有価証券報告書-第20期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/30 11:00
【資料】
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【項目】
145項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社経営の基本方針
当社グループは、「世界と自分をワクワクさせろ」をミッションとして掲げ、エンタテインメントコンテンツで世界のユーザーを一つにつなげるべく、スマートフォン向けアプリを中心にモバイルオンラインゲームの企画、開発、運営を行っています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、既存タイトルの長期的な安定運用をベースに、新規ゲームタイトルを上積みすることで収益を拡大させること及びそのための機動的な投資戦略を実現させる安定した財務基盤の構築が、経営の最重要課題だと認識しております。こうした観点から、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益の経営指標を重視しております。
(3) 経営戦略
当社グループでは、現在の主力事業であるゲーム事業を中心に更なる成長を目指し、グローバルで「KLabブランド」を確立することを目標に掲げております。
2017年より打ち立てた「3Pillars」を事業戦略として掲げ、グローバルに展開するエンターテイメント企業としてブランドを確立し、中長期的な成長を目指します。
⦅3Pillars⦆
Universal IPs 世界中にファンを持つIPをベースに、収益基盤の安定と成長を図る
Global Growth 海外展開を行い1タイトルあたりの収益を最大化する
Original Creations 自社IPでヒットタイトルを創出し、大きな成長を狙う
(4) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループが属するモバイルオンラインゲーム市場は、スマートフォンの普及が一巡したことや通信環境の整備が進んだ結果、先進国を中心に市場成長が鈍化し成熟期を迎えております。また、市場競争力のあるゲーム品質は年々高まっており、開発の高度化や多様化などに対応するため、1タイトルあたりの開発コストがより多く必要となるなど、事業環境は厳しさを増しております。
一方で、東南アジアなどの新興市場は今後成長が大きく見込まれていることや、ヒットタイトルにおけるグローバルでの収益力は非常に大きく、当社グループが一段と飛躍していくための機会は十分あると認識しております。
このような状況下の中、当社グループが現時点で認識している課題は、以下のとおりです。
① ヒット率の向上
当社グループの企業価値向上のためには、モバイルオンラインゲームのヒット率を上げ収益を拡大させることが重要であると認識しています。
早い段階からのゲームレビューを繰り返し、ヒットの可能性が低いと判断したゲームは開発を中止し、ヒットの可能性が高いタイトルへ開発リソースを集中させることにより、ヒット率の向上を目指します。
また、人気IPを獲得し、人気IPを用いたゲーム開発を主軸としていきます。自社IPについても、アニメーション、漫画、ライトノベル、音楽などに関連する業界各社と連携し、育成していきます。
② 1タイトル当たりの収益の最大化
新作タイトルの開発期間が長期化しているため、企業が継続して成長していくためには、既存タイトルの減衰を小幅に留め、長期的な運用を実現することが不可欠となります。
ユーザーが継続して長きに渡って楽しんで頂くために、ゲームのアップデートなど新しい価値を提供し、減衰率の低減を目指してまいります。
また、1タイトル当たりの売上をより一層拡大させていくためには、海外での収益獲得も重要な課題の一つであると認識しています。主要な欧米や中華圏に加え、中東や成長著しい東南アジア及び中南米へ積極的に事業展開していきます。その他、PCなどの他プラットフォームや別デバイスへのゲーム提供、コストコントロール並びに生産性向上にも取り組んでまいります。
③ 開発のマネジメント
業界全体の傾向として、年々高まるゲームの品質に合わせ、開発期間の長期化並びに開発体制の大規模化が大きな課題となっており、新規開発の管理はより一層難しさを増しております。
計画通りにリリースするために、開発マイルストーンの緻密化や、横断組織などの第三者が課題や問題を検知するなど、随時開発プロセスの改善を図ってまいります。
一方で、計画を優先するために品質が低い状態でリリースすることは、ヒット率を著しく下げてしまう要因となります。当社グループの基本方針としては、計画通りリリースできるよう最大限の努力を払いつつも、市場競争力のある品質が担保できていない場合は、リリース計画を変更し、品質向上を優先いたします。
④ コストコントロール
開発期間の長期化及び開発体制の大規模化に伴い、総開発コストが高騰傾向にあるなか、売上のボラティリティが高いゲーム事業を運営しながらも安定的に利益を創出するためには、コストコントロールが重要と考えております。
内部開発におきましては、外部発注や業務委託を多用し外製比率を高めることでコストを変動費化し、売上のボラティリティへの対応力を高めるほか、費用の大きな割合を占める広告宣伝費におきましても、精密にKPI分析と広告の効果測定を行うことで費用対効果の高いマーケティングを展開していきます。
さらに、開発タイトルの一部をパートナー企業様と共同事業とすることで、開発費用を分担しリスク分散を図っていきます。
⑤ 新技術の活用
当社グループが属するモバイルオンラインゲーム業界は、技術革新が絶え間なく行われています。
当社グループが継続的に事業を拡大していくためには、こうした様々な新技術をゲーム開発に活かすべく、研究開発していく必要があると認識しています。そのため、ゲームタイトル毎に編成されるプロジェクトチームとは別に、研究開発および共通基盤開発の各部署を設けて、研究開発を進めています。
⑥ サービスの健全性向上と消費者の安全性確保
業界全体が一体となり利用者が安全かつ安心して利用できる環境を提供し続けていくことが、業界に対する信頼性の向上ひいては業界全体の発展に寄与するものと認識しています。
関係機関や同業他社等と適時適切に連携し、ユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できるよう努めていきます。
⑦ 優秀な人材の確保及び育成
当社グループは今後より一層の事業拡大のために、人材の確保及び育成を重要な課題と認識しております。優秀な人材を採用することはもちろん、当社グループのミッション、ビジョンを体現し、将来的に企業を牽引していく人材を育成すべく、採用活動、教育研修、人事制度改革などに継続して取り組んでまいります。