有価証券報告書-第38期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 13:12
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
新型コロナウイルスの影響で経営環境は激変しております。
政府の緊急事態宣言発動により、フェイスtoフェイスの営業が制限される中、Web会議システム等の導入によるテレワーク営業、テレワークサポートおよびテレワーク開発支援にて、緊急事態宣言発動中においても総稼働率90%以上を目標とし、事業活動を推進しております。
しかしながら、このまま緊急事態宣言が継続され、新規案件立ち上げのための顧客との打ち合わせも儘ならぬ状況が長期に渡って解除されない場合、更なる稼働率低下のリスクがあります。
この状況を打開するため、「テレワーク支援」をキーワードとした機器販売、システム構築およびシステムサポート業務などを積極的に受注しております。
採用計画につきましては、このような時期だからこそ経験豊富で優秀な人材の確保が可能となります。「ピンチはチャンス」と捉えて積極採用を続けてまいります。
非常事態がゆえに事業活動が止まっている企業も多々ありますが、IT投資を完全撤回する顧客は非常に少なく、新型コロナウイルスが終息した後、止まっていた事業案件が一気に吹き上がってくることが予想されます。
さらに、テレワークが当たり前になってくる世の中にあって、現行の通信システムではWeb会議等での動画のクオリティやリアルタイム性はまだまだ低く、5Gを使っての新サービスが爆発的に普及することも想定されます。
システナグループでは、2024年3月期に向けて中期5カ年計画を策定し、4年後の業績については連結売上高1,010億円、営業利益152億円、営業利益率15%、ROE25%を目標としております。
今期におきましては、新型コロナウイルスがいつ終息するかが見えず、非常に苦しい経営の舵取りとなりますが、当問題の終息後に一気に動き出す顧客のIT投資と5G関連の普及も後押しすると考え、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画に変更はありません。
なお、セグメント別の次期の見通しは、次のとおりであります。
ソリューションデザイン事業は、「車載」、「社会インフラ」、「ネットビジネス」、「スマートデバイス/ロボット/AI」、「業務システム」分野を事業の柱とし、地方拠点を活用したニアショア開発およびベトナムでのオフショア開発をこれまで以上に推進して、更なる受注拡大と収益性の向上を図ってまいります。
「車載」の分野においては、自動車関連企業との関係強化や得意としている車載インフォテインメント、テレマティクスおよびECU(電子制御ユニット)の開発に加え、自動車と通信の融合に伴い参入する企業への技術支援、人工知能(AI)を活用した車載向けサービスプラットフォーム開発など、モビリティサービスをはじめとした新領域獲得に向けた営業活動を積極的に行い、事業を拡大してまいります。
「ネットビジネス」の分野においては、5G通信の本格的普及期を迎え、通信キャリアサービス、eコマース、電子書籍などのネットサービスや、開催が延期されたオリンピック関連、活性化するキャッシュレス決済、デジタル化が進む教育関連などの市場拡大が見込まれます。この分野においては市場拡大とともに開発、検証などの技術支援だけでなくサービスを運営するためのディレクションや運用などサービス支援の引き合いも多く、積極的に取り組んでまいります。
「社会インフラ」の分野においては、5G通信のインフラ設備に関わる開発、品質検証に加え、エリア拡大に向けたメンテナンス、運用保守などのサービスを拡充してまいります。また、5G通信の普及に伴いスマートシティなどの生活に身近なインフラサービスの市場拡大も見込まれるため、これまでのWebシステムや業務システム開発のノウハウに加え、積極的に取り組んでまいりました、IoT、AIなどの要素技術を活かして受注を拡大してまいります。
「スマートデバイス」の分野においては、これまでのスマートフォン検証業務の実績をもとに、スマートフォン、ゲーム機、決済端末など様々な製品の開発、品質検証に加え、WebサービスやIoT関連の品質検証の引き合いも増加していることから、5G通信やIoT、AIなどに関わるサービスの品質検証業務を積極的に展開してまいります。
「ロボット/AI」の分野においては、得意とするコミュニケーションロボットのノウハウを活かし、引き続き介護や日常生活にかかわる生活ロボット、産業用ロボット、医療ロボット向けの営業を強化してまいります。また、新型コロナ感染拡大の影響で働き方が変わる中、これまで人間が担ってきた作業がRPAをはじめとしたロボットに置き換わる変革期であることを踏まえ、ロボット、AIの技術者育成を行って受注拡大に繋げてまいります。
「業務システム」の分野においては、企業の生産性向上・業務効率化の実現に向けての需要が増加する中、この分野を最も得意とする大阪支社がベトナムオフショアの活用を拡大し、顧客の顕在的・潜在的な課題に対して自動化・AIなどの独自サービスやOSS(Open Source Software)のサービスメニューを拡張することで提案の幅を広げ、他社との差別化を行い、受注拡大と収益性の向上を図ってまいります。
当事業における新型コロナウイルス感染症への対応状況や事業活動への影響につきましては、短期的にはテレワークでは難しい業務支援においては一時的に受注延伸が発生しうる状況にあります。特に車載事業、社会インフラ事業、ロボット/AI事業の一部の業務において懸念されます。また業務システムの分野は、顧客の経費削減や投資抑制の影響を受けやすく同様に短期的には受注延伸が懸念されます。一方で、ネットビジネスや5G通信関連業務においては今日の状況においても引き合いは堅調に推移しております。このような状況の中、当事業では選択と集中を行い、より需要の大きい分野へのシフトを目指してまいります。
フレームワークデザイン事業は、新型コロナ感染拡大による市場動向が不透明の中、現行業務の継続、今後の積極展開に向けたサービスの拡充、市場動向に合わせた社員教育と営業活動を進めてまいります。
既存ビジネスは、現在進行している生損保、金融、業務システム、基盤構築等のプロジェクトは社員の時差出勤、シフト勤務、テレワーク等を駆使して業務を途切れさせることなく継続するとともに、ノウハウを活かした既存領域の横展開も積極的に進めてまいります。また、今後大きく拡大が見込まれる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」をキーワードとした基幹系システムの刷新、クラウドによる基盤構築案件等の受注を目指し、既存クライアントと新規クライアントの両面での営業活動を積極的に進めてまいります。当面、対面の営業が難しいことが予想されるため電話営業、WebセミナーからのWeb会議での営業を中心に進めてまいります。
新規ビジネスとして取り組んでいる、業務自動化ツール、クラウド関連ツール、データ分析等のライセンス販売および導入支援サービスにおいては、前期までの営業の中心である展示会、セミナー等の実施が難しい中、専用サイトの開設、Webセミナー、Web体験会からの集客、Web会議での営業へと転換してまいります。導入支援サービスについてもお客様先の常駐作業が難しい場合に備え、遠隔からサポートできるサービスの推進を積極的に進めてまいります。今後の拡大に向けては顧客のニーズの更なる取り込みを狙い、サービス拡充(AI、セキュリティ、クラウド、遠隔操作等)に必要な取り扱い機器、ツールを増やすとともに、オールシステナ連携および各メーカー、代理店との連携を強化した営業展開を行ってまいります。
全般として新型コロナ感染拡大による外出自粛の長期化に備え、テレワークへの移管、営業のWeb対応、遠隔サポート(新サービスの拡充)の充実を進めてまいります。
ITサービス事業は、顧客の「DX」促進や働き方改革に取り組む企業が業界を問わず増加する中、変化への適応を支えるユーザーサポート業務等のITアウトソーシング需要の増加が見込まれます。特に、「クラウドサービス」、「AIチャットボット」、「RPA」の各企業への積極的な導入が進んでいる状況です。
このような状況の中で当事業は、従来の人材動員力を強みとした「ヘルプデスク」、「システムオペレーター」といった派遣サービスの提供から、培ったノウハウを基に高い付加価値を有した「ITサポート」、「ITインフラ」、「PMO」、「DXサポート」、「クラウド導入/サポート」といった一括請負型の、より顧客のビジネス成長に直結したサービスの提供にシフトすることで、更なる事業の拡大と収益性の向上を図ってまいります。
当事業における新型コロナウイルス感染症への対応状況や事業活動への影響につきましては、世界的な新型コロナ感染拡大を背景に、顧客の状況変化に合わせたサービス提供が求められて来ることから、この変化に対応すべく、常駐型中心のワークスタイルからテレワークやリモートでのサービス提供へと迅速かつ柔軟に対応ができる体制をさらに強化しております。併せて、新たな働き方や業務フロー変革、セキュリティ意識の長期的な見直しが見込まれるため、各ベンダーとのアライアンス強化、インサイドセールス強化をすることで、テレワーク推進等のソリューションの更なる拡充を推進してまいります。
ソリューション営業は、当期にWindows7のサポート終了に伴う大規模なクライアントPCのリプレース案件が一段落したため、収益としては堅い数字を見込んでおりますが、生産性向上、コスト削減、セキュリティ、そして働き方改革への取り組みは、多くの企業において経営課題として顕在化しております。
またこうした中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、テレワークの増加および「DX」の検討はより一層加速しております。
当部門としては、これら経済の課題およびお客様の経営課題の解決に向けたソリューションサービスの拡充を図ってまいります。具体的にはテレワークにおけるセキュアでシームレスなインフラ環境の構築、従来のインフラ基盤のモダナイズを行いシステムの自動化による生産性の向上の提案、またクラウドを連携させたハイブリッド環境の提供、さらには当社グループの持つ全てのサービスを連携させ提供する総合営業を推進することで、付加価値ビジネスの創造と拡大を行い、システムインテグレーターへと変革し、収益性の向上を図ります。
クラウド事業では、「DX」が求められる昨今の企業経営において、CRM(顧客管理)や採用管理、人材管理などリソース管理をはじめとする様々な業務をデータベース化し、ITを駆使した組織/部門運営が可能となる新サービス『Canbus.\キャンバスドット』の販売強化を推進しております。直近では、新型コロナウイルス感染症の影響により、新規案件の停滞が顕著に出てきており先行き不透明な状況でありますが、一方で当期から実施しておりましたWebプロモーションが奏功しインバウンドでの引き合いが増加傾向にあります。また既存顧客からはテレワークでの業務効率や生産性の向上に関する引き合いが増加しております。これらを踏まえ、テレワークの常態化など働き方改革や「DX」が加速するものと見込んでおり、引き続きサービス強化、認知度向上のための先行投資を行い、事業成長の礎を築いてまいります。既存サービスの『Cloudstep』、『Web Shelter』についても、サービス強化を行い、更なる収益力の向上を目指します。
海外事業では、米国子会社は出資先の米国ベンチャー企業(ONE Tech社)と連携し、今後飛躍的な成長が見込めるIoTソリューションを米国内の展示会等を通じてリードを獲得しながら、米国企業を中心に販売してまいります。併せて、今後国内外の大きなイベントを控え、情報漏洩対策への需要の高まりに対応すべく、出資先(StrongKey社)のサイバーセキュリティ関連製品の日本国内での販売を推進してまいります。これら投資先との協業案件の拡大、米国内の日系企業からの技術支援に対する底堅い需要をベースに前期下期からの営業黒字基調の継続を目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応状況や事業活動への影響につきましては、単年度の課題として、①米国の外出禁止令による従業員、顧客、投資先とのコミュニケーションロス、②顧客の事業活動中断や先行き不透明感による営業活動の停滞、③受注済み案件における納品の延期、④収束までの案件の一時的な中断、等が考えられます。
対策としては、いずれもセキュリティを確保したうえでWeb会議、コミュニケーションツール、開発環境共有ツール等を利用し、平常時よりも従業員、顧客、投資先企業との連携を密に取ることで、品質問題・開発遅延の防止、継続受注への取組み、投資先企業との新規営業情報の共有と共同営業を行っております。また、全ての受注済みIoT案件の納期については顧客と合意しており、新型コロナ収束後速やかに現地での設置・納品の予定となっております。たとえ一部案件が新型コロナ収束まで一時的に中断したとしても、顧客からの要望も強いことから、収束後は案件再開により単月営業黒字への回復は可能と考えられます。
また中期経営計画に与える影響としては、ONE Tech社の『MicroAI™』とStorongKey社 『Tellaro』の販売計画の遅延が考えられますが、この機会をプラスと捉え、現在両社とも製品のブラッシュアップを行い、より魅力的な製品開発を推進するとともに、マーケティングや第三者とのパートナーシップを強化しております。また、新型コロナ収束後の顧客要求に対応すべく、コスト削減型や需要予測型のIoTラインナップの強化と営業強化を現在行っております。
投資育成事業では、株式会社ONE Tech Japanは米国ONE Tech社のIoTエッジコンピューティングAI技術 『MicroAI™』の販売を日本で推進してまいります。次期は『MicroAI™』の商用実績の早期実現に向けて前期から取り組んでいるPoCの成果を得るべく、米国ONE Tech社と連携を強化します。また、新型コロナウイルス感染症による今後の当社活動の影響を抑えるために、インターネット上のセミナーやWebページの更新によるオンライン上の販売促進活動に注力してまいります。
株式会社GaYaは、既存事業であるソーシャルゲームの企画・開発・運営に加え、ゲーム開発の技術を利用した非ゲームアプリ開発を展開してまいります。タブレット端末の業務利用が益々拡大していく中、業務アプリ・ソフトウェアの設計、開発からサポートまで含めたサービスを推進してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応状況や事業活動への影響につきましては、既存ゲーム運営においてはテレワークでの対応が可能であり、影響は軽微であります。一方、新規ゲーム開発においては多少の開発遅れが懸念されることから、Web会議等によるメンバー間のコミュニケーション強化、進捗管理を行い、影響を最小限に抑えるよう対応しております。また、非ゲーム案件においては顧客との納期・開発スケジュールの調整を完了したため、影響は軽微となっております。