有価証券報告書-第25期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社は平成8年の創業時に、MVNO事業モデルという新たな通信事業の在り方を考案し、安全・安心にデータを運ぶ(通信する)ことを自らの使命として事業を展開して参りました。当社は、この使命を遂行するため、以下の方法によるセキュアかつ信頼できる通信の開発及び提供に注力する方針です。
① 情報を運ぶための通信網の構築及び運用
通信網の構築・運用には、当社が創業時から提唱・実践しているMVNO事業モデルを採用しています。MVNO事業モデルには、①既存の通信事業者の通信網を活用するため巨額投資が不要である、②複数の通信事業者の通信網を活用することで、二重、三重に信頼性を高めた通信を提供ことが可能である、③海外の通信事業者の通信網を活用することでグローバルな事業展開が可能である、などの利点があります。
② セキュアなプラットフォームの構築及び運用
セキュアなプラットフォームの構築及び運用には、隔離された通信経路の確立と通信内容の暗号化が根幹となります。当社は、ICチップとしての側面を持つSIMを活用し、鍵生成ロジックや電子証明書等を搭載することで、現在インターネットで広く利用されているSSL/TLS等の暗号化通信方式の弱点を克服した、セキュアな通信を提供します。
(2)経営環境及び経営戦略
当社は、平成28年1月、高収益・高成長企業に転換するための新事業戦略として、格安SIM事業者から、他のMVNO事業者や金融機関、システムインテグレーター、メーカー等のパートナーに安全・安心な通信に基づくモバイル・ソリューションを提供するイネイブラー事業者に転換する方針を決定し、この戦略に沿って事業を遂行しています。MVNO事業者は令和2年12月末日時点で1,476社に達し、その多くが格安SIMという単一セグメントに集中することで、MVNO業界は過当競争の状況になっています。しかしながら、このような経営環境においても、MVNO事業モデルには、上記(1)①に記載したとおり、多くの利点があります。当社はこの利点を活かして差別化したサービスを開発し、強力なパートナー企業と共にお客様に提案していきます。
また、当社は、SIMの認証基盤を発展させることで、上記(1)②のプラットフォームを、インターネットで安全・安心な金融取引を行うことができるプラットフォーム、FPoS(FinTech Platform over SIM、エフポス)として開発しました。FPoSについては、平成30年に金融庁の支援のもとで実証実験が行われ、平成31年1月に金融庁が公表した実験結果において、金融庁の監督指針に準拠していることが示されています。
FPoSは、スマートフォンで安全に送金や取引を行うなど、金融取引全般に活用することができるほか、実印と同様の効力がある電子署名をスマートフォンでできるようにするもので、行政、医療、教育、小売等の様々な分野で活用することができるものです。当社は、各分野のパートナー企業とともに、事業展開を図っていく戦略です。
当社は、以上の経営方針・経営戦略に基づいた取組みを積極的に進め、その結果としての売上拡大及び収益化の実現を目指しています。現時点では、当社の売上の大部分は格安SIMによるものですが、FPoSを活用したイネイブラー事業者として他にはない機能を持つSIM商品等の提供を行うことで、より幅広いパートナー企業に対して多様な通信及びプラットフォームを提供していきます。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、上記の経営方針・経営戦略等を踏まえ、以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として認識しています。
① 公正な競争環境の確保のための取組み
当社は、創業以来、利用者のニーズに合った多様なサービスの提供を可能とし、電気通信事業をさらに成長・発展させることのできる事業モデルとして、MVNO事業を提唱しており、MVNO事業が成立した後は、MNOとMVNOとの間で公正な競争環境を確保するための取組みを進めています。公正な競争環境の確保は、MVNOが本来の目的を果たして成長するための最大の課題であり、将来にわたり、長期的に取り組むべきものと認識しています。
競争環境のうち、携帯電話の販売手法については、令和元年10月に改正電気通信事業法が施行され、高額なキャッシュバックの提供等のMNOによる行き過ぎた囲い込みに一定の歯止めがかかるようになりました。また、SIMロック(特定のSIMカードが差し込まれた場合にのみ動作するよう設定された端末上の制限)については、令和2年4月にSIMロック解除ガイドラインが全面適用されました。このように、MNOとMVNOの間の競争環境は改善が進みつつあります。
一方、MVNOがMNOから調達する音声通話サービスの卸料金は10年前から据え置かれた状態となっていましたが、令和2年6月の総務大臣裁定により、音声通話サービスについても原価ベースで調達することができるようになりました。これにより、MVNO事業モデルはようやく整いましたが、MVNOが将来にわたり、利用者のニーズに合った多様なサービスを提供していくためには、MVNO自身でSIMを発行するなど、より自由度の高い環境が求められます。
当社は、引き続き、MNOとMVNOとの間の公正な競争環境の確保に取り組んでまいります。
② MVNO事業モデルの進化による黒字化の達成
当社は、前連結会計年度まで5期連続で損失を計上しており、早期に安定的な黒字化を達成することは喫緊の課題です。そのため、公正な競争環境の確保のための取組みを進めつつ、MVNO事業の本来の役割に立ち返ってその事業モデルを進化させることに取り組んでいます。
まず、SIM事業の月額課金商品については、令和2年7月に「日本通信SIM」という新たなブランドで発売した音声定額プランが多くのお客様の支持を獲得し、当連結会計年度下半期の収益に大きく貢献しました。SIM事業は、MNO4社及び多数のMVNO事業者により今後も激しい価格競争が想定されますが、当社は令和2年6月の総務大臣裁定によりNTTドコモから原価ベースで音声通話サービスを調達することができるため、当面の間、MNOに対抗することのできる競争力を確保しています。当社は、引き続き、利用者の利便性の向上に着目し、MNOとの差別化を図ることのできる商品の拡充に取組みます。
SIM事業のプリペイド商品については、新型コロナウイルスの影響下で訪日旅行者向け商品の売上が見込めない中、在宅勤務及び在宅学習の拡大により需要が高まっているテレワーク向け商品及びGIGAスクール向け商品の販売に注力しています。当社は、機動的にサービス設計及び商品調達ができる強みを生かし、引き続き、この分野の開拓を進める計画です。
また、MSP事業については、決済代行事業者向けクレジットカード情報非保持化支援サービスやモバイル専用線を用いたソリューション・サービスの提供を推進していきます。MSP事業には、新型コロナウイルスの感染拡大による影響はなく、むしろ、インターネットの活用が進み、セキュリティへの要請が高まるにつれ、商機は拡大するものと想定されます。当社は、引き続き、この分野の開拓を進めます。
以上の取り組みにより、当社は、当連結会計年度の第3四半期及び第4四半期において、四半期単体では黒字化を達成しました。当社は、引き続き、MVNO事業モデルを進化させることにより、通期での安定的な黒字化の達成を目指します。
③ 早期黒字化とのバランスを考慮した戦略的な取組み
当社は、早期の安定的な黒字化を目指す一方で、イネイブラー事業者として成長するための戦略的な取組みとして、FPoS事業及びローカル4G/5Gによるソリューション事業に注力しています。
まず、FPoS事業については、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」を活用して平成30年8月から10月にかけて実証実験を行ったほか、平成30年11月にはサービス提供主体となるmy FinTech株式会社を、令和2年1月にはFPoSの肝となるサブSIMの開発及び供給を担うセキュアID株式会社を設立しました。my FinTech株式会社は、現在、電子認証局の構築準備を進めていますが、新型コロナウイルスの影響下においてデジタル化の機運が高まる中、FPoSが備えている高度な安全性は、当初想定していた金融取引に限らず、社会全体で利用されるデジタルIDとしての役割を期待されるようになっています。
また、ローカル4G/5Gによるソリューション事業については、当社は当連結会計年度の第4四半期において、ローカル5Gの実証プロジェクトに参画し、地域の中核病院でローカル5Gに求められている課題を体験することができました。また、米国においては、ローカル4G/5Gの先駆的な仕組みであるCBRS(市民ブロードバンドサービス)向けに、ハイブリッドSIM、すなわちローカル基地局と大手携帯事業者の基地局の両方を使うことができるSIMの提供を開始しています。
これらの戦略的な取組みを断念すれば、早期の安定的な黒字化は容易に実現できますが、それでは、当社がイネイブラー事業者として成長することができません。従って、当社は、早期の安定的な黒字化とのバランスを取りながら、これらの戦略的な取組みを進めていく必要があります。当社マネジメントには、同様の課題に取り組んだ経験を持つ者が多く、着実に対処していけるものと考えています。
④ 優秀な人材の確保及び育成
当社がイネイブラー事業者として成長するための戦略的な取組みには、多種多様な調査や企画、さらに技術開発や事業開発が必要であり、これを担うことができる人材の確保及び育成が極めて重要となります。例えば、FPoS事業に関して言えば、金融業界に関する法律、制度、経営課題、技術課題等、顧客の事業領域に対する一定の知見が必要です。当社グループは、そのために優秀な人材の採用を進めるとともに、採用した人材に会社の優先順位に応じた多様な業務を担当させることによって、様々なノウハウや技術を身に付けさせています。当社が直面する課題は前例のないもので、既に知識や経験のある企業がどこかに存在するわけではありません。一方、当社には、MVNO事業モデルを定着させるに至るまでに、法制度の活用、携帯事業者との交渉やネットワーク構築などを通じて培った経験とノウハウがあるため、これらを活用して人材を育成し、戦略的な取組みを推進していきます。
⑤ 技術開発及び設備投資等の先行投資資金の確保
財務上の課題としては、安定的な通期黒字化を実現するまでの技術開発及び設備投資等の先行投資のための資金の確保が挙げられます。当社は、平成28年1月の新事業戦略の策定後、同戦略を実現するための資金を確保する手段として、平成28年7月に日本通信株式会社第3回新株予約権(第三者割当て)を、平成30年3月に日本通信株式会社第4回新株予約権(第三者割当て)を、いずれもクレディ・スイス証券株式会社を割当先として発行しており、これらの新株予約権が行使されたことにより、これまでに3,704百万円の資金を調達しました。さらに、当社は、令和2年4月にクレディ・スイス証券株式会社を割当先として日本通信株式会社第5回新株予約権(第三者割当て)を発行しました。当社は、割当先が同新株予約権を行使する時期及び数量をコントロールすることができるため、当社の資金ニーズに応じ、株式価値の希薄化に配慮した柔軟な資金調達を実現することが可能です。
当社は、上記のような課題に取り組みながら、安全・安心な通信及びプラットフォームを提供する事業者として成長していく計画です。
(1)経営の基本方針
当社は平成8年の創業時に、MVNO事業モデルという新たな通信事業の在り方を考案し、安全・安心にデータを運ぶ(通信する)ことを自らの使命として事業を展開して参りました。当社は、この使命を遂行するため、以下の方法によるセキュアかつ信頼できる通信の開発及び提供に注力する方針です。
① 情報を運ぶための通信網の構築及び運用
通信網の構築・運用には、当社が創業時から提唱・実践しているMVNO事業モデルを採用しています。MVNO事業モデルには、①既存の通信事業者の通信網を活用するため巨額投資が不要である、②複数の通信事業者の通信網を活用することで、二重、三重に信頼性を高めた通信を提供ことが可能である、③海外の通信事業者の通信網を活用することでグローバルな事業展開が可能である、などの利点があります。
② セキュアなプラットフォームの構築及び運用
セキュアなプラットフォームの構築及び運用には、隔離された通信経路の確立と通信内容の暗号化が根幹となります。当社は、ICチップとしての側面を持つSIMを活用し、鍵生成ロジックや電子証明書等を搭載することで、現在インターネットで広く利用されているSSL/TLS等の暗号化通信方式の弱点を克服した、セキュアな通信を提供します。
(2)経営環境及び経営戦略
当社は、平成28年1月、高収益・高成長企業に転換するための新事業戦略として、格安SIM事業者から、他のMVNO事業者や金融機関、システムインテグレーター、メーカー等のパートナーに安全・安心な通信に基づくモバイル・ソリューションを提供するイネイブラー事業者に転換する方針を決定し、この戦略に沿って事業を遂行しています。MVNO事業者は令和2年12月末日時点で1,476社に達し、その多くが格安SIMという単一セグメントに集中することで、MVNO業界は過当競争の状況になっています。しかしながら、このような経営環境においても、MVNO事業モデルには、上記(1)①に記載したとおり、多くの利点があります。当社はこの利点を活かして差別化したサービスを開発し、強力なパートナー企業と共にお客様に提案していきます。
また、当社は、SIMの認証基盤を発展させることで、上記(1)②のプラットフォームを、インターネットで安全・安心な金融取引を行うことができるプラットフォーム、FPoS(FinTech Platform over SIM、エフポス)として開発しました。FPoSについては、平成30年に金融庁の支援のもとで実証実験が行われ、平成31年1月に金融庁が公表した実験結果において、金融庁の監督指針に準拠していることが示されています。
FPoSは、スマートフォンで安全に送金や取引を行うなど、金融取引全般に活用することができるほか、実印と同様の効力がある電子署名をスマートフォンでできるようにするもので、行政、医療、教育、小売等の様々な分野で活用することができるものです。当社は、各分野のパートナー企業とともに、事業展開を図っていく戦略です。
当社は、以上の経営方針・経営戦略に基づいた取組みを積極的に進め、その結果としての売上拡大及び収益化の実現を目指しています。現時点では、当社の売上の大部分は格安SIMによるものですが、FPoSを活用したイネイブラー事業者として他にはない機能を持つSIM商品等の提供を行うことで、より幅広いパートナー企業に対して多様な通信及びプラットフォームを提供していきます。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、上記の経営方針・経営戦略等を踏まえ、以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として認識しています。
① 公正な競争環境の確保のための取組み
当社は、創業以来、利用者のニーズに合った多様なサービスの提供を可能とし、電気通信事業をさらに成長・発展させることのできる事業モデルとして、MVNO事業を提唱しており、MVNO事業が成立した後は、MNOとMVNOとの間で公正な競争環境を確保するための取組みを進めています。公正な競争環境の確保は、MVNOが本来の目的を果たして成長するための最大の課題であり、将来にわたり、長期的に取り組むべきものと認識しています。
競争環境のうち、携帯電話の販売手法については、令和元年10月に改正電気通信事業法が施行され、高額なキャッシュバックの提供等のMNOによる行き過ぎた囲い込みに一定の歯止めがかかるようになりました。また、SIMロック(特定のSIMカードが差し込まれた場合にのみ動作するよう設定された端末上の制限)については、令和2年4月にSIMロック解除ガイドラインが全面適用されました。このように、MNOとMVNOの間の競争環境は改善が進みつつあります。
一方、MVNOがMNOから調達する音声通話サービスの卸料金は10年前から据え置かれた状態となっていましたが、令和2年6月の総務大臣裁定により、音声通話サービスについても原価ベースで調達することができるようになりました。これにより、MVNO事業モデルはようやく整いましたが、MVNOが将来にわたり、利用者のニーズに合った多様なサービスを提供していくためには、MVNO自身でSIMを発行するなど、より自由度の高い環境が求められます。
当社は、引き続き、MNOとMVNOとの間の公正な競争環境の確保に取り組んでまいります。
② MVNO事業モデルの進化による黒字化の達成
当社は、前連結会計年度まで5期連続で損失を計上しており、早期に安定的な黒字化を達成することは喫緊の課題です。そのため、公正な競争環境の確保のための取組みを進めつつ、MVNO事業の本来の役割に立ち返ってその事業モデルを進化させることに取り組んでいます。
まず、SIM事業の月額課金商品については、令和2年7月に「日本通信SIM」という新たなブランドで発売した音声定額プランが多くのお客様の支持を獲得し、当連結会計年度下半期の収益に大きく貢献しました。SIM事業は、MNO4社及び多数のMVNO事業者により今後も激しい価格競争が想定されますが、当社は令和2年6月の総務大臣裁定によりNTTドコモから原価ベースで音声通話サービスを調達することができるため、当面の間、MNOに対抗することのできる競争力を確保しています。当社は、引き続き、利用者の利便性の向上に着目し、MNOとの差別化を図ることのできる商品の拡充に取組みます。
SIM事業のプリペイド商品については、新型コロナウイルスの影響下で訪日旅行者向け商品の売上が見込めない中、在宅勤務及び在宅学習の拡大により需要が高まっているテレワーク向け商品及びGIGAスクール向け商品の販売に注力しています。当社は、機動的にサービス設計及び商品調達ができる強みを生かし、引き続き、この分野の開拓を進める計画です。
また、MSP事業については、決済代行事業者向けクレジットカード情報非保持化支援サービスやモバイル専用線を用いたソリューション・サービスの提供を推進していきます。MSP事業には、新型コロナウイルスの感染拡大による影響はなく、むしろ、インターネットの活用が進み、セキュリティへの要請が高まるにつれ、商機は拡大するものと想定されます。当社は、引き続き、この分野の開拓を進めます。
以上の取り組みにより、当社は、当連結会計年度の第3四半期及び第4四半期において、四半期単体では黒字化を達成しました。当社は、引き続き、MVNO事業モデルを進化させることにより、通期での安定的な黒字化の達成を目指します。
③ 早期黒字化とのバランスを考慮した戦略的な取組み
当社は、早期の安定的な黒字化を目指す一方で、イネイブラー事業者として成長するための戦略的な取組みとして、FPoS事業及びローカル4G/5Gによるソリューション事業に注力しています。
まず、FPoS事業については、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」を活用して平成30年8月から10月にかけて実証実験を行ったほか、平成30年11月にはサービス提供主体となるmy FinTech株式会社を、令和2年1月にはFPoSの肝となるサブSIMの開発及び供給を担うセキュアID株式会社を設立しました。my FinTech株式会社は、現在、電子認証局の構築準備を進めていますが、新型コロナウイルスの影響下においてデジタル化の機運が高まる中、FPoSが備えている高度な安全性は、当初想定していた金融取引に限らず、社会全体で利用されるデジタルIDとしての役割を期待されるようになっています。
また、ローカル4G/5Gによるソリューション事業については、当社は当連結会計年度の第4四半期において、ローカル5Gの実証プロジェクトに参画し、地域の中核病院でローカル5Gに求められている課題を体験することができました。また、米国においては、ローカル4G/5Gの先駆的な仕組みであるCBRS(市民ブロードバンドサービス)向けに、ハイブリッドSIM、すなわちローカル基地局と大手携帯事業者の基地局の両方を使うことができるSIMの提供を開始しています。
これらの戦略的な取組みを断念すれば、早期の安定的な黒字化は容易に実現できますが、それでは、当社がイネイブラー事業者として成長することができません。従って、当社は、早期の安定的な黒字化とのバランスを取りながら、これらの戦略的な取組みを進めていく必要があります。当社マネジメントには、同様の課題に取り組んだ経験を持つ者が多く、着実に対処していけるものと考えています。
④ 優秀な人材の確保及び育成
当社がイネイブラー事業者として成長するための戦略的な取組みには、多種多様な調査や企画、さらに技術開発や事業開発が必要であり、これを担うことができる人材の確保及び育成が極めて重要となります。例えば、FPoS事業に関して言えば、金融業界に関する法律、制度、経営課題、技術課題等、顧客の事業領域に対する一定の知見が必要です。当社グループは、そのために優秀な人材の採用を進めるとともに、採用した人材に会社の優先順位に応じた多様な業務を担当させることによって、様々なノウハウや技術を身に付けさせています。当社が直面する課題は前例のないもので、既に知識や経験のある企業がどこかに存在するわけではありません。一方、当社には、MVNO事業モデルを定着させるに至るまでに、法制度の活用、携帯事業者との交渉やネットワーク構築などを通じて培った経験とノウハウがあるため、これらを活用して人材を育成し、戦略的な取組みを推進していきます。
⑤ 技術開発及び設備投資等の先行投資資金の確保
財務上の課題としては、安定的な通期黒字化を実現するまでの技術開発及び設備投資等の先行投資のための資金の確保が挙げられます。当社は、平成28年1月の新事業戦略の策定後、同戦略を実現するための資金を確保する手段として、平成28年7月に日本通信株式会社第3回新株予約権(第三者割当て)を、平成30年3月に日本通信株式会社第4回新株予約権(第三者割当て)を、いずれもクレディ・スイス証券株式会社を割当先として発行しており、これらの新株予約権が行使されたことにより、これまでに3,704百万円の資金を調達しました。さらに、当社は、令和2年4月にクレディ・スイス証券株式会社を割当先として日本通信株式会社第5回新株予約権(第三者割当て)を発行しました。当社は、割当先が同新株予約権を行使する時期及び数量をコントロールすることができるため、当社の資金ニーズに応じ、株式価値の希薄化に配慮した柔軟な資金調達を実現することが可能です。
当社は、上記のような課題に取り組みながら、安全・安心な通信及びプラットフォームを提供する事業者として成長していく計画です。