有価証券報告書-第60期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/30 14:59
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86項目

有報資料

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社グループの経営理念として、基本理念、ビジョン(目指す世界観)、ミッション(果たす役割)、バリューズ(大切にする価値観)を掲げています。

これらを実現するため、当社グループが創業より大切にし、ビジネスのエンジンとして活用してきた「リボンモデル」を活用しています。「リボンモデル」とは、個人ユーザーと、企業クライアントが出会う場(プラットフォーム)を作り出し、より多くの最適なマッチングソリューションを提供することにより双方の満足を追及するビジネスモデルです。近年では、テクノロジーを活用することで、マッチングの更なる効率性向上に注力し、個人ユーザーに対して最適な選択肢を提供し、中小企業を中心とする企業クライアントに対して更なる業務効率化を支援しています。

(2) 目標とする経営指標
当社グループは、長期的な利益成長の実現に向け、M&Aをはじめとした成長に向けた各種投資を機動的かつ積極的に実行していきます。その上で、投資と利益成長の適切なバランス及び株主価値の向上を重視しており、主な経営指標を調整後EBITDA(注1)及び調整後EPS(注2)として、企業価値の最大化を図っていきます。また、経営指標の達成度を役員の報酬に連動させることにより、株主の皆様との価値共有を促進しています。
(注1) 調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)±その他の営業収益・費用
(注2) 調整後EPS(調整後1株当たり当期利益):調整後当期利益(注3)/(期末発行済株式総数-期末自己株式数)
(注3) 調整後当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益±調整項目(注4)(非支配持分帰属分を除く)±調整項目の一部に係る税金相当額
(注4) 調整項目:企業結合に伴い生じた無形資産の償却額±非経常的な損益 (注5)
(注5) 非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注6) 当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号を適用し、会計方針を変更しています。IFRS第16号の適用により、原則として全てのリース契約について、借手はリース期間にわたり原資産を使用する権利及びリース料を支払う義務を、それぞれ使用権資産及びリース負債として認識します。旧基準であるIAS第17号ではオペレーティング・リースに係るリース料を賃借料として費用計上していましたが、IFRS第16号では使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を費用計上します。結果として、IFRS第16号の適用に伴い、賃借料が減少する一方で使用権資産の減価償却費が増加し、EBITDAは増加します。そのため当社では、これまでの経営指標との比較可能性を考慮して、当連結会計年度より経営指標をEBITDAから、IFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。
(3) 経営戦略
当社グループでは、テクノロジーの進化等により急速に変化する事業環境に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取り組むことが重要と捉えています。
このために当社グループは、「HRテクノロジー」、「メディア&ソリューション」及び「人材派遣」の3つの戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、以下、「SBU」という。)単位で事業の拡大に取り組んでいます。3つのSBUごとに統括会社を設置する経営体制により、各SBUが自律自転して迅速に事業戦略を遂行できる組織体制を構築すると同時に、当社が持株会社としての機能の集中と強化を図り、適切なグループガバナンス体制やモニタリング体制等を整備することで、更なる企業価値の向上を実現します。
事業別の経営戦略は、以下のとおりです。
HRテクノロジー事業においては、テクノロジーを活用した効率的な求職活動及び求人活動の需要が高まる中、IndeedとGlassdoorの求人広告事業及び採用ソリューション事業において、独自の技術と保有する膨大なデータを活用すること等により、グローバルでの更なる拡大を進めます。更に、採用プロセスの効率化に資する様々な新規事業の開発及びM&Aを行い、将来の成長を加速させていきます。
メディア&ソリューション事業においては、当社グループは全国に営業部門を有し、企業クライアントとの密接なコミュニケーションにより、特に中小企業クライアントへのサービス提供において強固なポジションを築いています。今後は、既存の広告事業の磨きこみに加え、中小企業クライアントのバックオフィス業務・経営支援に付加価値のある「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションを提供する事業機会があると考えています。
既存の広告事業においては、各事業分野の市場における強固なポジションを活かし、安定成長を目指します。SaaSソリューションの提供においては、企業クライアントのアカウント数の拡大に注力し、商品開発やマーケティング等、戦略的な投資を実行していきますが、メディア&ソリューション事業全体の利益率を現在の水準から大きく乖離させないよう、事業ポートフォリオを管理します。
人材派遣事業においては、国内派遣領域では人手不足が継続する市場環境の下で、安定成長を目指します。海外派遣領域では、引き続き、海外子会社に事業運営ノウハウを導入しながら、調整後EBITDAマージンの継続的な改善に取り組みます。
(4) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題
人材マッチング市場におけるグローバルリーダーへの挑戦
当社グループは、2019年グローバル市場規模を1,590億米ドル以上(注1)と推定する人材マッチング市場において、長期的にテクノロジーを駆使してイノベーションを促進し、革新と創造を進めながら、グローバルリーダーとなり、個人ユーザーの求職活動及び企業クライアントの求人活動を圧倒的に効率化することを目指します。
人材マッチング市場とは、当社グループが推定する求人広告及び採用ツール市場、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場、人材派遣市場の総称と定義しています。
当社は、HRテクノロジー事業の主な事業展開領域である、オンライン求人広告及び採用ツール市場はグローバルで年間売上金額ベースで170億米ドル程度(注2)と推定しており、将来的には当社が年間売上金額ベースで40億米ドルを超える規模と見積もるオフライン求人広告市場(注3)がオンライン求人広告市場に流入を続けながら、長期的に成長すると考えています。当社グループは、同市場において、Indeed及びGlassdoorを中心とするHRテクノロジー事業を主軸として、オンラインツールを活用したマッチングの効率性向上によって、同市場での持続的な成長を目指します。
また、当社グループは、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場はグローバルで年間売上金額ベースで550億米ドル程度(注4)の市場規模であると推定しています。当社グループは、主にメディア&ソリューション事業の人材領域にて同事業を展開しています。同市場における多くのサービスは属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルによるものですが、当社グループは、HRテクノロジー事業において、テクノロジーを活用した人材マッチングサービス「Indeed Hire」を導入し、現状の業界水準対比で非常に効率的かつ費用対効果の高い形でサービスを提供することで、同市場での成長を目指します。
更に、人材派遣市場は、グローバルで年間売上金額ベースで4,410億米ドル程度の市場規模であると推定しており、売上金額から派遣スタッフの給料や関連する費用を控除した売上総利益金額は820億米ドル程度(注5)と推定しています。当社グループは、同市場において中長期的に、テクノロジーを活用して人材派遣事業の効率化につながるサービスを提供し、既存の事業の枠組みを超えた事業展開の可能性を模索していきます。
グローバル人材マッチング市場規模は、経済成長及び労働市場の状況との連関性が高く、各国政府による新型コロナウイルス感染症の拡大防止対応の影響を受けて、2020年を含む今後の市場規模が大幅に縮小することを当社は想定しています。しかし、現段階で合理的に影響規模を見積もることは困難です。そのような状況において、当社グループは、人材マッチング事業にて培ってきた事業ノウハウやテクノロジーを活用しながら、過去に類を見ない厳しさに直面している求職者及び求人企業をサポートし、戦略的な投資を積極的に進めることによって、中長期的な目標到達に向けて邁進します。
(注1)本項に記載する、求人広告及び採用ツール市場並びに人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場における売上金額ベースのそれぞれの市場規模、並びに人材派遣市場における売上利益ベースの市場規模に関する当社グループによる推計値の単純合計額。当社グループによる推計値の算出方法は(注2)から(注5)を参照。
(注2)2019年における当社グループがHRテクノロジー事業のサービスを提供している国のオンライン求人広告におけるHRテクノロジー事業の売上及び主要な競合他社の売上総額についての外部調査機関のレポートの数値を当社グループの推計に基づき一部保守的に修正した金額にLinkedInのタレントソリューション事業の年間売上金額について同社の公表資料から当社グループの推計に基づき保守的に修正した値を合算した額
(注3)オンライン求人広告及び採用ツール市場の170億米ドル((注2)をご参照ください。)に、2019年における広告市場全体におけるオンライン広告及びオフライン広告(但し、テレビ、映画及びラジオ広告等を除く。)の比率(外部調査機関のレポートに基づく。)を乗じた額
(注4)Staffing Industry Analysts(SIA), Global Staffing Industry Market Estimates and Forecast: May 2020 Updateに基づく2019年の人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場の売上金額
(注5)SIA, Global Staffing Industry Market Estimates and Forecast: May 2020 Update に基づく2019年の人材派遣市場の売上金額4,410億米ドルに、2019年におけるグローバル人材派遣上場企業の売上金額上位3社の売上総利益率の加重平均18.6%を適用して算出した額
(注6)本項に記載する求人広告及び採用ツール市場、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場及び人材派遣市場の市場規模については、(注1)から(注5)に記載のとおり外部の統計資料や公表資料を基礎として当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と大きく異なる可能性があります。

「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションによる企業の生産性改善
当社は、中小企業への展開余地が大きいSaaSソリューション等、テクノロジーを駆使した業務・経営支援サービスには、大きな事業成長のポテンシャルがあると考えています。
当社のSaaSソリューションの中心となる「Air ビジネスツールズ」は、「商うを、自由に。」をビジョンに掲げ、予約・受付管理、会計、決済からシフト管理等、企業の日々のアナログな業務にかかる時間やコストの軽減を実現する業務・経営支援ソリューションです。メディア&ソリューション事業で展開する広告事業の各領域及びその他の領域の企業クライアントに対して横断的に、「Airレジ」や「Airペイ」等をAirブランドのもとで展開しています。
当社は「Air ビジネスツールズ」を通じて、日本国内において、事業領域や産業の垣根を超え、中小企業の抱える様々な共通課題に積極的にアプローチし、それらを解決することを目指しています。企業の経営者や従業員が管理業務から解放され、本来の事業そのものにより集中することができれば、それらの企業における生産性の向上や、更なる持続的成長にも貢献します。ひいては、企業の事業進化やサービス水準向上と、個人ユーザーの満足度向上に繋がると当社は考えています。
「Air ビジネスツールズ」を導入する企業クライアントの獲得に際しては、これまで当社が培ってきた中小企業への広告サービス提供における強固なポジションを活用した既存企業クライアントへのアプローチや、ウェブメディア等を活用した新規企業クライアントへのアプローチ等を効率的に進め、アカウント数拡大に取り組んでいます。また、「Air ビジネスツールズ」のプラットフォーム上で提供するサービスの拡大においては、他社との提携等も積極的に検討し、より効果的なソリューション提供を追求していきます。
当社は、日本における「Air ビジネスツールズ」の潜在店舗数を約290万程度(注7)と推定しており、アカウント数拡大の余地は依然として大きいと認識しています。直近では、日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業の推進が追い風となり、決済サービスである「Airペイ」のアカウント数(注8)が特に増加しており、2020年3月末時点では約14.9万、前年同期比167%増となりました。消費増税が施行された2019年10月以降も多くの企業クライアントから「Airペイ」導入の要望をいただいています。
また、「Airペイ」を利用する企業クライアントによる「Air ビジネスツールズ」の他ソリューションとの併用が増加しています。2020年3月末時点の「Airペイ」アカウント数(注8)約14.9万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約10.2万となりました。今後も「Airペイ」のアカウント数(注8)の伸長が、「Air ビジネスツールズ」の総アカウント数増加に寄与していくと考えています。
(参考)「Air ビジネスツールズ」のプラットフォーム

(注7)出典:総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査結果」及び中小企業基本法における中小企業者の定義等に基づき、中小企業者の事業所数を業種別に算定した上で、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」の利用実績を踏まえて、「Air ビジネスツールズ」の導入可能性があると当社が判断した業種に属する中小企業者の事業所数を合計することにより推計しています。なお、潜在店舗数の推計に当たり、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」登録アカウント数が20アカウント以上存在する業種を「Air ビジネスツールズ」の導入可能性があると判断しています。また、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」登録アカウントは、アクティブでないアカウントを含んでいます。
(注8)登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。


メディア&ソリューションSBUにおける「リクナビDMPフォロー」サービスへの勧告、指導を受けたガバナンス強化
当連結会計年度において、当社グループのメディア&ソリューション事業(人材領域)に属する子会社の㈱リクルートキャリアが運営していたサービス「リクナビDMPフォロー」(2019年8月4日にサービスを廃止)に関し、㈱リクルートと㈱リクルートキャリアは、個人情報保護法及び職業安定法に違反していることを理由として個人情報保護委員会及び東京労働局より勧告・指導を受けました。当社としても個人情報保護委員会及び東京労働局からの一連の勧告・指導を重く受け止め、再発防止に努めています。
再発防止策の一つとして、2019年12月、㈱リクルートに外部有識者を加えたデータ活用に関する「諮問委員会」を発足し、計4回にわたって、最適なプライバシー保護の在り方も含めたデータ活用の方向性について議論を進めました。その結果を受け、2020年4月にメディア&ソリューション事業における個人情報に関する統一した指針として「パーソナルデータ指針」を制定し、㈱リクルートのホームページにおいて発表しています。
加えて、2020年4月にはメディア&ソリューションSBUにおける国内主要各社の法務機能を統合しました。商品サービスの開発プロセスの標準化、個人情報に関する従業員教育の強化等の再発防止策についても既に開始しており、今後も継続していきます。
(5) キャピタルアロケーション方針
当社のキャピタルアロケーションについては、以下を優先順位として設定しています。
- 既存事業の継続的な成長に資する投資
- 安定的かつ継続的な配当
- HRテクノロジー事業を中心とした戦略的M&A
- 市場環境及び財務状況の見通しを考慮した上での自己株式取得
また、資本効率については、ROE15%の水準を目安として設定しています。個別の投資案件の実行の是非を判断する際は、資本コストを上回るハードルレートを適用する等、資本効率の実現に取り組んでいます。

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  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。