訂正有価証券報告書-第37期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/11/16 14:13
【資料】
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【項目】
131項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「お客さまの未来と信用を活かす生活応援企業」として、「お客さま第一」、「生活に密着した金融サービスの提供」、「社会の信頼と期待に応える」、「活力あふれる社内風土の確立」を経営の基本方針とし、金融サービスを通じたお客さまへの限りない貢献を永遠(AEON)の使命と定めております。小売業と金融業が融合した総合金融グループとして、安全・安心、便利で、お得な金融サービスを提供することで、日本ならびにアジア各国においてお客さまに一番身近なリテール銀行持株会社を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、中期的にシステム(IT)投資を重点的に行いデジタル化を促進させることにより、利便性及び生産性の向上を図ります。経営指標においては貸倒関連費用(貸倒関連費用/経常収益)の削減及び労働分配率(人件費/経常収益)の改善を目指してまいります。そして、国内事業の成長を図りつつ、アジアでの事業拡大に取り組み、連結経常利益に占める海外比率の向上に取り組んでまいります。
財務面においては、自己資本比率8%程度を維持することを目指してまいります。
経営指標目標数値(平成31年3月期)
連結経常収益前期比110%以上
貸倒関連費用(貸倒関連費用/経常収益)海外:20%
労働分配率(人件費/経常収益)国内:16%、海外:11%
自己資本比率8%程度を維持

(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社は、小売業のお客さまのニーズから生まれた金融業として、日本においてはクレジット、銀行、ローン、保険、電子マネー等の金融商品・サービスを拡充し、また店舗の他、WEBやスマートフォン等、複数のチャネルを円滑に利用出来るよう推進してまいりました。また、アジア地域においては、各国の経済成長に合わせ、ローンや金融商品・サービスを拡充してまいりました。
近年、アジア地域においては中間所得者層が拡大し、金融商品ニーズの多様化が進んでおります。さらに、新技術の発展により、より広範囲の層において金融商品・サービスが利用できる環境が整いつつあります。加えて、国内外において人工知能(AI)、ブロックチェーン等、金融に係る技術の革新が進んでおります。一方で、プラットフォームを持つ企業が金融業界に参入する傾向が見られ、競争が激化しており、今後も金融業界全般に変革が続くと予想されます。
このような環境の中、当社は、国内外の各地域において新技術を活用し、アジアの地域において共通に利用出来る金融商品・サービスを提供していき、アジアを中心とした経済圏を構築してまいります。加盟店ネットワークを広げ、お客さまと加盟店とを繋ぐ金融プラットフォームを構築し、ワンストップで決済やサービスが利用出来るよう、推進してまいります。また、各国の情勢に合わせた金融商品を拡充してまいります。そして、データの利活用による営業・マーケティングを強化することにより、お客さまニーズを汲み取り、適切な商品・サービスを提供し、日々の生活を豊かにするサポートを推進してまいります。
そのために、次の3つの事項を重点的に取り組み、変革を進めてまいります。
<重点取り組み事項>①営業・マーケティングの強化
顧客の属性情報や地域情報などデータを集約して活用することを推進し、お客さまのライフステージ・ライフスタイルに応じてニーズを汲み取り、そのニーズに合わせた金融商品・サービスを適時・適切な方法で提案・提供してまいります。また、お客さまのニーズを汲み入れた商品サービスやマーケティング、決済サービスが提供出来るよう、加盟店へのサービスを強化してまいります。そして、アジア各国の成長ステージやお客さまのニーズに合った決済・金融商品の拡充を図り、自社および加盟店における商品・サービスのクロスセルを拡大させてまいります。
②金融プラットフォームの構築
当社では、人工知能(AI)、ブロックチェーン等の新技術を活用して、決済や取引内容などを基にお客さまのニーズを汲み取り金融商品・サービスを複数のチャネルで提供する基盤を「金融プラットフォーム」と呼んでおります。当社は、金融プラットフォームを構築し、決済の利便性を高めてより多くのお客さまにより多くの場でご利用いただけるよう取り組んでまいります。そのためには、店舗でのサービスの他、モバイル端末における決済・照会機能の強化、ならびに家計簿等の金融周辺サービスの拡充に取り組むことにより、いつでもどこでも利用でき、簡単に即時に手続きが出来る決済サービスを充実してまいります。
③事業の効率化
既存事業の業務を工程から見直し、重複機能を集約することにより、生産性の向上を図ってまいります。また、既存事業の業務を人工知能等の新たな技術を活用していくことにより事業の効率化を図り、成長事業への資源の再配分を進めてまいります。
これらの重点取り組み事項を実行することにより、経営資源を重点分野へ再配分し、持続的な成長を続けてまいります。また、日本及び海外3拠点(香港、タイ、マレーシア)を中心とし、国内外におけるガバナンスの強化を進めてまいります。
今後とも、他の金融機関には無い、小売業と金融業が融合した総合金融グループとして、一層の企業価値の向上に取り組んでまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
次期につきましては、国内外各社において、デジタル化推進に向けてシステム(IT)投資の強化に加え、当社グループ内で重複する機能の集約を行うことで、「利便性及び生産性の向上」、「資産収益性の改善」、「海外事業の再成長」に取り組んでまいります。
「利便性及び生産性の向上」では、WEBやスマートフォン等のモバイル端末でのサービス機能を強化することにより、ペーパーレスのサービスを促進してまいります。また、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)を中心とした営業強化や、提携カードの発行による若年層の新規顧客獲得を推進することにより、顧客基盤の拡大を図ってまいります。営業・マーケティングにおいて、顧客の属性情報や購買情報等のデータを集約して分析することを強化していき、お客さまのニーズを汲み取った商品・サービスを提案し、クロスセルを促進してまいります。さらに、重複業務の集約を図り、経営資源の重点分野への再配分を推進してまいります。
「資産収益性の改善」につきましては、債権ポートフォリオの見直しに加え、各国の情勢およびお客さまの特性を踏まえた審査基準の見直しを行うことにより、貸倒コストの削減に努めてまいります。また、共通の債権回収システムを構築し、効率化を図ってまいります。
「海外事業での再成長」につきましては、お客さまの実需に伴う商品・サービスの提供を徹底するとともに、小売業をはじめとする提携先との協業を強化し、新たな商品の開発に努めてまいります。また、大きな成長が見込まれる事業に経営資源を重点的に配分してまいります。
これらに加え、銀行持株会社として、コーポレート・ガバナンスの向上に努め、安全・安心、便利でお得な金融商品やサービスを総合的に提供してまいります。