有価証券報告書-第63期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 9:56
【資料】
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【項目】
136項目

業績等の概要

(1) 業績
第2四半期連結会計期間から、業績管理区分の見直しに伴い、報告セグメントの区分を変更しております。詳細につきましては、「第一部 第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
なお、前期との比較については、前期の数値を変更後の区分方法に基づき作成した数値で比較しております。
<事業環境>主力の国内教育カンパニーでは、平成32年度からの新大学入試制度実施や次期学習指導要領施行を控え、英語4技能(「聞く、読む、話す、書く」)の重視や小学校における英語学習の早期化等に対する保護者の関心が高まっています。また、ICT(情報通信技術)の進歩に伴い、パソコンやスマートフォン、タブレット等を活用したデジタル学習が急速に広がっており、既存の教育市場に新規参入の企業も加わり、競争が激化しています。
海外事業カンパニーでは、中国において、平成28年1月に「人口及び計画出産法」が改正施行され、人口抑制策である「一人っ子政策」が廃止されました。これにより、中国での出生数の増加が期待されています。
介護・保育カンパニーでは、高齢化の進行に伴い、引き続き介護サービスへのニーズが拡大しています。一方で全産業の有効求人倍率は上昇傾向にあり、人材確保が業界全体の課題となっています。
語学カンパニーでは、ICT等を活用した商品・サービスの普及により語学サービスの多様化が進み、競争が激化しています。また、留学や海外経験がキャリアに大きな影響を与えるようになってきたことに加え、主に新興国の経済成長に伴い、海外に学びの場やキャリアを求める学生が増えたことにより、世界的に留学者数が増加しています。
<当期の業績概況>当期の連結業績は、前期比減収、営業利益、経常利益は減益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に発生した㈱ベネッセコーポレーションにおける繰延税金資産の取り崩しが当期は発生しないこと等により、前期の親会社株主に帰属する当期純損失から黒字転換しました。
売上高は4,300億6千4百万円と、前期比3.2%の減収となりました。
減収の主な要因は、語学カンパニーにおいて、サウジアラビアからの留学生の減少等によるBerlitz CorporationのELS事業(留学支援事業)の減収と円高による為替換算時のマイナス影響があったこと、及び国内教育カンパニーにおいて、「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の延べ在籍数が減少したことです。一方で、介護・保育カンパニーにおいて、高齢者向けホーム及び住宅数を拡大し入居者数が増加したこと、及び海外事業カンパニーにおいて、円高による為替換算時のマイナス影響があったものの、中国での通信教育講座の延べ在籍数が増加したこと等により、両カンパニーにおいては、前期比増収となりました。
営業利益は、介護・保育カンパニー、及び海外事業カンパニーにおける増収による増益等があったものの、語学カンパニー、及び国内教育カンパニーにおける減収による減益等により、76億8千5百万円と、前期比29.2%の減益となりました。
経常利益は、55億4千5百万円と、前期比36.5%の減益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減益があったものの、前期に発生した㈱ベネッセコーポレーションにおける繰延税金資産の取り崩しが当期は発生しないことに加え、美術工芸品等の売却益を計上したこと等により、35億5千7百万円(前期は、82億1千1百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[国内教育カンパニー]
国内教育カンパニーの売上高は、1,945億2千6百万円と、前期比4.9%の減収となりました。
減収の主な要因は、主力の通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の延べ在籍数が減少したことです。
営業利益は、コスト削減に伴う増益等があったものの、減収による減益等により、16億7千1百万円と、前期比46.4%の減益となりました。
なお、平成29年4月の国内通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の会員数は245万人と、前年同月比2万人の増加となりました。
[海外事業カンパニー]
海外事業カンパニーの売上高は、280億7千万円と、前期比3.5%の増収となりました。
増収の主な要因は、円高による為替換算時のマイナス影響があったものの、中国での通信教育講座の延べ在籍数が増加したことです。
営業利益は、円高による為替換算時のマイナス影響があったものの、増収による増益等により、31億3千6百万円と、前期比18.8%の増益となりました。
なお、ライセンス契約に基づく韓国での幼児向け通信教育講座の会員数を含む、平成29年4月の海外通信教育講座の会員数は136万人と、前年同月比11万人の増加となりました。
[介護・保育カンパニー]
介護・保育カンパニーの売上高は、1,030億9千万円と、前期比8.5%の増収となりました。
増収の主な要因は、高齢者向けホーム及び住宅数を前期比16ホーム拡大し、入居者数が順調に増加したことです。
営業利益は、増収による増益等により、81億8千6百万円と、前期比16.6%の増益となりました。
[語学カンパニー]
語学カンパニーの売上高は、617億5千4百万円と、前期比16.8%の減収となりました。
減収の主な要因は、サウジアラビアからの留学生の減少等によるBerlitz CorporationのELS事業の減収、及び円高による為替換算時のマイナス影響です。
利益面では、減収による減益等により、4億7千9百万円の営業損失(前期は32億3千4百万円の営業利益)となりました。
[その他]
その他の売上高は、㈱ベネッセコーポレーションにおいて通信販売事業等での減収があったものの、㈱TMJにおけるテレマーケティング事業の増収等により、724億円と、前期比0.2%の増収となりました。
営業利益は、コスト削減に伴う増益等により、19億9千6百万円と、前期比17.6%の増益となりました。
(注)1. 上記「セグメントの業績」に記載している売上高は、「セグメント間の内部売上高又は振替高」を含んだ金額を記載しております。
2.消費税等に係る会計処理は、税抜方式によっているため、「(1) 業績」に記載した金額には消費税等は含まれておりません。
(販売実績)
セグメントの名称販売高(百万円)前期比
(%)
前期当期
国内教育カンパニー
高校講座事業14,86411,93080.3
中学講座事業24,32821,54488.6
小学講座事業55,45947,89586.4
こどもちゃれんじ事業16,99616,75798.6
学校向け教育事業46,08347,152102.3
その他46,42549,125105.8
小計204,157194,40695.2
海外事業カンパニー27,11428,046103.4
介護・保育カンパニー94,966102,996108.5
語学カンパニー73,91260,28281.6
その他44,03944,331100.7
合計444,190430,06496.8

(注)1.当期から、業績管理区分の見直しに伴い、報告セグメントの区分方法を変更しております。詳細につきましては「第一部 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
なお、前期の販売実績については、変更後の区分方法により作成しております。
2.「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含んでおりません。
(国内教育カンパニーにおける進研ゼミ事業の概要)
進研ゼミは、幼児から大学受験者までを対象とした通信教育講座であり、通信添削を中心として毎月継続的に行う家庭学習システムであります。各講座の延べ在籍数は次のとおりであります。
講座延べ在籍数(千人)
(4月~3月累計)
前期比
(%)
前期当期
高校講座1,7651,47683.6
中学講座4,4163,85587.3
小学講座14,66712,76887.0
こどもちゃれんじ9,1899,04798.5
合計30,04027,14790.4


(介護・保育カンパニーにおける高齢者向けホーム及び住宅数)
シリーズ高齢者向けホーム及び住宅数(ヵ所)
(3月末日)
増減数
(ヵ所)
前期当期
アリア21221
くらら4242-
グラニー&グランダ1221308
まどか55572
ボンセジュール39434
ここち11121
リレ22-
合計29230816

(語学カンパニーにおけるBer1itz Corporationの語学レッスン数)
地域語学レッスン数(千レッスン)
(1月~12月累計)
前期比
(%)
前期当期
アメリカズ1,6741,56993.7
ヨーロッパ2,9313,081105.1
アジア1,6261,58197.2
合計6,2326,232100.0

(注)語学レッスン数は、直営センターにおける数値を示しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、投資活動による資金の支出4億3千6百万円、財務活動による資金の支出119億9千4百万円等があったものの、営業活動による資金の獲得252億3千7百万円等により、106億4千5百万円増加し、1,190億1百万円(前期比9.8%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
法人税等の支払額79億9千万円、利息の支払額39億2千3百万円があったものの、非資金性費用である減価償却費205億6百万円、税金等調整前当期純利益88億円、仕入債務の増加42億4千2百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは252億3千7百万円の資金の獲得となりました。
また、前連結会計年度と比較して資金の獲得が9億5千8百万円減少(前期比3.7%収入減)しておりますが、主に、仕入債務の増減額が113億5千3百万円の支出減、未払金の増減額が66億7千8百万円の支出減となったものの、たな卸資産の増減額が93億6千8百万円の支出増、法人税等の支払額・還付額による収支が49億3千3百万円の支出増、退職給付に係る資産の増減額が33億9千6百万円の支出増となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有価証券の取得・売却による収支が84億1千2百万円の収入があったものの、ソフトウエアの取得による支出59億3千8百万円、有形固定資産の取得による支出43億2千5百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは4億3千6百万円の資金の支出となりました。
また、前連結会計年度と比較して資金の支出が257億5千5百万円減少(前期比98.3%支出減)しておりますが、主に、定期預金の増減額が43億1千7百万円の支出増となったものの、有価証券の取得・売却による収支が195億1千万円の収入増、有形固定資産の売却による収入が53億8千1百万円の収入増となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払額91億3千6百万円、リース債務の返済による支出21億5千5百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは119億9千4百万円の資金の支出となりました。
また、前連結会計年度と比較して資金の支出が87億5千8百万円増加(前期比270.7%支出増)しておりますが、主に、長期借入金の返済による支出が250億1千8百万円減少したものの、長期借入れによる収入が328億5百万円減少したことによるものです。