有価証券報告書-第15期(2024/04/01-2025/03/31)

ア.適所適材を基本とする効果的な制度の具現・実行
グループ全体の組織能力を最大限に発揮するためには、事業活動において特に重要性が高く戦略的育成が必要なキーポジションにおける適所適材の人材配置が不可欠と考えています。このため、各キーポジションに求められる要件を明確化し、各人が有する能力・経験等を可視化したうえで、当該ポジションへの選任及び後継者候補の選抜・育成に関する意思決定を行う仕組みを具現化し・実行していきます。
2024年度においては、経営層に求められる要件設定の明確化やリーダーの選抜・育成の仕組みの構築を行いました。
イ.安心して誇りを持って働ける企業文化づくり
企業文化は、組織の成長と人的資本の活用の土台であり、実効性の高い人材戦略の結果、価値観として組織に根付き、行動や意思決定に重要な影響を及ぼすとの考えのもと、健康経営(働くうえで大前提となる従業員の心身の健康の維持・向上)、働きやすさ(心理的安全性の確保、多様性の受容)、働きがい(存在承認を前提とする組織づくり)の3つに焦点をあてて取り組み、従業員がエンゲージメント高く安心して誇りを持って働ける企業文化を定着させます。
2024年度においては、グループで健康経営を推進していくための健康経営戦略マップの策定や、特にENEOSにおいて、「安心して働くための3か条」を策定し、各職場で実践することで、心理的安全性の高い職場づくりの取組を行いました。
ウ.グループガバナンス体制の構築
グループ全体において、先に述べた人材戦略の2本柱に関する取組が高い実効性を持って、確実に実行されていることを定期的に確認するPDCAサイクルを構築します。
2024年度においては、ENEOSホールディングスのCHROを議長に主要な事業会社の人事担当役員をメンバーとする「CHRO会議」を設置・開催(年4回)し、グループ共通KPIの設定やグループ主要事業会社の人材戦略の確認、共同取組事項の議論等を行いました。
エ.指標及び目標
第3次中期経営計画において、当社グループは以下の定量目標を設定していましたが、第4次中期経営計画の公表に伴い、「成長機会スコア」、「1人当たり教育費用」、「働きがいスコア」、「働きやすさスコア」、「健康(プレゼンティーズム)」を新たな定量目標として設定しました。2025年度からはグループで定量目標の達成を目指していきます。
<第3次中期経営計画における定量目標>
| 項目 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度目標 |
| 大卒採用者の女性比率 | 事務系 52% | 事務系 57% | 事務系 37% | 事務系 50%以上 |
| 技術系 16% | 技術系 17% | 技術系 24% | 技術系 20%以上 | |
| 女性役職者数 | 51名 | 58名 | 63名 | 100名以上 |
| 経験者採用役職者数 | 56名 | 71名 | 78名 | 80名以上 |
| 男性育児休業取得率(注) | 83.9% | 81.1% | 89.4% | 90%以上 |
| ENEOS Learning Platform 延べ利用人数 | 589名 | 800名 | 1,205名 | 1,500名以上 |
(注)ENEOS基準の計算方法により、算出した数値です。
<第4次中期経営計画におけるグループ人材戦略及び定量目標>

(2)国際的な人権原則の遵守
当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、従業員を含むすべてのステークホルダーの人権を尊重することが、持続的な社会の発展に貢献していくうえで根本的かつ必須の重要テーマであると考えています。
当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、国際労働機関(ILO)の中核的労働基準(「結社の自由及び団体交渉権の効果的な承認」「あらゆる形態の強制労働の禁止」「児童労働の実効的な廃止」「雇用及び職業における差別の排除」)、「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」等の国際規範を支持しています。
また、従業員に限らず、サプライヤー、お客様、お取引先、地域社会等のさまざまなステークホルダーの方々の人権を尊重し、事業活動を進めています。

ア.人権ポリシー
当社グループは、人権尊重の基本原則をグループ行動基準に定めるとともに、これを補完する人権ポリシーを制定しています。当社グループの事業活動に関連するすべてのビジネスパートナーに対して理解・協力を要請し、これらの周知徹底と遵守に努めています。

イ.人権デュー・ディリジェンス
当社グループは、人権デュー・ディリジェンス(以下、人権DD)、サプライチェーンにおけるCSR調達アンケート、そして人権への負の影響が疑われた場合の対応フローという3つの仕組みを通じて、網羅的に人権リスクの把握に努めています。
2019年度から隔年で国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)に沿った人権DDを実施しています。事業活動における人権侵害リスク範囲の特定と評価、改善策立案、教育の仕組み構築を内容とするものです。人権DDのサイクルは以下のとおりです。

①人権リスク調査の対象となるステークホルダー・人権リスクのスコーピング
ステークホルダー:従業員、お客様、製油所・サービスステーション(SS)の周辺住民、サプライヤー等
人権リスク:表「人権DDにおいて確認する人権課題」参照
<人権DDにおいて確認する人権課題>
| ステークホルダー | 人権DDにおいて確認する人権課題 | |
| 従業員 | ハラスメント | 労働時間管理 |
| 差別 | 健康 | |
| 安全 | ワークライフバランス | |
| 結社の自由(団結権・団体交渉権) | 公正かつ良好な労働基準 | |
| サプライヤー | サプライヤーによる人権侵害事象の発生 | |
| 顧客・取引先 | 品質不良(コンタミネーション含む) | 不適切な商品情報の提供 |
| 不適切な商品化学物質管理 | 情報セキュリティ(プライバシー) | |
| 地域社会 | 環境(地球の環境破壊、健康被害、事故被害含む) | |
② 人権リスクの評価・検証
①でスコーピングした各人権リスクに対し、業務を通じた人権侵害を行っていないか、各部で自己評価
評価後、外部専門家に確認を依頼し、対応を優先すべき人権リスクを特定
③ 今後の対応策検討
自己評価の結果及び外部専門家の意見を踏まえ、対応を優先すべき人権リスクに対する対応策を検討
④ 対応策の導入
検討を踏まえ対応策を導入
⑤ 開示
対応について報告
ウ.指標と目標
当社グループでは、「人権DD・人権研修の実施」を取組目標としています。
2023年度に第3回人権DDを実施し、主要な事業バリューチェーン上における重大な人権侵害事例が生じていないことを確認しています。同時に、優先的に対応すべき人権リスクの懸念(潜在的なリスクを含む)への対応策を検討し、次回人権DD実施(2026年度予定)に向け順次取り組んでいます。より詳細な情報は2025年11月公表予定の「ESGデータブック」をご参照ください。
また、人権研修については、グループ各社で、人権意識の向上と職場における人権侵害の発生防止を目的として、役員・従業員を対象に人権啓発研修やeラーニングを継続しています。
(3)健康増進
当社グループは、従業員及びその家族の健康を大切にすることが、従業員の活力向上、生産性改善及び組織活性化につながり、ひいては成長戦略実現の原動力や競争力の源泉になると考えています。このような考え方のもと、健康に関する基本原則をグループ行動基準に定めるとともに、従業員の自律的な健康管理及び健康増進に寄与すべく「健康経営」を推進しています。

ア.健康経営の全体像
当社グループは、「ENEOSグループ理念」において、「安全・環境・健康」を“大切にしたい価値観”の一つとして掲げています。「ENEOSグループ長期ビジョン」実現のためにも、企業活動の根幹である従業員一人ひとりの心身の健康を維持・増進することが大切です。
健全な労働環境の整備及び適切な働き方の実現に向けた取組、また、従業員の健康管理をサポートしつつ自律的な健康管理意識を醸成する取組が、個人の健康は勿論、職場全体の活力や生産性の向上につながり、ひいては「健康経営」の実現に至ると考え活動しています。

イ.健康経営のサポート体制
健康経営を推進するため「健康経営のサポート体制」を整え、事務局を人事部内に設置し、健康保険組合や関係会社・各事業所と連携しながら様々な取組を行っています。国内の各事業所においては、安全衛生委員会又は衛生委員会を毎月開催し、会社側と労働組合又は従業員の代表が衛生について話し合いを行っています。


ウ.指標と目標
ENEOSグループ(注1)は、定期健康診断の受診率100%実施に加え、生活習慣病予防に向けたサポートとして、喫煙率の低減(注2)及び適正体重(BMI25未満)維持者比率の改善(注3)を目標に取り組んでいます。海外渡航者・海外勤務者に対しては、疫病・感染症予防接種や医療サポート制度等の整備に努めています。また、健康増進法の趣旨にのっとり、受動喫煙リスクの徹底的な排除にも取り組んでいます。
(注)1.集計対象:ENEOSホールディングス及び主要な事業会社
2.2025年度目標:喫煙習慣者比率前年比マイナス1.0%以上
3.2025年度目標:適正体重(BMI25未満)維持者の比率70%以上
当社グループにおける健康関連指標の目標及び実績は以下のとおりです。
| 健康関連指標 | 2023年度 実績 | 2024年度 実績 | 2025年度 目標 |
| 喫煙率 | 24.1% | 23.6% | 21.1%以下 |
| 適正体重維持者の比率(BMI25未満) | 69.7% | 68.8% | 70%以上 |
| 定期健康診断受診率 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
(注)集計対象の主要事業会社
2025年度以降:ENEOSホールディングス、ENEOS、ENEOS Xplora、ENEOSマテリアル、ENEOS Power、ENEOSリニューアブル・エナジー
2024年度時点:ENEOSホールディングス、ENEOS、ENEOS Xplora、ENEOSマテリアル、ENEOS Power、
ENEOSリニューアブル・エナジー、JX金属
2023年度時点:ENEOSホールディングス、ENEOS、JX石油開発(現在はENEOS Xplora)、JX金属
4.安全確保の強化
当社グループは、エネルギー・素材の安定供給を担う企業グループとして、安全操業を確保することが事業の存立及び社会的信頼の基盤、競争力の源泉であると考えています。
このような認識のもと、ENEOSグループ理念において「安全」を最優先のテーマの1つと位置付けるとともに、ENEOSグループ行動基準にグループの基本方針を定めました。
これを踏まえ、グループ各社は、それぞれの事業特性に合わせて安全に関する方針を定め、労働安全に関するリスクの評価を行い、実効性を備えた安全活動を重層的に推進しています。具体的には、協力会社従業員の方々を含めた安全諸活動及び安全教育の充実を図るとともに、あらゆる事故・トラブル・自然災害に対する予防策及び緊急時対策を講じています。
ENEOSでは、移動中の安全確保を図るため、2022年度からAI歩行診断プログラムを導入し、取組を継続しています。専用の機械を用いて個人の歩行速度・歩幅・重心移動等を計測し、歩き方の安全度合いを判定するプログラムであり、計測結果をもとに、安全な歩き方につながる体操等の改善策を提案する機能も備えています。
また、グループ各社は、労働組合とも組合員の安全衛生を図るために会社が必要な施設の整備に努めることを確認しています。(労働協約付帯協定第90条)

ア.指標と目標
当社グループは、労働者の安全を最優先かつ徹底する意志を表明しています。「重大な労働災害(死亡労働災害)件数ゼロ」及び「2030年度末にTRIR(注1)1.0以下及びLTIR(注2)0.3以下の達成」をグループの重点目標として定め、協力会社の方々を含めた安全諸活動の徹底及び安全教育の充実を図っています。
(注)1.総災害度数率、100万延べ時間当たりの負傷者数(不休労災+休業・死亡労災者数)
2.休業災害度数率、100万延べ時間当たりの休業・死亡労災者数
当社グループの定量目標及び実績は次の通りです。
<定量目標及び実績>
| 項目 | 2022年度 実績・目標 | 2023年度 実績・目標 | 2024年度 実績・目標 |
| 重大な労働災害 (死亡労働災害)件数 | 0件 (0件) | 0件 (0件) | 1件 (0件) |
| TRIR (総災害度数率) | 1.00 (1.0以下) | 0.94 (1.0以下) | 2.24 (1.0以下) |
| LTIR (休業災害度数率) | ― | ― | 従業員:0.64(0) 協力会社員:0.90(0.3以下) |
(注)3.各年度におけるかっこ書きは目標値です。
4.2024年度における実績値は速報値です。確定値については、2025年11月公表予定の「ESGデータブック」をご参照ください。
5.2022年度及び2023年度のTRIRはENEOSホールディングス、ENEOS、JX石油開発(現在はENEOS Xplora)、JX金属の従業員を集計対象とし、2024年度のTRIRとLTIRはENEOSホールディングス、ENEOS、ENEOS Xplora、ENEOSマテリアル、ENEOS Power、ENEOSリニューアブル・エナジー、JX金属及び各社グループ会社の従業員と協力会社員を集計対象としています。
5.ステークホルダーとのコミュニケーション
当社グループは、株主・投資家、お客様、お取引先、従業員等、多様なステークホルダーの皆様との関わりの中で事業活動を営んでいます。ステークホルダーとの対話を積極的に進め、期待や要請に応える活動を推進していきます。
また、当社グループでは、ESGに関する具体的なテーマに関し、外部専門家・ステークホルダーの意見を聴取し対応しています。2023年度には投資家向けにカーボンニュートラル基本計画の説明会を実施したほか、機関投資家の気候変動アクション・イニシアティブ「Climate Action 100+」とも定期的なエンゲージメントを実施しています。
引き続き、外部専門家・ステークホルダーとのエンゲージメントを進め、社会課題の解決に貢献していきます。
| ステークホルダー | 活動内容 | 主なコミュニケーション手段 | 主なコミュニケーション窓口 |
| 株主・投資家 | 当社では、ディスクロージャーポリシーを定め、株主・投資家の皆様に対し、迅速、適正かつ公平な情報開示に努めています。 | ・株主総会、決算説明会、個人投資家向け説明会、ESG説明 ・統合レポート、ESGデータブック、ウェブサイトでの情報開示 | ・当社ウェブサイトお問い合わせ窓口 (https://www.hd.eneos.co.jp/contact/) ・当社IR部門窓口(電話、メール、ミーティング等) |
| お客様 | 当社グループは、お客様のご要望やご期待に応え、信頼とご満足いただける商品・サービスを開発・提供しています。 | ・営業活動を通じたコミュニケーション ・安全・安心で価値ある商品・サービスの提供 ・ウェブサイトによる情報提供 ・電話やウェブサイトでのお問い合わせ窓口 | ・当社ウェブサイトお問い合わせ窓口 (https://www.hd.eneos.co.jp/contact/) ・グループ各社販売部門窓口(電話、メール、ミーティング等) ・ENEOSお客様センター(フリーダイヤル) |
| お取引先 | 当社グループでは、お取引先に対して購買情報を開示し、積極的にビジネスチャンスを提供するとともに、公正な取引機会の確保に努めています。 | ・購買業務を通じたコミュニケーション ・ウェブサイトの活用 ・CSR調達アンケートの実施(2年で1サイクル) | ・当社ウェブサイトお問い合わせ窓口 (https://www.hd.eneos.co.jp/contact/) ・グループ各社調達部門窓口(電話、メール、ミーティング等) ・サプライヤー向け人権相談窓口 |
| NPO・NGO | 当社グループは、NPO・NGOとの協力関係を構築し、環境保全や社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。 | ・生物多様性保全活動による協働 ・次世代人材育成支援活動での協働 ・人権デュー・ディリジェンスにおける第三者の立場からの検証(隔年) | ・当社ウェブサイトお問い合わせ窓口 (https://www.hd.eneos.co.jp/contact/) |
| 地域社会・ 国際社会 | 当社グループは、操業地及び国際社会からのニーズや期待に応え、積極的にコミュニケーションを図ることで、責任ある企業活動を行うことを目指します。 | ・地域住民向け説明会、行事参加・協賛 ・ボランティア活動 ・産油、産ガス等を対象にしたさまざまな支援制度を開設 ・国際イニシアティブへの参画 | ・当社ウェブサイトお問い合わせ窓口 (https://www.hd.eneos.co.jp/contact/) ・操業地域の事業所窓口(電話、メール、ミーティング等) |
| 従業員 | 当社グループでは、従業員を経営における重要なステークホルダーとして位置付け、一人ひとりが安心して働き、能力を最大限発揮できるように、各種制度を整備しています。 | ・労働組合と経営層との定期的な対話 ・グループ報、イントラネットによる情報発信 ・意識調査の定期的実施 ・階層別研修等の実施 ・各種施策に対するアンケートの実施(随時) | ・内部通報制度(ホットライン) ※請負先従業員も対象 ・上司との定期的な面談 ・労働組合を通じて |
ア.指標と目標
当社は、「投資家との効果的なエンゲージメントの実施(のべ250件)」を取組目標としています。
2023年度の実績は412件、2024年度の実績は415件でした。
6.情報セキュリティ及びDX推進に関する事項
(1)情報セキュリティ
当社グループは、高い情報セキュリティレベルを確保することが重要な経営課題であると認識し、必要な対策に取り組んでおり、「情報セキュリティポリシー」を定め、ビジネスパートナーや委託先を含めて情報の適切な取扱い・管理・保護・維持に努めています。なお、情報セキュリティポリシーについては、当社Webサイトをご参照ください。(https://www.hd.eneos.co.jp/security/)
加えて、当社グループは、「ENEOSグループ情報セキュリティ基本規程」に則り、会社の資産である会社情報の不正な使用・開示及び漏えいを防止するとともに、会社情報の正確性・信頼性を保ち、改ざんや誤処理を防止し、許可された利用者が必要な時に確実にその会社情報を利用できるようにしています。
個人情報保護については「個人情報保護要領」を制定し、個人情報保護法の遵守と、個人情報を適切に取り扱うためのルールを定め、権利保護を図っています。加えて、研修の実施や「個人情報保護要領ガイドブック」の掲示等により、従業員への法令及び社内ルールの浸透を図っています。
IT及びITに保持される会社情報への外部からの脅威に対しては、「サイバーセキュリティ」として、担当部署を設けて、機密性・完全性・可用性を維持するための必要な施策を行っています。
また、当社グループの「サイバーセキュリティ」に関する考え方及び取組は、以下のとおりです。
ア.サイバーセキュリティにおけるガバナンス
当社グループは、年々巧妙化するサイバー攻撃から会社の重要な情報やシステムを守るため、当社社長を議長とする「ENEOSグループサイバーセキュリティ会議」を設置しています。同会議においてサイバーセキュリティ対策状況を確認するとともに、経営主導でサイバーセキュリティ対策方針を決定・推進しています。
その後各事業会社にてサイバーセキュリティ対策方針を具体的な施策へ落とし込み実行しています。
イ.サイバーセキュリティにおけるリスク管理
当社グループは、生産・販売・会計等のプロセスに関する電子データを、さまざまな情報システムやネットワークを通じて利用しています。これらの情報システムには安全対策が施されているものの、地震等の自然災害やサイバー攻撃を含む事象等により、情報システムに予期せぬ障害が発生し、業務が停止する可能性があります。その場合、当社グループの生産・販売活動に支障を来たすとともに、取引先の事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
DXの進展や働き方の多様化等により守るべき情報資産は増加傾向にある中で、情報システムや電子データの安全性を担保していくためには継続的なサイバーセキュリティ対策の強化が必要です。
このような状況を踏まえ、当社グループでは次のサイバーセキュリティ強化方針を掲げ、必要な施策を講じています。
・新たな主要な事業会社体制におけるガバナンス強化
・クラウド等利用拡大に伴うアタックサーフェス管理のさらなる強化
・システム開発における“セキュリティ・バイ・デザイン”の定着化

各セキュリティ強化方針に係る具体的な取組事例は以下のとおりです。
ア.新たな主要な事業会社体制におけるガバナンス強化
当連結会計年度においてENEOSグループは、「石油製品ほか」、「石油・天然ガス開発」、「機能材」、「電気」、「再生可能エネルギー」を主要な事業とする経営体制へ移行しました。
この新たな経営体制においてもENEOSグループとして必要なセキュリティレベルを維持・向上させるため、十分なセキュリティガバナンスが発揮される必要があります。
ENEOSグループではこの一環として社内ルールの改訂を行い、さらに横断的な会議体の開催やセキュリティ事故対応の合同訓練等を実施することで、グループ全体でのガバナンスを確保しています。
イ.クラウド等利用拡大に伴うアタックサーフェス管理のさらなる強化
近年、DXの進展に伴い、クラウドサービスの利用や在宅勤務環境の整備が進むことで、インターネットに接続される情報資産は増加傾向にあります。これにより利便性は高まる一方で、インターネットからの直接の攻撃を受けやすくなるというリスクも存在します。ENEOSグループではこのリスクに対処するため、インターネット接続資産の管理や能動的な脆弱性検知を通じ、統制面・技術面での継続的な環境整備を行い、アタックサーフェスの保護に努めています。
ウ.システム開発における“セキュリティ・バイ・デザイン”の定着化
システム開発工程においては、各システムの特性に応じたリスクをあらかじめ想定し、その対策を設計に盛り込むことが重要です。
ENEOSグループではシステム開発・運用に携わる関係者へ高度なセキュリティ教育を実施しており、加えて、システム開発・運用を委託する企業向けに定期的なENEOSグループセキュリティ方針の説明会を開催しています。これにより提案や見積りの段階からセキュリティを意識したシステム開発となるよう取り組んでいます。
(2)DXの取組
当社グループは「確かな収益の礎の確立」と「エネルギートランジションの実現」に必要な経営基盤を強化すべく、2023年度に「ENEOSデジタル戦略」を策定しました。デジタル戦略では、基盤事業、成長事業及びカーボンニュートラルの各領域におけるデジタル技術の活用方針を定めた「DX重点テーマ」と、デジタル人材育成、データ活用、ITガバナンス、共創機会という4つの「DX推進の原動力」の強化方針を定めました。

特にデジタル人材の育成を重点要素と設定し、第3次中期経営計画における高度デジタル人材の育成目標数として、2025年度末までに全従業員の約20%に相当する2,000人の育成を掲げ、実績として2024年度末に目標を超える、延べ2,761人の高度デジタル人材を育成しました。今後の方針としてENEOSでは、管掌役員で構成するDX推進委員会(注)の中で、育成したデジタル人材の実践力の強化・活用を加速させています。
(注)全社DX方針や課題を討議し、各組織のDX推進に活用していく審議機関。