有価証券報告書-第62期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度全体の設備投資は内需を中心に底堅く推移しましたが、年度終盤に急激に減速しました。今後、これまで堅調であった国内及びアジア各国の経済情勢について、新型コロナウイルス感染症などの影響を中心に、注視していく必要があると考えております。
このような環境下、当連結会計年度につきましては、国内および海外の不動産市場は堅調に推移し、特に東京都心5区の賃貸オフィスビル市場は、企業の業容拡大、雇用者数の増加によりオフィス需要が堅調に推移したことから、空室率は過去最低水準で推移し、賃料相場も緩やかな上昇が継続しました。また、高級賃貸住宅市場においても、3Aエリア内(赤坂・六本木、麻布・広尾、青山・原宿エリア)の稼働率は90%以上の高水準を維持し、稼働賃料単価も上昇が続きました。施設営業事業においては、年度初めから堅調に推移しておりましたが、第4四半期以降、訪日外国人客数の激減や政府のイベント自粛要請に伴う宴会利用の取り消しなど、極めて厳しい状況となりました。今後、新型コロナウイルス感染症がもたらす各事業への影響をビジネスの特性ごとに見極め、財務の健全性を確保しながら、事業を推進してまいります。
上記の事業環境のもと、当社におきましては、オフィス・住宅ともに高稼働・高単価を維持したほか、不動産売却の増加、再開発事業の進捗に伴う受託収益の寄与、「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」の竣工等により、当連結会計年度の営業収益は前期比+1.7%の250,222百万円、営業利益は、同+7.6%の65,749百万円、経常利益は、同+4.8%の60,724百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失の計上により、同△2.5%の31,368百万円となりました。
次に財政状態ですが、当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ110,539百万円増加し、2,200,378百万円となりました。
流動資産は、プロジェクトへの投資などに伴い現預金が減少したことから、3,113百万円減少しました。
固定資産は、「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」の竣工や、「虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー」「(仮称)虎ノ門ヒルズステーションタワー」「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」への投資等から、113,653百万円増加しました。
当連結会計年度の負債は、社債及び長期借入金の増加等により、前連結会計年度に比べ76,371百万円増加し、1,665,794百万円となりました。
当連結会計年度の純資産は、第三者割当増資により資本金や資本剰余金が増加したことや親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度に比べ34,168百万円増加し、534,583百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a. 賃貸
当連結会計年度においては、オフィス・住宅ともに高稼働・高単価を維持したほか、「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM:EPSON teamLab Borderless」では高い集客を実現し、「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」等の再開発事業の進捗に伴う受託収益の寄与や「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」の竣工により、当事業の営業収益は161,797百万円と前連結会計年度と比べ5,381百万円増収となりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による商業施設の休業などから、営業利益は432百万円減の38,781百万円となりました。
〈営業収益の内訳〉
(単位:百万円)
| 摘要 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
| 賃貸管理事業収益(注)1 | 111,482 | 111,203 |
| 運営受託事業収益 | 19,493 | 22,882 |
| 請負工事事業収益(注)2 | 7,363 | 9,832 |
| 地域冷暖房事業・電気供給事業収益(注)3 | 5,616 | 5,392 |
| その他事業収益 | 12,459 | 12,485 |
| 合計 | 156,416 | 161,797 |
(注)1 貸付面積及び貸付戸数
| 摘要 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
| (オフィス・店舗) | ||
| 貸付面積 | ||
| 所有面積 | 531,800.89㎡ | 566,275.21㎡ |
| 転貸面積 | 209,971.79㎡ | 210,490.67㎡ |
| 計 | 741,772.68㎡ | 776,765.88㎡ |
| (住宅) | ||
| 貸付戸数 | ||
| 所有戸数 | 1,402戸 | 1,342戸 |
| 転貸戸数 | 546戸 | 534戸 |
| 計 | 1,948戸 | 1,876戸 |
(注)2 請負工事件数
| 摘要 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
| 受注件数 | 958件 | 982件 |
| 完成件数 | 904件 | 1,016件 |
(注)3 地域冷暖房・電気供給先
| 摘要 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
| オフィスビル | 11棟 | 11棟 |
| 住宅 | 5棟 | 5棟 |
| ホテル | 2棟 | 2棟 |
| 地下鉄 | 1駅舎 | 1駅舎 |
| その他 | 2棟 | 2棟 |
b. 分譲
当連結会計年度においては、前連結会計年度に比べてビル売却や住宅分譲戸数が増加したことから、当事業の営業収益は40,610百万円と前連結会計年度と比べ939百万円増収となり、営業利益は6,338百万円増の28,938百万円となりました。
c. 施設営業
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、「グランドハイアット東京」や「アンダーズ東京」の稼働率が低下したことにより、当事業の営業収益は29,346百万円と前連結会計年度と比べ1,085百万円減収となり、営業利益は887百万円減の2,125百万円となりました。
〈営業収益の内訳〉
(単位:百万円)
| 摘要 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
| ホテル事業収益 | 22,530 | 21,682 |
| 会員制クラブ事業収益 | 5,737 | 5,545 |
| ゴルフ事業収益 | 2,164 | 2,119 |
| 合計 | 30,432 | 29,346 |
d. 海外
当連結会計年度においては、「上海環球金融中心」のオフィスは高稼働で推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、「パークハイアット上海」の稼働率が低下したことや円高元安による為替の影響から、当事業の営業収益は23,705百万円と前連結会計年度に比べ3,527百万円減収となり、営業利益は1,170百万円減の8,345百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は税金等調整前当期純利益、減価償却費、有形及び無形固定資産の取得等により、365,790百万円(前連結会計年度比△6,631百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により、108,313百万円の収入(前連結会計年度比+12,718百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得等により、188,272百万円の支出(前連結会計年度比△1,386百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、第三者割当増資、社債の発行や長期借入金の増加等により、74,019百万円の収入(前連結会計年度比△3,551百万円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントごとの経営成績に関連付けて記載しております。
なお、最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| (自 2018年4月1日 | (自 2019年4月1日 | |||
| 至 2019年3月31日) | 至 2020年3月31日) | |||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 森ヒルズリート投資法人 | 28,157 | 11.4 | - | - |
(注)当連結会計年度は、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債並びに連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える重要な会計上の見積りおよび前提条件は、以下の通りですが、2020年度については、新型コロナウイルス感染症による重大な影響が6月末まで継続し、その後12月末にかけて徐々に事業環境が回復することを前提にしており、今後の状況によっては会計上の見積もり及び前提条件に重要な影響を及ぼす可能性があります。
a. 貸倒引当金
当社グループは、取引先ごとの回収期日管理及び債権残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を必要に応じて把握する体制を構築しており、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
取引先の財務状況および支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
b. 有価証券の評価
主として当社は、余資の運用および長期的な取引関係の観点から株式等を所有しております。当社は、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施しております。すなわち、時価のある「その他有価証券」につきましては期末時価が帳簿価額を50%以上下回った場合及び40~50%程度下落した場合には、重要性及び回復可能性等を考慮して必要と認められた額について、また、時価のない「その他有価証券」につきましては評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を実施しております。
将来の株式市場の動向、投資先の業績動向によりこれら投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
c. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画および将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基にいわゆるタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
将来の業績および課税所得実績の変動により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。
d. 退職給付費用および債務
当社の従業員退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用および債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
e. 減損損失
主として当社は、収益性の低下や不動産鑑定評価により時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度は、オフィス・住宅ともに高稼働・高単価を維持したほか、「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM:EPSON teamLab Borderless」では高い集客を実現したこと、再開発事業の進捗に伴う受託収益が寄与したこと、「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」が竣工したことなどから賃貸事業が好調に推移しました。また、ビル売却及び住宅分譲戸数が増加したことから分譲事業も好調に推移しました。当連結会計年度の経営成績等は、高稼働・高単価を維持したオフィス・住宅等の賃貸事業が好調に推移したほか、ビル売却及び住宅分譲戸数が増加したことなどから営業収益は増収となりました。また、同様の理由から営業利益・経常利益は増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は一部物件の評価の見直しによる減損損失が計上されたことなどから減益となりました。再開発プロジェクトの進捗に応じて資金調達を実行する一方、利益の積み立てにより自己資本比率を維持することで、引き続き安定的な財政状態を維持しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症の動向、不動産市況動向、各種法制・税制等の変更、海外の経済情勢及び政治体制並びに為替変動、有利子負債に係る金利環境、自然災害や天災による保有資産の毀損等が考えられます。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、六本木から新橋・虎ノ門にわたる一帯の戦略エリアにおいて、仕掛かり中の都市再開発プロジェクトへの投資がプロジェクトの進行により発生するため、営業キャッシュ・フローの積立、社債の発行及び借入の実行並びにビル売却等の調達手段を用いて、柔軟かつ安定的に資金調達を行っております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、国内外の仕掛かり中の都市再開発・都市開発プロジェクトを順調に推進し、また、エリア全体の価値の向上に寄与するタウンマネジメント及びエリアマネジメントの取り組みを推進することにより、快適で豊かな都市をつくり、育むことを継続的に実現し、グループ全体の価値を向上させることを図っております。さらに、中長期的に安定した成長を可能とする堅固な財務基盤を維持するために、利益の積立により自己資本比率を一定の水準に維持しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
国内、海外とも、賃貸事業においては、再開発事業の推進およびエリアマネジメントに取り組み、保有資産の競争力強化及び将来の開発価値向上に努めました。不動産市況動向や財務規律などを勘案し、オフィスビル・住宅等の売却を実行しています。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大により、商業施設やホテルを中心に業績に一定の影響が生じており、今後の状況は引き続き注視する必要があります。
賃貸
賃貸は、オフィス・住宅が高稼働・高単価を維持したほか、「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM:EPSON teamLab Borderless」では高い集客を実現したこと、再開発事業の進捗に伴う受託収益が寄与したこと、「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」が竣工したことなどから増収となりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による商業施設の売上減少などから減益となりました。
分譲
分譲は、ビル売却及び住宅分譲戸数の増加により増収増益となりました。
施設営業
施設営業は、新型コロナウイルス感染症の影響による「グランドハイアット東京」や「アンダーズ東京」の稼働率の低下などから減収減益となりました。
海外
海外は、「上海環球金融中心」のオフィスは高稼働で推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による「パークハイアット上海」の稼働率の低下などのほか、円高人民元安の為替の影響などから減収減益となりました。