有価証券報告書-第11期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 13:37
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対処すべき課題

当社グループの「経営方針」「経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」「報告セグメントごとの経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。また、文中の当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(以下「KPI」といいます。)の各数値については、本有価証券報告書提出日現在において、予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営方針
当社グループは、以下のグループ経営理念および当社グループが中長期的に実現を目指す社会および社会に提供する価値を示した「SOMPOのパーパス」を定めております。
(グループ経営理念)
SOMPOグループは、お客さまの視点ですべての価値判断を行い、保険を基盤としてさらに幅広い事業活動を通じ、お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献します。
(SOMPOのパーパス)

(2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等
① 前中期経営計画(2016~2020年度)の総括
当社グループは、グループの実質的な収益力と資本効率を示すために、修正連結利益と修正連結ROEを経営指標に用いております。5年間の中期経営計画の最終年度にあたる2020年度の修正連結利益は過去最高となる2,021億円、修正連結ROEは8.0%となりました。2020年度末現在の修正連結利益の内訳は、国内損害保険事業が64%、海外保険事業が15%、国内生命保険事業が17%、介護・ヘルスケア事業等が4%となっております。なお、2020年11月に発表した通期業績予想は、修正連結利益が2,000億円、修正連結ROEが8.5%でありました。
中期経営計画の期間中は、国内損害保険事業では、既存ビジネスの収益性を強化するための経営基盤の構造改革に加え、新規事業の開発等に取り組みました。海外保険事業では、Endurance Specialty Holdings Ltd.(現Sompo International Holdings Ltd.)の買収等、規律あるM&Aによる事業規模の拡大と子会社再編によるグローバルなプラットフォームの構築を進めました。国内生命保険事業では、InsurhealthⓇを核とする「健康応援企業」への変革に向けて新たな商品・サービスを開発し、展開しました。そして、介護・ヘルスケア事業では、既存介護施設のサービス品質と生産性の向上に資する施策と人材育成等を実施しました。さらには、SOMPO Digital Labの開設等、デジタル戦略も推進しました。
② 新中期経営計画(2021~2023年度)
◆経営環境および経営戦略
気候変動による自然災害の多発や激甚化、国内における急速な少子化・高齢化に加え、低金利環境の長期化やテクノロジーの指数関数的進化による既存ビジネスモデルの変革など、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響も、未だ多くの企業の経営基盤に影響を与え、ステークホルダーの生命や健康を脅かし続けております。これらはいずれも、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)等に通じる社会共通の課題となっております。
当社グループはこうした急激な変化に敏捷かつ柔軟に対応し、資本・リスク・リターンのバランスを適切にコントロールするERM(戦略的リスク経営)を実践していくことで強固な経営基盤を維持するとともに、すべての社員、お客さま等の安全が確保されるよう、各企業において感染症対策等も引き続き徹底してまいります。そして、「安心・安全・健康のテーマパーク」を通じて社会に価値を提供し続け、それにより、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現することを「SOMPOのパーパス」として、経営戦略の根幹に位置づけて取り組んでまいります。
「安心・安全・健康のテーマパーク」とは、安心・安全・健康という抽象的な概念を目に見える形に変え、社会の中心である「人」の人生に寄り添い、デジタルテクノロジーなどのあらゆる先進技術を適切に活用することで、事業を通じて社会課題を解決するとともに、お客さまの人生や暮らしをひとつなぎで支えていく存在として社会貢献を果たす当社グループの目指す姿です。
当社グループは、あらゆるリスクに対する備えをご提供し、事故や災害を未然に防ぎ、レジリエントな社会に貢献することで、社会が直面する未来のリスクから人々を守ってまいります。また、健康長寿に向けたソリューションをご提供し、持続可能な高齢社会に貢献することで、健康で笑顔あふれる未来社会を創ってまいります。そして、それらの取組の中で、経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりにも貢献してまいります。さらには、多様性ある人材の実現や、パートナーシップのプラットフォーム構築を果たすことで、未来社会を変える力を育むことも目指してまいります。
◆新中期経営計画の到達点と基本戦略
こうした社会への価値提供を具体的に進め、SDGsも積極的に経営に取り込みながら「SOMPOのパーパス」を実現することを目指して、当社はこのたび新たな3か年の中期経営計画をスタートさせることを決定しました。計画は、既存事業の収益性を高めて利益の安定化を図る「規模と分散の追求」、リアルデータの利活用等による「新たな顧客価値の創造」、そして、「働き方改革」の3つの基本戦略で構成されております。それぞれの戦略には具体的な戦略と到達目標(KPI)が設定されており、修正連結利益3,000億円以上、修正連結ROE10%以上の達成およびリスク分散効果の発揮、保険の枠組みを超えたソリューションプロバイダーへの進化等に向けて取り組んでまいります。
<新中期経営計画の全体像>
当社グループの新中期経営計画におけるグループ経営数値目標は以下のとおりであります。
<グループ経営数値目標(修正連結利益・修正連結ROE・リスク分散比率・海外事業比率)>
(注)2021年度以降の事業部門別修正利益、修正連結利益、修正連結ROE、リスク分散比率および海外事業比率(地域分散比率)の計算方法は、以下のとおりであります。

◆グループガバナンス体制
当社は、2019年6月に指名委員会等設置会社へ移行しております。社外取締役を中心とした監督体制を整備しており、指名委員会、監査委員会および報酬委員会の3つの法定委員会では、いずれも社外取締役が委員長を務め、グループガバナンスの強化に向けた公正かつ活発な議論が行われております。当社ではさらに、執行部門に対する監督機能が十分に発揮されるよう、取締役会との情報共有の場を確保するなどして、能動的かつ積極的に執行状況の共有を図ることでガバナンスの健全性と透明性を高めております。
業務執行体制においては、グループCEOおよびグループCOOの全体統括のもと、事業オーナー制およびグループ・チーフオフィサー制を採用しており、敏捷かつ柔軟な意思決定および業務執行ならびに権限・責任の明確化を図っております。2021年4月には新たにデジタル事業を推進するデジタル事業オーナーおよびグループのデータマーケティング領域の最高責任者であるグループCDMO(Chief Data Marketing Officer)を設置して、当該領域の推進体制を整備しました。また、新たな事業領域への進出を見据えて、ヘルスケア領域担当執行役を選任しました。取締役会が選任した執行役および執行役員が自らのミッションに邁進し、グループ全体としては、グループCEOの諮問機関かつ執行部門の最上位の会議体であるGlobal Executive CommitteeおよびグループCOOの諮問機関であり事業戦略の実行やグループの管理業務案件に係る重要事項等を協議する経営執行協議会(Managerial Administrative Committee)の機能を最大限に活用することで、グループの持続的な成長を支える実効性の高い執行体制の構築を目指してまいります。
当社グループは、創業来の保険を軸としたDNAを継承しつつ、保険の枠組みを超えたソリューションプロバイダーとして進化し、様々な社会課題を解決する社会価値を創出することで、「SOMPOのパーパス」が掲げる社会の実現を目指してまいります。
(3) 報告セグメントごとの経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等
① 国内損害保険事業
ア.前中期経営計画(2016~2020年度)の総括
◆KPIの達成状況
国内損害保険事業では、事業規模や実質的な収益力を表す指標として、主要事業会社である損害保険ジャパン株式会社の「正味収入保険料」(※)と国内損害保険事業の「修正利益」をKPIとしておりました。
5年間の中期経営計画の最終年度にあたる2020年度の損害保険ジャパン株式会社の正味収入保険料については、前年度と概ね同水準の19,034億円となりました。国内損害保険事業の修正利益については、1,301億円となり、冬季の雪害や福島県沖地震の発生などにより2020年11月発表の通期業績予想を58億円下回りましたが、前年度比では693億円増加する結果となりました。
(※)自賠責・家計分野地震保険に関する金額および海外グループ会社へ移管した受再契約分を補正しております。
◆前中期経営計画の成果
前中期経営計画の期間中は、自然災害の激甚化等による利益の押し下げ影響があったものの、再保険戦略の転換や、既存ビジネスの収益性を強化するための構造改革に取り組むことで、利益創出につなげるとともに、将来の持続的成長のための基盤を構築してまいりました。


イ.新中期経営計画(2021~2023年度)
◆国内損害保険事業が目指す姿
国内損害保険事業は、SOMPOのパーパスを受けてVisionとMission、ブランドスローガンを定めました。また、2021年5月に2023年度を最終年度とする3年間の中期経営計画を新たに策定しました。目指す姿の実現に向けて新中期経営計画に取り組んでまいります。

◆経営環境および経営戦略
国内損害保険マーケットにおける当社グループのシェアは約3割を占めており、現状、保険料収入は安定的に推移しております。一方、国内損害保険事業を取り巻く環境につきましては、自然災害の多発化や激甚化、デジタル技術の進化などによる産業構造やビジネスモデルの変化に加え、新型コロナウイルス感染症がお客さまの生活スタイルや事業環境へ大きな影響を与えました。
損害保険ジャパン株式会社は、このような環境変化の中においても、SOMPOグループの中核会社として、グループが目指す「安心・安全・健康のテーマパーク」を具現化するための成長戦略に取り組んでまいります。
◆新中期経営計画の到達点と基本戦略
新中期経営計画では、前中期経営計画において構築した経営基盤をベースに、「成長戦略の加速」「レジリエンスの向上」「事業基盤の強化」を3つの基本戦略として取り組み、着実な利益成長を図ってまいります。当社は、保険事業とその先の安心・安全・健康の領域で、お客さまにとって価値ある商品・サービスを創造することで、引き続き社会に貢献してまいります。
<新中期経営計画における3つの基本戦略>
◆KPI
国内損害保険事業におけるKPIは以下のとおりであります。
「正味収入保険料」については年平均成長率約1.5%を見込むとともに、「修正利益」については成長戦略の加速や収益構造改革の完遂などにより、2023年度時点で1,500億円以上を目指してまいります。

※1 事業別ROEの計算方法は、以下のとおりであります。
「事業別ROE=事業別修正利益÷配賦資本」
2 国内損害保険事業の合計値であり、自賠責・家計分野地震保険に関する金額を除いております。
3 損害保険ジャパン株式会社単体の数値であり、自賠責・家計分野地震保険を除いております。
4 損害保険ジャパン株式会社単体の数値であります。
② 海外保険事業
ア.前中期経営計画(2016~2020年度)の総括
◆KPIの達成状況
海外保険事業では、実質的な収益力を示すため、「修正利益」をKPIとしております。2016年~2019年の4年間で修正利益は2.5倍超となり、グループ利益への貢献度を高めてまいりました。2020年度の修正利益については、新型コロナウイルスや自然災害等の影響により、前年度を200億円下回る300億円となりました。
◆前中期経営計画の成果
2017年のEndurance Specialty Holdings Ltd.買収後、グローバルプラットフォームを通じたオーガニック成長(既存事業を活用した成長)と規律あるM&Aを一貫した戦略としながら、事業を拡大させてまいりました。
特に農業保険においては、Sompo Internationalの農業保険グローバルブランドであるAgriSompoの強化に向けて、米国の農業保険を提供しているCGB Diversified Services, Inc.の買収などを行い、その結果、合算元受収入保険料が2,000億円を超える、米国および世界の農業保険において確固たるポジションを確立しました。
イ. 新中期経営計画(2021~2023年度)
◆経営環境および経営戦略
新型コロナウイルス感染症の拡大や多くの自然災害による保険損失の増加など、2020年は世界の損害保険マーケット全体にマイナス影響を与える事象が複数発生し、引き続き不確実性の高い状況にあると認識しております。一方、このような環境下で新たなリスクに対する保険カバーのニーズは増しており、企業分野では大規模災害やソーシャルインフレーションによる賠償額の高騰化などに伴い、マーケットのハード化が継続し、収入保険料の増加につながっております。
このような環境下、海外保険事業では引き続きグローバルプラットフォームを通じたオーガニック成長と規律あるM&Aの両輪を通じてグループ利益に貢献してまいります。

◆新中期経営計画の到達点と基本戦略
海外保険事業においては、グループの基本戦略の1つとなる、規模と分散を通じたさらなる成長と収益性に資する取り組みとして、コマーシャル分野ではマーケットのハード化を踏まえた保険料収入の増加、損害率の改善、ポートフォリオの最適化、成長と分散の加速を支えるボルトオンM&Aなどを実施してまいります。リテール分野では収益性向上と中長期的な成長を目指し、経営企画、法務、財務、人事、IT開発などの間接部門の統合によるオペレーションの効率化に取り組み、統合されたグローバルネットワークを通じて、ベストプラクティスやノウハウを他国や他地域に提供してまいります。これらの取組を通して、社会課題の解決と企業価値向上を目指してまいります。
また、迅速かつ全体戦略に沿った意思決定や機動的な資本政策を遂行し、新たなリスク・ニーズに対するソリューションの提供ができるよう、リテール各社をSompo International Holdings Ltd.傘下に移行する組織再編を引き続き進めるとともに、先進国のコマーシャル事業と新興国のリテール事業の実質的な一体運営を確保してまいります。
◆KPI
海外保険事業におけるKPIは以下のとおりであります。実質的な収益力を示すため、全体では引き続き「修正利益」をKPIといたします。また、コマーシャル分野につきましては、「グロス保険料成長率」と「E/Iコンバインド・レシオ」もKPIとして設定し、収益性を伴う成長、規模と分散への貢献を実現させてまいります。

※ グロス保険料成長率およびE/Iコンバインド・レシオは、コマーシャル分野固有のKPIであります。
③ 国内生命保険事業
ア.前中期経営計画(2016~2020年度)の総括
◆KPIの達成状況
国内生命保険事業では、新型コロナウイルス感染症による対面募集活動自粛等の影響を受けたものの、新医療保険の販売好調や、経費削減等により2020年度の修正利益は、過去最高の338億円となりました。収益性の高い保障性商品を中心に保有契約は拡大しており(2020年度末426万件)、安定した利益を確保しております。
前中期経営計画全体を振り返りますと、非連続な生産性の向上の各施策や事業費コントロールによる一定のコスト節減が達成できた一方、コロナ禍等外部環境要因を含めた新契約販売量低下により、2016年度当初掲げた修正利益目標である405億円に対しては67億円下回りました。
(※)生命保険の会計上の特性として契約初年度は会計上の利益がマイナスとなり次年度以降に利益が発生するため、新契約が増加するほど利益が圧縮されることとなります。そのため、費用の発生時期を是正し、利益が一定平準化するよう修正した「修正利益」をKPIに採用しております。
◆前中期経営計画の成果
前中期経営計画では、「健康応援企業」への変革に向け、「新成長戦略の実行」と「非連続な生産性の向上」という2大方針に取り組みました。
「新成長戦略の実行」 :8つのInsurhealthⓇ商品のリリース、ネット商品専用基盤、保険接点以外でのお客さまとの繋がり(リンククロス会員等)など、健康応援企業への変革に向けた成長基盤が整備されつつあります。
「非連続な生産性の向上」:人事制度構造改革、営業店事務の本社集中化等、改革や効率化が進み、着実に成果が出つつあります。これら取組全体を通じた事業費節減を積み重ねてきた結果、順調に費差損が縮小し、2020年度では費差損が19億円にまで減少しました。

イ. 新中期経営計画(2021~2023年度)
◆経営環境および経営戦略
生命保険業界の経営環境は、少子高齢化の進展による保険ニーズの多様化、デジタル技術進展、低金利の常態化など、大きく変化しております。また、政府が掲げる「健康寿命の延伸」のもと、国民一人ひとりの健康づくりや疾病等の予防をサポートするため、官民一体となった取組が進められております。
このような環境のもと、SOMPOひまわり生命保険株式会社は前中期経営計画より、伝統的な「生命保険会社」からお客さまに一生涯寄り添う「健康応援企業」への変革を目指しております。具体的には、保険本来の機能(Insurance)と健康を応援する機能(Healthcare)を統合した、新たな付加価値(InsurhealthⓇ:インシュアヘルス)を提供することで、保険機能では経済面でサポートし、健康応援機能では予測、予防、寄添いによるお客さまの健康の維持・増進を図ります。SOMPOひまわり生命保険株式会社は、InsurhealthⓇを成長のドライバーとして着実な成長を実現するとともに、お客さま本位の業務運営方針に基づき、従来の保険会社にはない新たな価値の提供を行い、お客さまから選ばれる保険会社を目指してまいります。
◆新中期経営計画の到達点と基本戦略
国内生命保険事業のビジョンである「健康応援企業」 の確立を目指し、前中期経営計画で取り組んできた2大方針を具体化した戦略4本柱により、加速化させてまいります。戦略4本柱は次のとおりであります。
a.InsurhealthⓇを原動力とした成長
これまでの取組を徹底し、営業体制の筋肉質化、およびニューマーケット・ニューチャネル開拓をベースとした高効率ビジネスモデルを確立し、飛躍的な成長を図ってまいります。
b.働き方改革
社員の成長とスキル発揮を支える基盤構築および競争力の高い事業費構造といった抜本的生産性・効率性向上を図ってまいります。
c.デジタル/データによる成長加速
ダイレクト、サービス起点のビジネス、CX等を発展させ、デジタル・データ活用を梃子とすることで新収益源を確立し、戦略の柱a.に織り込むことで成長加速を目指してまいります。
d.ひまわりブランドの確立
戦略の柱a.~c.を通じ、InsurhealthⓇを始めとしたSOMPOひまわり生命保険株式会社ならではのお客さまへの提供価値を明確化し発信することで、健康応援企業としての社会的認知向上と成長の後押しを図ってまいります。
◆KPI
国内生命保険事業におけるKPIは以下のとおりであります。InsurhealthⓇを原動力とした成長などにより、2023年度の「新契約年換算保険料」は500億円を目指し、働き方改革を通じた生産性・効率性向上などとあわせて、2023年度の「修正利益」は400億円以上を目指してまいります。

※1 新契約年換算保険料は、営業成績ベースであります。
2 ALM資産投入額は、購入から売却を除いたネット購入額であり、30年債換算であります。
④ 介護・ヘルスケア事業
ア.前中期経営計画(2016~2020年度)の総括
◆KPIの達成状況
介護・ヘルスケア事業では、実質的な収益力を示すために「修正利益」(当期純利益)をKPIとしております。また、当社グループの介護事業における収益の多くを居住系サービスが占めていることから、併せて居住系サービスの「入居率」をKPIとしております。
2020年度の主要事業会社であるSOMPOケア株式会社については、新型コロナウイルス感染症の影響により新規入居者数が減少し、居住系サービスの入居率については年初計画に届かず89.4%となりました。一方、新型コロナウイルス感染症に伴う対策コストの増加等があったものの、介護保険収入の単価上昇や緊急事態宣言に伴う活動自粛によるコスト抑制等により、修正利益は73億円となり年初計画を達成しました。
◆前中期経営計画の成果
2015年度の介護事業参入以降、入居率向上、人材強化、ガバナンス強化等に取り組むことで収益力を高め、SOMPOグループの1つの事業として着実に成果を積み上げてまいりました。また、健康寿命延伸へのチャレンジとして認知症サポートプログラムの始動、人間とテクノロジーの共生を目指し新たな介護の在り方を創造するための研究所Future Care Lab in Japanの開設、介護業界のサステナビリティ向上への貢献を目指すソリューション事業を展開するなどの取組を実施し、将来の成長に向けての基盤を構築しました。


イ. 新中期経営計画(2021~2023年度)
◆経営環境および経営戦略
急速に進展する高齢化に伴い、介護を必要とする高齢者は増加し、今後も国内の介護市場は拡大することが見込まれています。その一方で、生産年齢人口の減少に伴い、介護を支える労働力の減少が見込まれており、持続可能な事業モデルを確立するためには、生産性の向上や人材確保・育成が喫緊の経営課題であると認識しております。
◆新中期経営計画の到達点と基本戦略
介護事業においては、拡大する介護需要を支えるために積極的に規模を拡大すると同時に、テクノロジー・リアルデータの活用を通じた圧倒的な効率化や生産性・品質の向上を実現してまいります。同時に強みであるリアルデータ・リアルサービスを拡充させ、そのノウハウ等を他の介護事業者や隣接業界に提供することでエコシステムを構築し、より多くの高齢者を支えると共に業界のサステナビリティに貢献してまいります。また、シニアの身体的・精神的・社会的健康に資する取組としてシニアの社会参画を支援するスマートコミュニティ事業、認知症予防サービスの開発や認知症ケア力の向上にも取り組むことで、健康寿命延伸にもチャレンジしてまいります。
なお、2021年度から報告セグメントの区分名称を「介護・ヘルスケア事業」から「介護・シニア事業」に変更しております。
◆KPI
介護・シニア事業におけるKPIは以下のとおりであります。「売上高」により成長力を、「修正利益」により収益力をそれぞれ確認します。また、当社グループの介護事業における収益の多くを居住系サービスが占めていることから、居住系サービスの「入居率」をKPIに設定しております。新中期経営計画では、2023年度に修正利益80億円以上、売上高1,620億円、入居率93.8%を目指してまいります。

※ 入居率は、年度末時点での数値であります。