有価証券報告書-第17期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/31 11:04
【資料】
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【項目】
151項目
35.企業結合
(1)重要な企業結合
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(ボナファイドヘルス LLCの買収について)
当社の連結子会社であるファーマバイト LLC(以下、「ファーマバイト社」)は、女性の健康分野に特化した製品の製造販売を行うボナファイドヘルス LLC(以下、「ボナファイドヘルス社」)の全株式を取得する契約を締結し、2023年11月30日に本買収は完了いたしました。
① 企業結合の概要
(a) 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称ボナファイドヘルス LLC(Bonafide Health, LLC)
事業の内容女性の健康を主目的としたサプリメント、医療機器の製造・販売

(b) 企業結合を行った主な理由
ボナファイドヘルス社は、2017年に「女性の健康に貢献するため、革新的で安全かつ効果的な選択肢を提供する」という使命のもと設立されました。自然から着想を得た新しい女性向け健康食品などを研究開発・製造販売しており、科学的根拠を持つ製品として、医療専門家にも支持されています。これらの製品を通じ、加齢とともに複合化する女性の健康ニーズを長期的かつ持続的にサポートすることに重点を置いています。
ボナファイドヘルス社の買収により、ファーマバイト社は、女性の泌尿器系の健康分野に特化したユコラ社製品と、エクオールを含有したサプリメント「エクエル」で構成している既存の女性向け健康食品事業を拡充します。
(c) 支配獲得日
2023年11月30日
(d) 被取得企業の支配獲得の方法及び取得する議決権付資本持分割合
当社の連結子会社であるファーマバイト社が、現金を対価としてボナファイドヘルス社の議決権付株式を100%取得しています。
② 支配獲得日現在における支払対価、取得資産及び引受負債の公正価値
(単位:百万円)
金額
支払対価の公正価値62,432
現金62,432
取得資産及び引受負債の公正価値
流動資産2,943
非流動資産27,021
流動負債△1,913
非流動負債△134
取得資産及び引受負債の公正価値27,916
のれん34,515

(注)・取得に直接要した費用は1,490百万円であり、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれております。
・取得した売上債権及びその他の債権、回収が見込まれない契約上のキャッシュ・フローはありません。
・のれんの主な内容は、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力であります。のれんについて、税務上損金算入を見込んでいる金額はありません。
・非流動資産のうち、無形資産に配分された主要な内訳は、商標権及び販売権等22,828百万円、その他無形資産4,015百万円であります。
③ 当社グループの業績に与える影響
当社グループの連結損益計算書に含まれる、支配獲得日以降にボナファイドヘルス社から生じた売上収益及び損益は、軽微であります。また、当該企業結合日が2023年1月1日であると仮定した売上収益及び損益(いわゆる「プロ・フォーマ」情報)は、当該影響の重要性が乏しいため、開示を省略しております。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(Jnana Therapeutics Inc.の買収について)
当社の連結子会社である大塚製薬株式会社(以下「大塚製薬」)は、2024年8月1日に医薬品の研究開発を営むJnana Therapeutics Inc.(以下「ジュナナ社」)と、大塚アメリカ Inc.が設立した買収目的子会社を通じて、現金及び将来のマイルストーンの支払いを対価とする株式取得及びそれに続く合併を実施することにより、ジュナナ社を完全子会社化(以下「本買収」)することについて合意し、2024年9月19日に本買収は完了しました。
① 企業結合の概要
(a) 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称Jnana Therapeutics Inc.
事業の内容医薬品の研究開発

(b) 企業結合を行った主な理由
ジュナナ社の革新的な創薬アプローチは、独自のRAPID(Reactive Affinity Probe Interaction Discovery)プラットフォームを使って実現されています。ジュナナ社は、RAPIDを利用してファースト・イン・クラスの化合物を同定し、これまで創薬が難しいとされてきた細胞の内外で物質を運ぶためのタンパク質の一種である溶質キャリアや転写因子、シグナル伝達の基盤となるタンパク質等、さまざまな創薬ターゲットへの対応に成功しています。ジュナナ社は、英国ケンブリッジに本社を持つ大塚製薬の子会社であるアステックス社のフラグメント創薬技術とシナジーを生み出す新しい創薬アプローチを追求しています。
ジュナナ社の創薬技術は特定の疾患領域に限定されるものではありませんが、低分子創薬が困難だった自己免疫疾患領域や一部の希少疾患に集中することで、ユニークな競争ポジションを築いています。この創薬技術により
ジュナナ社は、難易度の高い創薬ターゲットである腎臓におけるアミノ酸の再吸収を制御するタンパク質に対する低分子阻害剤JNT-517を開発することに成功しました。JNT-517は、厳しい食事制限や医薬品で治療できない患者さんが多く残るフェニルケトン尿症(Phenylketonuria、以下「PKU」)に対する有効な治療手段として、フェーズ1b/2試験で有効性及び忍容性と安全性が確認されており、PKUに対するファースト・イン・クラスの薬剤になる可能性があります。他にもインターフェロン産生のマスター転写因子である Interferon regulatory factor 3(IRF3) 等の創薬難易度の高い標的に対する活性化合物を獲得する等、自己免疫疾患での低分子創薬の新たな可能性に挑戦しています。
大塚製薬では、ジンアーク(常染色体優性多発性嚢胞腎:ADPKD)、シベプレンリマブ(IgA腎症)、ボクロスポリン(ループス腎炎)等の腎領域だけでなく、ドニダロルセン(遺伝性血管性浮腫)等の新たなスペシャルティ治療薬を加えることで、幅広い希少疾患の患者さんへの貢献を進めてきました。また、2018年に買収した米国ボストン地域のビステラ社を通じて、抗体医薬技術を用いた自己免疫領域の研究開発を進めるとともに、創薬プラットフォームの拡充を進めています。
本買収は、JNT-517により、アンメットメディカルニーズに挑戦する大塚製薬のさらなるポートフォリオの拡大につなげるとともに、ジュナナ社の創薬技術、自己免疫研究での低分子パイプラインが加わることで、世界で最も重要なバイオクラスターの一つである米国ボストン地域における研究開発を強化し、複合的な形で当社グループのグローバル展開に相乗効果を与えていくことを目的としています。
(c) 支配獲得日
2024年9月19日
(d) 被取得企業の支配獲得の方法及び取得する議決権付資本持分割合
当社の連結子会社である大塚アメリカ Inc.が設立した買収目的子会社が、現金及び将来のマイルストーンの支払いを対価としてジュナナ社の議決権付株式を100%取得しています。
② 支配獲得日現在における支払対価、取得資産及び引受負債の公正価値
(単位:百万円)
金額
支払対価の公正価値147,443
現金118,784
条件付対価28,658
取得資産及び引受負債の公正価値
流動資産6,620
非流動資産143,140
流動負債△5,429
非流動負債△24,438
取得資産及び引受負債の公正価値119,892
のれん27,550

(注)・取得に直接要した費用は1,918百万円であり、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれております。
・取得した売上債権及びその他の債権は2百万円であり、回収が見込まれない契約上のキャッシュ・フローはありません。
・のれんの主な内容は、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力であります。のれんについて、税務上損金算入を見込んでいる金額はありません。
・非流動資産のうち、無形資産に配分された主要な内訳は、仕掛研究開発133,594百万円及びその他の無形資産4,596百万円であります。
・非流動負債のうち、当該企業結合により認識された繰延税金負債は、19,149百万円であります。
・当連結会計年度において支払対価である条件付対価、取得資産及び引受負債の公正価値の評価、取得対価の配分が完了しております。当初の暫定的な金額からの主な修正は、支払対価である条件付対価、仕掛研究開発、その他無形資産、及び繰延税金負債がそれぞれ7,886百万円、133,594百万円、4,596百万円、19,149百万円増加し、契約負債が3,004百万円減少した結果、のれんが114,174百万円減少しています。
③ 当社グループの業績に与える影響
当社グループの連結損益計算書に含まれる、支配獲得日以降にジュナナ社から生じた売上収益及び損益に重要性はありません。また、当該企業結合日が2024年1月1日であると仮定した売上収益及び損益(いわゆる「プロ・フォーマ」情報)は、当該影響の重要性が乏しいため、開示を省略しております。
(2) 条件付対価
条件付対価は、ニューロバンス Inc.、リコーメディカル Inc.及びジュナナ社の企業結合により生じたものです。
ニューロバンス Inc.の企業結合による条件付対価は、2017年3月にニューロバンス Inc.を買収した際に取得したADHD治療薬として開発中の化合物「センタナファジン」の開発進捗に応じたマイルストーン及び発売後の売上収益に応じた販売マイルストーンであり、最大でそれぞれ50百万米ドル、750百万米ドルを支払う可能性があります。
2018年6月にリコーメディカル Inc.を企業結合した際に取得した超音波腎デナベーションデバイスの開発進捗に応じたマイルストーンである条件付対価は、2023年12月に決済されております。
ジュナナ社の企業結合による条件付対価は、2024年9月にジュナナ社を買収した際に取得したJNT-517をはじめとする開発品の進捗に応じた開発マイルストーン及び薬事マイルストーンであり、最大でそれぞれ75百万米ドル、250百万米ドルを支払う可能性があります。
条件付対価の公正価値は、契約相手に支払う可能性がある金額について、その発生確率を加味した現在価値で算定しております。
公正価値ヒエラルキーの内容は、注記「32.金融商品」に記載しております。
条件付対価の公正価値の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
金額
2023年1月1日残高31,370
公正価値の変動7,448
期中決済額△23,668
為替換算調整1,059
2023年12月31日残高16,210
企業結合28,658
公正価値の変動2,790
為替換算調整4,884
2024年12月31日残高52,544