四半期報告書-第9期第3四半期(平成28年10月1日-平成28年12月31日)

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2017/02/10 14:27
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、高水準の企業収益や雇用情勢の改善等により、全体としては緩やかな回復基調が続きました。先行きについては、中国ならびにアジア新興国における景気の減速感のほか、英国のEU離脱問題や米国の政権交代等に伴う海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
当社グループの属する情報サービス産業は、日銀短観(平成28年12月調査)におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)が前年度比6.9%増となる等、デジタル経営志向の強まり等を反映した企業のIT投資動向を受け、当第3四半期連結累計期間の事業環境については好調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは、現在遂行中の第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)に基づくグループ経営方針のもと、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しています。
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高280,708百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益15,931百万円(同12.7%増)、経常利益16,108百万円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益11,251百万円(同58.2%増)となりました。
売上高については、IT投資動向が強まりを見せる分野において顧客ニーズを的確に捉えたこと等が牽引し、前年同期を上回りました。
利益面について、営業利益及び経常利益は、増収効果とともに収益性向上に向けた取組みの成果が不採算案件の影響等を吸収したことから、前年同期を上回りました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、上記要因に加えて、特別損益が改善したことから、前年同期を大きく上回りました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。
①ITインフラストラクチャーサービス
当第3四半期連結累計期間の売上高は92,733百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益は7,421百万円(同29.8%増)となりました。公共系大型案件の寄与等によるデータセンター事業の堅調な推移、BPO事業の拡大に加え、効率化施策の推進によるコスト削減等により、前年同期比増収増益となりました。
②金融ITサービス
当第3四半期連結累計期間の売上高は60,399百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は980百万円(同55.1%減)となりました。クレジットカード系を中心とした顧客の決済関連分野におけるIT投資拡大の動きを捉えた事業拡大により、前年同期比増収となりましたが、主に第2四半期において発生した大規模な不採算案件の影響により、前年同期比減益となりました。
③産業ITサービス
当第3四半期連結累計期間の売上高は132,105百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は7,052百万円(同47.5%増)となりました。電力・ガスシステム改革に伴うエネルギー系顧客の活発なIT投資の継続や公共系大型案件の寄与、顧客の成長戦略に沿ったIT投資拡大の動きを捉えた事業拡大とともに、不採算案件の抑制を含む収益性向上に向けた取組みの進展等により、前年同期比増収増益となりました。
④その他
当第3四半期連結累計期間の売上高は8,886百万円(前年同期比20.8%減)、営業利益は759百万円(同58.0%減)となりました。主に、グループ組織再編に伴う影響により、前年同期比減収減益となりました。
前述の通り、当社グループは、前連結会計年度から第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)を遂行しています。当連結会計年度においては、中期経営計画の基本コンセプトに基づくグループ経営方針を以下の通りと定め、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しています。
第3次中期経営計画
基本コンセプト
平成29年3月期 グループ経営方針
利益重視「利益重視の経営」の徹底
ITブレイン
(付加価値ビジネス拡大)
事業持株会社体制を活かしたグループ全体最適の追求
顧客のデジタル経営に資する付加価値ビジネスの拡大
ポートフォリオ経営事業ポートフォリオ整理とビジネスモデルに適した人材育成と獲得

このような中、当社グループは、グループ全体最適及び事業ポートフォリオ経営の実現に向けて、平成28年7月1日に、「TISインテックグループ」として新たな一歩を踏み出しました。当社が完全子会社であるTIS株式会社を吸収合併した上で、当社商号を「ITホールディングス株式会社」から「TIS株式会社」に変更するとともに、グループブランドの統一も実施しました。
これにより、これまでの純粋持株会社体制による分権的なガバナンス体制から、中核事業会社の求心力をベースとして「グループ全体最適」を第一とするガバナンス体制への方向転換を図り、外部環境や戦略変更に応じてスピーディに経営資源の最適配置やグループフォーメーションの見直しが遂行できる体制への変革を進めました。
TISインテックグループは、視点を市場・顧客におき、グループ一丸となり、「顧客のデジタル経営に資するグループ」となることを目標とし、グループ内の現有経営リソースの最大価値を発揮できる体制構築を推進してまいります。これまでにも特長ある強み・成長エンジンの先鋭化の一環として、グループ内のBPO事業、国保関連事業、電力・ガス関連事業及び海外事業の集約を実施しましたが、今後も「ポートフォリオ経営」の実現に向けた施策の検討及び実施を着実に推進してまいります。
また、当社グループは、Fintech、IoT、AI、ロボティクス等の新たな技術の進展や業界の潮流への対応は顧客のデジタル経営に資するために必須であると認識すると同時に、当社グループの新たな強みとし、付加価値ビジネスの拡大を推進するため、積極的に取り組んでいます。
この一環として、従前からEC分野における共同事業の推進を目的として資本提携関係にある株式会社デジタルガレージとの協業を強化し、同社をはじめとする3社が設立したオープンイノベーション型の研究開発組織「DGLab」へ技術開発パートナーとして参画するとともに、Fintech関連事業の開発等に向けた戦略技術開発会社「株式会社DG Technologies」を共同で設立しました。なお、当社は、今回の協業強化にあたり、IT面における戦略パートナーとしての関係をより一層強固にする目的で株式会社デジタルガレージの株式保有比率を高めています。また、インターネットで多数の参加者が取引記録を共有し、相互に監視する「ブロックチェーン技術」の応用に向け、同技術に関心が高い企業や団体への実証実験の提案を目指して「富山ブロックチェーン研究会」を設立いたしました。ロボティクス関連分野においては、スマートウォッチを用いたモーション認識技術を活用し、ソフトバンクロボティクス株式会社が開発・提供する人型ロボット「Pepper」にプレゼンテーションを自動実行させるシステムの開発や台車型移動ロボットによる遠隔地視察システムを開発しました。
加えて、オープンイノベーションによるベンチャー企業との事業シナジーを通じた新たな付加価値の提供を目的として戦略的投資活動も推進しています。AI関連分野の株式会社エルブズへのシードマネーの出資や決済関連分野のQUADRAC株式会社との資本・業務提携、「コーポレートベンチャーキャピタル」制度による積極的かつスピーディなIT関連ベンチャー企業への投資実行とともに、オープンイノベーションのための多面的なコミュニケーションとコラボレーションの促進を目的とした新たなビジネス創造の拠点「bit&innovation」の新設等を実施しました。
その他、事業領域の拡大に向けた取組みとして、資本・業務提携関係にあるタイの上場企業MFEC Public Company Limitedの子会社であり、主に銀行・保険会社等の金融機関向けモバイルアプリケーションの開発に強みを持つタイのリーディングカンパニー「PromptNow Co., Ltd.」を当社の連結子会社とし、当社グループの強みである決済ソリューションの海外展開および拡大を推進しています。また、日本市場で高まっているセキュリティ対策を統合的に提供し、セキュリティビジネスを拡大するため、シンガポール大手通信会社Singapore Telecommunications Limitedとマネージドセキュリティサービスにおける戦略的提携契約を締結しました。これを受けて、同社子会社で北米最大級のセキュリティベンダーの一つであるTrustwave Holdings, Inc.が提供するマネージドセキュリティサービスの日本市場での展開を開始しました。
当社グループにおける重要な経営課題の一つである不採算案件の抑制に関しては、既存制度の強化見直し、現場のリスク監理力やプロジェクトマネジメント力の向上に向けた教育研修の強化等の取組みを継続推進しています。また、「TISインテックグループ生産革新委員会」を設置し、客観的なチェック機能の強化と抑制施策の実効性担保を強力に推進する等、不採算案件の抑制実現に向けてグループ一丸となって注力しています。
なお、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、第1四半期において、計834,900株(取得価額の総額2,099百万円)の自己株式の取得を実施しました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は869百万円となっております。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。