四半期報告書-第9期第2四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

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2016/11/09 15:22
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、高水準の企業収益や雇用情勢の改善等により、全体としては緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、先行きについては、中国ならびにアジア新興国等の景気の減速感や英国のEU離脱問題等の影響に留意する必要があります。
当社グループの属する情報サービス産業は、日銀短観(平成28年9月調査)におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)が前年度比6.9%増となる等、デジタル経営志向の強まり等を反映した企業のIT投資動向を受け、当第2四半期連結累計期間の事業環境については好調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは、現在遂行中の第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)に基づくグループ経営方針のもと、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しています。
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高189,023百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益9,423百万円(同0.5%増)、経常利益9,526百万円(同3.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益5,681百万円(同1.4%増)となりました。
売上高については、IT投資動向が強まりを見せる分野において顧客ニーズを的確に捉えたこと等が牽引し、前年同期を上回りました。
利益面については、増収効果に加えて収益性向上に向けた取組みが成果として着実に表れた中、不採算案件の影響を大きく受けたことから、前年同期並みの水準にとどまりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。
①ITインフラストラクチャーサービス
当第2四半期連結累計期間の売上高は61,930百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は5,179百万円(同59.0%増)となりました。
データセンター事業の安定的な推移、M&A効果を含むBPO事業の拡大に加え、効率化施策の推進によるコスト削減等により、前年同期比増収増益となりました。
②金融ITサービス
当第2四半期連結累計期間の売上高は40,057百万円(前年同期比6.3%増)、営業損失は527百万円(前年同期は営業利益1,816百万円)となりました。
クレジットカードを中心とした顧客のIT投資拡大の動きに伴う事業拡大等により、前年同期比増収となりましたが、不採算案件の影響を大きく受けたことから、前年同期比減益となりました。
③産業ITサービス
当第2四半期連結累計期間の売上高は90,188百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は4,383百万円(同28.7%増)となりました。
電力・ガスシステム改革に伴うエネルギー系顧客の活発なIT投資の継続や公共系大型案件の寄与等による事業拡大に加え、収益性向上に向けた取組みの進展等により、前年同期比増収増益となりました。
④その他
当第2四半期連結累計期間の売上高は5,994百万円(前年同期比22.0%減)、営業利益は523百万円(同54.9%減)となりました。
主に、グループ組織再編に伴う影響により、前年同期比減収減益となりました。
前述の通り、当社グループは、前連結会計年度から第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)を遂行しています。当連結会計年度においては、中期経営計画の基本コンセプトに基づくグループ経営方針を以下の通りと定め、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しています。
第3次中期経営計画
基本コンセプト
平成29年3月期 グループ経営方針
利益重視「利益重視の経営」の徹底
ITブレイン
(付加価値ビジネス拡大)
事業持株会社体制を活かしたグループ全体最適の追求
顧客のデジタル経営に資する付加価値ビジネスの拡大
ポートフォリオ経営事業ポートフォリオ整理とビジネスモデルに適した人材育成と獲得

このような中、当社グループは、グループ全体最適及び事業ポートフォリオ経営の実現を目指すため、平成28年7月1日に、「TISインテックグループ」として新たな一歩を踏み出しました。当社が完全子会社であるTIS株式会社を吸収合併した上で、当社商号を「ITホールディングス株式会社」から「TIS株式会社」に変更するとともに、グループブランドの統一も実施しました。
これにより、これまでの純粋持株会社体制による分権的なガバナンス体制から、中核事業会社の求心力をベースとして「グループ全体最適」を第一とするガバナンス体制への方向転換を図り、外部環境や戦略変更に応じてスピーディに経営資源の最適配置やグループフォーメーションの見直しが遂行できる体制への変革を進めました。
TISインテックグループは、視点を市場・顧客におき、グループ一丸となり、「顧客のデジタル経営に資するグループ」となることを目標とし、グループ内の現有経営リソースの最大価値を発揮できる体制構築を推進してまいります。特長ある強み・成長エンジンの先鋭化の一環としてこれまでにもグループ内に散在するBPO事業の株式会社アグレックスへの集約を推進していますが、当第2四半期連結累計期間においては、国保関連事業及び電力・ガス関連事業の事業集約や海外事業の一部集約等を実施しました。
また、当社グループは、Fintech、IoT、AI、ロボティクス等の新たな技術の進展や業界の潮流への対応は顧客のデジタル経営に資するために必須であると認識すると同時に、当社グループの新たな強みとし、付加価値ビジネスの拡大を推進するため、積極的に取り組んでいます。
この一環として、従前からEC分野における共同事業の推進を目的として資本提携関係にある株式会社デジタルガレージとの協業を強化し、同社をはじめとする3社が設立したオープンイノベーション型の研究開発組織「DG Lab」へ技術開発パートナーとして参画するとともに、Fintech関連事業の開発等に向けた戦略技術開発会社「株式会社DG Technologies」を共同で設立しました。なお、当社は、今回の協業強化にあたり、IT面における戦略パートナーとしての関係をより一層強固にする目的で株式会社デジタルガレージの株式保有比率を高めています。また、インターネットで多数の参加者が取引記録を共有し、相互に監視する「ブロックチェーン技術」の応用に向け「富山ブロックチェーン研究会」を設立いたしました。地域において同技術に関心が高い企業や団体に実証実験を提案することを目指していきます。ロボティクス関連分野においては、スマートウォッチを用いたモーション認識技術を活用し、ソフトバンクロボティクス株式会社が開発・提供する人型ロボット「Pepper」にプレゼンテーションを自動実行させるシステムの開発や台車型移動ロボットによる遠隔地視察システムを開発しました。
また、AI関連分野の株式会社エルブズへのシードマネーの出資や決済関連分野のQUADRAC株式会社との資本・業務提携をはじめ、ベンチャー企業との事業シナジーを通じた新たな付加価値の提供を目的とした戦略的投資活動も推進しており、そのスピーディな実施を可能とする制度「コーポレートベンチャーキャピタル」を創設しました。さらに、オープンイノベーションのための多面的なコミュニケーションとコラボレーションの促進を目的とした新たなビジネス創造の拠点「bit&innovation」を新設しました。
事業領域の拡大に向けて推進中のグローバル事業においては、当社グループの強みである決済ソリューションの海外展開および拡大を目的として、資本・業務提携関係にあるタイの上場企業MFEC Public Company Limitedの子会社であり、主に銀行・保険会社等の金融機関向けモバイルアプリケーションの開発に強みを持つタイのリーディングカンパニー「PromptNow Co., Ltd.」を当社の連結子会社としました。
重要な経営課題の一つである不採算案件の抑制に関しては、既存制度の強化見直し、現場のリスク監理力やプロジェクトマネジメント力の向上に向けた教育研修の強化等、取組みを継続推進しているところです。しかしながら、当第2四半期連結累計期間において当社連結業績に大きな影響を与える不採算案件が発生したことを真摯に受け止め、引き続き抑制実現に向けて対策を強化してまいります。
なお、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、第1四半期において、計834,900株(取得価額の総額2,099百万円)の自己株式の取得を実施しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前第2四半期会計期間末に比べ3,503百万円減少(13.9%減)し、21,675百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は7,156百万円(前年同期は8,777百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益8,977百万円の計上、及び、資金の増加として、売上債権の減少額10,577百万円、減価償却費5,646百万円などがあった一方、資金の減少として、たな卸資産の増加額3,187百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は13,916百万円(前年同期は6,151百万円の使用)となりました。これは主に、資金の増加として、有形固定資産の売却による収入202百万円などがあった一方、資金の減少として、有形固定資産の取得による支出5,115百万円、無形固定資産の取得による支出3,849百万円、投資有価証券の取得による支出2,940百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は20,079百万円(前年同期は6,792百万円の使用)となりました。これは主に、資金の増加として、長期借入れによる収入900百万円などがあった一方、資金の減少として、長期借入金の返済による支出16,542百万円、自己株式の取得による支出2,102百万円、配当金の支払額1,912百万円などがあったことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、577百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。