有価証券報告書-第30期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/26 15:04
【資料】
PDFをみる
【項目】
130項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、1990年の設立以来、住宅設備の工業化を掲げ、設備工事の生産性、品質向上に資するサービスを数多く提供してまいりました。住宅設備に関連するコンサルティングをはじめ、設備工法・部材の企画開発、ソフトウェア・システム開発から物件ごとの設備設計、家歴管理、アフターメンテナンスを24時間365日受付けるコールセンターまで、一気通貫でサービスを提供しております。
今後、当社グループではスマートエネルギーサービスを21世紀の成長分野と位置付けており、これまで培ってきた住宅設備のノウハウを活かし、太陽光発電、HEMS、蓄電池などに係わるシステム開発や設計、アプリケーションサービスなど、省エネルギーや節電、スマートハウスに係わる各種サービスを手掛けてまいります。
また、高度経済成長が続く中国では、建築工事の効率化や建設廃材の低減が喫緊の課題であり、弊社が日本で取り組んできた建築工事の工業化ノウハウを、中国の合弁会社を通じ提供することで、中国における住宅産業の近代化に寄与していく所存です。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、目標とする経営指標としてROE(自己資本当期純利益率)を掲げております。今後、人々の住まいと暮らしを支える住宅・エネルギー分野のインフラ事業を目指すことで持続的な利益成長を実現しつつ、株主資本を有効活用(配当及び自社株買いによる株主還元を含む)することにより、継続的にROE15%以上を確保すべく努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループにおける中長期的な経営戦略は以下のとおりです。
1.設計サービス事業におけるビジネスモデルの変革
2.メンテナンスサービス事業におけるAI活用によるビッグデータビジネスへの取り組み
3.省エネ機器の定額利用サービス「エネカリ」の普及促進
4.新規事業への挑戦(店舗領域・海外展開)
上記の中長期戦略に関する課題と対策につきましては、(4)会社の経営環境及び対処すべき課題をご参照下さい。
(4) 会社の経営環境及び対処すべき課題
1.当社グループを取り巻く外部環境
当社グループがこれまで主力事業と位置付けてきた日本の住宅産業においては、2019年(暦年)の新設住宅着工戸数が約91万戸となり、消費増税の影響もあり、前年比マイナス4.0%と3年連続の減少となりました。その中でも持家住宅は前年比1.9%増の約29万戸となり、貸家では13.7%の大幅減で約34万戸となりました。
また、2020年は消費増税が与える心理的負担感により新築需要を落ち込ませることが予想され、加えて少子高齢化の影響もあり、中長期的には新設住宅着工の減少が続くものと思われます。
このように国内の新築住宅市場の鈍化が見込まれる中、当社グループの主要顧客である大手ハウスメーカーは、耐震・耐水・耐エネ性能に優れた住宅で他社との差異化を図りつつ、自社の既存顧客との関係性を活かしたリフォーム需要の獲得にも注力しております。
一方、2016年4月より電力小売りが全面自由化されて以降、一般家庭が自由化前の電力会社から新たに参入した新電力会社に切り替えた件数が2020年1月末時点で約1,490万件に達し、切り替え率としては23.8%に到達しました。地域については大都市部を中心に切り替えが進んでおります。
そうした事業環境の中、当社グループと合弁会社を設立している東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東京電力EP社という。)では、お得感のある電気やガスの料金プラン以外で他社との差異化を図るため、家庭との接点強化を図るための住宅設備のメンテナンスサービスや設備機器の修理保証サービスなどを打ち出しており、他社も同様のサービスで対抗するなど、各社、電力ガス契約の維持と新規獲得において激しい競争を繰り広げております。
更に中国国内では、新型コロナウィルスの影響による企業活動の停滞が続いており、経済面での影響が甚大化しております。当社グループも広東省深圳市と吉林省吉林市に設計センターの拠点を有しており、約300名の中国人スタッフが従事しております。当社グループとしてはBCP(事業継続計画)を速やかに実行し、日本から中国の各拠点に対して感染防止対策のマスクや非接触体温計の配送、中国の各拠点ではオフィスの消毒ならびに130名の在宅勤務体制を整備し、東京・沖縄・深圳・吉林の4拠点が連携することで業務運営の維持に努めました。その結果、現時点で大きな支障は発生しておりません。
当社グループではこれらの課題に対応すべく、これまでの住宅領域での強みを活かしながら、新築・メンテナンス・リフォームの住宅3分野で相乗効果が発揮できるポートフォリオ経営を遂行することで、持続的な事業成長を目指してまいります。
2.設計サービス事業の業況と対策
2020年、当社グループは設立30年を迎えます。当社グループが急速に事業成長した要因は、1998年の水道法の規制緩和を契機に水回りの配管工事をプレファブ化する、業界では発想しない逆説のビジネスモデルを構築したことが要因と考えております。
一方で、水道法改正から20年以上が経過し、水回り配管のプレファブ化も一般化しており、当社グループのこれまでの強みであるビジネスモデルも汎用化しつつあります。
また、当社グループのコア事業である設計サービス事業は、消費増税や少子高齢化の影響で新設住宅着工戸数が先細り、今後は厳しい経営環境が予想されております。
このような経営環境の変化に対応するため、2018年には設計業務のコスト競争力の強化と人財の安定化を目的に、中国の深圳CADセンターでの設計業務を吉林CADセンターへ移管するプロジェクトを開始し、2019年末には90%超の設計業務を吉林CADセンターへ移管することができました。また、同時進行で進めていた設計業務の自動化については、設計業務の受付作業から自動仕分け、自動作図、自動検図、自動納品に関するシステム開発に取り組み、設計業務のコスト削減につながる抜本的な業務効率化が進捗しております。
この設計業務の自動化による業務効率化が新型コロナウィルス対策でも大きな成果を生み、中国人設計スタッフ130名が在宅勤務できるBCP(事業継続計画)体制の基盤となりました。
<抜本的なビジネスモデル改革の必要性>ITの進化が加速する現代において、昨今の設計図面は2次元設計図から3次元設計図への転換が進みつつあります。3次元設計図では、これまで2次元では表現できなかった建物と配管設備の取り合いなど、立体的な可視化表現が可能となり、誰もが直感的に理解できる図面になります。これにより、これまでプレファブ化が出来ていなかった屋内や屋外の排水配管のプレファブ化が可能になり、工事コストの削減、施工品質の向上、工期短縮などに寄与することが期待されます。また、タブレット端末を用いて立体的な設計図面を現場でチェックすることができ、施工検査精度の向上にも貢献できると考えております。
このように、企業がテクノロジーを利用して事業の業績やビジネスモデルを根底から変化させることをDX(デジタルトランスフォーメーション)といい、当社グループも2次元設計をベースとしたビジネスモデルから、3次元設計をベースとしたビジネスモデルに進化させることで、住宅に関わるサプライチェーン全体の効率化やアフターメンテナンス、省エネマネジメントへつなげるライフサイクル全般に寄与するビジネスモデルを提供する、建築TECH企業への変貌を遂げなくてはならないと考えております。
3.メンテナンスサービス事業の業況と対策
当社グループでは、住宅領域の新築・メンテナンス・リフォームの3分野で相乗効果が発揮できるポートフォリオ経営を志向しており、この施策については、一定の成果が得られていると考えております。その中で主力事業に成長してきましたメンテナンスサービスにおいては、大手ハウスメーカー向けのコールセンターとして24時間365日で運営を行っており、現在では約150名のメンテナンススタッフが、全国約120万世帯のお客さまから、年間約60万件のメンテナンス依頼に対応する事業規模まで成長しております。
昨今の取組みとしては、AIを活用してお客さまの音声を自動識別してオペレーターの画面に表示し、同時に過去に対処したメンテナンス事例を自動検索して画面表示することで、1案件に要する業務時間の短縮と業務品質の向上を図っております。
一方で、この約60万件のメンテナンス情報は、社内開発した顧客管理システムにより詳細に分類され、顧客データとして管理されておりますが、年間60万件ものメンテナンスのビッグデータが毎年蓄積されているものの、このビッグデータにAIを組み込んだビジネスモデルの構築ができておらず、既存住宅におけるメンテナンス市場の開拓余地が残されていると認識しております。
ストック型で収益が積み上がっていく既存住宅のメンテナンス分野では、単なるアフターメンテナンスを24時間365日で対応するコールセンターサービスに留まらず、AIを活用したメンテナンスのビッグデータビジネスで、より高度で付加価値の高い、メンテナンス予測サービスへの展開を図っていくことで、更なる収益力の向上を目論んでおります。
このメンテナンスのビッグデータを利活用したビジネスモデルを構築するためにも、IT人財への投資を積極的に行ってまいります。
4.TEPCOホームテック株式会社の業況と対策
2017年8月に東京電力EP社と当社との合弁で設立したTEPCOホームテック株式会社(以下、TEPCOホームテックという。)は、省エネリフォーム事業の受託拡大に注力しており、その結果、順調に業容が拡大する中で、2019年には黒字転換を果たしました。これにより当社グループの経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で大幅な増益を達成しております。
省エネリフォーム事業に対する社会的な関心は高く、今後も太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)で契約満了を迎えるご家庭に対する蓄電池工事や電気自動車への充電設備工事など、様々な切り口で受託拡大が見込まれることから、2020年はさらなる飛躍の一年になると考えております。(持分法投資利益 2020年度計画:122百万円(前期比+85百万円の増益見込み))
<省エネ機器の定額利用への取り組み>TEPCOホームテックの主力事業である省エネ事業につきましては、2018年5月より電力グループ会社ならではの看板商品である「エネカリ」を市場投入し、全国で「エネカリ」の販売活動を強化しております。この「エネカリ」は、省エネ機器(エコキュートや太陽光パネル、蓄電池、電気自動車の充電設備など)を初期費用ゼロ円で設置でき、電気料金とセットで「エネカリ」の利用料をお支払いただくモデルです。
これまで省エネ機器を設置する際には、お客さまが省エネ機器を購入しておりましたが、「エネカリ」は省エネ機器を購入せず、利用料の支払いで省エネ機器を使える点が特徴で、この利用料の中には契約期間中に発生した省エネ機器のメンテナンス費用も含まれているため、お客さまは金銭的負担感が和らぎ、省エネ機器を安心してご利用いただけます。この「エネカリ」に参画する省エネ機器の製品メーカーや販売代理店は増加傾向にあり、また、当社グループの主要顧客である大手ハウスメーカーもZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及促進を図る中で、ZEHには欠かせない省エネ機器の定額利用モデルである「エネカリ」との相乗効果が見込めるものと考えております。当社グループとしては、大手ハウスメーカーに対して設計サービスと連動する形で「エネカリ」を提案することに注力してまいります。
5.新たなプロジェクトへの挑戦による事業成長
<店舗領域への展開>2019年から当社グループの設計拠点がある沖縄県内で、コンビニエンスストア向けの設計サービスを手掛けております。これまで当社グループでは、住宅領域(戸建住宅やアパート)を中心に事業展開を行ってきましたが、同じ建築領域でも手掛けてこなかった店舗領域の設計サービスに参入することで、新たな成長ドライバーに育てていきたいと考えております。
当社グループの強みの1つとして、設計に携わる社員が日本と中国を合わせて約500名在籍している点が挙げられます。当社グループの強みを活かして店舗領域での設計実績を蓄積することで、全国展開する大手小売企業の店舗建築のプレファブ化に貢献していきたいと考えております。
<3次元設計BIMへの先行投資>創業当時から手掛けている新築分野の設計サービスについては、国内の新築住宅市場の鈍化が見込まれる中、設計受託数の減少と日本および中国の人件費増加などにより、これまでと同様の設計サービスでは収益力の減退は避けられず、より付加価値が高く、時代のニーズに合致したBIM(Building Information Modeling)による3次元設計サービスへの転換を加速する必要があると考えております。
当社グループの強みである設計データを活用した設備工事のプレファブ化の領域を、これまで未着手であり、かつ、3次元設計だからこそできる排水配管のプレファブ化や沖縄で展開しているコンビニ店舗へのプレファブ化支援など、IT化が遅れている建築業界において、当社グループの事業価値を更に高める取り組みを実施してまいります。
その為に、2020年は、BIM関連の事業投資を行いたいと考えており、具体的にはBIMやAI開発を手掛けるIT人財への投資、更には当社グループの設計拠点があり、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深圳の地理的利点を活かした深圳BIMセンターの移転拡張を実施してまいります。
<海外事業の取り組み>当社グループでは、香港市場に上場している中国最大の住設管材メーカーであるCHINA LESSO GROUPと共同で、合弁会社である広東聯塑艾博科住宅設備設計服務有限公司を2011年に設立しております。CHINA LESSO GROUPは、システムキッチンなどの住設機器の製造や販売ネットワークを中国全土に持っていることが強みであり、一方で、当社グループが日本で展開する設備資材のプレファブ化ノウハウは、CHINA LESSO GROUP製品の販売増加にもつながることから、両グループの間で合弁会社を設立いたしました。
一方、2019年12月には、当社グループは、タイ企業のサイアムセメントグループ・CPAC及びタイ三井物産との間でBIMを活用した建築バリューチェーンの効率化に向けた協創に関する覚書を締結し、現在、事業化の可能性について検討を進めております。今後、3社は、BIMを活用した建築分野に関わるデジタルトランスフォーメーションの共同実証を行い、建築設計から資材のプレファブ化、工事施工、物流、アフターメンテナンスに至るまでの建築バリューチェーン全体の更なる効率化に向けた取り組みを進めてまいります。
このように、当社グループが日本で培ったビジネスモデルをベースに、中国やタイのパートナーと連携して中国およびASEAN諸国に事業展開していきたいと考えており、海外事業を加速させるため、海外での駐在歴が長く、事業マネジメント力が高い人財を新規採用し、現地にて事業推進を図っているところであります。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。