有価証券報告書-第20期(令和1年5月1日-令和2年4月30日)

【提出】
2020/07/30 10:10
【資料】
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【項目】
137項目
(1) 当期の経営成績の概況
当連結会計年度における我が国の経済は、政府の経済・金融政策などを背景に、企業収益や雇用・所得環境の改善により個人消費が持ち
直し、総じて緩やかな回復基調が続いている一方で、消費税増税や2020年4期終盤に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響により、国内外の経済活動については先行き不透明な状況が続いています。
当社グループの主たる事業領域である国内インターネット広告市場におきましては、2019年には前年比19.7%増の約2兆1,048億円
(出所:株式会社電通「2019年 日本の広告費」)となり高い成長を示しました。
また、動画メディアの台頭に伴う動画広告市場の伸長や、デバイスの多様化に加え、ソーシャル・メディアの普及、大容量データを処理
する広告関連技術を活用したプラットフォームの開発・高度化が加速しております。
このような事業環境の下、当社グループは、テクノロジー & マーケティングカンパニー をスローガンに掲げ、ソーシャルマーケティング*1を中心としたインターネットマーケティング事業や、 「afb」 「Webridge」 「ADMATRIX DSP」を中心とするアドテクノロジー事業の展開を強化しております。一方で、当社グループのコアアセットである、日本国内で蓄積されたマーケティングやテクノロジー基盤開発を活用し、顧客のマーケティング戦略を支援するソリューションを提供することに注力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は21,158,305千円(前年同期比2.9%増)、営業利益1,074,438千円(前年同期比13.9%減)、経常利益1,082,741千円(前年同期比9.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は673,339千円(前年同期比18.5%増)となりました。
セグメント別の営業概況は次のとおりであります。
<インターネットマーケティング事業>テクノロジーとデータに基づいたソーシャルマーケティングを軸に中堅企業No.1のマーケティングパートナーを目指し、サービス拡販に取り組んでまいりました。
一方で競争力の創造及び収益性の向上を実現するため、収益性及び生産性の向上を目的とした構造改革とともに、ヘルスケア関連領域での更なる専門性・優位性を持つべく、事業構造の転換を推し進めてまいりました。
以上の結果、当事業の売上高は8,171,464千円(前年同期比8.7%減)となりました。
<アドテクノロジー事業>アドテクノロジー事業において、市場において確固たるポジションを獲得した、国内のパフォーマンスマーケティングプラットフォーム「afb」に加えて、グローバルのパフォーマンスマーケティングプラットフォーム事業になるべく積極的な事業展開を推進してまいりました。
また、B to Bマーケティング支援型のDSP*2 「ADMATRIX DSP」を自社ブランドで展開し、データ連携に伴う独自技術によるターゲティング精度向上など、顧客満足度向上に取り組んでまいりました。
以上の結果、当事業の売上高は14,647,335千円(前年同期比5.8%増)となりました。
<その他>その他の区分には、情報メディアサイトの運営、広告ソリューションにおいて付随して発生するWEBサイト、バナー、及びLP制作等が含ま
れており、売上高は632,177千円(前年同期比5.7%減)となりました。

*1ソーシャルメディアマーケティング:ソーシャルメディア上での情報発信により、人々の繋がりを通じて拡散されるマーケティング手法。
*2DSP(Demand Side Platform):広告主サイドの広告効果の最大化のため、広告主サイドが広告出稿の際に使用する広告配信プラットフォーム。

(2)当期の財政状態の概況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ306,091千円増加し、7,163,580千円となりました。資産の内訳は、流動資産が6,448,143千円、固定資産が715,437千円で、これは、現金及び預金の増加106,805千円、未収入金の増加13,051千円、前払費用の増加19,080千円、のれんの増加74,324千円、投資有価証券の増加61,733千円、その他(流動資産)の増加168,180千円、受取手形及び売掛金の減少142,199千円等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ273,383千円減少し、2,942,360千円となり、純資産合計は、前連結会計年度と比べ579,474千円増加し、4,221,220千円となりました。負債の内訳は、流動負債が2,496,872千円、固定負債が445,488千円で、これは、主に1年内返済予定の長期借入金の増加43,336千円、未払金の増加12,725千円、未払消費税等の増加50,462千円、長期借入金の増加30,108千円、買掛金の減少222,318千円、その他(流動負債)の減少181,378千円等によるものであります。純資産の内訳は、資本金が898,887千円、資本剰余金が869,887千円、利益剰余金が2,480,578千円、その他有価証券評価差額金が85千円、為替換算調整勘定が13,403千円、非支配株主持分が5,262千円であります。自己資本比率は、58.9%となっております。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループの事業は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、記載しておりません。
② 受注実績
当社グループは、インターネット広告代理、各種インターネットメディアの運営等を行っておりますが、これら事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメント区分ごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年5月1日
至 2020年4月30日)
金額(千円)構成比(%)前年比(%)
インターネットマーケティング事業8,171,46438.691.3
アドテクノロジー事業14,647,33569.2105.8
その他632,1773.094.3
消去△2,292,672△10.879.2
合計21,158,305100102.9

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.総販売実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。
(4)当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、3,919,965千円となり、前連結会計年度末に比べ106,805千円増加いたしました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、336,408千円のプラスとなりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,038,202千円、未払消費税の増加50,128千円、仕入債務の減少221,191千円、法人税等の支払額562,070千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、193,592千円のマイナスとなりました。これは、主に事業譲受による支出23,750千円、投資有価証券の取得による支出61,695千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出104,595千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、35,630千円のマイナスとなりました。これは、主に長期借入金の借入による収入300,000千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入6,000千円、短期借入金の返済による支出9,000千円、長期借入金の返済による支出226,556千円、自己株式の取得による支出46,996千円、配当金の支払いによる支出46,390千円、その他の支払いによる支出12,686千円によるものであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における資金需要は、主に広告作業実施のための媒体料金等並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費などの運転資金及び事業譲受並びに株式取得などの投資資金であります。当社グループはこれらの需要について、自己資金に加え銀行借入を中心に機動性と長期安定性を重視した資金調達を実施しております。
当社グループは、資金の短期流動性を確保するため、当座貸越極度額11億円の銀行融資枠を設定しております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(7)次期の見通し
当社グループが属しておりますインターネット広告市場につきましては、引き続きソーシャルメディア広告などとともに、動画関連広告市場の拡大が続くと見込まれております。
このような事業環境のもと、当社グループは、既存のインターネットマーケティング事業とアドテクノロジー事業の更なる事業拡大を通じてインターネット広告市場の成長を取り込む一方で、中長期の新たな事業柱を育てるため、動画領域、SaaS領域、DX領域、アジア領域を重点領域に設定し、積極的に投資・開拓し企業価値の更なる向上に努めてまいります。
インターネットマーケティング事業においては、当社の強みである強固なテクノロジー開発基盤とデータに基づいたソーシャルマーケティング事業を中心にヘルスケアや地方創生などの環境変化に対応しつつ安定的に収益を確保する体制構築を進めてまいります。
アドテクノロジー事業につきましても、国内外のパフォーマンスマーケティングプラットフォーム「afb」を中心に、市場トレンドや顧客ニーズにあったマーケティングプロダクトの開発を継続いたします。特に、重点領域としている動画領域、SaaS領域、DX領域、アジア領域は重点領域として注力して取り組んでまいります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症対策の影響により、世界規模で経済活動が制限されており、不確実性が増大しております。なお、従業員の健康管理につきましては、Web会議の導入をはじめとするオンライン化・ペーパーレス化及び室内換気の徹底を行うとともに従業員の出社率が40%程度となるテレワーク体制を整備するなど、経営全般のDX化を推進し、感染リスクに配慮しております。
このような状況において、対面による商談機会の減少や納期遅延、クライアントの一部の業種で広告出稿の縮小等、当社グループの業績に与える影響を考慮し、また、緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動は回復しているものの、いまだ不透明な状況にあるため各事業の業績を合理的に算定することが困難であることから、現時点では非開示とさせていただきます。今後の事業への影響を慎重に見極め、業績予想を合理的に予測することが可能となった段階で、速やかに業績予想を開示する予定であります。