半期報告書-第27期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社の中間財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、中間財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として中間財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
①金融商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって中間貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として中間損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当中間会計期間末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
②有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当中間会計期間末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④繰延税金資産の回収可能性
当社では、企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2)当中間会計期間の財政状態の分析
<資産の部>当中間会計期間末の総資産は前事業年度末比1兆8,351億円(15.7%)減少の9兆8,477億円となりました。内訳は流動資産が同1兆8,379億円(15.9%)減少の9兆7,298億円であり、このうち現金・預金が同2,914億円(22.2%)減少の1兆230億円、トレーディング商品が同7,642億円(14.8%)減少の4兆3,989億円、有価証券担保貸付金が同7,986億円(21.0%)減少の3兆132億円となっております。固定資産は同27億円(2.4%)増加の1,179億円となっております。
<負債の部・純資産の部>当中間会計期間末の負債合計は前事業年度末比1兆7,919億円(16.5%)減少の9兆898億円となりました。内訳は流動負債が同1兆8,377億円(19.5%)減少の7兆5,840億円であり、このうちトレーディング商品が同5,674億円(14.7%)減少の3兆2,829億円、有価証券担保借入金が同7,041億円(24.1%)減少の2兆2,161億円、短期借入金が同5,224億円(42.1%)減少の7,199億円となっております。固定負債は同457億円(3.1%)増加の1兆5,019億円であり、このうち社債が同502億円(8.6%)増加の6,335億円、長期借入金が同51億円(0.6%)減少の8,329億円となっております。
純資産合計は、中間純利益209億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行ったこと等から、同431億円(5.4%)減少の7,578億円となりました。
(3)当中間会計期間の経営成績の分析
①事業全体の状況
当中間会計期間の営業収益は1,715億円(前年同期比2.0%増)となりました。受入手数料は投資信託の販売にかかる募集・売出しの取扱手数料の減少等により922億円(同8.0%減)、トレーディング損益は債券・為替等が減少したものの株券等が増加したことにより498億円(同17.4%増)となりました。金融収支は98億円(同4.8%増)、純営業収益は1,519億円(同0.1%減)となっております。
販売費・一般管理費は、人件費が496億円(同0.3%増)、事務費が236億円(同2.6%増)となったこと等から、1,201億円(同3.0%増)となりました。この結果、経常利益は316億円(同11.7%減)となりました。
これに特別損益、法人税等を加味した結果、中間純利益は209億円(同16.2%減)となりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
[リテール営業部門]
リテール営業部門は、主に個人や未上場法人のお客様に幅広い金融商品・サービスを提供しております。
リテール営業部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当中間会計期間においては、外国株式については、米国株式市場が堅調に推移した影響を受け売買金額が拡大し、また、ファンドラップについては、保有お客様口座数の増加により、契約資産残高は過去最高水準の2兆円突破後も堅調に推移しております。
一方で、エクイティ募集では複数の大型案件があった前年同期と比べると販売額が減少し、株式投資信託においても、IoTやロボット関連等のテーマ型ファンドの販売が好調だった前年同期と比べると販売額は低調でした。
その結果、当中間会計期間のリテール営業部門における純営業収益は960億円(前年同期比1.6%減)、経常利益は161億円(同18.9%減)となりました。リテール営業部門の当中間会計期間の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ63.2%及び50.9%でした。
[国内ホールセール部門]
国内ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングで構成されており、グローバル・マーケッツは、主に国内外の機関投資家や事業法人、金融法人、公共法人等の顧客向けに、株式、債券・為替及びそれらの派生商品のセールスとトレーディングを行っております。グローバル・インベストメント・バンキングは、国内外における有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しております。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A関連手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する金融市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツにおいては、米国長期金利の上昇や、政治不安等による新興国通貨下落の影響により、金融市場での収益が低調に推移しました。一方でエクイティ収益は株式市場における売買金額の増加等により堅調に推移したため、グローバル・マーケッツは増収増益となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、複数のエクイティ募集・売出し案件でジョイント・グローバル・コーディネーターや主幹事を務めましたが、複数の大型案件があった前年同期と比べると減収となり、グローバル・インベストメント・バンキングは減収減益となりました。
以上のことから、当中間会計期間の国内ホールセール部門における純営業収益は542億円(前年同期比0.6%増)、経常利益は173億円(同0.3%減)となりました。国内ホールセール部門の当中間会計期間の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ35.7%及び54.6%でした。
③経営成績の前提となる当中間会計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中の貿易摩擦が激化し、さらに金融環境が引き締まったために、世界経済の先行きに対して下振れリスクが高まっているとみています。
米国経済は、2018年1-3月期に落ち込んだ個人消費が再加速したことで、4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となりました。4-6月期に引続き7-9月期も消費の裏付けとなる雇用・所得環境が安定し、消費者マインドも高水準となっています。税制改革の恩恵は、企業業績や企業マインドの改善にも及び、設備投資は堅調に推移していることから、7-9月期も同3.5%増と前期からはやや減速したものの、高い成長となりました。また、トランプ大統領の対外的な強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)や韓国、メキシコ、カナダ、日本などにも拡大しています。中国を除く各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど、中国との通商摩擦の激化による悪影響も現時点では軽微とみられます。ただ、内外の混乱に対する懸念は払拭できず、トランプ政権の政策がインフレ動向や米国の中長期的な成長力に与える影響については留意が必要です。
金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年は9月末までに計3回の利上げを実施し、年内にあと1回の利上げが見込まれています。一方、FOMC(連邦公開市場委員会)参加者の政策金利見通しによると、2019年は3回、2020年は1回の利上げ(いずれも中央値)が想定されており、徐々にペースダウンしていくことが予想されています。6月後半にかけて大きな調整局面に入った米国株式市場では、7月に入ると、米中の貿易摩擦の行方に左右される局面は見られたものの、底堅い米国経済や好調な企業決算を背景に、NYダウ平均株価は上昇を続け、9月下旬には約8ヵ月ぶりに高値を更新して過去最高値を付けました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、2018年4-6月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、企業の設備投資など総固定資本形成に牽引されて前期比年率1.8%増と、1-3月期の同1.6%増に続いて1%台後半の成長となりました。ユーロ圏の雇用は拡大しており、賃金上昇率に加速の兆しが見られること等を背景に、個人消費を含めた内需が牽引役になっています。もっとも、7-9月期は同0.6%増と前期から大幅に減速し、欧州委員会が推計する潜在成長率1.5%程度を下回りました。一方、2017年に進んだユーロ高に伴う輸出抑制効果は、2018年4月以降、実効ベースでユーロ高に歯止めがかかっていることから、一服すると想定されます。ただ、米中の貿易摩擦に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気が減速していることから、外需の見通しは不透明なままです。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を着実に進めています。ECBは2018年1月から資産買取額を毎月300億ユーロに半減させましたが、9月の金融政策理事会では、6月に発表した金融緩和の出口戦略の方針に従って政策を進めていくことが確認されました。すなわち、資産買取額を10月からはさらに毎月150億ユーロに減額した上で、2018年12月末で資産買取を終了する予定です。残高を維持するための再投資をいつまで継続するかは不明ですが、政策金利を少なくとも2019年夏まで据え置く方針も確認されました。これはFRBが実行した出口戦略を踏襲する形となっていますが、ECBは、不透明さが増す世界経済を注視しながら、非伝統的な金融緩和政策の修正を慎重に進めていくものとみられます。
新興国を代表する、世界第2位の経済規模を持つ中国経済は、2018年7-9月期の実質GDP成長率が前年比6.5%増と、4-6月期の同6.7%増から減速したものの、堅調に成長を続けています。しかし、米国との通商摩擦の激化は、互いに関税率を引き上げ合う状況にエスカレートしており、輸出面を通じて、中国経済への影響が懸念されます。トランプ政権は、中国からの輸入品について、7月及び8月の計500億ドル分に続いて、9月下旬には2,000億ドル分に対しても追加関税を課しました。合計すると、中国の対米輸出の約半分相当が対象となったことになります。貿易問題が長期化すると、中国企業だけでなく、中国で製品や部品を生産して米国に輸出していた海外企業が被る打撃も大きくなり、サプライチェーンを見直す動きが加速する可能性があります。さらに、中国の魅力が低下し、海外からの直接投資が減少することになれば、中国の中長期の成長力も抑制されることにつながります。
一方、中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になっています。もっとも、原油価格の高止まりは、景気実態を反映した需要要因というよりは、8月から再開された米国によるイランへの経済制裁など中東における緊張の高まりや、産油国の増産見送りを受けたためとみられており、資源の乏しい国々にとっては大きな負担になっています。さらに、米国など先進国の金利上昇によって国外への資本流出が加速し、通貨安に伴う高インフレへの対策や通貨防衛のために、政策金利を引き上げざるを得ないケースも散見されます。米中を中心とした貿易摩擦が、貿易数量の鈍化を通じて世界全体に及ぶことになれば、新興国経済への影響も避けられないと考えられます。
<日本の状況>日本経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率3.0%増と2四半期ぶりのプラス成長に転じ、9四半期ぶりの高成長となりました。ただ、2018年1-6月期を2017年7-12月期と比較すると年率0.5%増にとどまり、1%弱とされる日本経済の潜在成長率を下回る水準です。従って、日本経済は踊り場局面にあるという状況に変化はないとみられています。需要項目ごとにみると、4-6月期の高い成長を牽引したのは内需、中でも個人消費や企業の設備投資でした。一方、外需の寄与度は、2017年10-12月期以降3四半期に亘ってほぼゼロに近い状況となっています。また、7-9月期に関しては、今夏の酷暑に加えて、7月の西日本を中心とした豪雨、9月上旬の大型台風、北海道で発生した大地震といった自然災害が相次いだことが、景気に対してマイナスに作用すると想定されます。
個人消費は、2018年1-3月期の小幅減から、4-6月期は雇用・所得環境の着実な改善に支えられて2四半期ぶりに増加に転じました。ただ、その後一連の自然災害を受けて、生鮮食品の価格の高騰がみられ、消費者の生活に影響を及ぼしていると考えられます。また、これまで順調に拡大してきたインバウンド消費については、2018年に入って訪日外客数の伸びがやや鈍化しているところに、酷暑や自然災害が下押し要因となっており、今後の行方が懸念されます。住宅投資は、2017年7-9月期以降、4四半期連続で前期比マイナス成長となり、2018年7月から8月の新設住宅着工はやや持ち直していますが、住宅投資の緩やかな減速は継続するとみられます。
一方、企業の設備投資は、2018年4-6月期が前期比年率12.8%増と約3年ぶりの高成長となるなど、好調な企業収益や低金利環境、労働需給の逼迫を背景に堅調に推移しています。深刻な人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などに対する企業の意欲は強く、日銀短観(9月調査)の2018年度の設備投資計画をみても、製造業や非製造業ともに高い伸びを示しています。
外需に目を向けると、海外経済の緩やかな成長に合わせて、輸出額は増加基調にありました。もっとも、EU向けやアジア向けの輸出数量は2017年末頃から横ばいで推移しており、米国向けの輸出数量も2018年5月から7月にかけて前月比で若干減少ないし横ばいとなっています。米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。また、9月下旬には、日米の両首脳が、物品貿易協定の締結に向けた交渉を開始することで合意し、日本側が懸念していた米国による自動車への追加関税は、当面回避されることになりました。
金融面では、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の下で、強力な金融緩和措置が続いてきましたが、2018年7月末に、日本銀行は、短期金利のマイナス金利、長期金利(10年物国債金利)のゼロ%程度という大枠を維持しながら、長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じました。同時に、日本銀行は、政策金利のフォーワードガイダンスを導入することで、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を図っています。この結果、2018年4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた長期金利は小幅上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移するようになり、7-9月期の期間平均では0.09%になりました。
一方、為替レートは、リスク回避の動きから円高が加速し、2018年3月下旬に1年4ヵ月ぶりの円高水準となる104円台を記録しましたが、4月に入ると緩やかに円安・ドル高に転じ、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7-9月期は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、9月末には約9ヵ月ぶりの円安水準となりました。また、対ユーロでは、欧州の景気減速やイタリアの政局不安を背景に、4月から5月にかけて円高・ユーロ安が進み、5月末には2017年6月以来となる円高水準となりました。6月以降は、政治リスクが後退したこともあり、ユーロは上昇基調となりました。7月半ばから円高・ユーロ安に転じ、さらに8月に入ると、米国とトルコの対立激化からトルコ・リラが急落したことを受けて、ユーロ安も加速し、8月半ばには5月末と同水準まで円高が進みました。その後、ユーロが対ドルで上昇したことから、対円でも上昇し、9月下旬には5ヵ月ぶりの円安水準となりました。もっとも、9月末にかけては、イタリアに対する財政懸念の再燃や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の合意によって、ドル高・ユーロ安に大きく振れました。
2018年9月末の日経平均株価は24,120円4銭(同年6月末比1,815円53銭高)、10年国債利回りは0.134%(同0.094ポイントの上昇)、為替は1ドル113円44銭(同2円80銭の円安)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当中間会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当中間会計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、信用取引資産及び信用取引負債の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減などにより2,747億円の増加(前年同期は2,041億円の減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出などにより136億円の減少(同109億円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、配当金の支払いなどにより5,555億円の減少(同3,849億円の増加)となりました。当中間会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ2,944億円減少し、1兆230億円となりました。
(5)資本の財源及び流動性に係る情報
①流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準(2015年3月末から段階的に導入)の遵守が求められております。大和証券グループ本社の2019年3月期第2四半期日次平均のLCRは142.0%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
②株主資本
当社が株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。
当中間会計期間末の株主資本は、7,527億円(前事業年度末比434億円減)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は中間純利益209億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行った結果、3,027億円(同434億円減)となりました。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社の中間財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、中間財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として中間財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
①金融商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって中間貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として中間損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当中間会計期間末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
②有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当中間会計期間末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④繰延税金資産の回収可能性
当社では、企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2)当中間会計期間の財政状態の分析
<資産の部>当中間会計期間末の総資産は前事業年度末比1兆8,351億円(15.7%)減少の9兆8,477億円となりました。内訳は流動資産が同1兆8,379億円(15.9%)減少の9兆7,298億円であり、このうち現金・預金が同2,914億円(22.2%)減少の1兆230億円、トレーディング商品が同7,642億円(14.8%)減少の4兆3,989億円、有価証券担保貸付金が同7,986億円(21.0%)減少の3兆132億円となっております。固定資産は同27億円(2.4%)増加の1,179億円となっております。
<負債の部・純資産の部>当中間会計期間末の負債合計は前事業年度末比1兆7,919億円(16.5%)減少の9兆898億円となりました。内訳は流動負債が同1兆8,377億円(19.5%)減少の7兆5,840億円であり、このうちトレーディング商品が同5,674億円(14.7%)減少の3兆2,829億円、有価証券担保借入金が同7,041億円(24.1%)減少の2兆2,161億円、短期借入金が同5,224億円(42.1%)減少の7,199億円となっております。固定負債は同457億円(3.1%)増加の1兆5,019億円であり、このうち社債が同502億円(8.6%)増加の6,335億円、長期借入金が同51億円(0.6%)減少の8,329億円となっております。
純資産合計は、中間純利益209億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行ったこと等から、同431億円(5.4%)減少の7,578億円となりました。
(3)当中間会計期間の経営成績の分析
①事業全体の状況
当中間会計期間の営業収益は1,715億円(前年同期比2.0%増)となりました。受入手数料は投資信託の販売にかかる募集・売出しの取扱手数料の減少等により922億円(同8.0%減)、トレーディング損益は債券・為替等が減少したものの株券等が増加したことにより498億円(同17.4%増)となりました。金融収支は98億円(同4.8%増)、純営業収益は1,519億円(同0.1%減)となっております。
販売費・一般管理費は、人件費が496億円(同0.3%増)、事務費が236億円(同2.6%増)となったこと等から、1,201億円(同3.0%増)となりました。この結果、経常利益は316億円(同11.7%減)となりました。
これに特別損益、法人税等を加味した結果、中間純利益は209億円(同16.2%減)となりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 純営業収益 | 経常利益又は経常損失(△) | |||||||
| 2017年 9月期 | 2018年 9月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | 2017年 9月期 | 2018年 9月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | |
| リテール営業部門 | 97,640 | 96,029 | △1.6% | 63.2% | 19,910 | 16,144 | △18.9% | 50.9% |
| 国内ホールセール部門 | 53,893 | 54,230 | 0.6% | 35.7% | 17,352 | 17,305 | △0.3% | 54.6% |
| その他・調整等 | 653 | 1,700 | ― | 1.1% | △1,347 | △1,751 | ― | △5.5% |
| 合計 | 152,187 | 151,960 | △0.1% | 100.0% | 35,915 | 31,698 | △11.7% | 100.0% |
[リテール営業部門]
リテール営業部門は、主に個人や未上場法人のお客様に幅広い金融商品・サービスを提供しております。
リテール営業部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当中間会計期間においては、外国株式については、米国株式市場が堅調に推移した影響を受け売買金額が拡大し、また、ファンドラップについては、保有お客様口座数の増加により、契約資産残高は過去最高水準の2兆円突破後も堅調に推移しております。
一方で、エクイティ募集では複数の大型案件があった前年同期と比べると販売額が減少し、株式投資信託においても、IoTやロボット関連等のテーマ型ファンドの販売が好調だった前年同期と比べると販売額は低調でした。
その結果、当中間会計期間のリテール営業部門における純営業収益は960億円(前年同期比1.6%減)、経常利益は161億円(同18.9%減)となりました。リテール営業部門の当中間会計期間の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ63.2%及び50.9%でした。
[国内ホールセール部門]
国内ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングで構成されており、グローバル・マーケッツは、主に国内外の機関投資家や事業法人、金融法人、公共法人等の顧客向けに、株式、債券・為替及びそれらの派生商品のセールスとトレーディングを行っております。グローバル・インベストメント・バンキングは、国内外における有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しております。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A関連手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する金融市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツにおいては、米国長期金利の上昇や、政治不安等による新興国通貨下落の影響により、金融市場での収益が低調に推移しました。一方でエクイティ収益は株式市場における売買金額の増加等により堅調に推移したため、グローバル・マーケッツは増収増益となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、複数のエクイティ募集・売出し案件でジョイント・グローバル・コーディネーターや主幹事を務めましたが、複数の大型案件があった前年同期と比べると減収となり、グローバル・インベストメント・バンキングは減収減益となりました。
以上のことから、当中間会計期間の国内ホールセール部門における純営業収益は542億円(前年同期比0.6%増)、経常利益は173億円(同0.3%減)となりました。国内ホールセール部門の当中間会計期間の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ35.7%及び54.6%でした。
③経営成績の前提となる当中間会計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中の貿易摩擦が激化し、さらに金融環境が引き締まったために、世界経済の先行きに対して下振れリスクが高まっているとみています。
米国経済は、2018年1-3月期に落ち込んだ個人消費が再加速したことで、4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となりました。4-6月期に引続き7-9月期も消費の裏付けとなる雇用・所得環境が安定し、消費者マインドも高水準となっています。税制改革の恩恵は、企業業績や企業マインドの改善にも及び、設備投資は堅調に推移していることから、7-9月期も同3.5%増と前期からはやや減速したものの、高い成長となりました。また、トランプ大統領の対外的な強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)や韓国、メキシコ、カナダ、日本などにも拡大しています。中国を除く各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど、中国との通商摩擦の激化による悪影響も現時点では軽微とみられます。ただ、内外の混乱に対する懸念は払拭できず、トランプ政権の政策がインフレ動向や米国の中長期的な成長力に与える影響については留意が必要です。
金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年は9月末までに計3回の利上げを実施し、年内にあと1回の利上げが見込まれています。一方、FOMC(連邦公開市場委員会)参加者の政策金利見通しによると、2019年は3回、2020年は1回の利上げ(いずれも中央値)が想定されており、徐々にペースダウンしていくことが予想されています。6月後半にかけて大きな調整局面に入った米国株式市場では、7月に入ると、米中の貿易摩擦の行方に左右される局面は見られたものの、底堅い米国経済や好調な企業決算を背景に、NYダウ平均株価は上昇を続け、9月下旬には約8ヵ月ぶりに高値を更新して過去最高値を付けました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、2018年4-6月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、企業の設備投資など総固定資本形成に牽引されて前期比年率1.8%増と、1-3月期の同1.6%増に続いて1%台後半の成長となりました。ユーロ圏の雇用は拡大しており、賃金上昇率に加速の兆しが見られること等を背景に、個人消費を含めた内需が牽引役になっています。もっとも、7-9月期は同0.6%増と前期から大幅に減速し、欧州委員会が推計する潜在成長率1.5%程度を下回りました。一方、2017年に進んだユーロ高に伴う輸出抑制効果は、2018年4月以降、実効ベースでユーロ高に歯止めがかかっていることから、一服すると想定されます。ただ、米中の貿易摩擦に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気が減速していることから、外需の見通しは不透明なままです。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を着実に進めています。ECBは2018年1月から資産買取額を毎月300億ユーロに半減させましたが、9月の金融政策理事会では、6月に発表した金融緩和の出口戦略の方針に従って政策を進めていくことが確認されました。すなわち、資産買取額を10月からはさらに毎月150億ユーロに減額した上で、2018年12月末で資産買取を終了する予定です。残高を維持するための再投資をいつまで継続するかは不明ですが、政策金利を少なくとも2019年夏まで据え置く方針も確認されました。これはFRBが実行した出口戦略を踏襲する形となっていますが、ECBは、不透明さが増す世界経済を注視しながら、非伝統的な金融緩和政策の修正を慎重に進めていくものとみられます。
新興国を代表する、世界第2位の経済規模を持つ中国経済は、2018年7-9月期の実質GDP成長率が前年比6.5%増と、4-6月期の同6.7%増から減速したものの、堅調に成長を続けています。しかし、米国との通商摩擦の激化は、互いに関税率を引き上げ合う状況にエスカレートしており、輸出面を通じて、中国経済への影響が懸念されます。トランプ政権は、中国からの輸入品について、7月及び8月の計500億ドル分に続いて、9月下旬には2,000億ドル分に対しても追加関税を課しました。合計すると、中国の対米輸出の約半分相当が対象となったことになります。貿易問題が長期化すると、中国企業だけでなく、中国で製品や部品を生産して米国に輸出していた海外企業が被る打撃も大きくなり、サプライチェーンを見直す動きが加速する可能性があります。さらに、中国の魅力が低下し、海外からの直接投資が減少することになれば、中国の中長期の成長力も抑制されることにつながります。
一方、中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になっています。もっとも、原油価格の高止まりは、景気実態を反映した需要要因というよりは、8月から再開された米国によるイランへの経済制裁など中東における緊張の高まりや、産油国の増産見送りを受けたためとみられており、資源の乏しい国々にとっては大きな負担になっています。さらに、米国など先進国の金利上昇によって国外への資本流出が加速し、通貨安に伴う高インフレへの対策や通貨防衛のために、政策金利を引き上げざるを得ないケースも散見されます。米中を中心とした貿易摩擦が、貿易数量の鈍化を通じて世界全体に及ぶことになれば、新興国経済への影響も避けられないと考えられます。
<日本の状況>日本経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率3.0%増と2四半期ぶりのプラス成長に転じ、9四半期ぶりの高成長となりました。ただ、2018年1-6月期を2017年7-12月期と比較すると年率0.5%増にとどまり、1%弱とされる日本経済の潜在成長率を下回る水準です。従って、日本経済は踊り場局面にあるという状況に変化はないとみられています。需要項目ごとにみると、4-6月期の高い成長を牽引したのは内需、中でも個人消費や企業の設備投資でした。一方、外需の寄与度は、2017年10-12月期以降3四半期に亘ってほぼゼロに近い状況となっています。また、7-9月期に関しては、今夏の酷暑に加えて、7月の西日本を中心とした豪雨、9月上旬の大型台風、北海道で発生した大地震といった自然災害が相次いだことが、景気に対してマイナスに作用すると想定されます。
個人消費は、2018年1-3月期の小幅減から、4-6月期は雇用・所得環境の着実な改善に支えられて2四半期ぶりに増加に転じました。ただ、その後一連の自然災害を受けて、生鮮食品の価格の高騰がみられ、消費者の生活に影響を及ぼしていると考えられます。また、これまで順調に拡大してきたインバウンド消費については、2018年に入って訪日外客数の伸びがやや鈍化しているところに、酷暑や自然災害が下押し要因となっており、今後の行方が懸念されます。住宅投資は、2017年7-9月期以降、4四半期連続で前期比マイナス成長となり、2018年7月から8月の新設住宅着工はやや持ち直していますが、住宅投資の緩やかな減速は継続するとみられます。
一方、企業の設備投資は、2018年4-6月期が前期比年率12.8%増と約3年ぶりの高成長となるなど、好調な企業収益や低金利環境、労働需給の逼迫を背景に堅調に推移しています。深刻な人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などに対する企業の意欲は強く、日銀短観(9月調査)の2018年度の設備投資計画をみても、製造業や非製造業ともに高い伸びを示しています。
外需に目を向けると、海外経済の緩やかな成長に合わせて、輸出額は増加基調にありました。もっとも、EU向けやアジア向けの輸出数量は2017年末頃から横ばいで推移しており、米国向けの輸出数量も2018年5月から7月にかけて前月比で若干減少ないし横ばいとなっています。米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。また、9月下旬には、日米の両首脳が、物品貿易協定の締結に向けた交渉を開始することで合意し、日本側が懸念していた米国による自動車への追加関税は、当面回避されることになりました。
金融面では、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の下で、強力な金融緩和措置が続いてきましたが、2018年7月末に、日本銀行は、短期金利のマイナス金利、長期金利(10年物国債金利)のゼロ%程度という大枠を維持しながら、長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じました。同時に、日本銀行は、政策金利のフォーワードガイダンスを導入することで、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を図っています。この結果、2018年4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた長期金利は小幅上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移するようになり、7-9月期の期間平均では0.09%になりました。
一方、為替レートは、リスク回避の動きから円高が加速し、2018年3月下旬に1年4ヵ月ぶりの円高水準となる104円台を記録しましたが、4月に入ると緩やかに円安・ドル高に転じ、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7-9月期は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、9月末には約9ヵ月ぶりの円安水準となりました。また、対ユーロでは、欧州の景気減速やイタリアの政局不安を背景に、4月から5月にかけて円高・ユーロ安が進み、5月末には2017年6月以来となる円高水準となりました。6月以降は、政治リスクが後退したこともあり、ユーロは上昇基調となりました。7月半ばから円高・ユーロ安に転じ、さらに8月に入ると、米国とトルコの対立激化からトルコ・リラが急落したことを受けて、ユーロ安も加速し、8月半ばには5月末と同水準まで円高が進みました。その後、ユーロが対ドルで上昇したことから、対円でも上昇し、9月下旬には5ヵ月ぶりの円安水準となりました。もっとも、9月末にかけては、イタリアに対する財政懸念の再燃や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の合意によって、ドル高・ユーロ安に大きく振れました。
2018年9月末の日経平均株価は24,120円4銭(同年6月末比1,815円53銭高)、10年国債利回りは0.134%(同0.094ポイントの上昇)、為替は1ドル113円44銭(同2円80銭の円安)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当中間会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2017年9月期 | 2018年9月期 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △204,104 | 274,716 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △10,992 | △13,681 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 384,907 | △555,518 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 169,810 | △294,483 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 1,160,586 | 1,317,548 |
| 現金及び現金同等物の中間期末残高 | 1,330,396 | 1,023,064 |
当中間会計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、信用取引資産及び信用取引負債の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減などにより2,747億円の増加(前年同期は2,041億円の減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出などにより136億円の減少(同109億円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、配当金の支払いなどにより5,555億円の減少(同3,849億円の増加)となりました。当中間会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ2,944億円減少し、1兆230億円となりました。
(5)資本の財源及び流動性に係る情報
①流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準(2015年3月末から段階的に導入)の遵守が求められております。大和証券グループ本社の2019年3月期第2四半期日次平均のLCRは142.0%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
②株主資本
当社が株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。
当中間会計期間末の株主資本は、7,527億円(前事業年度末比434億円減)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は中間純利益209億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行った結果、3,027億円(同434億円減)となりました。