有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 11:22
【資料】
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【項目】
189項目
(重要な会計方針)
1.有価証券の評価基準及び評価方法
(1)長期投資のうちその他有価証券
時価のある有価証券は、決算日の市場価格等による時価法(売却原価は移動平均法)により評価し、その評価差額は全部純資産直入法によっている。
時価のない有価証券は、移動平均法による原価法によっている。
(2)関係会社長期投資のうち有価証券
移動平均法による原価法によっている。
2.たな卸資産の評価基準及び評価方法
主として、収益性の低下に基づく簿価切下げを行う移動平均法による原価法によっている。
3.デリバティブの評価基準及び評価方法
時価法によっている。
4.固定資産の減価償却の方法
有形固定資産は定率法によっている。
無形固定資産は定額法によっている。
耐用年数は、法人税法に規定する基準と同一である。
なお、有形固定資産には特定原子力発電施設の廃止措置に係る資産除去債務相当資産を計上しているが、当該廃止措置に係る費用の計上方法については、9.原子力発電施設解体費の計上方法に記載している。
5.繰延資産の処理方法
株式交付費及び社債発行費は支出期に全額費用として計上している。
6.引当金の計上基準
(1)貸倒引当金
売掛債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上する方法によっている。
(2)退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上している。
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、期間定額基準によっている。
過去勤務費用は、その発生時に全額を費用処理している。
数理計算上の差異は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(3年)による定額法により按分した額を、それぞれ発生の当事業年度から費用処理している。
(3)災害損失引当金
イ 新潟県中越沖地震による損失等に係るもの
新潟県中越沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、当事業年度末における見積額を計上している。
ロ 東北地方太平洋沖地震による損失等に係るもの
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、当事業年度末における見積額を計上している。
災害損失引当金に含まれる主な費用又は損失の計上方法等については以下のとおりである。
① 福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失
政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力統合対策室により策定された「東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋 ステップ2完了報告書」(平成23年12月16日)を受け、政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力中長期対策会議により「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(平成23年12月21日。以下「中長期ロードマップ」という)が策定された(令和元年12月27日最終改訂)。
当社は中長期ロードマップの主要な目標工程等や原子力規制委員会により策定された「東京電力福島第一原子力発電所の中期的リスクの低減目標マップ(2020年3月版)」(令和2年3月4日)に掲げる目標を達成するための具体的な計画として「廃炉中長期実行プラン2020」(2020年3月27日)を策定した。
これらに係る費用又は損失のうち、通常の見積りが可能なものについては、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額(「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画における炉心等除去に要する費用を除く)を計上している。将来の工事等の具体的な内容を当事業年度末では想定できず、通常の見積りが困難であるものについては、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。
② 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用又は損失のうち加工中等核燃料の処理費用
今後の使用が見込めない加工中等核燃料に係る処理費用について、当該費用の現価相当額(割引率4.0%)を計上している。
なお、装荷核燃料に係る処理費用は雑固定負債に含めて表示している。
ハ 台風第15号(房総半島台風)、第19号(東日本台風)及び第21号により被災した資産の復旧等に要する費用に
係るもの
2019年9月から10月までの間に発生した台風第15号(房総半島台風)、第19号(東日本台風)及び第21号により被災した資産の復旧等に要する費用に備えるため、当事業年度末における見積額を計上している。
(追加情報)
・災害損失引当金残高の内訳
前事業年度
(2019年3月31日)
当事業年度
(2020年3月31日)
イ 新潟県中越沖地震による損失等に係るもの5,112百万円5,112百万円
ロ 東北地方太平洋沖地震による損失等に係るもの443,249512,353
うち① 福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失321,813504,326
② 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用又は損失のうち加工中等核燃料の処理費用6,1216,366
③ 福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用又は損失115,256-
④ その他581,661
ハ 台風第15号(房総半島台風)、第19号(東日本台風)及び第21号により被災した資産の復旧等に要する費用に係るもの-3,084
448,362520,551

・福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失のうち中長期ロードマップに係る費用又は損失の見積り
原子力発電所の廃止措置の実施にあたっては予め原子炉内の燃料を取り出す必要があるが、その具体的な作業内容等の決定は原子炉内の状況を確認するとともに必要となる研究開発等を踏まえての判断となる。したがって、中長期ロードマップに係る費用又は損失については、海外原子力発電所事故における実績額に基づき計上している金額を含め、今後変動する可能性があるものの、当事業年度末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
(4)特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画に定める金額のうち炉心等除去に要する費用を計上している。なお、申請額のうち、既承認額については特定原子力施設炉心等除去引当金に、それ以外の申請額を特定原子力施設炉心等除去準備引当金に計上している。
(5)原子力損害賠償引当金
前事業年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償に要する費用に備えるため、当事業年度末における賠償見積額を原子力損害賠償引当金に計上している。賠償額の見積りは、原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成23年8月5日)等の賠償に関する国の指針や、これらを踏まえた当社の賠償基準、また、損害賠償請求実績や客観的な統計データ等に基づいている。
なお、新たな賠償に関する国の指針の決定や、当社の賠償基準の策定、また、参照するデータの精緻化や被害を受けられた皆さまとの合意等により、今後変動する可能性があるものの、当事業年度末における合理的な見積額を計上している。
(追加情報)
電気事業会計規則に基づき、当事業年度末において、「原子力損害賠償補償契約に関する法律(昭和36年6月17日 法律第148号)の規定による補償金の受入額188,926百万円及び「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年8月30日 法律第110号)等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対応する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)の規定に基づく資金援助の申請額に係る未収金1,449,106百万円は、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金及び原子力損害賠償引当金から控除している。
当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償に要する費用に備えるため、当事業年度末における賠償見積額を原子力損害賠償引当金に計上している。賠償額の見積りは、原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成23年8月5日)等の賠償に関する国の指針や、これらを踏まえた当社の賠償基準、また、損害賠償請求実績や客観的な統計データ等に基づいている。
なお、新たな賠償に関する国の指針の決定や、当社の賠償基準の策定、また、参照するデータの精緻化や被害を受けられた皆さまとの合意等により、今後変動する可能性があるものの、当事業年度末における合理的な見積額を計上している。
(追加情報)
電気事業会計規則に基づき、当事業年度末において、「原子力損害賠償補償契約に関する法律(昭和36年6月17日 法律第148号)の規定による補償金の受入額188,926百万円及び「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年8月30日 法律第110号)等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対応する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)の規定に基づく資金援助の申請額に係る未収金1,901,963百万円は、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金及び原子力損害賠償引当金から控除している。
(6)原子力発電工事償却準備引当金
原子力発電所の運転開始直後に発生する減価償却費の負担を平準化するため、電気事業法第27条の3及び同条の29の規定により、「原子力発電工事償却準備引当金に関する省令」(経済産業省令)に基づき計上している。
7.ヘッジ会計の方法
(1)ヘッジ会計の方法
繰延ヘッジ処理によっている。また、特例処理の要件を満たしている金利スワップについては特例処理によっている。
(2)ヘッジ手段とヘッジ対象
イ ヘッジ手段 金利スワップ
ヘッジ対象 長期借入金の利息支払額の一部
(3)ヘッジ方針
デリバティブ取引に関する社内規程に基づき、為替変動及び金利変動によるリスクをヘッジすることを目的としている。
(4)ヘッジ有効性評価の方法
ヘッジ対象のキャッシュ・フロー変動の累計とヘッジ手段のキャッシュ・フロー変動の累計を半期毎に比較してヘッジの有効性を評価している。ただし、特例処理によっている金利スワップについては有効性の評価を省略している。
8.使用済燃料再処理等拠出金費の計上方法
使用済燃料の再処理等の実施に要する費用は、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」(平成28年5月18日 法律第40号)第4条第1項に規定する拠出金を、運転に伴い発生する使用済燃料の量に応じて費用計上する方法によっている。
なお、2004年度末までに発生した使用済燃料の再処理等に要する費用の見積額のうち、2005年度の引当計上基準変更に伴い生じた差異は、「電気事業会計規則等の一部を改正する省令」(平成28年9月30日 経済産業省令第94号)附則第4条に基づき使用済燃料に係る拠出金として納付することによりその費用負担の責任を果たすことになり、2019年度まで毎期均等額30,560百万円を費用計上する。
また、使用済燃料の再処理関連加工に係る拠出金については、使用済燃料再処理関連加工仮勘定に計上している。
9.原子力発電施設解体費の計上方法
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(昭和32年6月10日 法律第166号)に規定された特定原子力発電施設の廃止措置について、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(経済産業省令)の規定に基づき、原子力発電施設解体費の総見積額を経済産業大臣の承認を受け、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号 平成23年3月25日)第8項を適用し、発電設備の見込運転期間にわたり、定額法による費用計上方法によっている。また、総見積額の現価相当額を資産除去債務に計上している。
ただし、エネルギー政策の変更や安全規制の変更等に伴って、原子炉を廃止する場合で、発電事業者の申請に基づき経済産業大臣の承認を受けたときは、特定原子力発電施設の廃止日の属する月から起算して10年が経過する月(改正省令の施行日の前日までに運転を廃止したときは、廃止日の属する月から起算して10年を経過する月)までの期間にわたり、定額法で費用計上することとなる。
(追加情報)
・福島第一原子力発電所1~4号機の解体費用の見積り
被災状況の全容の把握が困難であることから、今後変動する可能性があるものの、当事業年度末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
・福島第二原子力発電所の廃止に伴う原子力発電施設解体費の総見積額及び要引当額積立期間延長の承認
2019年7月31日の取締役会決議により、福島第二原子力発電所1~4号機の廃止を決定し、同日、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(経済産業省令)第5条第1項に基づき、経済産業大臣に総見積額承認申請書を提出し、同年8月19日に承認された。
同承認を受け、同年8月19日、同省令第5条第3項ただし書に基づき、経済産業大臣に要引当額積立期間延長承認申請を提出し、同年9月27日に承認された。
これに伴い、承認を受けた総見積額から既引当額を控除した要引当額について、特定原子力発電施設の廃止日(同年9月30日)の属する月から起算して10年が経過する月までの期間にわたり、定額法で費用計上している。
10.退職給付に係る会計処理
退職給付に係る未認識数理計算上の差異の会計処理の方法は、連結財務諸表における会計処理の方法と異なっている。
11.消費税等の会計処理
消費税及び地方消費税の会計処理は、税抜方式によっている。