質を活用しているため、TCP/IPが使用されている限り陳腐化しないということによります(インターネットが続く限りはTCP/IPは使用され続けます)。
インターネットのセキュリティへの不安は従前から提起されていましたが、昨今、極めて大きな実害が報道されるようになり、社会的な関心が一気に高まりました。特に、IoTにより、様々な基盤系または制御系の機器にインターネットが繋がるようになると、例えば自動車が遠隔地からリモートで乗っ取られるという事例も報道されています。
スマートフォンの普及やIoTの浸透により、インターネットに接続している機器は飛躍的に増大しています。セキュリティに関する現実的な懸念も、これと比例して増大しており、当社グループは、Arxceo社のセキリィティ技術を活用すべく、Arxceo社の技術を様々な機器に導入する開発を進めています。既に当社が発売したVAIO® Phoneには、Arxceo社のセキュリティ技術の一部を搭載することに成功し、世界で初めてセキュリティ技術を搭載したスマートフォンの実現に向け、新たな一歩を踏み出しています。
当社は、日本事業において、SIM事業で通話定額を実現するための音声網の相互接続等の準備を引き続き進め、データサービスとしては、今までにはなかったデータ定額サービス、おかわりSIM(2015年6月5日公表の「日本通信、おかわりSIMを新発売−500円から上限1,500円の5段階定額−」をご参照ください)を提供開始しました。しかしながら、SIM事業に過度な経営資源を投入することはせず、SIM事業を維持しつつ、MSP事業の伸長に注力しています。
(米国事業)
当社グループは、経営資源をMSP事業に集中させる戦略に変更しましたが、これに伴い、売上の100%がMSP事業である米国事業の重要性が大きくなっています。前述のとおり、ATM向け無線専用線事業はMSP事業の典型であり、これを米国内で成長させるとともに、日本に逆輸入する準備を進めています。
米国事業においては、ATM向け無線専用線事業の横展開を積極的に図っており、当社米国子会社のパートナー企業である携帯事業者(注:日本とは異なり、米国においては、当社米国子会社がネットワークの提供を受けている携帯事業者が、当社米国子会社の販売パートナーとして顧客への営業展開を図っています)が、セキュリティが求められる様々な分野への営業活動を推進しています。
この具体的な成果としては、2015年7月22日に公表したベライゾンとの教育分野での提携があります(同日公表の「ベライゾンとの教育分野における提携について」をご参照ください)。これは、米国で強力に推進されている教育のIT化(教科書をデジタル化し、タブレット等を活用して授業を行うこと)プロジェクトにおいて、各教育区の要望に応えたセキュアなモバイルネットワークの提供を、ベライゾンとともに提供していくものです。当社米国子会社は、ATM向け無線専用線の実績を評価され、ベライゾンの提携パートナーに選ばれました。
当社グループの米国事業は、ようやくテイクオフする段階に来たうえ、グループとしての戦略的重要性が増大していることから、当社の創業者である代表取締役会長の三田聖二が、米国において陣頭指揮を執る体制を整えました。
以上の結果、当社グループの当第1四半期連結累計期間における売上高は、前年同四半期比26.6%減の957百万円(前年同四半期は1,303百万円)となりました。前年同四半期は、市場初の格安スマホ、すなわちスマートフォンとSIMをセットにして月額2,980円で利用できる商品をイオンとともに発売し、これによる売上291百万円が大きく貢献していました。一方、当四半期は、MSP事業として推進していたパートナーシップを見直したことから、当初見込んでいた売上高を当四半期に計上することができませんでした(2015年6月30日公表の「ジャパンケーブルキャスト株式会社との提携解消について」をご参照ください)。
前年同四半期は格安スマホのハードウェア販売の原価を多く含んでいたため、売上原価は前年同四半期比19.0%減の595百万円(前年同四半期は735百万円)となりました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期比2.1%増の551百万円(前年同四半期は540百万円)となり、189百万円の営業損失となりました。また、当四半期は為替が円安に動いたため、13百万円の為替差損が発生し、206百万円の経常損失となりました。
なお、当社は2013年より、従来から無償で発行していたストックオプションに代えて、業績達成行使条件を付したストックオプションを有償で発行する方針に変更しました。このストックオプションは、役員及び従業員が対価を払って引き受けますが、業績達成行使条件が充足されない場合は、ストックオプションは消滅し、対価として支払われた金銭は当社の資本に組み入れられます。2013年3月に発行した有償ストックオプション(2013年2月4日公表の「ストックオプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ」をご参照ください)は、業績達成行使条件を充足できなかったために消滅し、特別利益として新株予約権戻入益10百万円を計上しました。これにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は197百万円となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は6,166百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,089百万円減少しました。これは主に商品が171百万円、未収入金が102百万円増加した一方、現金及び預金が866百万円、売掛金が649百万円減少したことなどによるものです。固定資産は1,552百万円となり、前連結会計年度末に比べ123百万円増加しました。
この結果、総資産は7,718百万円となり、前連結会計年度末に比べ、965百万円減少しました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は1,699百万円となり、前連結会計年度末に比べ、578百万円減少しました。これは主に買掛金が332百万円、一年内返済予定の長期借入金が54百万円、未払金が65百万円、前受収益が32百万円減少したことなどによるものです。固定負債は1,356百万円となり、前連結会計年度末に比べ207百万円減少しました。これは主に長期借入金が193百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債は3,055百万円となり、前連結会計年度末に比べ785百万円減少しました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は4,662百万円となり、前連結会計年度末に比べ179百万円減少しました。
この結果、自己資本比率は60.1%(前連結会計年度末は55.2%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の四半期末残高は3,441百万円となり、前年同四半期に比べ、8百万円増加しました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは427百万円の支出となりました。(前年同四半期は886百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前四半期純損失196百万円を計上したこと、仕入債務が333百万円減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは214百万円の支出(前年同四半期は107百万円の支出)となりました。これは主に固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは225百万円の支出(前年同四半期は31百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出などによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は20百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。