有価証券報告書-第59期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/25 13:25
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付債務及び年金資産の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社の経営陣は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的だと考えられる様々な要因に基づき、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループの経営成績の概要は「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりでありますが、そのポイントは主に次のとおりであります。
① 売上高
売上高は、国内の公共投資が前年水準で推移する中、震災特需の終焉により、従来からの建設・開発型の事業が減少しましたが、国内において防災・減災分野、エネルギー分野が伸長し、売上高は492億3千万円(前年同期比101.2%)と前連結会計年度から5億9千6百万円増加いたしました。
セグメント別の売上の特徴としては、国内市場を主体とする調査・コンサルティング事業が371億6百万円(同100.1%)と1千8百万円増加し、計測機器事業(国内)が42億1千7百万円(同116.9%)と6億1千万円増加しております。
一方、計測機器事業(海外)は、北米の企業を主体としており、外部環境が厳しい中で、円安の影響により、売上高は、79億5百万円(同99.6%)と3千3百万円の減少にとどまりりました。
② 売上総利益
売上総利益は、148億8千8百万円(前年同期比96.3%)と前連結会計年度から5億7千7百万円減少いたしました。これは、売上高は増加したものの、人件費の増加に加え、ドル高ユーロ安による米国子会社の価格競争力の低下に伴い、売上原価率が悪化したことなどによります。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、人件費と研究開発費の増額により、127億円(前年同期比112.8%)と前連結会計年度から14億4千5百万円増加いたしました。売上原価の悪化もあり、営業利益は、21億8千8百万円(前年同期比52.0%)と前連結会計年度から20億2千2百万円減少し、売上高営業利益率は4.4%となり、前連結会計年度から4.3ポイント減少いたしました。
④ 営業外損益、経常利益
営業外損益は、3億4千6百万円と前連結会計年度から9千2百万円減少いたしました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ21億1千5百万円減少し、25億3千4百万円となりました。
⑤ 特別損益、税金等調整前当期純利益
特別損益は、特別利益が1億4千3百万円と前連結会計年度から4千4百万円減少いたしました。特別損失は発生がなく、前連結会計年度から4千万円減少いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ21億1千9百万円減少し、26億7千7百万円となりました。
⑥ 法人税等(法人税等調整額を含む)、少数株主利益、当期純利益
当連結会計年度における税金費用は、3億4千8百万円と前連結会計年度に比べ8億7千8百万円減少いたしました。これは、主として海外事業における税金の還付が9億4千1百万円あったことによります。また、当連結会計年度の少数株主損失は3千1百万円(前年同期は1千9百万円の利益)となりました。この結果、当期純利益は23億6千1百万円となり、前連結会計年度に比べ11億8千9百万円減少いたしました。
(3) 財政状態の分析
① 資産・負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ32億5千万円増加し、836億1千7百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べ28億4千3百万円増加し、565億3千4百万円となりました。これは主として、前連結会計年度末に比べ完成業務未収入金が20億8千2百万円増加したこと、及びリース債権及びリース投資資産が5億3千6百万円増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ4億7百万円増加し、270億8千3百万円となりました。これは主として、米国子会社における建物の取得などで有形固定資産が3億7百万円増加した他、無形固定資産が1億円増加したことによります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ8千万円増加し、147億7百万円となりました。これは主として、流動負債が2千8百万円増加したこと、及び固定負債が5千2百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ31億7千万円増加し、689億1千万円となりました。これは主として、当期純利益を23億6千1百万円計上したことにより利益剰余金が増加し、株主資本が15億8千万円増加したこと、及び円安の影響により為替換算調整勘定が14億4千7百万円増加したことによります。
この結果、自己資本比率は81.9%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 経営戦略の現状と見通し
当社は、当社グループが2020年に向けて目指すべき「応用地質グループ長期経営ビジョンOYO2020」を策定しており、この長期ビジョンを踏まえて、2010年からスタートした中期経営計画OYO Hop10(2010年~2013年)が終了し、中期経営計画OYO Step14(2014年~2017年)が2014年から始まりました。
① 基本方針・基本戦略
2013年で終了した中期経営計画OYO Hop10は、国内の調査・コンサルティング事業を中心として、「地域拠点戦略」から「事業展開戦略」への転換を進めて参りました。その結果、OYO Hop10の最終年である2013年では、目標として定めた売上高430億円、売上高営業利益率5.0%を大幅に超える業績を達成いたしました。
また、前連結会計年度から始まった中期経営計画OYO Step14は、長期経営ビジョンの第3期の展開段階であり、OYO Hop10で構築した土台をベースとして、様々な試行結果を事業として展開する期間と位置付けております。例えば、OYO Step14では、OYO Hop10の中で事業化として選定した情報サービス事業、循環型廃棄物事業、海洋事業などを積極的に展開することを計画しております。
② 数値目標
当社は、中期経営計画OYO Step14において、最終年度である2017年度(平成29年度)の業績目標を、過去最高水準の事業規模を目指し、連結売上高585億円、売上高営業利益率10%(連結営業利益58.5億円)、売上高海外比率30%、総資産経常利益率8%としております。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後持続的に成長するためには、当社グループの事業で社会に貢献することが重要であると考えております。具体期には、「製品・サービス」「雇用」「企業活動」の3つの社会的責任と社会貢献を基本とした企業活動を徹底することであります。すなわち、確かな品質の製品・サービスで社会や顧客の課題を解決し、従業員の雇用を継続するとともに安定した生活を保障し、企業活動として計画を達成し納税と株主還元等を確実に行うことが不可欠と考えております。
また、現中期経営計画OYO Step14では、応用地質グループの持続的な成長に向けて、OYO Hop10の成果を活用して事業を拡大するとともに、事業を支える経営基盤の強化に取組む方針でありますが、当社を取り巻く環境は大きく変化しており、これらの変化に対応することが必要であると考えております。
OYO Step14の2年目の2015年は、海外では中国・新興国の経済成長鈍化、原油・資源価格下落、中東地区の政情不安、米国経済の回復など、国内では、震災特需の終焉、社会インフラの老朽化と自然災害の増加、地盤関連の瑕疵問題の発生など、社会情勢が大きく引き続き変化しております。また、当社グループを取り巻く市場環境も、支援・エネルギー市場の低迷、ドル高ユーロ安、公共建設投資の抑制と多様化など、大きく変化しており、当連結会計年度の業績に影響が表れています。
これらの外部環境の動向を踏まえ、今後の対処すべき課題とその対応方針を、下記のように整理しております。
a.予算が増加が抑制され多様化する公共投資分野における成長分野の拡大
国内公共事業における成長分野として、維持管理分野をはじめとして、防災・減災分野、地球環境分野、福島地区の復興事業等を想定しており、これら成長分野に差別化商品・サービスと経営資源を投入します。
b.地盤情報サービスを活用した国内事業の拡大
マンション傾動等の地盤に係る瑕疵問題の発生、建設事業におけるICT技術を活用した効率化を目指すシステムの導入など、地盤の可視化や三次元情報に対する社会ニーズが高まりつつあることから、上記成長分野を中心に、三次元地盤情報技術などを組合せた商品・サービスの提供により、公共事業に依存しないように国内事業を拡大します。
c.外部環境の厳しい海外事業の改善と事業領域の拡大
資源・エネルギー市場の低迷やドル高ユーロ安などの影響により、計測機器事業を中心とする海外事業では、経営体制の強化とコスト削減に取組むとともに、従来市場における競争力を高める後継機の開発と事業領域を拡大する新製品の開発を継続し、2016年から2017年に掛けて、これら新製品を市場に投入します。
d.社会変化に伴う事業リスク対策の強化
持続可能な企業活動を目指して、成果品の品質管理を継続的強化、労働環境の継続的改善に加え、ワークライフバランスの向上を目指し、企業の社会的責任を推進する活動を強化します。
e.企業価値向上を目指した資本効率の改善
資本政策の基本方針を定め、利益率及び資産効率の向上並びに適切な株主還元を通じて、中長期的な企業価値向上と株主利益の拡大に努めます。特に、株主還元に関しては、財務状況や市場環境等を踏まえて、機動的な自己株式の取得及び消却を検討します。
これらの事業環境の動向を踏まえ、現状の対処すべき課題と今後の方針を整理しておりますが、その内容は、事業の状況「対処すべき課題」に記載したとおりであります。