有価証券報告書-第57期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/26 13:16
【資料】
PDFをみる
【項目】
135項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付債務及び年金資産の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社の経営陣は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的だと考えられる様々な要因に基づき、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループの経営成績の概要は「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりでありますが、そのポイントは主に次のとおりであります。
① 売上高
売上高は、国土強靭化計画及び景気対策の財政出動を背景にして、国内の公共事業を中心に防災・減災分野、維持管理分野が伸長し、売上高は470億3千3百万円(前年同期比115.5%)と前連結会計年度から63億2千8百万円増加いたしました。
セグメント別の売上の特徴としては、国内市場を主体とする調査・コンサルティング事業が355億1百万円(同115.2%)と46億8千8百万円増加し、計測機器事業(国内)が40億5千7百万円(同151.5%)と13億7千8百万円増加しております。
一方、計測機器事業(海外)は、北米の企業を主体として活動しており、74億7千4百万円(同103.6%)と2億6千1百万円増加となりましたが、これは円安の影響であり、現地通貨のドルベースでは減収となっております。
② 売上総利益
売上総利益は、137億8百万円(前年同期比115.4%)と前連結会計年度から18億2千7百万円増加いたしました。これは、売上高の増加に加え、外注費や材料費の価格が上昇する傾向にある中でコスト削減を行い、売上原価を前連結会計年度の水準に抑制したことによります。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、100億2千9百万円(前年同期比106.5%)と前連結会計年度から6億1千3百万円増加しておりますが、売上高比率は21.3%であり、前連結会計年度の23.1%と比較すると1.8ポイント低減しております。この結果、営業利益は36億7千9百万円(前年同期比149.3%)と前連結会計年度から12億1千4百万円増加し、売上高営業利益率は7.8%となり、前連結会計年度の6.1%から1.8ポイント増加いたしました。
④ 営業外損益、経常利益
営業外損益は、前連結会計年度にOYO GEOSPACE CORPORATIONの株式を売却したことにより、持分法による投資利益が減少した影響等を受け、前連結会計年度に比べ4億7千5百万円減少して3億9千3百万円の利益となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ7億3千8百万円増加し、40億7千2百万円となりました。
⑤ 特別損益、税金等調整前当期純利益
特別損益は、当連結会計年度の特別利益が1億2千4百万円で、前連結会計年度に比べ61億6千2百万円減少いたしました。これは主として、前連結会計年度にOYO GEOSPACE CORPORATION等の株式売却により発生した関係会社株式売却益が当連結会計年度には発生しなかったことによるものであります。当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ3億4千4百万円減少し、1億2千2百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ50億7千8百万円減少し、40億7千5百万円となりました。
⑥ 法人税等(法人税等調整額を含む)、少数株主利益、当期純利益
当連結会計年度における税金費用は、14億5千8百万円と前連結会計年度に比べ19億2千万円減少いたしました。これは主として、前連結会計年度はOYO GEOSPACE CORPORATIONの株式売却益により法人税、住民税及び事業税が増加していたためであります。また、当連結会計年度の少数株主利益は2千1百万円で、前連結会計年度に比べ2百万円増加いたしました。この結果、当期純利益は25億9千5百万円となり、前連結会計年度に比べ31億6千万円減少いたしました。
(3) 財政状態の分析
① 資産・負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ95億1千8百万円増加し、750億3百万円となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ71億6千6百万円増加し、502億9千5百万円となりました。これは主として、売上の増加に伴い完成業務未収入金が48億2千1百万円増加し、受取手形及び売掛金が11億8千2百万円増加したこと、現金及び預金が10億9千2百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ23億5千2百万円増加し、247億8百万円となりました。これは主として、米国子会社の株式取得等によりのれんが8億1千万円増加したこと、投資有価証券が15億3千万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ36億1千6百万円増加し、144億8千万円となりました。これは主として、業務未払金が11億3千9百万円増加したこと、未払法人税等が11億5千5百万円増加したことにより、流動負債が29億8千1百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ59億2百万円増加し、605億2千3百万円となりました。これは主として、利益剰余金が19億7千7百万円増加したこと、為替換算調整勘定が30億2千4百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は80.1%、1株当たりの純資産額は、2,219円12銭となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 経営戦略の現状と見通し
当社は、当社グループが2020年に向けて目指すべき「応用地質グループ長期経営ビジョンOYO2020」を策定しており、この長期ビジョンを踏まえて、2010年からスタートした中期経営計画OYO Hop10(2010年~2013年)が当連結会計年度で終了し、次期中期経営計画OYO Step14(2014年~2017年)が始まりました。
① 基本方針・基本戦略
中期経営計画OYO Hop10は、長期経営ビジョンで4段階に区分した活動期間の第1期と第2期までの計画、試行段階であり、今後当社グループの成長のための土台を形成する期間と位置付けております。そして、様々な方策を試行・実行し、既存コア技術の強化や不足するリソースの入手を行ってまいりました。特に、国内の調査・コンサルティング事業は、「地域拠点戦略」のもとで縮小傾向にある公共事業分野を対象に各地域に拠点を置いて活動した方針から、「事業展開戦略」として事業にフォーカスした組織を置き、顧客ニーズに合った高品質な専門サービスを提供する方針に転換を進めてまいりました。
その結果、OYO Hop10の最終年である当連結会計年度では、目標として定めた売上高430億円、売上高営業利益率5.0%を大幅に超える業績を達成いたしました。
また、翌連結会計年度から始まる中期経営計画OYO Step14(2014年~2017年)は、長期経営ビジョンの第3期の展開段階であり、OYO Hop10で構築した土台をベースとして、様々な試行結果を事業として展開する期間と位置付けております。例えば、OYO Step14では、OYO Hop10の中で事業化が見えてきた、情報サービス事業、循環型廃棄物事業、海洋事業などを、今後積極的に展開することを計画しております。
② 数値目標
当社は、中期経営計画OYO Step14において、最終年度である2017年度(平成29年度)の業績目標を、過去最高の業績水準と定め、数値目標として、売上高585億円、売上高営業利益率10%(連結営業利益58.5億円)、売上高海外比率30%、総資産経常利益率8%としております。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後持続的に成長するためには、当社グループの事業で社会に貢献することが重要であると考えております。具体的には、「製品・サービス」「雇用」「企業活動」の3つの社会的責任と社会貢献を基本とした企業活動を徹底することが必要であります。すなわち、確かな品質の製品・サービスで社会や顧客の課題を解決し、従業員の雇用を継続するとともに安定した生活を保障し、企業活動として計画を達成し納税と株主還元等の責任を確実に果たすことが不可欠と考えております。そして、この考え方を実践するために、平成26年1月に当社グループとしてCSR活動方針を定めております。
また、当社グループの事業で社会に貢献するために、長期経営ビジョンOYO2020では、今後注力する事業領域を「防災・減災」「環境」「エネルギー・資源」「豊かな暮らしを支える公共インフラ」と定めて、積極的に活動することにしております。
なお、事業を展開する市場としては、現在の我が国の財政状況から考えると国内の公共事業は、中長期的には縮小することが予想されるため、海外市場の拡大が必要であります。今後は、ODA関連や海外進出の国内民間企業に加え、海外政府や関係機関を顧客として、社会資本整備や防災・減災や環境にかかわるサービスを、海外でも積極的に展開することを考えております。