有価証券報告書-第28期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:26
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本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① トレーディング商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として損益計算書に計上しております。
時価測定に用いた評価技法及びインプットの詳細は以下のとおりであります。これらは、市場参加者が商品を評価するときに考慮するであろう当社による仮定及び見積りを含んでおります。
(ⅰ) 商品有価証券等
主に同一又は類似の商品に関する市場価格を用いております。また、特定の負債性金融商品及び資産担保証券については、デリバティブ取引に準じた評価技法もしくは、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルにより時価を測定しております。
(ⅱ) デリバティブ
上場デリバティブについては原則として市場価格を、店頭デリバティブについては、評価技法により理論価格を算定しております。
デリバティブ取引の理論価格には、信用リスク及び流動性リスクを考慮した調整が含まれており、時価測定においては、市場で一般に用いられるリスク中立測度の仮定のもとでの期待キャッシュ・フローの現在価値を、主に数値積分法、有限差分法及びモンテカルロ法による価格算定モデルにより算定しております。
価格算定モデルには、金利、為替レート、株価、ボラティリティ、相関係数などの様々なインプットがあります。また、市場で観察可能でないインプットとしては、相関係数、長期のボラティリティ、長期のクレジット・スプレッドなどがあります。
価格算定モデルの選択及びその価格算定モデルに投入するインプットの決定、信用リスク及び流動性リスクにかかる評価調整には見積り及び前提を含んでおり、特に、市場で観察可能でないインプットを使用する場合には、その見積り及び前提は、トレーディング商品の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
算定に用いたインプットを含め、価格算定モデルは社内における指針に基づいて承認され、価格算定モデルの開発部署から独立した部署が、モデル内の仮定及び技法、算定に用いたインプットについて検証を行っております。また、価格算定モデルを観察可能な市場情報や代替可能なモデルとの比較分析等により、市場動向に合わせて調整する体制を構築しております。
経営者は、時価測定に用いられた前提は合理的であると考えております。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来キャッシュ・フローや時価の下落を引き起こすような見積りの変化が、評価金額に不利に影響し、結果として、財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
② 有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当事業年度末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。
③ 固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社では、会計基準に従い、企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済情勢や相場環境の悪化及び外出自粛に伴う経済、企業活動の停滞・悪化は、現時点においてはこれらの見積りに重大な影響を及ぼしておりませんが、今後、入手可能となる情報等により新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化し、会計上の見積りに用いられた前提条件に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当事業年度の財政状態の分析
<資産の部>当事業年度末の総資産は前年度末比2兆1,474億円(21.8%)増加の11兆9,803億円となりました。内訳は流動資産が同2兆1,426億円(22.1%)増加の11兆8,525億円であり、このうち現金・預金が同4,542億円(31.6%)減少の9,818億円、トレーディング商品が同1兆2,415億円(27.1%)増加の5兆8,272億円、有価証券担保貸付金が同1兆2,127億円(56.2%)増加の3兆3,706億円となっております。固定資産は同48億円(4.0%)増加の1,277億円となっております。
<負債の部・純資産の部>当事業年度末の負債合計は前年度末比2兆1,748億円(24.0%)増加の11兆2,353億円となりました。内訳は流動負債が同2兆3,429億円(31.0%)増加の9兆9,037億円であり、このうちトレーディング商品が同6,701億円(18.6%)増加の4兆2,640億円、有価証券担保借入金が同1兆4,435億円(82.1%)増加の3兆2,008億円、短期借入金が同981億円(7.8%)減少の1兆1,655億円となっております。固定負債は同1,680億円(11.2%)減少の1兆3,277億円であり、このうち社債が同301億円(4.8%)減少の5,960億円、長期借入金が同1,408億円(17.0%)減少の6,896億円となっております。
純資産合計は当期純利益116億円を計上したほか、配当金382億円の支払いを行ったことなどから、同273億円(3.5%)減少の7,449億円となりました。
(3) 当事業年度の経営成績の分析
① 事業全体の状況
当事業年度の営業収益は2,986億円(前年度比10.1%減)となりました。受入手数料はM&A関連手数料が増加したものの、昨年好調であった引受・売出しの取扱手数料の減少や、投資信託の販売にかかる募集・売出しの取扱手数料の減少等により、総額で1,778億円(同4.3%減)、トレーディング損益は株券等、債券・為替等の減少により767億円(同13.9%減)となりました。金融収支は153億円(同14.6%減)、純営業収益は2,698億円(同7.8%減)となっております。 販売費・一般管理費は、人件費が950億円(同3.0%減)であったものの、取引関係費が446億円(同4.2%増)、減価償却費が201億円(同15.2%増)となったこと等から、合計で2,405億円(同0.4%増)となりました。この結果、経常利益は297億円(同44.5%減)となりました。 これに特別損益、法人税等を加味した結果、当期純利益は116億円(同69.6%減)となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
純営業収益経常利益
2019年
3月期
2020年
3月期
対前年度
増減率
構成比率2019年
3月期
2020年
3月期
対前年度
増減率
構成比率
リテール営業部門182,361161,714△11.3%59.9%24,0104,466△81.4%13.1%
国内ホールセール部門103,992103,864△0.1%38.5%29,70129,523△0.6%86.9%
その他・調整等6,4744,2921.6%△0△4,201
合計292,828269,872△7.8%100.0%53,71029,788△44.5%100.0%


[リテール営業部門]
リテール営業部門は、主に個人や未上場法人のお客様に幅広い金融商品・サービスを提供しております。
リテール営業部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当事業年度においては、以下の取組みを行いました。
1. 大和版NPS®(注)の定着に向けた本部・営業店のPDCAサイクルを確立し、お客様の理解を深めるためのオペレーションの整備、営業支援ツールの拡充を行いました。また営業体制において上席者のコーチング力・ソリューション提供力の強化を行いました。
2. 非対面チャネルでの問合せ・相談機能の提供を強化、営業員のサポート体制を強化するなどサービス品質の向上に努めるとともに、相続ビジネス拡大に向け家族信託を導入、富裕層向けアジアPBサービスの強化を行うなど、商品・ソリューションを拡充しました。
3. 多様なニーズに対応した各種ラップ口座サービスの純増額は堅調で、契約資産残高は2兆874億円となりました。
4. 外部提携先の獲得に向けた提案・外部提携先のサポート体制構築を進めました。
米中貿易問題への懸念や新型コロナウイルスの感染拡大等により株式相場の変動が大きかったことを背景に、収益環境としては、不透明感への懸念等から年間を通じての個人投資家のアクティビティが低調であり、株式の取引及び投資信託の販売が減少し、エクイティ収益・投信募集手数料が減少しました。新型コロナウイルス感染症の影響で3月に株式相場が急落した際には、一時的に新規口座の開設や資産導入の増加も見られましたが、当事業年度の業績への影響は限定的でした。
当事業年度のリテール営業部門における純営業収益は1,617億円(前年度比11.3%減)、経常利益は44億円(同81.4%減)となりました。リテール営業部門の当事業年度の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ59.9%及び13.1%でした。
(注)NPS®:Net Promoter Scoreの略であり、お客様のロイヤルティを数値化する指標。なお、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
[国内ホールセール部門]
国内ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングで構成されており、グローバル・マーケッツは、主に国内外の機関投資家や事業法人、金融法人、公共法人等のお客様向けに、株式、債券・為替及びそれらの派生商品のセールスおよびトレーディングを行っております。グローバル・インベストメント・バンキングは、国内外における有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しております。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益およびトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当事業年度のグローバル・インベストメント・バンキングでは、M&Aビジネスへの取組みとしてミッドキャップの海外クロスボーダー案件獲得に努めました。IPOビジネスへの取組みとしてはDaiwa Innovation Networkを開催するなどスタートアップ企業の発掘・育成を推進しました。その他、大型ファイナンス案件獲得に取り組みました。
当事業年度のグローバル・マーケッツでは、リサーチ力強化に注力した結果、日経ヴェリタスのアナリストランキング2020で会社別1位を2年連続で獲得したほか、Institutional Investorsの2020 Institutional Investor All-Japan Research Teamでも1位を獲得しました。またリテール部門のお客様に向けた外国株式の情報提供拡充の結果、外国株式の残高が増加、ミドル法人顧客開拓に向けたオーダーメイド型商品を拡充した結果、新規顧客の開拓に繋がりました。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、世界経済の先行き不透明感の高まりによりお客様のアクティビティが低調に推移しました。フィクスト・インカム収益は、第4四半期にはクレジットスプレッド拡大の影響で低調であったものの、第3四半期の仕組債・クレジット商品の好調が寄与しました。 グローバル・インベストメント・バンキングは増収増益となりました。エクイティ引受けでは、複数の大型エクイティ募集・売出し案件でJGC(ジョイント・グローバル・コーディネーター)や主幹事を務めた前年度に比べ減収となりましたが、M&Aが収益を牽引しました。なお、第4四半期には新型コロナウイルスの感染拡大により進捗に影響のあった案件もありましたが、当事業年度の業績に対する影響は限定的でした。
以上のことから、当事業年度の国内ホールセール部門における純営業収益は1,038億円(同0.1%減)、経常利益は295億円(同0.6%減)となりました。国内ホールセール部門の当事業年度の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ38.5%及び86.9%でした。

③ 経営成績の前提となる2019年度のマクロ経済環境
<海外の状況>2019年の世界経済は、米中貿易摩擦などから減速感が強まりつつも緩やかな拡大が続いていました。しかし、2020年に入って、新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、世界経済は急激に悪化することになりました。
IMF(国際通貨基金)によれば、2019年の世界経済成長率は2.9%であり、米中間の貿易摩擦を主因とした国際貿易の停滞により、リーマン・ショックによってマイナス成長となった2009年以降で最も低い成長にとどまりました。また、2020年については、新型コロナウイルス感染症の影響により先進国、新興国ともにマイナス成長に転じ、世界経済成長率は△3.0%とリーマン・ショック時を上回る大幅なマイナスが見込まれています。
米国経済では、2019年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率2.0%、続く7-9月期、および10-12月期がいずれも前期比年率2.1%と、2019年内は安定的な成長が続きました。海外経済の減速や貿易摩擦懸念などから、企業の設備投資が3四半期連続で減少する一方で、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の安定的な増加がGDPの増加を下支えしました。加えて、低金利を背景にそれまで軟調に推移していた住宅投資も、2019年後半には持ち直し基調を強めました。しかし、2020年に入ると、新型コロナウイルス感染症という新たなリスク要因が米国経済の下押し要因となりました。とりわけ、米国内での感染者数の増加を受け、トランプ大統領が緊急事態を宣言し、外出自粛を要請した3月半ば以降、外食や娯楽関連など不要不急のサービスを中心に個人消費は急激に減少し、2020年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率△5.0%と大きく落ち込みました。また、活動自粛を余儀なくされたサービス業を中心に、失業者はかつてないペースで増加しています。
こうした急激な景気悪化を受けて、トランプ政権および連邦議会は景気の底割れを回避するため、矢継ぎ早に対策を打ち出しています。3月27日に成立した総額2兆ドル超の過去最大規模の経済対策では、家計への現金給付や失業給付の拡充、企業への融資などが盛り込まれました。
また金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)が景気悪化に対応して、積極的な金融緩和を行っています。新型コロナウイルスの感染が拡大する以前においても、景気減速懸念への対応のため、2019年7月、9月および10月のFOMC(連邦公開市場委員会)において、3度にわたる利下げが決定されました。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響によって急速に世界経済が減速する中、FRBは2020年3月にも2度の緊急利下げを実施し、2015年12月以来となる実質的なゼロ金利政策を復活させました。さらに、無制限の量的緩和の拡大も決定し、FRBのバランスシートは急速に拡大しました。
欧州経済(ユーロ圏経済)も、米国と同様に2019年内は減速しつつも緩やかな成長が続いていたものの、2020年に入って急速に悪化しています。2019年4-6月期の実質GDP成長率は、米中摩擦の激化や長引くイギリスのEU離脱問題などによる不透明感が外需の下押し要因となり、前期比年率0.6%の低成長となりました。7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率1.2%と幾分持ち直しましたが、10-12月期に入ると、外需の停滞に加えて、雇用者数の増加ペースが鈍化したことで、それまで成長を下支えしてきた個人消費も減速し、前期比年率0.4%の低成長にとどまりました。そして2020年1-3月期には、新型コロナウイルス感染症が広がる中、3月には特に感染者数が多いイタリアをはじめスペイン、フランス、ドイツなど広い地域で移動制限措置などが実施され、実質GDP成長率は前期比年率△14.2%と、1995年の統計開始以降で最大の落ち込みとなりました。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は、世界経済の不透明さが増し、ユーロ圏の景気減速が鮮明になる中でハト派傾向を強めました。ECBは2019年9月に3年半ぶりとなる利下げを実施したことに加えて、量的緩和政策の再開を決定しました。さらに、2020年3月には、新型コロナウイルスの感染拡大による急激な景気悪化を受けて、量的緩和策の拡大を決定しました。
新興市場国・発展途上国経済は、2019年の実質GDP成長率が3.7%と、2年連続で成長が鈍化し、2009年以来の低成長となりました。また、IMFによれば、2020年の実質GDP成長率は新型コロナウイルス感染症の影響によって、△1.0%とマイナス成長に落ち込むことが見込まれています。新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国は、新型コロナウイルス感染症による影響が顕在化する以前から、米国との貿易摩擦を主因に成長率が減速傾向にあり、四半期ごとの実質GDP成長率を見ると、2019年1-3月期が前年同期比6.4%、4-6月期が同6.2%、7-9月期は同6.0%と鈍化していました。こうした事態に対して、中国政府は景気減速失速に対処すべく財政・金融の両面から大規模な経済対策を打ち出したため、10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比6.0%と前期から横ばいとなり、下げ止まりの兆しが見られました。しかし、2020年1-3月期に入ると新型コロナウイルス感染症により、中国の一部で都市閉鎖などの措置が実施され、企業は経済活動の停止を余儀なくされたため、実質GDP成長率は前年同期比△6.8%と大幅に落ち込むことになりました。
中国以外の新興国についても総じて厳しい状況に置かれています。2019年は米中貿易摩擦に端を発した世界的な貿易停滞が新興国経済を下押ししました。また、2020年に入ってからは、先進国や中国と同様に、多くの新興国でも新型コロナウイルス感染防止のために経済活動を抑制せざるを得ない状況となりました。加えて、世界的な景気悪化を受けた新興国からの資金流出や、資源価格の急激な低下も、新興国経済を大きく下押しする要因となっています。
<日本の状況>日本経済は2019年度前半までは回復基調が続いていましたが、年度後半に入って急速に悪化しました。2019年度前半は個人消費の堅調な増加を主因に、GDPの増加基調が続きました。しかし、2019年10月以降は増税前の駆け込み需要からの反動減が顕在化し、10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率△7.2%と大幅に落ち込むことになりました。さらに、2020年1-3月期の後半になると新型コロナウイルスの感染拡大に伴う活動自粛によって経済が一段と悪化し、2020年1-3月期の実質GDPは前期比年率△2.2%と、2四半期連続のマイナス成長となりました。この結果、2019年度の実質GDP成長率は前年度比0.0%の低成長となりました。
需要項目ごとに見ると、個人消費は年度前半まで好調でしたが、年度後半にかけて急激に減少しました。年度前半については、個人消費の裏付けとなる雇用・所得環境の着実な改善が続いたことに加え、ゴールデンウィークの10連休による特需や、10月の消費増税に向けた駆け込み需要が押し上げ要因となりました。一方、10-12月期に入ると、駆け込み需要からの反動減によって個人消費は大幅に減少しました。また、2020年1-3月期には、新型コロナウイルスの感染拡大によって自粛の動きが広がり、外食などをはじめとする不要不急のサービス消費の減少を主因に、個人消費は2四半期連続で減少しました。住宅投資についても同様に、消費増税前の駆け込み需要によって2019年7-9月期は増加しましたが、その後は2四半期連続で減少しています。
企業の設備投資は、高水準の企業収益や低金利、労働需給の逼迫などを背景として、2019年4-6月期および7-9月期は2四半期連続で増加しました。10-12月期には減少しましたが、2020年1-3月期は再び増加に転じ、総じて底堅く推移しました。日銀短観(2020年3月調査)によれば、2020年度の設備投資計画では、大企業を中心に設備投資の増加が見込まれています。もっとも、新型コロナウイルス感染症の影響によって世界的に景気が急速に悪化する中、日本企業の景況感も大幅に悪化しており、設備投資に対する態度にも慎重さが増しています。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続しています。また、世界経済の減速懸念が強まる中、日本銀行は2019年4月の金融政策決定会合において、少なくとも2020年春頃まで金融緩和措置を続けることを表明しました。また、10月には政策金利のフォワード・ガイダンス(指針)を修正し、将来の利下げの可能性を明示しました。
長期金利は、2019年度前半は、FRBによる利下げへの期待の高まりと7月、9月の利下げ実施によって世界的に金利が低下する中、低下基調を強めました。さらに9月には、米国による対中追加関税の拡大を受け、世界的にリスク回避の動きが強まる中、安全資産とされる日本国債の需要が高まり、10年国債利回りは一時△0.29%前後と、2016年7月以来の水準まで低下しました。しかし、FRBによる2019年の3回の利下げによって米国経済および世界経済の見通しが改善する中で米国の長期金利は9月には下げ止まり、低下基調を強めていた日本の10年国債利回りは、9月を底に上昇基調に転じました。2020年に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の悪化懸念や米国の金利低下を受け、再び日本の長期金利は低下傾向に転じましたが、年度末にかけては現金需要の増加などから急激に上昇しました。
為替市場をみると、対ドルでは2019年年初から円安・ドル高傾向で推移し、4月には一時112円台まで円安が進みました。しかし、5月に入ると米国による対中関税率の追加引き上げをきっかけに米中貿易摩擦激化への警戒感が高まり、再びリスク回避の動きが強まりました。また、世界経済の減速感が強まる中、FRBによる金融緩和およびさらなる追加緩和への期待によって日米金利差が縮小したことも円高・ドル安要因となり、8月には一時105円台前半まで円高が進みました。リスク回避傾向が弱まった9月以降は再び円安傾向となりましたが、新型コロナウイルス感染症が広がる中、2020年3月には一時102円台まで進むなど、振れが大きい展開となりました。対ユーロでは、2019年年初から4月にかけて円安傾向で推移した後、4月半ばから9月初旬までは円高傾向となり、9月中旬以降は円安方向で推移しました。しかし、2020年に入ると再び円高方向へと転じています。
株式市場は、海外経済・市場の動向に大きく左右される展開となりました。2019年度前半は米中貿易摩擦の動向に影響を受ける形で、株価は上昇と下落を繰り返しました。10-12月期に入ると、FRB、ECBによる金融緩和策を受けて世界的に株価は上昇基調となり、米国の株価が史上最高値を更新し続ける中、日経平均も2020年1月には、一時24,000円台に回復しました。しかし、2020年1-3月期に入り、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界経済が急速に悪化する中、株価は世界的に急落し、日経平均も2月以降は大きく下落することとなりました。
2020年3月末の日経平均株価は18,917円01銭(前年3月末比2,288円80銭安)、10年国債利回りは0.031%(同0.113ポイントの上昇)、為替は1ドル108円42銭(同2円33銭の円高)となりました。
(4) 当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析
① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
2019年3月期2020年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー227,126△242,892
投資活動によるキャッシュ・フロー△25,930△29,945
財務活動によるキャッシュ・フロー△81,717△182,380
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)119,478△455,218
現金及び現金同等物の期首残高1,317,5481,437,026
現金及び現金同等物の期末残高1,437,026981,808

当事業年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減や短期差入保証金の増減などにより△2,428億円(前年度は2,271億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出などにより△299億円(同△259億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減、長期借入金の返済による支出、配当金の支払いなどにより△1,823億円(同△817億円)となりました。この結果、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比4,552億円減少の9,818億円となりました。
② 資本の財源及び流動性に係る情報
(ⅰ) 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準の遵守が求められております。大和証券グループ本社の2020年3月期第4四半期日次平均のLCRは150.6%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
(ⅱ) 株主資本
当社が株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。当事業年度末の株主資本は、7,433億円(前事業年度末比266億円減)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は当期純利益116億円を計上したほか、配当金382億円の支払いを行った結果、2,934億円(同266億円減)となりました。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。