訂正有価証券報告書-第37期(平成25年3月21日-平成26年3月20日)

【提出】
2014/07/04 16:26
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【項目】
109項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月16日)現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されており、財政状態および経営成績に関する以下の分析を行っております。
この連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計処理基準は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、投資有価証券の評価、たな卸資産の評価、貸倒引当金の計上、繰延税金資産の計上、退職給付債務及び年金資産の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績などを慎重に検討した上で行い、見積りに対しては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。
しかし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果とこれらの見積りが異なる場合があります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
医療公益ソリューション事業が大幅に増加し、組込制御ソリョーション事業やビジネス・ソリューション事業も堅調に推移したことにより、当連結会計年度の売上高は137億60百万円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。
② 営業損益
売上構成変化による収益性低下や大型案件でのコスト増等により売上原価は113億33百万円(同6.7%増)となりましたが、売上高の増加等により売上原価率は82.4%と前連結会計年度から0.2ポイント改善しました。売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は24億27百万円(同8.2%増)となりました。
また、販売費及び一般管理費は23億3百万円(同6.8%増)となりました。これは、各事業におけるコストダウンの推進等がありましたが、労務関係費の増加等によるものです。
この結果、当連結会計年度は124百万円(同41.4%増)の営業利益となりました。
③ 経常損益
営業外収益は雇用助成金・奨励金の減少等により9百万円(同87.0%減)となりました。営業外費用は4百万円(同3.8%増)となり、営業外損益は5百万円プラスとなりました。
この結果、当連結会計年度は1億29百万円(同18.9%減)の経常利益となりました。
④ 当期純損益
特別損失は固定資産除却損の発生により10百万円となり、特別損益は10百万円マイナスとなりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は1億19百万円となりました。
これに法人税等の税金、法人税等調整額と少数株主利益を差し引いた当期純利益は64百万円(同30.7%減)となりました。
(3) 財政状態の分析
① 資産の状況
当連結会計年度末の流動資産は63億95百万円(前連結会計年度末比6億59百万円増)となりました。これは、主として受取手形及び売掛金が7億55百万円増加したこと、現金及び預金が2億4百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は29億89百万円(同1億82百万円減)となりました。これは、主として前払年金費用が1億72百万円減少したこと、繰延税金資産が29百万円増加したこと等により、投資その他の資産が1億49百万円減少したこと等によるものです。
この結果、資産合計は93億85百万円(同4億77百万円増)となりました。
② 負債の状況
当連結会計年度末の流動負債は33億24百万円(同4億41百万円増)となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が6億1百万円増加したこと、未払金が1億38百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は28億75百万円(同31百万円減)となりました。これは、主として長期未払金が1億81百万円減少したこと、退職給付引当金が95百万円増加したこと等によるものです。
この結果、負債合計は62億円(同4億10百万円増)となりました。
③ 純資産の状況
当連結会計年度末の純資産合計は31億85百万円(同67百万円増)となりました。これは、主として利益剰余金が64百万円増加したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は33.8%(同1.1ポイント減)となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加6億1百万円、前払年金費用の減少1億72百万円、未払費用の増加1億20百万円があったものの、売上債権の増加7億55百万円、法人税等の支払額1億88百万円があったこと等により、△1億9百万円(前年同期比1億55百万円減)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得45百万円、無形固定資産の取得52百万円があったこと等により、△92百万円(同7百万円増)となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算したフリー・キャッシュ・フローは△2億2百万円(同1億48百万円減)となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、ファイナンス・リース債務の返済1百万円等により、△1百万円(同0百万円増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、13億39百万円(同2億4百万円減)となりました。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
情報サービス業界におきましては、スマートモバイル関連市場は引き続き高い成長で推移し、クラウドビジネスやビッグデータ市場等の新たな市場、環境・エネルギーやヘルスケア関連市場等の成長分野での伸びも期待できます。
クラウドビジネスの進展は、公共事業や企業等の民間事業における情報関連投資の選択やIT企業が提供するサービスに変化が現れます。このような動きは、情報システムの開発やITサービスの提供を行うビジネス・ソリューション事業や医療・公益ソリューション事業、プロダクト事業の売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。
また、クラウドビジネスやビッグデータ市場を支えるインフラ(情報機器やネットワーク)が重要な役割を担うことになり、情報漏えいやコンピュータウィルス等の外部からの攻撃に対してのセキュリティ技術もますます重要になってきます。このような動きは、機器間の情報伝送のための製品組込ソフトの受託開発を行う組込制御ソリューション事業やネットワーク・セキュリティ関連商品を取扱うプロダクト事業の売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。
環境・エネルギービジネスにおいて、例えば、風力や太陽光発電装置や電気自動車などの動力や駆動を監視し、制御するためには情報通信技術は必須のアイテムです。
さらに、モバイル端末をはじめとする通信端末の発達により、機器同士が人の手を介さずに相互に情報交換し、自動的に情報収集や管理・制御を行う技術(M2M:Machine to Machine)が普及してきます。このような動きは、機器間の情報伝送や駆動装置を制御するための製品組込ソフトの受託開発、汎用的な情報通信・制御機器の販売を行う組込制御ソリューション事業の売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。
なお、このような新技術・新ビジネスの普及は、情報通信技術の高度化・大規模化・複雑化を伴い、今まで以上に品質上の問題が発生する危険性が高くなっています。このような品質上の問題が発生した場合には、当社グループの売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。その一方で、付加価値の高い新製品・新サービスの商品化やライセンス化は、当社グループの売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。
(6) 会社経営の基本方針と中長期的な会社の経営
① 会社経営の基本方針
スマートフォンやタブレット端末といったスマートモバイルデバイスの普及が加速し、ハードウェアだけでなくこうした端末を支える通信サービスやアプリケーションの性能や機能の充実、さらにはアプリケーションやデータを維持・管理するためのクラウドサービスの拡大と、市場や技術はこれまでとは異なる新たな局面を迎え、その変革はスピードを上げて進んでおります。
こうした急激な市場と技術変化において、当社グループが属する情報サービス業は、これまでの受託開発を主体としたビジネスモデルから、ITパートナーとしてのソリューションやサービスを主体としたビジネスモデルに変革を求められており、新市場に対してこれまで培ってきた技術やノウハウを進化させて適応させていかなければなりません。
当社グループは創業以来、製造業の「ものづくり」のエンジニアリング技術をソフトウェア開発の分野に応用し生産性を向上させ、開発するソフトウェアの品質を高めてきました。こうしたことにより自らの収益性を向上させるだけでなく、ユーザ自身の付加価値向上にも寄与して来ました。
こうしたソフトウェア開発・生産体系を当社グループは「Engineered IT Solutions」と名づけ、当社グループの事業運営の基本理念としています。
製造業の「ものづくり」も顧客志向を強め、自社製品の生産性や品質向上に留まらず、ユーザの抱える課題・問題や戦略的ニーズに応える製品、さらには様々な製品を組み合わせたソリューションや製品とサービスを組み合わせた複合的なサービスへと進化しております。
当社グループもこうした製造業の進化する「ものづくり」を参考に、当社がこれまで培ってきた「Engineered IT Solutions」を進化・発展させることにより、新たな市場や分野でのITパートナーとしての地位獲得を目指して行きます。
また、当社グループは環境保護が人類共通の最重点課題の一つであることを認識し、環境に配慮した活動と商品・サービスの提供を行うことにより、社会的責任を果して行きます。
② 中長期的な会社の経営戦略
IT市場は、クライアント/サーバー技術を利用するプラットフォームからクラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャル技術を利用するプラットフォームへのシフトが加速しております。また、医療や環境エネルギー、通信分野でのICT技術の需要成長が期待されます。
その一方で、IT市場全体の成長率は依然として低調に推移し、激しい市場競争は続くものと思われます。
このような大きな技術変革と市場変化の中で、これまで継続してきた構造改革遂行上の課題を解決し、「事業再生」によって磐石な経営基盤を構築することを目指し、2013年から2015年の3ヵ年を対象にした中期経営計画「Renaissance21 (ルネッサンス21) 」を策定しました。
なお、新中期経営計画の基本方針は以下のとおりです。
方針1.前中期経営計画「Renovate21」基本方針に基づく事業構造改革の実現
・ 顧客パートナー戦略による付加価値向上とコア事業の安定確保
・ ソリューションによる成長事業の拡大
・ 知識集約型へのビジネスモデル変革による採算性向上
方針2.高収益体質への転換
・ 情報化とプロセス改善による業務の効率化
・ プロジェクト・コストの低減
方針3.事業変革を支える人材の強化と組織の活性化
・ 事業ごとに目指すべき人材像の明確化・人材育成の強化
・ 人事制度の適正化による適材適所の人材活用