四半期報告書-第10期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/02/09 10:05
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26項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等により、緩やかな回復基調が続きました。先行きについては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるものの、引き続き緩やかに回復していくことが期待されています。
当社グループの属する情報サービス産業は、日銀短観(平成29年12月調査)におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)が前年度比7.0%増となる等、デジタル経営への志向を強める企業のIT投資動向の強まりを反映し、当第3四半期連結累計期間の事業環境は好調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは、現在遂行中の第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)に基づくグループ経営方針のもと、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しています。
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高289,021百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益20,696百万円(同29.9%増)、経常利益20,955百万円(同30.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益13,460百万円(同19.6%増)となりました。
売上高については、IT投資動向が強まりを見せる分野において顧客ニーズを的確に捉えたこと等が牽引し、前年同期を上回りました。利益面については、増収効果、不採算案件抑制を含む収益性向上に向けた取組みが、従業員の処遇改善のほか、専任組織の設置や体制強化等の競争力強化に向けた販管費の増加を吸収したことにより、前年同期比増益となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。
①ITインフラストラクチャーサービス
当第3四半期連結累計期間の売上高は96,183百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益は8,588百万円(同15.7%増)となりました。公共系大型案件の寄与やクラウド関連ビジネスの拡大等に伴うデータセンター事業の堅調な推移に加え、BPO事業の拡大が、事業強化のための費用増等を吸収したことから、前年同期比増収増益となりました。
②金融ITサービス
当第3四半期連結累計期間の売上高は66,030百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益は5,124百万円(同422.7%増)となりました。クレジットカード系大型案件の寄与や顧客の決済関連分野におけるIT投資拡大の動きに伴う事業拡大のほか、不採算案件の抑制効果等により、前年同期比増収増益となりました。
③産業ITサービス
当第3四半期連結累計期間の売上高は132,663百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は6,628百万円(同6.0%減)となりました。売上高は大型案件の反動減の影響はあったものの、製造業におけるERP更新需要やIT投資拡大の動き等により前年同期並みとなりました。営業利益は、収益性向上に向けた取組みが進展する中で、今後の競争力強化のための専任組織の設置や体制強化に関わる費用が増加したこと等により、前年同期比減益となりました。
④その他
当第3四半期連結累計期間の売上高は7,981百万円(前年同期比10.2%減)、営業利益は712百万円(同6.1%減)となりました。
前述のとおり、当社グループは第3次中期経営計画を遂行中であり、当連結会計年度はその最終年度となります。当社グループは当連結会計年度のグループ経営方針を中期経営計画の基本コンセプトに基づいて以下のとおりと定め、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しています。
第3次中期経営計画
基本コンセプト
平成30年3月期 グループ経営方針
利益重視「利益重視の経営」の更なる徹底
ITブレイン
(付加価値ビジネス拡大)
成長エンジン構築のための更なる先行投資
ポートフォリオ経営事業持株会社体制を活かしたグループ内事業連携の強力推進、スピーディな構造改革の実行

「利益重視の経営」の更なる徹底については、大型案件の着実な推進や生産革新施策の強力な推進が重要課題であると認識しています。前者については、全社的なマネジメント・モニタリングの徹底を通じて、予定通りのスケジュールで各案件を遂行しています。また、後者については、グループ生産革新委員会で各社の不採算案件に関する課題と対策を共有、優先度の高いものから各社で推進するとともに、技術力強化のための全体情報共有会議や分科会の開催等、生産革新施策を着実に進展させています。
成長エンジン構築のための更なる先行投資については、当社の強みである決済関連分野の更なる強化に向けた取組みを推進しています。この一環として、2017年9月には、QRコード決済領域とカード決済領域においてプロセシングサービスを提供する中国のFinTech企業『上海訊聯数据服務有限公司(CardInfoLink)』と、資本・業務提携を締結しました。今後、同社のQRコード決済ソリューションを活用した日本、東南アジアにおけるQRコード決済事業、及び、当社の豊富な決済系システムの開発実績・ノウハウを活用した中国におけるカードプロセシング事業を共同で推進し、日本・中国・東南アジアで付加価値の高いITサービス提供を目指してまいります。また、金融業界におけるAPI公開を促す動きの活発化や様々なサービスのオープンAPI化の流れの中で競争力の維持・向上を図るべく、リテール決済ソリューション「PAYCIERGE 2.0」の共通基盤としてAPI基盤を構築し、各サービスを安全に素早く実装できる環境の整備を進めています。その他、AI・IoT等、急速に進展する新技術関連分野における本格的な事業拡大に向けて、様々なソリューションの企画開発・実証実験等とともに、専任組織の設置やスタートアップ・ベンチャー企業への出資・協業を通じた体制整備を推進しています。
加えて、2017年11月に、当社と株式会社インテックが共同で、「TISインテックグループ・シリコンバレー・イノベーション・ラボ」を米国に新設しました。本ラボは、両社の現地法人が共同運営し、シリコンバレーを中心とした米国のスタートアップ企業、日本の大手企業のシリコンバレー拠点や新規事業部門などと共にオープンイノベーションによる革新的な新規事業創出や先進プロダクトの日本やアジアでの早期活用を目指しており、既にFinTech関連のスタートアップ企業や日本の金融機関等との実証実験を複数件実施しています。
事業持株会社体制を活かしたグループ内事業連携の強力推進とスピーディな構造改革の実行については、グループ重点施策、協業施策の検討・推進を強力に実施しています。これまでに、グループのデータセンターを閉域ネットワークサービス「DCAN」(Datacenter and cloud services – Customer Adapted Network)に統合し、グループ各社間での相互サービス提供や利便性向上による競争力強化を実現したほか、株式会社アグレックスへの集約を推進してきたグループ内BPO事業を東京都多摩地区の新拠点「Biz TRUXIA(ビズトラシア)」へ集約し、サービスレベルの向上等、更なる統合効果の発揮を図ることとしました。
加えて、2016年7月の新体制移行を機に、2026年に目指す企業像を「Create Exciting Future」~先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現する~と定めた新たなグループビジョンを策定し、2017年5月に発表しました。当社グループを取り巻く環境が大きく変化していく中、グループが一体となって、今まで培ってきたITの強みを活かしつつ、既存の枠にとらわれず事業領域を拡げていくことにより、持続的な成長の実現を目指します。経営トップによるグループ役職者以上を対象とした説明会、ビジョンブック配布、浸透研修等の活動を通じて一体感醸成に注力するとともに、現在策定中の次期中期経営計画において4つの戦略ドメインへの転換に向けた具体的な施策等を検討しています。
その他、当社グループの持続的な成長のために欠かせない経営資源である多様な人材が能力を最大限に発揮できるように、「働き方改革」にも積極的に取り組んでいます。当社では、「モチベーションの向上」、「職場環境の向上」、「労働環境の向上」の観点から諸施策を推進してきておりますが、その効果は一人当たり教育日数、月平均所定外労働時間、年次有給取得率にも着実に表れてきています。また、株式会社インテック、ITサービスフォース株式会社及び株式会社アグレックスが、厚生労働大臣より女性の活躍推進に関する取り組みが優れている企業に与えられる認定マーク「えるぼし」の最高位である3段階目の認定を取得しました。
なお、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、平成29年5月から7月にかけて、計908,300株(取得価額の総額2,859百万円)の自己株式の取得を実施しました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は740百万円となっております。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。