有価証券報告書-第72期(平成25年6月1日-平成26年5月31日)

【提出】
2014/08/29 10:23
【資料】
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【項目】
118項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日(平成26年8月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、並びに資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)財政状態の分析
<資産、負債及び純資産の状況>当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,932百万円増加し、36,694百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の増加418百万円、電子記録債権の増加2,076百万円並びに建設仮勘定の増加1,119百万円などがあったことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末より381百万円増加し、20,070百万円となりました。これは主に、電子記録債務の増加383百万円、未払法人税等の増加373百万円及びファクタリング債務の増加730百万円などがあった一方で、短期借入金の減少620百万円、長期借入金(1年以内返済予定の長期借入金含む)の減少668百万円などがあったことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末より1,550百万円増加し、16,624百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加1,514百万円などがあったことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度より2.0ポイント増加し、44.4%となっております。
(3)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は31,196百万円となり、前連結会計年度に比べ2,240百万円増加しました。これは主に、政府によるジェネリック医薬品使用促進策の影響を受け、ジェネリック医薬品向け原薬及び自社開発のジェネリック医薬品の販売が順調に推移したことによるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は25,213百万円となり、前連結会計年度に比べ2,181百万円増加しました。これは主に、売上高の増加に伴う原材料費の増加などがあったためであります。
この結果、差引売上総利益は5,989百万円となり、前連結会計年度に比べ61百万円増加しました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,050百万円となり、前連結会計年度に比べ198百万円減少しました。これは主に、他社との共同研究開発に伴う調整分担金の入金が発生し、研究開発費が222百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は2,938百万円となり、前連結会計年度に比べ260百万円増加しました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、受取配当金及び受取保証料の発生等により132百万円となり、前連結会計年度に比べ23百万円増加しました。営業外費用は、支払利息の発生等により150百万円となり、前連結会計年度に比べ96百万円減少しました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は2,920百万円となり、前連結会計年度に比べ379百万円増加しました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は38百万円となり、前連結会計年度に比べ90百万円減少しました。これは主に、前期に計上した受取保険金65百万円と、負ののれん発生益58百万円の計上がなかったことによるものであります。特別損失は89百万円となり、前連結会計年度に比べ26百万円増加しました。これは主に、固定資産除却損が40百万円減少した一方で、支払補償費61百万円の計上があったことによるものであります。
以上の結果、当期純利益は1,811百万円となり、前連結会計年度に比べ24百万円の増加となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループにおいて、医薬品の製造設備に関する設備投資を実施した際には、原薬及び製剤の本格的な製造に至るまでに試作期間等を含めたバリデーションのための期間が必要となります。バリデーションとは、医薬品の製造、設備及び工程において、品質特性に適合する製品が生産されることを保証し、文章化することを言います。当社グループの場合は本格的な製造を開始するまでには設備の竣工後、半年から1年程度のバリデーション期間を要することが一般的になっております。
なお、減価償却費の計上はバリデーションの開始時期から行うため、売上高の計上よりも減価償却費の計上が先行することとなります。そのため、バリデーションは連結損益計算書において損益の悪化要因として影響することが見込まれます。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
連結会計年度の資金状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて2,744百万円(前年同期比8.0%増)の資金獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,869百万円及び減価償却費2,444百万円の計上などがあった一方で、売上債権の増加額2,681百万円、たな卸資産の増加額418百万円及び法人税等の支払額724百万円などがあったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、2,162百万円(前年同期比3.3%減)の資金を使用いたしました。これは主に、生産設備の拡充に伴う有形固定資産の取得による支出2,334百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、2,065百万円(前年同期比は1,690百万円の獲得)の資金を使用いたしました。これは主に長期借入による収入2,000百万円があった一方で、短期借入金の純減少額620百万円、長期借入金の返済による支出2,668百万円、配当金の支払額295百万円及びリース債務の返済による支出380百万円があったことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,285百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,412百万円の減少となりました。
また、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
第70期
平成24年5月期
第71期
平成25年5月期
第72期
平成26年5月期
自己資本比率(%)38.542.444.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)3.44.93.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)21.119.931.4

自己資本比率:自己資本/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、原薬及び製剤の製造販売と仕入販売という事業を推進するに当たり、国内外の医薬品事業を取り巻く環境の変化に対して適切な対応を行うことが、当社グループの業績に大きな影響を与えるものと認識しております。
当社グループは、ジェネリック領域や製造受託を中心とした既存分野における製造販売の拡大を図るとともに、抗癌剤、抗生物質などの高薬理活性領域を始めとした新しい分野への取り組みや、新たな剤形、新しい製剤技術への挑戦を行うことなどが必要であると考えております。これらにより国内市場での事業展開を一層充実させることに加え、更なる事業の発展を図るため、米国や中国を中心とした海外市場での原薬・製剤の販売拡大に向けた取り組みを一層強化していく方針であります。
これらを実現させるためにも、優秀な人材の確保と育成、研究開発体制の陣容の拡充と増産体制の整備、高度な品質管理体制の維持等に努めることが重要であると考えております。