有価証券報告書-第47期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 13:07
【資料】
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【項目】
140項目

研究開発活動

当社では、国内はもとより欧米・アジアの各拠点を含む関係会社と一体となりグローバルな視点から最新のIT動向を鋭敏に捉え、市場創造に向けて当社グループ全体で最新技術の導入と技術レベルの高度化・充実を図るべく、研究開発活動を推進しております。
また、先端・先進技術を確実に取り入れ、より最適な次世代のソリューションやサービスを早期に実現するために、中期的な技術戦略に基づいた各施策を推進しております。
① 車載システム開発の変化に対する取組み
近年、自動車を取り巻く環境は大きく変化し、環境面への配慮や衝突被害軽減・駐車支援などにおける情報通信技術の取込みなど自動車に搭載される機能は年々高度化しています。
このような機能を実現するためのECU(電子制御ユニット)の数や車載システムの複雑さ、開発規模は大幅に増大しており、加えて、機能安全やセキュリティに関わる新たな基準への対応が求められるなど、車載システムを安全かつ効率的に開発することが大きな課題になっています。
当社では、車載システムへの取組みを成長戦略の一つに位置付け、自動車に求められる高いレベルの品質(快適性・安全性・環境性・信頼性)を実現する車載ECUシステムを効率的かつ高品質に開発するために、次の分野を軸に、車載IT企業数社とも提携した技術開発に継続的に取り組んでいます。
・AUTOSARや機能安全要求(ISO26262)などの標準規格に準拠した独自ベーシックソフトウェアによる高品質の実現
・開発、テスト工程の自動化による開発コスト削減の実現
・ベーシックソフトウェアと開発ツールで生産性の高い開発プロセスを構築し開発期間短縮を実現
② プロジェクト・パフォーマンス向上や変化に対応する迅速・柔軟なシステムの実現に向けた取組み
システムの運用を安定させTCOを低減させることに加え、環境変化に迅速に対応できる柔軟なシステムを実現することは、事業価値を最大化させるためにも企業経営にとって重要な課題となっています。
当社では、長年にわたって培ったノウハウを集約し、企業システムの戦略・企画から開発・運用に至るまでのライフサイクルを一貫して実行できるプロセスモデルと、ビジネスプロセスやルールの変化にも容易に対応できるアーキテクチャ(実現方式)とを合わせた技術標準を開発・展開しており、お客様のシステム化ニーズに確実に応える取組みを継続的に推進しています。
更に、このような技術標準に基づいた仕組みを一歩前に進め、開発プロジェクトや運用サービスのパフォーマンスを向上させるための研究開発も推進しており、高速開発や自動化を始め、開発・運用環境のクラウド・サービス対応にも取り組んでいます。
一方で、スマートフォンやタブレット端末、更にはウェアラブル端末などの登場によるユーザ環境の変化、クラウド・サービスを取り込んだシステム基盤環境の変化といったように、企業システムに適用される技術要素やアーキテクチャは大きく変わり始めています。企業のIT環境にはこのような新たな技術の利用が欠かせない状況になりつつあり、当社ではお客様のシステムを確実に実現するために、その技術要素やアーキテクチャ技術についての調査・研究も行っています。
③ システム基盤技術の進化・最適化に対する取組み
企業IT環境の『所有』から『利用』への流れもあり、多くの企業がクラウド・サービスの利用を前提としたシステム環境の整備へと舵を切っています。また、サイバー攻撃をはじめ企業システムが対処しなければならないセキュリティ上の問題など、システム基盤技術に求められる要求は益々高まっています。
当社では、企業IT環境を支えるシステム基盤をハードウェア、データベース等のミドルウェア、ネットワーク、セキュリティ、運用管理等の幾つかの分野で捉え、新たな要素技術やプロダクトの評価・選定、更にはこれらを組み合せての検証を行っています。検証においては、信頼性・可用性・拡張性・運用性及びパフォーマンスの観点を重視し、常に最新技術を見据えた最適なシステム構成をお客様に提供する為の技術追求を行っています。
また、システム基盤技術領域においてはOSS(オープンソース・ソフトウェア)が重要なポジションにあり、お客様のニーズにより的確に応えるサービスを実現する手段の一つとしてOSSを念頭に置き、継続的な調査並びに評価・検証を実施しています。
④ 新たなICT環境への取組み
クラウド・コンピューティングに端を発した技術進化は、“Internet of Things”で代表されるようにあらゆるものがインターネットを始めとするITネットワークで繋がるシステム環境を生み出し、今や消費者の日常生活や企業活動にとって不可欠な社会インフラとなっています。
その中で、データ処理の高度化、近距離通信などのネットワーク技術の進化、更には新たなインターフェースとしてのウェアラブル端末やセンサーの利用などがICT環境の変革に拍車をかけています。
過去にインターネットの普及が企業システムを大きく変革させビジネス機会を創出したように、この新たなICT環境が再び企業にとっての大きな転換と成長をもたらす可能性を秘めており、多くの企業が活発に技術開発に取り組んでいます。
当社も、“Internet of Things”の生み出しうる価値に着目し、ビッグデータやデバイス等の新たなICT環境を実現する技術、またその環境でのみ実現されるアプリケーション・システムについて調査・研究を行っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、267百万円であります。