半期報告書-第29期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2020/12/11 15:05
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75項目
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の中間財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる中間財務諸表の作成基準に基づき作成されております。また、当社は、中間財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積りを行っており、これらの見積りは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なることがあり、結果として中間財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
①トレーディング商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって中間貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として中間損益計算書に計上しております。なお、当中間会計期間の期首より、「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日)等を早期適用しており、トレーディング商品の時価は、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、3つのレベルに分類しております。これらの時価は「第5 経理の状況 (金融商品関係) 1. 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。
時価測定に用いた評価技法及びインプットの詳細は以下のとおりであります。これらは、市場参加者が商品を評価するときに考慮するであろう当社による仮定及び見積りを含んでおります。
(ⅰ) 商品有価証券等
主に同一又は類似の商品に関する市場価格を用いております。また、特定の負債性金融商品及び資産担保証券については、デリバティブ取引に準じた評価技法もしくは、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルにより時価を算定しております。
(ⅱ) デリバティブ
上場デリバティブについては原則として市場価格を、店頭デリバティブについては、評価技法により理論価格を算定しております。
デリバティブ取引の理論価格には、信用リスク及び流動性リスクを考慮した調整が含まれており、時価算定においては、市場で一般に用いられるリスク中立測度の仮定のもとでの期待キャッシュ・フローの現在価値を、主に数値積分法、有限差分法及びモンテカルロ法による価格算定モデルにより算定しております。
価格算定モデルには、金利、為替レート、株価、ボラティリティ、相関係数などの様々なインプットがあります。また、市場で観察可能でないインプットとしては、相関係数、長期のボラティリティ、長期のクレジット・スプレッドなどがあります。
価格算定モデルの選択及びその価格算定モデルに投入するインプットの決定、信用リスク及び流動性リスクにかかる評価調整には見積り及び前提を含んでおり、特に、市場で観察可能でないインプットを使用する場合には、その見積り及び前提は、トレーディング商品の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
算定に用いたインプットを含め、価格算定モデルは社内における指針に基づいて承認され、価格算定モデルの開発部署から独立した部署が、モデル内の仮定及び技法、算定に用いたインプットについて検証を行っております。また、価格算定モデルを観察可能な市場情報や代替可能なモデルとの比較分析等により、市場動向に合わせて調整する体制を構築しております。
経営者は、時価算定に用いられた前提は合理的であると考えております。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来キャッシュ・フローや時価の下落を引き起こすような見積りの変化が、評価金額に不利に影響し、結果として、中間財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
②有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当中間会計期間末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。
③固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④繰延税金資産の回収可能性
当社では、会計基準に従い、企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2)当中間会計期間の財政状態の分析
<資産の部>当中間会計期間末の総資産は前事業年度末比2兆3,089億円(19.3%)増加の14兆2,892億円となりました。内訳は流動資産が同2兆3,127億円(19.5%)増加の14兆1,652億円であり、このうち現金・預金が同4,649億円(47.4%)増加の1兆4,467億円、トレーディング商品が同1兆7,496億円(30.0%)増加の7兆5,769億円、有価証券担保貸付金が同2,938億円(8.7%)増加の3兆6,644億円となっております。固定資産は同37億円(2.9%)減少の1,240億円となっております。
<負債の部・純資産の部>当中間会計期間末の負債合計は前事業年度末比2兆3,077億円(20.5%)増加の13兆5,431億円となりました。内訳は流動負債が同2兆3,323億円(23.6%)増加の12兆2,360億円であり、このうちトレーディング商品が同2,209億円(5.2%)減少の4兆430億円、有価証券担保借入金が同2兆1,254億円(66.4%)増加の5兆3,262億円、短期借入金が同3,036億円(26.0%)増加の1兆4,692億円となっております。固定負債は同245億円(1.9%)減少の1兆3,032億円であり、このうち社債が同429億円(7.2%)減少の5,530億円、長期借入金が同181億円(2.6%)増加の7,078億円となっております。
純資産合計は、中間純利益を125億円計上したほか、配当金116億円の支払いを行ったこと等から、同11億円(0.2%)増加の7,460億円となりました。
(3)当中間会計期間の経営成績の分析
①事業全体の状況
当中間会計期間の営業収益は1,417億円(前年同期比7.7%減)となりました。受入手数料は株式取引が増加したことによる委託手数料や株券等の引受・売出しの取扱手数料が増加したものの、債券や投資信託の募集・売出しの取扱手数料やM&A手数料の減少により841億円(同4.2%減)、トレーディング損益は債券・為替等が減少したものの株券等が増加したことにより429億円(同1.2%増)となりました。金融収支は64億円(同7.1%減)、純営業収益は1,335億円(同2.7%減)となっております。
販売費・一般管理費は、人件費が468億円(同2.1%減)、取引関係費が174億円(同21.7%減)となったこと等から、1,149億円(同4.6%減)となりました。この結果、経常利益は188億円(同9.8%増)となりました。
これに特別損益、法人税等を加味した結果、中間純利益は125億円(同327.9%増)となりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
純営業収益経常利益又は経常損失(△)
2019年
9月期
2020年
9月期
対前年同期
増減率
構成比率2019年
9月期
2020年
9月期
対前年同期
増減率
構成比率
リテール営業部門81,40273,719△9.4%55.2%2,7731,034△62.7%4.6%
国内ホールセール部門52,80259,56512.8%44.6%15,79821,51436.2%95.4%
その他・調整等3,080307-0.2%△1,415△3,714--
合計137,284133,592△2.7%100.0%17,15518,8349.8%100.0%

(注)構成比率は経常利益のセグメントの合計に占める割合としており、経常損失のセグメントを控除しております。
[リテール営業部門]
リテール営業部門は、主に個人や未上場法人のお客様に幅広い金融商品・サービスを提供しております。
リテール営業部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当中間会計期間においては、複数の大型エクイティ引受案件が寄与し、エクイティ収益が増加したほか、マーケット水準が堅調に推移したこと等からラップ口座サービスの契約資産残高は過去最高水準となりましたが、お客様のアクティビティは新型コロナウィルスの感染拡大の影響から依然回復の途上にあり、商品販売額は低調に推移しました。
その結果、当中間会計期間のリテール営業部門における純営業収益は737億円(前年同期比9.4%減)、経常利益は10億円(同62.7%減)となりました。リテール営業部門の当中間会計期間の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ55.2%及び4.6%でした。
[国内ホールセール部門]
国内ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングで構成されており、グローバル・マーケッツは、主に国内外の機関投資家や事業法人、金融法人、公共法人等のお客様向けに、株式、債券・為替及びそれらの派生商品のセールスおよびトレーディングを行っております。グローバル・インベストメント・バンキングは、国内外における有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しております。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料およびトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは増収増益となりました。エクイティ収益は、ハイテク株を中心とした外国株式の株価が堅調に推移し投資家のアクティビティが回復する中、増収となりました。また、フィクストインカム収益は、相場環境を見据えたポジション運営が好調であったことから増収となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングは減収減益となりました。大型の公募案件で主幹事を務めたほか、複数のエクイティ募集・売出し案件で主幹事を務めた結果、引受・売出し手数料は増加しました。その一方M&Aビジネスにおいては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で複数案件が中断、延期されたために、国内案件の収益が前年同期から減少したことで、減収となりました。
以上のことから、当中間会計期間の国内ホールセール部門における純営業収益は595億円(前年同期比12.8%増)、経常利益は215億円(同36.2%増)となりました。国内ホールセール部門の当中間会計期間の純営業収益及び経常利益の当社全体の純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ44.6%及び95.4%でした。
③経営成績の前提となる当中間会計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大を主な要因として、2020年に入って急激に悪化しました。世界の多くの地域で感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)が行われ、2020年4-6月期には米国や欧州、日本など、多くの地域で大幅なマイナス成長となりました。その後、7-9月期に入ると、ロックダウンが解除され、社会経済活動が再開される中、多くの地域で経済の持ち直しの動きが見られています。ただし、経済活動の水準は新型コロナウイルス感染拡大前に比べて低い水準にとどまっています。IMF(国際通貨基金)が2020年10月に公表した世界経済見通しによれば、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により先進国、新興国ともにマイナス成長に転じ、世界経済成長率は△4.4%とリーマン・ショック時を上回る大幅なマイナスが見込まれています。
米国経済は、新型コロナウイルスの感染者数の急増を受けて急速に悪化した後、足元では持ち直しの動きが見られています。3月半ばにトランプ大統領が緊急事態を宣言し、小売店や飲食店、娯楽施設などの営業規制や外出制限を実施したことによって、外食や娯楽関連など不要不急のサービスを中心に個人消費が急減し、2020年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率△5.0%と6年ぶりのマイナス成長となりました。また、営業規制の影響を受けたサービス業従事者の失業を主因として、4月の失業率は14.7%まで上昇し、4-6月期の実質GDP成長率は同△31.4%と、1947年の現行統計開始以来最大のマイナス幅を記録しました。その後、5月以降は、営業規制・外出制限の段階的な解除に伴い経済活動が再開されたことに加え、政府による経済対策が下支えとなり、米国経済は持ち直しつつあります。7-9月の実質GDP成長率は前期比年率+33.1%と大幅なプラスに転じ、失業率も9月時点では7.9%まで低下しました。ただし、経済活動の再開はあくまで段階的なものであり、新型コロナウイルスの感染拡大前に比べると、経済活動の水準は低い状態が続いています。
金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)が積極的な金融緩和を行いました。新型コロナウイルス感染症の影響によって経済が急激に悪化したことを受け、FRBは2020年3月に2度の緊急利下げを実施し、2015年12月以来となる実質的なゼロ金利政策を復活させました。また、量的緩和の拡大も決定し、FRBのバランスシートは大幅に拡大しています。9月のFOMCでは、政策金利は少なくとも2023年末までゼロで据え置かれる見通しが公表され、緩和的な金融環境を長期にわたって維持する方針が示されました。
欧州経済(ユーロ圏経済)も同様に、2020年に入って新型コロナウイルスの影響で急激に悪化しましたが、徐々に持ち直しに向かいつつあります。ユーロ圏でも多くの国が3月半ばからロックダウンに踏み切ったことにより、個人消費や生産など、幅広い分野で経済が大きく落ち込み、1-3月の実質GDP成長率は前期比年率△13.6%と大幅なマイナスとなりました。また、4-6月期には同△39.4%とさらにマイナス幅が拡大し、2四半期連続で統計開始以降の最悪値を更新しました。その後、早い国では4月半ばから、遅い国でも5月以降はロックダウンを緩和したことで、5月以降、ユーロ圏経済は持ち直しに転じています。ただし、経済活動の再開によって新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じたことを受け、再度経済活動の抑制に向かう国もあり、引き続き経済の先行きは不透明感が強い状況にあります。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)による金融緩和が強化されました。新型コロナウイルスの感染拡大による急激な景気悪化を受けて、ECBは2020年3月の緊急会合で、新型コロナ対応のための新規の資産買い取りプログラムを設定し、量的緩和策の拡大を決定しました。さらに、2020年6月には資産の買い取り枠を拡大して量的緩和を強化し、2020年末までとしていた買い入れ期間も「少なくとも2021年6月末まで」に延長しました。
新興市場国・発展途上国経済も、先進国と同様に2020年に入って急激に悪化しています。IMFによれば、2020年の実質GDP成長率は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、△3.3%とマイナス成長に落ち込むことが見込まれています。
新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国は、新型コロナウイルス感染症による影響が顕在化する以前から、米国との貿易摩擦を主因に成長率が減速傾向にありました。2020年1-3月期に入ると新型コロナウイルス感染症により、中国の一部でロックダウンが実施され、経済活動の停止を余儀なくされたため、実質GDP成長率は前年同期比△6.8%と、1992年に四半期ベースの統計が開始されて以降、初めてのマイナス成長となりました。しかし、中国での新型コロナウイルスの感染は、他国に先んじて収束へ向かい、経済は4-6月期以降、持ち直しつつあります。4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+3.2%と、新型コロナウイルスの感染拡大以前に比べると成長率は小幅ながら、プラス成長へと転じました。また、7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.9%とプラス幅が拡大し、政策による下支えを背景とした投資の回復を主な要因として、回復傾向が継続しています。
中国以外の新興国については、総じて厳しい状況に置かれていると言えます。新興国でも新型コロナウイルス感染拡大を防止するために経済活動を制限せざるを得ない状況になったことに加えて、世界的な景気悪化を受けた資金流出や、資源価格の急激な低下も、新興国経済を下押しする要因となっています。多くの新興国は、先進国と比べて財政による景気の下支えが困難であり、経済活動を停止することへの耐久力が低いことから、4-6月期には経済活動の再開を進めました。その結果として、経済の悪化には一定の歯止めがかかる一方、新型コロナウイルス感染者数の増加が続く国も少なくなく、新興国経済は非常にリスクの高い状況が続いています。
<日本の状況>日本経済は、2020年1月以降、新型コロナウイルスの影響を受けて急激に悪化しました。日本の実質GDP成長率は、消費増税に伴う反動減があった2019年10-12月期から3四半期連続でマイナス成長となり、特に新型コロナウイルスが本格的に顕在化した2020年4-6月期は前期比年率△28.1%と、戦後最大のマイナス幅を記録しました。ただし、緊急事態宣言が全面解除された5月下旬以降は、社会経済活動が徐々に再開され、日本経済は緩やかに持ち直しています。
需要項目ごとに見ると、個人消費は低迷が続いています。2019年10-12月期には消費増税に伴う反動減によって耐久財を中心に個人消費が大幅に減少しました。続く2020年1-3月期は、反動減からの持ち直しが期待されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による自粛の動きによって、外食などをはじめとする不要不急のサービス消費を中心に減少しました。さらに、個人消費を手控える動きは4月7日の緊急事態宣言によって加速し、個人消費は4月に入って大幅に減少することとなりました。その後、5月下旬に緊急事態宣言が全面解除されたことに加えて、特定定額給付金などの経済対策による下支えなどから、個人消費は徐々に持ち直しつつありますが、感染再拡大への懸念が強い状況が続く中、対面や移動を伴う接触型サービスの回復は緩やかなものとなっており、個人消費の水準は新型コロナウイルスの感染拡大前に比べて非常に低い水準にとどまっています。住宅投資についても同様に、消費増税に伴う反動減があった2019年10-12月期以降、減少傾向にあります。自粛に伴う販売の低迷や建設の遅れに加えて、雇用環境の悪化が続いたことが住宅投資の下押し要因となっています。企業の設備投資も、新型コロナウイルスの影響によって企業活動が低迷し、収益環境が急速に悪化する中、減少傾向に転じました。日銀短観(2020年9月調査)によれば、2020年度の設備投資計画(含む土地投資額)では、中小企業を中心に設備投資の減少が見込まれています。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続しています。日本銀行は、新型コロナウイルス感染拡大による急激な景気の悪化を受けて、2020年4月に、国債の購入額の上限を撤廃したほか、社債などの買い入れ枠を拡大するなど、量的緩和を強化しました。
金利については、日本銀行による追加緩和策を受けて、日本の10年国債利回りが4月に一時△0.04%台まで低下しました。世界的に経済活動再開の動きが広まる中で、5月末にはプラス圏を回復しましたが、0%近傍と非常に低い水準で推移しています。FRBが実質的なゼロ金利政策を当面続けることを表明したことで、米国の長期金利が歴史的低水準圏で安定的に推移していることもあり、日本の長期金利も総じて安定的な推移が続いています。
為替市場をみると、新型コロナウイルスによって世界的に経済が急速に悪化する中、リスク回避の動きが強まった4月から5月前半にかけては、安全資産とされる円への需要が高まり、対ドルでは106円台前半まで円高が進みました。その後、経済活動再開への期待が高まる中、6月前半には一時109円台まで円安が進みましたが、6月後半以降は、米国での新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念などから、再度円高傾向に転じ、9月には2020年3月以来となる104円台まで円高が進展しました。対ユーロについては、対ドルと同様に4月から5月前半までは円高傾向で推移しました。しかし、5月後半には欧州の景気回復期待から円安傾向へと転じ、さらに7月にはEU27カ国による復興基金案の合意を受けて、一層の円安が進行しました。
株式市場は、2020年度に入って以降、総じて上昇基調で推移しました。新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済や企業業績は急激に悪化したものの、世界的に金融緩和が強化されたことによる低金利や、量的緩和拡大による需給の改善が株価を押し上げる要因となりました。
2020年9月末の日経平均株価は23,185円12銭(同年3月末比4,268円11銭高)、10年国債利回りは0.027%(同0.004ポイントの低下)、為替は1ドル105円62銭(同2円80銭の円高)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当中間会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
2019年9月期2020年9月期
営業活動によるキャッシュ・フロー84,53382,350
投資活動によるキャッシュ・フロー△14,801△11,493
財務活動によるキャッシュ・フロー△314,458393,045
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△244,726463,901
現金及び現金同等物の期首残高1,437,026981,808
現金及び現金同等物の中間期末残高1,192,3001,445,710

当中間会計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、短期貸付金の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減、預り金の増減などにより823億円(前年同期は845億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出などにより△114億円(同△148億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、配当金の支払いなどにより3,930億円(同△3,144億円)となりました。当中間会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ4,639億円増加し、1兆4,457億円となりました。
(5)資本の財源及び流動性に係る情報
①流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準の遵守が求められております。大和証券グループ本社の2021年3月期第2四半期日次平均のLCRは165.6%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
②株主資本
当社が株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。
当中間会計期間末の株主資本は、7,443億円(前事業年度末比9億円増)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は中間純利益125億円を計上したほか、配当金116億円の支払いを行った結果、2,943億円(同9億円増)となりました。

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