有価証券報告書-第31期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 12:37
【資料】
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【項目】
103項目

事業等のリスク

当社グループに関する事業等のリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成26年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 教育訓練給付制度の動向
教育訓練給付制度は、労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付制度であり、厚生労働省が主管しております。一定条件を満たす雇用保険の一般被保険者等がいったん全額受講料を支払い、講座修了後、出席率等一定条件を満たしている場合に、入会金・受講料の一定割合に相当する額が雇用保険からハローワーク(公共職業安定所)を通じて支給されるものであります。
給付基準は数年に一度変更されることがあり、平成26年10月1日以降、次のような制度となります。現行の教育訓練は「一般教育訓練」とされ、被保険者期間が3年以上(初回利用に限り1年以上)の方は一律20%、10万円が限度とされています。これに加えて、「専門実践教育訓練」が創設され、支給額は40%(受講修了日から1年以内に資格取得等をし、かつ、被保険者として雇用された又は雇用されている場合等には20%を追加支給)、支給上限額1年当たり32万円(上記20%の追加支給を受けた場合は1年当たり48万円)、支給期間2年間(資格取得につながる場合は最長3年)とされます。
こうした給付基準の変更により、講座申込みに駆け込み需要が生じることがあり、その後反動減が発生する等、短期的に業績が影響を受けますが、その影響額を想定することは非常に困難であります。
(2) 前受金について
当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えられます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。
(3) 特定商取引法・消費者契約法と行政の動向
平成19年及び平成22年に特定商取引法の規制を受ける大手英会話スクールが破綻する事件があったほか、解約・返金に関する訴訟で最高裁の判決が出ております。当社の属する資格取得スクール業界は、パソコンスクールなど一部の講座を除き、直接、特定商取引法で定められた特定継続的役務提供の規制を受けるわけではありません。
一方、消費者契約法については広い範囲の事業者が対象となっており、消費者庁主導のもと消費者保護政策が強化される傾向にあります。当社としても、業界他社と足並みを揃えつつ無理由での解約・返金等に応じているほか、受講者に安心して受講いただけるよう2008年に前受金保全信託制度を導入しております。本制度においては、毎月末に未経過の受講期間に対応する前受金残高の一定割合を翌月に信託するしくみとしており、当社に万が一事業を継続できなくなる事態が生じた場合には、信託財産が受益者代理人を通じて各受講者に返還されます。ただし、受講者にお支払いいただいた前受金の残額については、他の債権者との関係から受講者に返還できない場合があります。また、今後の法令改正等、消費者行政の動向等によっては、当社のビジネス・モデルに大きな影響を与える可能性があります。
(4) 個人情報保護法への対応
平成17年4月に「個人情報の保護に関する法律」が全面施行され、当社グループの個人顧客のみならず、法人顧客の関心も極めて高いため、当社グループとしてコンプライアンス体制の維持の観点から積極的に対応してまいりました。その結果、当社及び子会社の(株)TACプロフェッションバンクともに、財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)よりプライバシーマークを取得いたしました。
今後も引き続き、個人情報管理責任者のもと、情報流出等を防止する厳重なセキュリティ対策を維持するとともに、従業員への教育を継続することによって、個人情報の保護に努めてまいります。万一、流出事故が発生した場合は、当社グループへの社会的信用を失うこととなり、業績へ深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替相場の変動の影響
余資運用のため、複合金融商品に該当する外貨建債券を平成26年3月末現在、10億4千7百万円保有しております。この種の金融商品は「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号、平成20年3月10日改正)に基づき時価評価され、得られる利息とともに時価の変動額ならびに為替差損益が営業外損益として計上されることになります。従って、為替相場の変動によっては、営業外損益に多額の投資有価証券運用損益が計上されることにより、経常利益が大きく変動する可能性があります。