有価証券報告書-第17期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 10:44
【資料】
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【項目】
136項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
①会社の経営の基本方針
当社グループのサービスは日本人の視点に立った、細やかな「ジャパンスタンダード」のアシスタンスです。グローバル化が進む今日、日本人のお客様のみならず世界のお客様へ一人一人の気持ちになって真に求められているサービスを提供していく必要があります。
お客様が世界のあらゆる場所で活躍される機会が増えるとともに、慣れない場所での自然災害やパンデミック、テロなど予期しない出来事に遭われる可能性が高まります。このような事態に迅速に対応するために、世界の隅々までサービスを提供できるオペレーション能力の向上とサービス体制の構築し、なおかつ変化に対応できる柔軟な組織体制の構築と、サービスのより一層の質の向上のための設備投資及び社員教育を行ってまいります。
②中長期的な会社の経営戦略
成長シナリオを進めていくために、環境の変化に影響を受けることなく安定した利益の確保ができる企業体質の確立が経営の重要課題であると認識しており、以下の施策を実践してまいります。
[医療アシスタンス事業]
当社グループの主力事業である海外旅行保険及びクレジットカードの付帯としてのアシスタンス事業の一層の拡充を目指します。顧客への世界最高品質のサービス提供を追求することで顧客満足度の一層の向上を図り、高い信頼を得ることが目標です。加えて、国内外の医療機関とのより一層の関係強化を図り、顧客に対して信頼性が高くよりきめ細かい医療アシスタンスサービスを提供していきます。
法人・大学がグローバル化を進め、駐在員や留学生が増加する中、海外で事故や病気になる件数が増加しており、当社グループの医療アシスタンスサービスに対する需要が増加しております。また、医療アシスタンスサービスだけでなく、昨今のテロやデモ・暴動など、世界各国において多様化、高度化、複雑化するセキュリティ・リスクへの対応が求められております。このニーズに対応し、当社グループは医療アシスタンスとセキュリティアシスタンスをセットとしたサービスによる「トータルリスク管理」を支援していきたいと考えております。
日本医療の国際展開を支援・促進する事業においては、外国人患者の受入支援事業を中心に着実な売上増加を見込んでおります。当社は「医療渡航支援企業」に認定され、「ジャパン インターナショナル ホスピタルズ」の中の多くの医療機関が利用する「医療渡航支援企業」にも指定されていることで認知及び信頼を獲得しており、訪日医療患者の数も一層増加していくことが予想されます。
また、2020年までに訪日外国人を4,000万人にするという政府の目標を背景とした訪日外国人の増加や、外国人を実際に受け入れている医療機関の増加が見込まれる中、訪日・在日外国人がスムーズに診療・治療を受けられるよう支援する等のサービスを提供できる体制を構築し、サービス提供を開始しました。今後、官公庁・地方自治体、保険会社、医療機関等との連携を進め、関連事業の一層の拡大を目指します。
[ライフアシスタンス事業]
ライフアシスタンス事業については、これまでに培ったノウハウや既存顧客から獲得している高い信用を生かし、高品質のサービス提供を武器に事業拡大を進めます。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。経営指標としては利益の確保に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、配当について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、安定配当の継続に努めてまいります。
(3)経営環境及び対処する課題
2020年度の当社の事業環境を展望すると、訪日外客数の急増を受けて、行政機関、医療機関、企業等からインバウンド関連の新たな事業ニーズが数多く生まれるものと見込まれます。また、当社グループが長年取り組んで実績を上げてきた医療ツーリズムにおいても、ますます需要が高まると見通されます。こうしたニーズに着実に対応し、インバウンド関連事業の一層の拡大と確立を目指します。
既存事業分野であるアウトバウンド医療アシスタンス事業でも、海外に出国する日本人旅行者等は増加傾向にあり、海外における活動を強化しつつある企業や大学等からの需要もますます高まる傾向にあります。ニーズを確実に取り込み、一層の成長を目指します。
また、長期的な高収益体質づくりを目指し、積極的な情報化投資を進めます。
以上のような認識のもと、今年度は主に下記のような重点事業目標を掲げて、事業推進に取り組んでまいります。
<主な重点事業目標>① インバウンド医療アシスタンス事業の強化、拡大
② 国際医療コーディネートサービスの強化、拡大
③ アウトバウンド医療アシスタンス事業の収益率の向上
④ 中期の新規事業開拓をめざして「ヘルスケア事業」への取り組み開始・推進体制の早期立ち上げ
⑤ コンシェルジュ業務の収益力の維持・強化
・要員の早期戦力化推進
・オペレーションサポートシステムの改善
⑥ 全グループ挙げての業務プロセスの見直しと情報化推進
・不必要な業務や業務プロセス(勤務も含めて)の廃止と非効率な業務や業務プロセス(勤務も含めて)の思い切った改善
・情報化の積極導入による効率化・高品質化の推進
⑦ 従業員のやりがいを高める仕組みの構築
従業員の処遇改善を図るとともに、以下の施策に取り組み、真に快適な職場で、全員が力いっぱい働くことのできる会社を目指して諸改革を進める。
・育児・介護を抱える従業員を支援する柔軟な働き方の推進
・新入従業員研修と定着支援の充実
・中堅従業員研修・管理職研修の体系化
・従業員の資産形成支援(従業員持ち株会の奨励、積立型の保険活用など)
なお、本年1月後半から顕在化した新型コロナウイルスの広域感染が人々の生活や経済活動に深刻な影響を与えつつあり、当社グループの事業にも大きく影響を与える可能性が出て来ました。今後この影響をしっかりと見極めつつ、適宜計画の見直しと必要な施策を実施してまいります。