有価証券報告書-第27期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① 金融商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当事業年度末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
② 有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当事業年度末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③ 固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社では、会計基準に従い、企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2) 当事業年度の財政状態の分析
<資産の部>当事業年度末の総資産は前年度末比1兆8,500億円(15.8%)減少の9兆8,328億円となりました。内訳は流動資産が同1兆8,578億円(16.1%)減少の9兆7,099億円であり、このうち現金・預金が同1,214億円(9.2%)増加の1兆4,360億円、トレーディング商品が同5,775億円(11.2%)減少の4兆5,856億円、有価証券担保貸付金が同1兆6,540億円(43.4%)減少の2兆1,578億円となっております。固定資産は同77億円(6.8%)増加の1,229億円となっております。
<負債の部・純資産の部>当事業年度末の負債合計は前年度末比1兆8,213億円(16.7%)減少の9兆605億円となりました。内訳は流動負債が同1兆8,609億円(19.8%)減少の7兆5,607億円であり、このうちトレーディング商品が同2,565億円(6.7%)減少の3兆5,939億円、有価証券担保借入金が同1兆1,629億円(39.8%)減少の1兆7,573億円、短期借入金が同212億円(1.7%)増加の1兆2,637億円となっております。固定負債は同396億円(2.7%)増加の1兆4,958億円であり、このうち社債が同429億円(7.4%)増加の6,262億円、長期借入金が同77億円(0.9%)減少の8,304億円となっております。
純資産合計は当期純利益382億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行ったことなどから、同287億円(3.6%)減少の7,722億円となりました。
(3) 当事業年度の経営成績の分析
① 事業全体の状況
当事業年度の営業収益は3,323億円(前年度比7.4%減)となりました。受入手数料は株式取引が減少したことによる委託手数料の減少や投資信託の販売にかかる募集・売出しの取扱手数料の減少等により、総額で1,857億円(同11.2%減)、トレーディング損益は株券等、債券・為替等の減少により891億円(同10.8%減)となりました。金融収支は179億円(同5.7%減)、純営業収益は2,928億円(同10.2%減)となっております。
販売費・一般管理費は、人件費が980億円(同4.6%減)、事務費が469億円(同0.9%増)となったこと等から、合計で2,394億円(同0.4%減)となりました。この結果、経常利益は537億円(同38.0%減)となりました。
これに特別損益、法人税等を加味した結果、当期純利益は382億円(同40.6%減)となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
[リテール営業部門]
リテール営業部門は、主に個人や未上場法人のお客様に幅広い金融商品・サービスを提供しております。
リテール営業部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社の顧客の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当事業年度においては、大和版NPS®(注)の全店導入をはじめ、お客様満足度を踏まえた営業店の評価制度の拡充などに取り組みました。お客様の幅広いニーズに応える最適なサービスを提供してきたことや、大型の引受け案件が貢献し、資産導入額については2008年度以降最高となりましたが、時価要因等により預り資産は前年度末比で減少しました。ラップ口座サービスの契約資産残高は拡大し、2019年3月末の契約資産残高は前年度末比8.8%増の2兆1,456億円となりました。
市場環境の悪化に伴い、お客様のアクティビティが低下し、特に投信募集手数料が減少した影響で、当事業年度のリテール営業部門における純営業収益は1,823億円(前年度比12.8%減)、経常利益は240億円(同51.0%減)となりました。リテール営業部門の当事業年度の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ62.3%及び44.7%でした。
(注)NPS®:Net Promoter Scoreの略であり、お客様のロイヤルティを数値化する指標。なお、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
[国内ホールセール部門]
国内ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングで構成されており、グローバル・マーケッツは、主に国内外の機関投資家や事業法人、金融法人、公共法人等の顧客向けに、株式、債券・為替及びそれらの派生商品のセールスおよびトレーディングを行っております。グローバル・インベストメント・バンキングは、国内外における有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しております。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益およびトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、年末にかけての米国株の下落や、英国の欧州連合(EU)離脱問題の混迷など、世界経済の先行き不透明感の高まりによる日本株の下落により顧客のアクティビティが低調に推移しました。フィクスト・インカム収益も、金融市場において低ボラティリティが継続し収益が低調に推移しました。
グローバル・インベストメント・バンキングは増収増益となりました。エクイティ引受けでは、複数の大型エクイティ募集・売出し案件でJGC(ジョイント・グローバル・コーディネーター)や主幹事を務めたこと等により好調な業績となりました。
以上のことから、当事業年度の国内ホールセール部門における純営業収益は1,039億円(同9.6%減)、経常利益は297億円(同26.9%減)となりました。国内ホールセール部門の当事業年度の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ35.5%及び55.3%でした。
③ 経営成績の前提となる2018年度のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中間の貿易摩擦が激化し、世界経済の先行きに対する下振れリスクが一段と高まっているとみています。IMFによると、2018年の世界経済成長率は3.6%と前年を下回る伸びにとどまり、2019年は3.3%とさらに鈍化すると見込まれています。2018年の成長率は1年前の予想に比べて下方修正されましたが、その背景には、先進国では、ユーロ圏やイギリス、新興国地域では、中東欧やブラジル、中東・北アフリカなどの低成長がありました。
米国経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となった後、2四半期連続で減速しましたが、2019年1-3月期は同3.1%増と再び加速しました。もっとも、1-3月期の中身をみると、個人消費や設備投資といった民間需要の減速を、輸入の減少に伴う外需の寄与や在庫要因、政府支出がカバーしており、国内最終需要は約3年ぶりの低成長でした。総じてみると、米国経済は、雇用・所得環境が安定して推移していることから、個人消費主導の景気拡大が続いています。しかし、トランプ大統領の政権運営は米国内外の混乱を招いており、先行きに対する懸念が高まっています。米国内では、政府機関の一部閉鎖が起こったように、野党である民主党とトランプ大統領の対立は激しさを増しています。また、対外的には、トランプ大統領の強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)やメキシコ、カナダ、日本などに対しても広がっています。中国以外の各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど一定の成果を挙げているものの、中国との貿易摩擦の行方はむしろ再び激化する様相が見られます。中国からの輸入品に対する追加関税の対象が更に拡大すれば、輸入コストの増加を通じて米国の家計や企業の負担を増し、米国経済に悪影響を及ぼす恐れがあります。
金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年に計4回の利上げを実施しました。しかし、先行きの世界経済の減速懸念が強まったことを受けて、2019年に入ると、景気に配慮した姿勢にシフトしました。3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、2019年中の利上げを見送る見通しを示すと同時に、バランスシート縮小を9月末で停止することが決定され、引き締め姿勢を大きく後退させて市場に「ハト派」化したという印象を与えました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、当初の見込みを下回るものの緩やかな成長が続いています。ユーロ圏の実質GDP成長率は、10年ぶりの高成長となった2017年の2.4%から2018年は1.9%となり、特に年後半にかけては、イタリアやドイツ等が明らかに減速しました。その要因としては、米中の貿易摩擦の激化に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気減速が重石となり、2018年の後半以降、外需の落ち込みが景気に悪影響を与えたことが挙げられます。2019年1-3月期に入ると、ドイツやスペイン、フランス等の主要国において個人消費を中心に成長が持ち直しました。ただし、鉱工業生産と輸出には下げ止まりの兆しが見られるものの、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱問題の混迷に加えて、EUと米国の通商交渉も控えており、先行きの不透明感は払拭されていません。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は、2018年末まで非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を進めてきました。2018年12月末で資産買取を終了し、残高を維持するための再投資を継続しました。しかしながら、世界経済の不透明さが増し、ユーロ圏の景気減速が鮮明になる中で、2019年3月、ECBは次の利上げの可能性を2019年秋から2020年以降に先送りしました。これにより、ECBの金融政策は、非伝統的な金融緩和の終了ではなく継続へ軸足を移したことになります。
新興市場国・発展途上国経済は、成長率が2017年の4.8%から2018年は4.5%に減速しました。世界第2位の経済規模を持つ中国は、2019年1-3月期の実質GDP成長率が6.4%と、2018年10-12月期から横ばいとなり、2018年1-3月期の6.8%を直近のピークとする成長率の低下に歯止めがかかりました。個人消費や総資本形成などの内需の鈍化を、外需の寄与度のプラス転換がカバーしました。ただ、輸出以上に輸入が落ち込んだことが外需の寄与を押し上げたとみられ、米国との通商摩擦の激化が中国経済に打撃を及ぼしていると考えられます。2019年に入って、中国政府は、景気失速を回避すべく財政・金融の両面から大規模な経済対策を打ち出しており、景気を下支えする効果が期待されます。中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になりましたが、世界景気の減速懸念を背景に資源価格は下落に転じ、11月以降、原油価格は前年水準を下回って推移しており、資源国は逆風に直面しています。さらに、米中を中心とした貿易摩擦の激化の影響は世界全体に及んでおり、新興国経済も大きな打撃を受けています。
<日本の状況>2018年度の日本経済は、当初は内需を中心に緩やかな回復基調にありましたが、後半は足踏み状態に入りました。2018年7月から9月にかけては、酷暑に加えて、豪雨や台風、大地震といった自然災害が相次いだため、個人消費やインバウンド需要が低迷するとともに、生産・輸送面で企業活動が一時的に制約を受けました。また、2018年度後半には、海外経済の減速を受けて輸出や生産が落ち込み、経済成長率は伸び悩みました。2019年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率2.2%増となりましたが、その内容をみると、輸入の減少に伴う外需の寄与が成長を押し上げており、個人消費や設備投資は振るわず、在庫要因を除くと内需はゼロ成長にとどまりました。この結果、2018年度全体では0.7%の成長と2017年度の1.9%から減速し、4年ぶりの低い伸びとなりました。2017年度は内外需バランスの取れた成長であったのに対して、2018年度は、外需の寄与度が△0.1%ポイントと5年ぶりにマイナスとなり、個人消費や設備投資、住宅投資といった民間需要の伸び率も前年を下回りました。
需要項目ごとに見ると、失業率は低水準で推移し、賃金も緩やかに増加するなど雇用・所得環境の改善が進み、個人消費は、夏場の一連の自然災害による落ち込みから、その後家電販売や旅行、外食などを中心に持ち直しました。もっとも、2019年1-3月期の個人消費は、前期の反動による自動車販売の減少が響き、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。住宅投資は、貸家建設の減速感が強まったものの、2019年10月に予定される消費増税に向けた駆け込み需要が徐々に顕在化したことから、2018年7-9月期以降は持ち直しの動きが見られ、3四半期連続で増加しました。
一方、企業の設備投資については、堅調な企業収益や低金利、労働需給の逼迫など企業を取り巻く環境に変化はなく、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などが増加しました。しかし、2018年度後半にかけては、海外経済の減速から、情報関連財や資本財を中心に輸出・生産が落ち込みました。中でも、中国などアジア向けの輸出数量は減少しました。また、米中の通商交渉やイギリスのEU離脱の行方など先行きの不透明感が高まったために、企業の景況感は悪化し、設備投資に対する態度にも慎重さが見られるようになりました。引き続き、米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続したことから、金利は極めて低位で推移しました。2018年7月末に、日本銀行が長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じると、4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた10年国債利回りは緩やかに上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移しました。もっとも、12月に入ると、世界経済の減速懸念を背景に世界的に金利が低下する中、日本の長期金利も大幅に低下し、2019年2月以降は概ねマイナス圏で推移しました。この結果、2019年3月末には10年国債利回りは△0.08%前後と、2016年9月以来の低水準になりました。
株式市場においては、引き続き海外の動向に左右される展開となりました。2018年度前半は、先進国は日米欧いずれも景気が拡大していたことから、株価は上昇基調を辿り、2018年9月下旬から10月初めにかけて日経平均株価は約8ヵ月ぶりに24,000円台を回復し、1991年11月以来の高値を更新しました。しかし、12月には、米中の通商交渉の先行き懸念や、中国をはじめとする世界全体の景気減速懸念の強まりを受けて、世界的な株安となり、日経平均株価は1年3ヵ月ぶりに2万円を割り込みました。2019年に入ると、米欧の中央銀行が景気に配慮した金融政策の姿勢を強め、中国も大規模な景気刺激策を発表したことから、先行きに対する過度な悲観的見方が後退しました。この結果、株価は3月末にかけて再び上昇基調となりました。
一方、為替市場をみると、対ドルでは、2018年度に入って円安・ドル高が進み、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7月以降は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、10月初めには114円台と約11カ月ぶりの円安水準となりました。年末にかけては、先行きの世界経済の減速懸念からリスク回避の動きが強まり、108円台まで円高が進む場面が見られました。そして、2019年に入ると、世界経済の先行きに関する過度に悲観的な見方の後退に伴って円安に回帰し、概ね110~112円で推移しました。また、対ユーロでも対ドルと同様に、2018年末にかけてリスク回避の動きから円高が加速し、2019年1-3月期には円安に振れました。ただ、2019年に入っても、ドル高・ユーロ安のトレンドが続いたことから、対円でみたユーロ高の振れ幅は限定的であり、2018年度全体で見ると、緩やかに円高・ユーロ安が進みました。
2019年3月末の日経平均株価は21,205円81銭(前年3月末比248円49銭安)、10年国債利回りは△0.082%(同0.125ポイントの低下)、為替は1ドル110円75銭(同4円56銭の円安)となりました。
(4) 当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析
① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当事業年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減や有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減などにより2,271億円(前年度は△2,256億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出などにより△259億円(同△155億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入及び長期借入金の返済による支出、配当金の支払いなどにより△817億円(同3,982億円)となりました。この結果、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比1,194億円増加の1兆4,370億円となりました。
② 資本の財源及び流動性に係る情報
(ⅰ) 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準の遵守が求められております。大和証券グループ本社の2019年3月期第4四半期日次平均のLCRは141.5%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
(ⅱ) 株主資本
当社が株式や債券、デリバディブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。当事業年度末の株主資本は、7,700億円(前事業年度末比261億円減)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は当期純利益382億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行った結果、3,201億円(同261億円減)となりました。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① 金融商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当事業年度末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
② 有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当事業年度末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③ 固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社では、会計基準に従い、企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2) 当事業年度の財政状態の分析
<資産の部>当事業年度末の総資産は前年度末比1兆8,500億円(15.8%)減少の9兆8,328億円となりました。内訳は流動資産が同1兆8,578億円(16.1%)減少の9兆7,099億円であり、このうち現金・預金が同1,214億円(9.2%)増加の1兆4,360億円、トレーディング商品が同5,775億円(11.2%)減少の4兆5,856億円、有価証券担保貸付金が同1兆6,540億円(43.4%)減少の2兆1,578億円となっております。固定資産は同77億円(6.8%)増加の1,229億円となっております。
<負債の部・純資産の部>当事業年度末の負債合計は前年度末比1兆8,213億円(16.7%)減少の9兆605億円となりました。内訳は流動負債が同1兆8,609億円(19.8%)減少の7兆5,607億円であり、このうちトレーディング商品が同2,565億円(6.7%)減少の3兆5,939億円、有価証券担保借入金が同1兆1,629億円(39.8%)減少の1兆7,573億円、短期借入金が同212億円(1.7%)増加の1兆2,637億円となっております。固定負債は同396億円(2.7%)増加の1兆4,958億円であり、このうち社債が同429億円(7.4%)増加の6,262億円、長期借入金が同77億円(0.9%)減少の8,304億円となっております。
純資産合計は当期純利益382億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行ったことなどから、同287億円(3.6%)減少の7,722億円となりました。
(3) 当事業年度の経営成績の分析
① 事業全体の状況
当事業年度の営業収益は3,323億円(前年度比7.4%減)となりました。受入手数料は株式取引が減少したことによる委託手数料の減少や投資信託の販売にかかる募集・売出しの取扱手数料の減少等により、総額で1,857億円(同11.2%減)、トレーディング損益は株券等、債券・為替等の減少により891億円(同10.8%減)となりました。金融収支は179億円(同5.7%減)、純営業収益は2,928億円(同10.2%減)となっております。
販売費・一般管理費は、人件費が980億円(同4.6%減)、事務費が469億円(同0.9%増)となったこと等から、合計で2,394億円(同0.4%減)となりました。この結果、経常利益は537億円(同38.0%減)となりました。
これに特別損益、法人税等を加味した結果、当期純利益は382億円(同40.6%減)となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 純営業収益 | 経常利益 | |||||||
| 2018年 3月期 | 2019年 3月期 | 対前年度 増減率 | 構成比率 | 2018年 3月期 | 2019年 3月期 | 対前年度 増減率 | 構成比率 | |
| リテール営業部門 | 209,162 | 182,361 | △12.8% | 62.3% | 48,995 | 24,010 | △51.0% | 44.7% |
| 国内ホールセール部門 | 115,001 | 103,992 | △9.6% | 35.5% | 40,653 | 29,701 | △26.9% | 55.3% |
| その他・調整等 | 1,928 | 6,474 | ― | 2.2% | △2,984 | △0 | ― | ― |
| 合計 | 326,092 | 292,828 | △10.2% | 100.0% | 86,664 | 53,710 | △38.0% | 100.0% |
[リテール営業部門]
リテール営業部門は、主に個人や未上場法人のお客様に幅広い金融商品・サービスを提供しております。
リテール営業部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社の顧客の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当事業年度においては、大和版NPS®(注)の全店導入をはじめ、お客様満足度を踏まえた営業店の評価制度の拡充などに取り組みました。お客様の幅広いニーズに応える最適なサービスを提供してきたことや、大型の引受け案件が貢献し、資産導入額については2008年度以降最高となりましたが、時価要因等により預り資産は前年度末比で減少しました。ラップ口座サービスの契約資産残高は拡大し、2019年3月末の契約資産残高は前年度末比8.8%増の2兆1,456億円となりました。
市場環境の悪化に伴い、お客様のアクティビティが低下し、特に投信募集手数料が減少した影響で、当事業年度のリテール営業部門における純営業収益は1,823億円(前年度比12.8%減)、経常利益は240億円(同51.0%減)となりました。リテール営業部門の当事業年度の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ62.3%及び44.7%でした。
(注)NPS®:Net Promoter Scoreの略であり、お客様のロイヤルティを数値化する指標。なお、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
[国内ホールセール部門]
国内ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングで構成されており、グローバル・マーケッツは、主に国内外の機関投資家や事業法人、金融法人、公共法人等の顧客向けに、株式、債券・為替及びそれらの派生商品のセールスおよびトレーディングを行っております。グローバル・インベストメント・バンキングは、国内外における有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しております。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益およびトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、年末にかけての米国株の下落や、英国の欧州連合(EU)離脱問題の混迷など、世界経済の先行き不透明感の高まりによる日本株の下落により顧客のアクティビティが低調に推移しました。フィクスト・インカム収益も、金融市場において低ボラティリティが継続し収益が低調に推移しました。
グローバル・インベストメント・バンキングは増収増益となりました。エクイティ引受けでは、複数の大型エクイティ募集・売出し案件でJGC(ジョイント・グローバル・コーディネーター)や主幹事を務めたこと等により好調な業績となりました。
以上のことから、当事業年度の国内ホールセール部門における純営業収益は1,039億円(同9.6%減)、経常利益は297億円(同26.9%減)となりました。国内ホールセール部門の当事業年度の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ35.5%及び55.3%でした。
③ 経営成績の前提となる2018年度のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中間の貿易摩擦が激化し、世界経済の先行きに対する下振れリスクが一段と高まっているとみています。IMFによると、2018年の世界経済成長率は3.6%と前年を下回る伸びにとどまり、2019年は3.3%とさらに鈍化すると見込まれています。2018年の成長率は1年前の予想に比べて下方修正されましたが、その背景には、先進国では、ユーロ圏やイギリス、新興国地域では、中東欧やブラジル、中東・北アフリカなどの低成長がありました。
米国経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となった後、2四半期連続で減速しましたが、2019年1-3月期は同3.1%増と再び加速しました。もっとも、1-3月期の中身をみると、個人消費や設備投資といった民間需要の減速を、輸入の減少に伴う外需の寄与や在庫要因、政府支出がカバーしており、国内最終需要は約3年ぶりの低成長でした。総じてみると、米国経済は、雇用・所得環境が安定して推移していることから、個人消費主導の景気拡大が続いています。しかし、トランプ大統領の政権運営は米国内外の混乱を招いており、先行きに対する懸念が高まっています。米国内では、政府機関の一部閉鎖が起こったように、野党である民主党とトランプ大統領の対立は激しさを増しています。また、対外的には、トランプ大統領の強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)やメキシコ、カナダ、日本などに対しても広がっています。中国以外の各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど一定の成果を挙げているものの、中国との貿易摩擦の行方はむしろ再び激化する様相が見られます。中国からの輸入品に対する追加関税の対象が更に拡大すれば、輸入コストの増加を通じて米国の家計や企業の負担を増し、米国経済に悪影響を及ぼす恐れがあります。
金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年に計4回の利上げを実施しました。しかし、先行きの世界経済の減速懸念が強まったことを受けて、2019年に入ると、景気に配慮した姿勢にシフトしました。3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、2019年中の利上げを見送る見通しを示すと同時に、バランスシート縮小を9月末で停止することが決定され、引き締め姿勢を大きく後退させて市場に「ハト派」化したという印象を与えました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、当初の見込みを下回るものの緩やかな成長が続いています。ユーロ圏の実質GDP成長率は、10年ぶりの高成長となった2017年の2.4%から2018年は1.9%となり、特に年後半にかけては、イタリアやドイツ等が明らかに減速しました。その要因としては、米中の貿易摩擦の激化に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気減速が重石となり、2018年の後半以降、外需の落ち込みが景気に悪影響を与えたことが挙げられます。2019年1-3月期に入ると、ドイツやスペイン、フランス等の主要国において個人消費を中心に成長が持ち直しました。ただし、鉱工業生産と輸出には下げ止まりの兆しが見られるものの、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱問題の混迷に加えて、EUと米国の通商交渉も控えており、先行きの不透明感は払拭されていません。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は、2018年末まで非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を進めてきました。2018年12月末で資産買取を終了し、残高を維持するための再投資を継続しました。しかしながら、世界経済の不透明さが増し、ユーロ圏の景気減速が鮮明になる中で、2019年3月、ECBは次の利上げの可能性を2019年秋から2020年以降に先送りしました。これにより、ECBの金融政策は、非伝統的な金融緩和の終了ではなく継続へ軸足を移したことになります。
新興市場国・発展途上国経済は、成長率が2017年の4.8%から2018年は4.5%に減速しました。世界第2位の経済規模を持つ中国は、2019年1-3月期の実質GDP成長率が6.4%と、2018年10-12月期から横ばいとなり、2018年1-3月期の6.8%を直近のピークとする成長率の低下に歯止めがかかりました。個人消費や総資本形成などの内需の鈍化を、外需の寄与度のプラス転換がカバーしました。ただ、輸出以上に輸入が落ち込んだことが外需の寄与を押し上げたとみられ、米国との通商摩擦の激化が中国経済に打撃を及ぼしていると考えられます。2019年に入って、中国政府は、景気失速を回避すべく財政・金融の両面から大規模な経済対策を打ち出しており、景気を下支えする効果が期待されます。中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になりましたが、世界景気の減速懸念を背景に資源価格は下落に転じ、11月以降、原油価格は前年水準を下回って推移しており、資源国は逆風に直面しています。さらに、米中を中心とした貿易摩擦の激化の影響は世界全体に及んでおり、新興国経済も大きな打撃を受けています。
<日本の状況>2018年度の日本経済は、当初は内需を中心に緩やかな回復基調にありましたが、後半は足踏み状態に入りました。2018年7月から9月にかけては、酷暑に加えて、豪雨や台風、大地震といった自然災害が相次いだため、個人消費やインバウンド需要が低迷するとともに、生産・輸送面で企業活動が一時的に制約を受けました。また、2018年度後半には、海外経済の減速を受けて輸出や生産が落ち込み、経済成長率は伸び悩みました。2019年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率2.2%増となりましたが、その内容をみると、輸入の減少に伴う外需の寄与が成長を押し上げており、個人消費や設備投資は振るわず、在庫要因を除くと内需はゼロ成長にとどまりました。この結果、2018年度全体では0.7%の成長と2017年度の1.9%から減速し、4年ぶりの低い伸びとなりました。2017年度は内外需バランスの取れた成長であったのに対して、2018年度は、外需の寄与度が△0.1%ポイントと5年ぶりにマイナスとなり、個人消費や設備投資、住宅投資といった民間需要の伸び率も前年を下回りました。
需要項目ごとに見ると、失業率は低水準で推移し、賃金も緩やかに増加するなど雇用・所得環境の改善が進み、個人消費は、夏場の一連の自然災害による落ち込みから、その後家電販売や旅行、外食などを中心に持ち直しました。もっとも、2019年1-3月期の個人消費は、前期の反動による自動車販売の減少が響き、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。住宅投資は、貸家建設の減速感が強まったものの、2019年10月に予定される消費増税に向けた駆け込み需要が徐々に顕在化したことから、2018年7-9月期以降は持ち直しの動きが見られ、3四半期連続で増加しました。
一方、企業の設備投資については、堅調な企業収益や低金利、労働需給の逼迫など企業を取り巻く環境に変化はなく、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などが増加しました。しかし、2018年度後半にかけては、海外経済の減速から、情報関連財や資本財を中心に輸出・生産が落ち込みました。中でも、中国などアジア向けの輸出数量は減少しました。また、米中の通商交渉やイギリスのEU離脱の行方など先行きの不透明感が高まったために、企業の景況感は悪化し、設備投資に対する態度にも慎重さが見られるようになりました。引き続き、米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続したことから、金利は極めて低位で推移しました。2018年7月末に、日本銀行が長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じると、4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた10年国債利回りは緩やかに上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移しました。もっとも、12月に入ると、世界経済の減速懸念を背景に世界的に金利が低下する中、日本の長期金利も大幅に低下し、2019年2月以降は概ねマイナス圏で推移しました。この結果、2019年3月末には10年国債利回りは△0.08%前後と、2016年9月以来の低水準になりました。
株式市場においては、引き続き海外の動向に左右される展開となりました。2018年度前半は、先進国は日米欧いずれも景気が拡大していたことから、株価は上昇基調を辿り、2018年9月下旬から10月初めにかけて日経平均株価は約8ヵ月ぶりに24,000円台を回復し、1991年11月以来の高値を更新しました。しかし、12月には、米中の通商交渉の先行き懸念や、中国をはじめとする世界全体の景気減速懸念の強まりを受けて、世界的な株安となり、日経平均株価は1年3ヵ月ぶりに2万円を割り込みました。2019年に入ると、米欧の中央銀行が景気に配慮した金融政策の姿勢を強め、中国も大規模な景気刺激策を発表したことから、先行きに対する過度な悲観的見方が後退しました。この結果、株価は3月末にかけて再び上昇基調となりました。
一方、為替市場をみると、対ドルでは、2018年度に入って円安・ドル高が進み、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7月以降は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、10月初めには114円台と約11カ月ぶりの円安水準となりました。年末にかけては、先行きの世界経済の減速懸念からリスク回避の動きが強まり、108円台まで円高が進む場面が見られました。そして、2019年に入ると、世界経済の先行きに関する過度に悲観的な見方の後退に伴って円安に回帰し、概ね110~112円で推移しました。また、対ユーロでも対ドルと同様に、2018年末にかけてリスク回避の動きから円高が加速し、2019年1-3月期には円安に振れました。ただ、2019年に入っても、ドル高・ユーロ安のトレンドが続いたことから、対円でみたユーロ高の振れ幅は限定的であり、2018年度全体で見ると、緩やかに円高・ユーロ安が進みました。
2019年3月末の日経平均株価は21,205円81銭(前年3月末比248円49銭安)、10年国債利回りは△0.082%(同0.125ポイントの低下)、為替は1ドル110円75銭(同4円56銭の円安)となりました。
(4) 当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析
① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △225,692 | 227,126 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △15,569 | △25,930 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 398,224 | △81,717 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 156,961 | 119,478 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 1,160,586 | 1,317,548 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 1,317,548 | 1,437,026 |
当事業年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減や有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減などにより2,271億円(前年度は△2,256億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出などにより△259億円(同△155億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入及び長期借入金の返済による支出、配当金の支払いなどにより△817億円(同3,982億円)となりました。この結果、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比1,194億円増加の1兆4,370億円となりました。
② 資本の財源及び流動性に係る情報
(ⅰ) 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準の遵守が求められております。大和証券グループ本社の2019年3月期第4四半期日次平均のLCRは141.5%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
(ⅱ) 株主資本
当社が株式や債券、デリバディブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。当事業年度末の株主資本は、7,700億円(前事業年度末比261億円減)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は当期純利益382億円を計上したほか、配当金644億円の支払いを行った結果、3,201億円(同261億円減)となりました。