有価証券報告書-第174期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/30 14:10
【資料】
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【項目】
135項目

有報資料

(1) 事業環境の変化と成長機会
当社グループの事業環境は近年大きな変化の中にあります。破壊的なテクノロジーの進化や、ポスト・パンデミックに向けた社会規範の変容で、生活者の行動や価値観はますます多様化し、より個人化された体験が重要になっております。
こうした変化に伴い、国内・海外を問わず、顧客企業のニーズはデータとテクノロジーを活用した顧客体験全体の設計及び体験価値の向上に拡大しております。また、事業課題の高度化・複合化に伴い、事業戦略に基づく統合的なソリューション提案、マーケティング基盤のデジタル・トランスフォーメーション、既存事業の変革や新規事業の創出を含む提案が求められております。社会的課題への関心も高まりを見せ、企業のESG領域での取り組みが一層重要視されております。
これらの変化によって、コンサルティング業界やITシステム業界などの企業と競合するケースも増えておりますが、一方で、当社グループの成長機会は広告領域のみならず、顧客企業の事業課題・マーケティング課題全般へのソリューション提供へと拡大しております。この機会を捉えるため、人財の育成、開発にも力を入れてまいります。
(2) 「グループ・マネジメント・チーム」による企業価値の最大化
このような環境変化の中で事業変革の加速と経営の更なる高度化を実現するべく、当社グループは本年1月に、「グループ・マネジメント・チーム」によるグローバル経営体制へ移行いたしました。国内事業である電通ジャパンネットワーク(以下、DJN)及び海外事業である電通インターナショナル(以下、DI)の2事業体制を解消し、今後は世界の4事業地域(日本、Americas、EMEA、APAC)を直接統括して事業運営を行います。
この度、この新体制の下、当社グループ共通のビジョンを「『人起点の変革』の最前線に立ち、社会にポジティブな動力を生み出す。」と設定しました。マーケティング、テクノロジーとコンサルティングの融合が進む当社の事業ドメインを「人起点の変革(People-centered Transformation)」と捉え直し、卓越したクリエーティビティとテクノロジーの力で新たなソリューションと社会的インパクトを生み出す企業へと進化してまいります。顧客企業とのビジネスを通じて社会課題を解決する「B2B2S (Business to Business to Society)」企業グループとして、あらゆるステークホルダーにとっての企業価値の最大化に取り組んでまいります。
(3) 「中期経営計画2024」の継続推進
2021年2月に、環境変化で見出される事業機会を的確に捉えて、持続的な事業成長を具体化していくために、2024年度までを対象とする事業変革と成長戦略として「中期経営計画2024 ―変革による持続的成長へ―」を策定しました。初年度の2021年度、及び2022年度は好調に推移し、売上総利益、調整後営業利益及び1株当たり年間配当金において上場来最高額を更新しております。
中期経営計画で定めている注力領域と、2022年2月に上方修正した目標ターゲットは以下となります。
① 事業変革による成長戦略の実践
当社グループは、高度化・複合化する顧客課題に対し、保有するユニークで多岐に渡るケイパビリティを組み合わせて統合的解決を実現する「Integrated Growth Solutions(インテグレーテッド・グロース・ソリューション)」を事業戦略の核に据えております。そして「Customer Transformation & Technology(カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー)」領域で、データとインサイトによるコンシューマー・インテリジェンスを活用したソリューション提供モデルを確立し、顧客の事業変革を支援する事業を強化してまいります。
当社グループは、その発展の歴史の中で、ケイパビリティを拡張し収益源を多様化してまいりました。「マーケティング・コミュニケーション」領域には、クリエーティブ、メディア、コンテンツ等があり、「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」領域には、マーケティング・テクノロジー、カスタマーエクスペリエンスマネジメント、コマース、システム・インテグレーション、トランスフォーメーション&グロース戦略等が含まれます。このサービスカバレッジの多様さが当社グループの競争優位の源泉となります。更に、独自のデータ基盤に基づく、コンシューマー・インテリジェンス(生活者の行動理解に結びつけるデータ・アナリティクスとインサイト)によってこれらの幅広いケイパビリティを支えております。加えて、テクノロジー企業やプラットフォーマーとのアライアンスを構築し、これら企業のマーケティング・テクノロジーの導入支援、分析ツールの活用におけるリソースを拡充しており、その規模・質は市場において競争力を発揮しております。
これらの優位性を活かしながら、新しいテクノロジーやソリューション開発、イノベーションへの投資、及びスキル開発や採用など人材への投資を通じたオーガニック成長を実現します。またM&A等の資金として2021年度から2024年度までの3年間に2,500~3,000億円を想定しており、成長領域であるカスタマートランスフォーメーション&テクノロジーへフォーカスした規律ある投資行動によってケイパビリティとスケールを拡充し、事業変革の実現を目指します。
② 収益性と効率性の改善
2020年より取り組む包括的見直しにより、国内事業・海外事業における構造改革を進めてまいりました。国内事業では、4つの事業領域(「AX(Advertising Transformation)領域」「BX(Business Transformation)領域」「CX(Customer Experience Transformation)領域」「DX(Digital Transformation)領域)」)に再編し、これら4つの事業領域が生み出す価値を高めるため、国内事業傘下の各社の機能を、専門領域やシナジー創出の観点からグルーピングし、グループ企業の統合やバーチャル組織の設置も含めて最適化しております。また、国内グループのコーポレート機能についても、2022年1月に㈱電通コーポレートワンを設立し、人財と機能の集約を進めております。海外事業では、現在160以上あるエージェンシーブランドを6つのグローバルリーダーシップブランドへ統合する取り組み及び傘下の法人格の合理化を推進しております。より統合され、効率化された組織構造に変革することで、インテグレーテッド・グロース・ソリューションを個々の顧客企業に最適な形で提供できる体制を目指します。
今後も、不動産活用の最適化などこれまでに実行した構造改革やコスト削減を土台に、必要な施策を引き続き進めてまいります。ニアショア・オフショアのさらなる活用、コーポレート機能の統合やIT基盤整備などを通じて、恒常的に収益性改善を図ってまいります。
③ 財務基盤の改善と、株主価値の持続的向上
事業変革に必要な資金を確保する観点から、健全なバランスシートの維持に引き続き取り組んでまいります。適切な財務レバレッジを管理し、資金配分方針に基づく規律ある投資を行うことにより、株主価値の持続的向上に努めてまいります。配当性向(基本的1株当たり調整後当期利益ベース)は2024年度までに35%まで漸進的に高める方針であります。
④ ESG経営の推進
企業の社会的責任を重視し、ESG経営の一層の推進による企業価値向上に取り組みます。「2030サステナビリティ戦略」を遂行し、人財及び企業文化領域の取り組みを強化いたします。また、ガバナンス体制のさらなる高度化を図るべく、必要な施策を推進してまいります。
・中期経営計画のターゲット(2022年2月にアップデート)
① 事業変革による成長戦略の実践
・オーガニック成長率:2021年度を基準に2024年度まで年平均成長率ベースで4~5%とする。
・売上総利益に占める「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」領域の構成比を今後50%に高めることを目指す。
② 収益性と効率性の改善
・2023年度までオペレーティング・マージンを17.0~18.0%のレンジで管理し、2024年度には18.0%を確保する。
③ 財務基盤の改善と、株主価値の持続的向上
・Net debt/調整後EBITDA(期末)の上限を1.5倍とし、中期的な目線を1.0~1.5倍とする (IFRS第16号の適用影響を控除したベース)。
・配当性向(基本的1株当たり調整後当期利益ベース)を漸進的に高め、2024年度までに35%とする。
④ ESG経営の推進
・2030年度までにCO2排出量を46%削減、2030年度までに再生可能エネルギー使用率100%を達成(利用可能なマーケットに限定)する。
・従業員エンゲージメントスコアを向上させる。
・従業員のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)の強化。2030年度までに女性管理職比率を30%とする。
(4) コンプライアンスの徹底
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるテストイベントの入札等事業に関して、国内子会社の従業員1名(事案が発生した2018年当時は株式会社電通に所属)が、独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会から刑事告発され、東京地方検察庁により起訴されました。また、同法の両罰規定により、2018年当時に株式会社電通であった現在の株式会社電通グループが法人として起訴されました。
当社は、このことを真摯に受け止め、かかる事態を招いたことにより株主をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なご心配をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。
現在、当社の監査等委員である独立社外取締役3名を委員とする特別委員会を設置しており、同委員会の主導の下、外部有識者3名で構成される「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事案に関する外部有識者による調査検証委員会(以下、「調査検証委員会」)」を設置しました。「調査検証委員会」は、今般の事案に係る調査を行い、原因の究明と今後に向けた提言を「特別委員会」に対して行います。当社グループは、同提言をもとに再発防止策を策定・実施し、役員・従業員一同、コンプライアンスの更なる徹底を図ることにより、信頼の回復に努めてまいります。

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