有価証券報告書-第39期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 14:11
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
新型コロナウイルスの影響で経営環境は激変しております。
ビジネススタイルは大きく変わり、フェイスtoフェイスの営業が制限される中、Web会議システム等の導入によるテレワーク営業、テレワークサポートおよびテレワーク開発支援にて、事業活動を推進しております。
テレワーク営業やテレワークサポート等、初めての試みに当初は顧客の戸惑いもありましたが、今では当たり前になりつつあり、止まっていた案件も徐々に動き始めております。
しかしながら、複雑で詳細レベルの打ち合わせは対面に頼らざるを得ないため、新型コロナウイルス変異株による感染拡大も重なり、未だ新規案件立ち上がりは足踏み状態が続いております。
この状況を打開するため、新規開発や新規顧客よりも、既存顧客の囲い込みと既存システムの再利用等に重点をおいた営業展開を積極的に進めております。
採用計画につきましては、サービス業界、航空運輸業界が採用を控える中、本来この業界を目指していたサービス精神旺盛で優秀な人材の確保が可能となり、特にITサービス事業の強化を進める上において、女性の採用増には絶好の好機であり、「ピンチはチャンス」と捉えて積極採用を行ってまいります。
ワクチン接種も始まり、今後はアフターコロナに向けて、止まっていたIT投資が一気に吹き上がってくることが予想されます。
さらに、DX(※)投資で業務の生産性向上や経営の効率化を図ることは、企業の生き残りさえも左右する重要案件となっております。
このような状況の中、DX推進に向けた提案型のSIとITサービスの分野は、今後爆発的にすそ野を広げ、魅力的な市場へと急速に発展して行くことが想定されます。
当社グループでは、2019年に策定した、2024年3月期を最終年度とする「中期5カ年計画」を推進中でありますが、前期は新型コロナウイルスによる経済活動の停滞などの影響で、減収を余儀なくされました。
このような状況を鑑み、中期計画の達成年度を1年延ばし、新たに2025年3月期を最終年度として取り組んでまいります。
計画目標である、売上高1,010億円、営業利益152億円に変更はありません。
この目標達成に向けて、営業強化、自社商材・自社サービスの拡充、成長分野への集中投資、既存事業のスクラップアンドビルドを経営方針とし、積極展開してまいります。
※DX:Digital Transformation。
ITの浸透により生活やビジネスなどあらゆる面が向上するという概念。
なお、セグメント別の次期の見通しは、次のとおりであります。
ソリューションデザイン事業は、「車載」、「社会インフラ」、「ネットビジネス」、「スマートデバイス/ロボット/AI」、「DXサービス(旧 業務システム)」分野を事業の柱とし、地方拠点を活用したニアショア開発およびベトナムでのオフショア開発をこれまで以上に推進して、更なる受注拡大と収益性の向上を図ってまいります。
「車載」の分野においては、自動車関連企業との関係強化や得意としている車載インフォテインメント、テレマティクスおよびECU(電子制御ユニット)の開発に加え、5G、人工知能(AI)のノウハウを強みとしてモビリティサービスの事業を拡大するとともに、引き続き、PoCにも積極的に取り組んでまいります。
「ネットビジネス」の分野においては、5Gの本格普及期を迎え、通信キャリアサービス、eコマース、電子書籍などのネットサービスや、オリンピック関連、キャッシュレス決済、GIGAスクール構想などの市場拡大が見込まれます。この分野においては市場拡大とともに開発、品質検証などの技術支援だけでなく、サービスを運営するためのディレクションや運用などサービス支援の引き合いも多く、積極的に取り組んでまいります。
「社会インフラ」の分野においては、5Gのインフラ設備に関わる開発、品質検証に加え、エリア拡大に向けたメンテナンス、運用保守などのサービスを拡充してまいります。また、IoT、AIのノウハウを活用し、PoCにも積極的に取り組んでまいります。
「スマートデバイス」の分野においては、これまでのスマートフォン品質検証業務の実績をもとに、スマートフォン、ゲーム機、決済端末など様々な製品の開発、品質検証に加え、WebサービスやIoT関連の品質検証の引き合いも増加していることから、5GやIoT、AIなどに関わるサービスの品質検証業務を積極的に展開してまいります。
「ロボット/AI」の分野においては、得意とするコミュニケーションロボットのノウハウを活かし、引き続き介護や日常生活に関わる生活ロボット、産業用ロボット、医療ロボット向けの営業を強化してまいります。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で働き方が変わる中、RPAやロボットの需要が増加していくものと見込んでおり、ロボットの技術支援およびサービス支援を行って受注拡大に繋げてまいります。
「DXサービス」の分野においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で企業の生産性向上・業務効率化が急務となっております。こうした需要が増加する中、顧客のBtoBシステムのDX化を進めるだけでなく、顧客の顕在的・潜在的な課題に対してより幅広い自社サービスと自社プロダクトを展開することで、他社との差別化を行い、受注拡大と収益性の向上を図ってまいります。
当事業における新型コロナウイルス感染症への対応状況や事業活動への影響につきましては、各事業分野でテレワークでの業務にシフトしたことにより、事業継続に向けてリスクを低減できている状況ではありますが、短期的にはテレワークでは難しい業務支援においては一時的に受注延伸が発生しうる状況にあります。特に車載事業、社会インフラ事業、ロボット/AI事業の一部の業務において懸念されます。また業務システムの分野は、顧客の経費削減や投資抑制の影響を受けやすく同様に短期的には受注延伸が懸念されます。一方で、ネットビジネスや5G関連業務については今日の状況においても引き合いは堅調に推移しております。このような状況の中、当事業では選択と集中を行い、より需要の大きい分野へのシフトを目指してまいります。
フレームワークデザイン事業は、新型コロナ感染収束が見通せず、市場動向が不透明な中、現行業務の継続と今後の積極的な事業展開に向けて、市場動向に合わせた営業活動と人材育成を進めてまいります。
既存のシステム開発領域では、現在進行している、生損保、金融分野の基幹システム開発支援業務に加え、小売、流通、インターネットサービス事業者様への対応を拡大し、当社の開発ノウハウを活かした事業展開を積極的に進めてまいります。インフラ(基盤構築)領域では、ニーズが活況な状態が続いている、クラウド関連案件の獲得を軸に、積極展開を継続してまいります。
両分野とも、コロナ禍によって一般化した、テレワーク、リモート作業等のプロジェクト運営方法を駆使して、業務継続とビジネス拡大を実現してまいります。
また、今後大きく拡大が見込まれる「DX」に向けては、基幹系システムの刷新(メインフレームマイグレーション)、クラウドネイティブシステム(サーバレスシステム)の受注を目指し、既存クライアントと新規クライアントの両面での受注活動を積極的に進めてまいります。
営業対応については、引き続き、オンライン環境(リモート会議、Webセミナー等)を最大限に活用し、提案機会の拡大と顧客対応のスピード向上を図ってまいります。
新規ビジネスとしては、サービス型ビジネスの確立を目指してまいります。コロナ禍でのビジネス継続を念頭におき、「受託開発サービス」、「業務支援サービス」、「インフラ支援サービス」で、就業形態にとらわれないSIサービスの拡大に注力してまいります。
なお、新規サービス分野につきましては、更なる成長を加速させるため親和性の高いソリューション営業(2021年4月1日付でビジネスソリューション事業に名称変更)に移管しました。
ITサービス事業は、「DX」促進や更なる働き方改革に取り組む企業が業界を問わず増加する中、従来のIT環境を再構築/最適化する動きも見え始め、新たなビジネスモデルを創造する企業に対してのITサポート業務等、ITアウトソーシング需要の拡張が見込まれます。
このような状況の中で主力事業は、従来の人材動員力を強みとした派遣サービスの提供から培ったノウハウを基に高い付加価値を有した「ITサポート」、「ITインフラ」、「PMO」といった請負型業務と環境変化に応じた顧客要望への応対実績を活かした「アセスメント」、「コンサルティング」のサービス等、顧客のビジネス成長とそのスピードアップにより直結したサービスの提供に注力します。
ソフトウェアテストサービス(ソリューションデザイン事業に属していた株式会社ProVisionの事業を当事業に区分変更)においては、BtoC向けにWeb/アプリを提供するお客様に向け品質管理工程のコンサルティングからデバッグまでの全工程でのテストサービスに取り組むことにより、受注拡大と収益性の向上に取り組んでまいりました。今後はBtoC領域を拡大しつつも、ソフトウェアテストのノウハウを社会基盤を支えるBtoB向けのお客様にも提供することでサービス拡大に注力してまいります。
また、グループ企業・協力会社とのアライアンスによる新サービスやサポート範囲の拡充、インサイドセールス強化、地方拠点開設による営業強化を実施し、優秀な人材の積極的な採用・人材育成投資により、更なる事業の拡大と収益性の向上を図ってまいります。
ビジネスソリューション事業では、コロナ禍におけるテレワーク常態化の中、セキュリティ、生産性向上、そして働き方変革への取り組みが、多くの企業において経営課題として顕在化しております。また、こうした中、企業における「DX」の検討はより一層加速しております。
当事業としては、これら経済の課題およびお客様の経営課題の解決に向けたソリューションサービスの拡充を図ってまいります。具体的には、フレームワークデザイン事業においてRPAやデータ連携ツールを手掛けていた部署を期初に統合し、インフラからアプリケーション開発、データ連携に至る一貫したサービスを提供できる部門へと変革を進めております。これにより、システムの自動化による生産性の向上の提案、従来型のインフラ基盤のモダナイズ、クラウドを連携させたハイブリッド環境の提供など、より付加価値の高いサービス提供が可能となります。今後もお客様へのサービス向上を進め、システムインテグレーターへと変革し、収益性の向上を図ります。
クラウド事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で変革が求められる昨今の企業経営において、CRM(顧客管理)や採用管理、人材管理などリソース管理をはじめとする様々な業務をデータベース化し、データドリブンな業務を実現する『Canbus.\キャンバスドット』の販売強化を推進しております。また既存顧客からはテレワークでの業務効率や生産性の向上に関するグループウェアなどコミュニケーション基盤の再構築の引き合いが増加しております。これらを踏まえ、テレワークの常態化などを見据え「DX」の実現が企業の急務となり加速するものと見込んでおり、引き続きサービス強化、認知度向上のための先行投資を行い、事業成長の礎を築いてまいります。既存サービスの『Cloudstep』についても、サービス強化を行い、更なる収益力の向上を目指します。
海外事業では、米国子会社は出資先の米国ONE Tech社と連携し、今後飛躍的な成長が見込めるIoTソリューションをコロナ後の米国内の展示会等を通じてリードを獲得しながら、米国企業を中心に販売してまいります。こうした投資先との協業案件の拡大、米国内の日系企業からの技術支援に対する底堅い需要をベースに、営業黒字の継続を目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応状況や事業活動への影響につきましては、ワクチン接種が進む米国においては、比較的早く経済活動が正常化することが予想されておりますが、米国内の日系企業がコロナ禍において縮小・撤退した煽りを少なからず受けております。この対策としては、コロナ後を見据えた日系企業の動きをいち早く入手し需要の先取りを行うべく、顧客とのコミュニケーションを強化してまいります。また、新型コロナ収束後の顧客要求に対応すべく、コスト削減型や需要予測型のIoTラインナップの拡充と営業強化を行ってまいります。
投資育成事業では、株式会社ONE Tech Japanは米国ONE Tech社のIoTエッジコンピューティングAI技術 『MicroAI™』の普及に向けて、SDK(software development kit)や日本国内向けにローカライズした学習用コンテンツの準備を行っております。次期は『MicroAI™』が複数のチップベンダーのチップセットでサポートされることを受けて、ベンダーとの連携を行っていく予定です。
株式会社GaYaは、SNSゲームの企画・開発・運営事業と非ゲームアプリの設計・開発事業を推進してまいります。ゲーム企画・開発においては 2022年4月以降の新コンテンツのリリースを目標に、業界の成熟化・コンテンツのリッチ化を踏まえお客様が求めるクオリティラインを見据えたタイトルの開発に投資を行う予定です。また、ゲーム開発の技術を利用した非ゲームアプリ開発事業においては設計、開発からサポートまで含めたサービスを推進してまいります。