有価証券報告書-第131期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/05/28 16:00
【資料】
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【項目】
165項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を使命として小林一三により設立されて以来、映画・演劇を中心に、幅広い層のお客様に夢や感動、喜びをもたらす数多くのエンタテインメント作品をお届けしてまいりました。
また、創業者の言葉である「吾々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を大切な価値観とし、「朗らかに、清く正しく美しく」をモットーに置き、事業の三本柱である「映画・演劇・不動産」のすべての事業において、公明正大な事業活動に取り組むと共に、常にお客様の目線に立ち、時代に即した新鮮な企画を提案し、世の中に最高のエンタテインメントを提供し続ける企業集団でありたいと考えております。
上記の経営理念に基づき、今後ともグループ全体で企業価値の向上に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、経営の成果として重視する数値を「営業利益」に置いております。収入とコストの両面から、グループ全体でPDCA管理サイクルを回し、着実な営業利益の積み上げを目指してまいります。
なお、2018年4月に策定した「TOHO VISION 2021 東宝グループ 中期経営戦略」におきましては、対象年度における連結営業利益の水準を400億円超とすると共に、これまでの最高益である2017年2月期の502億円を更新することを目標としてまいりましたが、2020年2月期に過去最高益となる528億円を達成することができました。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く状況は、主力の映画事業において、邦画・洋画の大ヒット作品に恵まれ、2019年の映画興行収入が歴代最高を記録するなど、映画業界は引き続き活況を呈しました。また、演劇事業においてもミュージカルを中心に多様な公演が人気を博し、不動産事業では都心部を中心にオフィス空室率が低く推移するなど、当社グループの主要事業をめぐる環境は、いずれも順調に推移しました。このような環境下において当社グループは、映画、演劇、不動産の各領域で積極果敢に事業を展開した結果、2018年4月に策定した3カ年の中期経営戦略「TOHO VISION 2021」において掲げた「過去最高益の更新」という数値目標を、2年度目にして達成することができました。
しかしながら、本年2月下旬以降の新型コロナウイルスの感染拡大は、一転して当社グループの主要事業にかつてない深刻な影響を与えています。大規模イベントの自粛要請を受け、演劇公演の休演を余儀なくされたほか、映画館も、有力作品が続々と公開延期となったことに加え、緊急事態宣言に基づく休館やお客様の外出自粛によって、極めて大きな打撃を受けることとなりました。今後も、感染収束時期の見通しは不透明であり、エンタテインメントを本業とする当社グループにとっては、業績への直接的な影響が長引くことが懸念されています。加えて、世界規模の感染拡大と実体経済の停滞がもたらす景気や個人消費への影響の深刻化など、当社グループをめぐる経営環境の先行きは、不透明感が一層濃くなっている状況であります。
こうした未曽有の危機的事態に直面し、当社グループとしては、当面の間、感染リスク対策に万全を尽くしながら慎重な事業継続を行うとともに、できる限りのコスト削減や、感染収束後のV字回復に向けた準備を怠りなく実施してまいります。そして全役員・従業員が「健全な娯楽を広く大衆に提供する」という企業使命を肝に銘じ、今後も変わらず、エンタテインメントを通じて人々の心を豊かにし、感動と喜びをお届けし続けることによって、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。