有価証券報告書-第15期(平成26年5月1日-平成27年4月30日)

【提出】
2015/07/30 11:16
【資料】
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【項目】
118項目

対処すべき課題

インターネットを取り巻く昨今の事業環境下においては、ブロードバンド固定回線の普及がひととおり進み、それまで急速な伸びをみせていた光回線の契約数の増加も緩やかになってきております。これに対し、モバイル端末を中心とした次世代通信網の普及は急激に進んでおり、インターネットの利用方法も多様化しております。これにより、インターネット業界全体においては、収益機会は増加傾向にあるものの、更なる競争激化や業界再編等が進みつつあります。
こうした状況下において、当連結会計年度はMVNO及びMVNEに注力し、新規事業を推し進めてまいりました。また、これら新規事業を実施するにあたり、当社の複数のサービスをレイヤーに捉われない統合的なサービスとして提供するため、グループ内の技術や人的リソースの連携、ネットワーク資産の効率化などを進めてまいります。
以上の取り組みにおいては、それぞれ次のような、課題/対処方針があると認識しております。
(1)ブロードバンド固定回線の普及増加率減衰への対応について
スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末の普及とともに、モバイル通信環境の著しい利便性の向上により、インターネットへの接続がこれまでの固定回線によるものからモバイルデータ通信へと加速度的にシフトしております。
当社グループでは、このような環境の変化を機敏に捉え、ユーザーのニーズを見据えたサービスの提供が必要であると認識しております。そのためには、当社のこれまでの実績や経験に裏付けされた、利便性の高い安定した新しいサービスの開発が重要であると認識しております。
(2)モバイル端末を中心とした次世代通信網への対応について
MVNO及びMVNEは、無線通信インフラ(移動体回線網)を有する事業者から借り受けてサービスを提供することになるため、他社のMVNO及びMVNEとの差別化が困難であると言われております。
当社グループでは、長年のインターネット接続サービスの提供で培ってきたネットワーク技術やノウハウを活用し、また、グループ内の様々な付加価値サービスと組み合わせ新しい仕組みを提供することにより差別化を図り、より安価で高品質な無線通信サービスを提供できるよう、継続的な技術開発に努めることが必要であると認識しております。
(3)クラウドコンピューティング事業の展開について
仮想化技術を利用したクラウドコンピューティングの市場の広がりに伴い、当社グループにおいても巨大な仮想データセンターから個人利用目的のパーソナルサーバまで、様々なサービスを提供しております。このようなお客様のデータを預かるサービスでは、安定的な運用を行うことにより、顧客との良好な関係維持に努めることが重要です。
一方で、仮想化技術は高度な監視体制と効率的なシステムの冗長化/分散化、新しい技術の継続的な導入が必要な分野であり、人的体制も含めて、継続的な運用/開発体制の強化・改善が必要であると認識しております。
(4)M2M市場への対応について
インターネットの普及により、通信分野では、これまでの人対人を中心としたものに加え、機器と機器がデータをやりとりするM2M通信が急激に拡大しております。このようなM2M通信においては、次世代プロトコルであるIPv6の利用が不可欠であり、IPv6関連の技術開発を長年行ってきた当社グループにとっては大きなビジネスチャンスであると捉えております。
当社グループでは、M2M通信における中心的な役割を担うべく、国内外を問わず多くのパートナー企業との連携や、これまでインターネットに接続することのなかった家電を取り扱うメーカー、新規の通信サービスを提供しようとするサービサー等に対して、積極的に当社グループの技術・サービスを提供するように働きかけることが必要です。そのため、新技術に関する営業力の強化、継続的な技術開発による最先端のサービスの提供及び当社グループの技術を保護するための知財関連の強化等が肝要であると認識しております。
(5)関係会社管理の徹底及び社内管理体制と従業員教育の強化
当社グループでは、当社のみならず各子会社を通じて、インターネットインフラを中心として多岐にわたる事業を展開しており、各社にて新規人員の採用や教育を行っております。人員の交流も積極的に行っておりますが、事業の拡大に伴い、さらにグループ全体の管理の徹底及び従業員教育の向上が必要であると認識しております。
そのため、子会社の計数管理の徹底、統一的な監査の実施を通じて適切な子会社管理を行い、グループ内の内部通報制度の周知向上等を通じてコンプライアンス意識の向上に努めるとともに、企業理念や経営方針、統一的な教育プログラムをグループ各社で共有し浸透させることで、当社グループ社員の連帯意識の強化を図り、グループ会社間の枠に捉われない発展を促します。
また、内部統制の観点でも、金融商品取引法等に基づく財務報告の信頼性を確保するために必要な内部統制の整備・構築等を行ってまいりましたが、さらにグループを通じて、内部統制強化のための連携、改善等を継続的に行っていく必要があると認識しております。
そのため、各グループ会社の監査役、内部監査室の連携を促進し、また、継続的な従業員教育を通して、コーポレートガバナンスの充実及び法令遵守の徹底にグループ全社をあげて取り組んでおります。