有価証券報告書-第21期(令和1年9月1日-令和2年8月31日)

【提出】
2020/11/27 16:16
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、2019年11月28日開催の第20期定時株主総会での承認を経て同日付で「株式会社出前館」と商号を変更しておりますが、旧商号である「夢の街創造委員会株式会社」という旧社名に込められた以下の意味を経営理念として共有し、社員の行動指針としております。
夢の街:「あったらいいな」をカタチにする「夢の卵」。
創 造:「ゼロ」から創り出す。
委員会:委員会活動のように活発に!
また、経営理念に加えて、2019年11月に現社名へ変更した際、ブランドステイトメントとして新たにタグラインを制定し、当社のブランド価値の行動指針としております。
「しあわせは すぐ届く」
当社グループは、「出前館事業」及び「通信販売事業」の2つの事業をメインビジネスとしております。
「出前館事業」におきましては、加盟店には新たな販売手法の提供を、サイト利用者に対してはインターネットで出前注文が出来る利便性の高いインフラを提供することで、顧客満足度の向上と同時に更なるサービスの価値向上に努めることを経営の基本方針としております。デリバリーという地域密着型のサービスに深く関連する事業を展開することで、地域の活性化にも貢献したいと考えております。それに加えて、デリバリー未実施店舗に対する宅配導入ノウハウの提供、既存店に対するオーダー数増加及び注文単価向上のための提案やコンサルティングを行い、業界のリーディングカンパニーとして、デリバリー市場自体の拡大につなげることを目指してまいります。
「通信販売事業」におきましては、全国の飲食店に対して、高品質の焼酎及びワインを中心とした商品を適正価格で購入いただき、さらにオリジナルラベルや販促ツールの作製等により販売促進をサポートすることで、売上アップや経営効率の向上に貢献し、顧客満足度を高めることを経営の基本方針としております。また、従来のマスマーケティングからOne to Oneマーケティングへの転換、商品ラインナップやサービスの拡充により、飲食店の規模、ジャンル、客層、客単価等の特徴に応じた最適な提案を行ってまいります。
当社グループでは、このような基本方針に則り、事業を展開し、株主価値の向上を目指してまいります。
なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、売上高、売上総利益率、営業利益及び売上高営業利益率に加え、減価償却費を考慮しない営業利益ベースの数値(EBITDA)を重視しております。
また、「出前館事業」においては、上記経営指標の目標達成を図る上での重要な指標として、オーダー数・会員数・加盟店数を重視しております。これらの指標の向上がサイトの提供するサービス価値の向上につながるものと考えております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
少子高齢化と女性の社会進出、ライフスタイルの多様化を背景に、食事や食品の宅配需要は確実に増加しており、軽減税率適用のデリバリーサービスが充実し、食品宅配市場は成長を続けております。今後も食品宅配はシニア層や共働き世帯を主要なターゲットに日常利用が加速し、生活に不可欠なサービスとして定着するものと考えられています。(食品宅配市場規模:2018年度2兆1,399億円、2023年度の市場規模は2018年度比113.0%の2兆4,172億円に達すると予測-矢野経済研究所調べ)。
酒類市場については、約3割を占めるビール類が縮小し、清酒や焼酎といった和酒についてもマイナス基調であるなど、回復の兆しはまだみえず縮小傾向にあり、2019年10月の消費税率10%への引き上げ以降、軽減税率が適用されない酒類については節約の対象になりやすく市場の落ち込みが一段と強まるものと考えられています。(酒類市場規模(全体):2018年度3兆5,100億円/ 前年度比98.6%-矢野経済研究所調べ)。
このような状況下で、当社グループでは、2020年8月期の連結売上高に占める「出前館事業」の割合が91.0%、「通信販売事業」の割合が9.0%となっており、この2つのメインビジネスを核とし、それぞれの事業領域における持続的成長に加え、相互のシナジーを活かした新たなビジネスチャンスやサービスの拡大を図り、グループとして飛躍的に発展していくことを目指しております。
特に、食品宅配市場では、オフライン注文が伸び悩む中、オンライン注文の増加が全体をけん引し、緩やかな拡大傾向にあります。「出前館事業」において、当社グループはデリバリーポータルサイトの No.1 企業として地位を維持しているものの、さらに絶対的な地位を確立するためには、より高い成長率を持続する必要があると認識しております。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき課題
以上のことを踏まえまして、当社グループが事業を引き続き伸展させ、事業基盤をより確固たるものとするために、以下の4点が特に重要であると考えております。
① 「出前を日常食に」するため、ユーザー目線でビジネスモデルの変革
(イ) シェアリングデリバリー®の更なる拡大
ユーザー、飲食店、そして配送拠点の3者にとって「WIN-WIN-WIN」のモデルであるシェアリングデリバリー®も稼働から3年が経過しました。
配達エリアの拡大つまり対象店舗数の拡大は、外食市場に対して新たな市場を創造し、「出前館事業」のビジネススケールを広げる礎となるため、スピーディーな展開を継続して行います。
(ロ) 配送効率の向上
配送効率を引き上げることで配送コストの低減を行います。
(ハ) 提供価格に連動した手数料体系の変更
オンライン化の推進、店舗オペレーションの改善、アクティブユーザーによるオーダー数増加等、出前館事業が飲食店に提供する価値に連動した手数料体系へ変更を進めます。
② アクティブユーザー数の拡大
アクティブユーザー数自体は、グローバルな水準においてまだまだ獲得母数が少なく、シェアリングデリバリー®の拡大と両輪で、アクティブユーザー数を増やすこと、オーダー数の継続的な成長に繋がるため、積極的な投資を行います。
③ 人材の確保・育成
当社グループ事業の拡大においては、優秀な人材の継続的確保は不可欠であります。適切な人材配置を行い、評価制度や給与体系をさらに整備・充実させることにより、社員が最大限のパフォーマンスを発揮し継続的にモティベーションを高められる環境づくりを行います。
④ 情報システム基盤、個人情報管理の強化
当社グループにおいては、多数の店舗情報・個人情報を保有しており、情報管理責任の明確化、情報システム上の対策、従業員教育の一層の徹底を含む情報管理体制の継続的な強化を図ることが重要であると認識しております。システムインフラの強化をはじめ、情報管理に関する各種ルールの遵守、従業員教育の実施など、情報管理体制の強化に取り組みます。